煙か土か食い物 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
何とも形容しがたい作品。 文体に関しては好意的なレビューが多いが、個人的にはあまり好きな文体ではない。改行が少なく登場人物の会話も続けて表現されているので正直読みにくく何度か挫折しかけた。自分の読解力がないせいもあるが・・・ 中盤~後半にかけて黒幕が判明したあたりもやや強引だった気がする。しかしテンポは良くなり最後はまずまず楽しめて読み終える事ができた。四郎の内面が想像以上に繊細であり、最期に救われたのは良かった。最初は★か★★であったが後半楽しめたことで★★★まで評価を上げた。 初読み作家さんであったが次作を読むかどうかは正直微妙である
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
個性的な文体で、スピード感があった。あまり改行もなく、文量が多いが不思議と読みづらいということはなかった。主軸が傷害事件と家族の話。主人公の語りも含め好感を持った。タイトルが祖母のセリフというのも印象的だった。
Posted by
Posted by
密度の濃い文章で、スピード感ある展開。 タイトルは、祖母の死に際の言葉 「人間死んだら、煙か土か食い物や」から。 とても印象的で収まりの良いフレーズなので、どこか古典に出所があるのかと思いましたが、舞城さんの創作のようですね。 アメリカで働く腕利の外科医四郎。本人は、神の一人とま...
密度の濃い文章で、スピード感ある展開。 タイトルは、祖母の死に際の言葉 「人間死んだら、煙か土か食い物や」から。 とても印象的で収まりの良いフレーズなので、どこか古典に出所があるのかと思いましたが、舞城さんの創作のようですね。 アメリカで働く腕利の外科医四郎。本人は、神の一人とまで言う。そこへ、日本の実家から母親が事件に巻き込まれた連絡が入る。急遽、帰国。 久しぶりの実家で、母親も含めた5人の女性の殴打生埋め事件の犯人探し。 事件解決への見事な推理を展開しつつも、振り切った暴力描写に何故か溢れる家族愛。 時折、ハイテンションな軽めの会話が入るけど、作者の頭の良さが滲んでいるから認めましょう。 細かいストーリーは、もう考慮しないで良いです。 全体的に面白いって感じで、どこへ向かうかわからなかったラストも不眠症も治りそうでハッピーエンドかな? 動物占いは、すぐ気がつきましたが、あれは、算命学の一術式からの発想らしいですよ。算命も占星術と言われれば、そうなのだけど。
Posted by
とにかく勢いが凄かった. 後半はハチャメチャすぎて常に???にはなってた. 勢いさえ保てれば理屈なんてどうでもいいって感じなんだろう.バカミスよね?あまりに荒唐無稽すぎるので
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
初舞城王太郎でしたが、吹っ飛んだキャラクターメイクでガンガン押し切る小説かと思いきや、福井の土臭い田舎に舞台はさっさと移動し、血の因果というべきか、血生臭い暴力の連鎖で過去から現在へと紡いでいき、それでも将来へと希望を繋げていくというストーリー。 正直、間の過去編が長く、中だるみしてしまったし、ミステリー的な”ネタ”の部分も「ん?」という感じはしたのですが、純粋な読み物として不思議とドライブ感があって、楽しかったです。 実は四郎の医者という経歴自体嘘なのでは?というどんでん返しも想像してましたが、そんなことはなかったです笑
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ドラえもんのくだり、いる? とか 警察車両の細工は誰の何だったの? とかの諸々に、 突っ込んだら負けなのだろう。 個人的にはやや苦手だがハマる人にはハマる独特の書き口にも、一つ一つに大した意味はないのだろう。 疾走するようにドバァーっとストーリーが展開していく中で、兄弟と父親に関する描写だけ丁寧に慈しみと悲しみを持って描かれていて、それが良かった。 兄弟全員が、自分のこと以上に兄弟のことに心を深く傷つけたたまま強がって生きてて、良かった。 ミステリー小説ではなく、もう何年も前に崩壊してしまった家族関係の再生と修復の物語。 テーマが明確な分、個人的には阿修羅ガールより面白かった。 ただ、主人公が明らかに厨二病なので、星三つです。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
延々と続くモノローグ。改行を忘れたのかと思わせる脳内の垂れ流し。なるほどこんなスタイルかと受け入れる。対数螺旋曲線やドラえもんやら出てきて、ちょっとミステリーっぽい。 ずっとこの調子だとしんどいかなと思ったが、TENの二郎の章になったところで様子がガラリ一変。暴力の応酬。酒鬼薔薇聖斗みたいのも出てきてデスメタルのよう。容赦無い暴力描写が続くが、あまりに続くのでそのうち平然と読めるようになってくる。 人は死んだら煙か土か食いもの。
Posted by
東西ミステリ72位。自意識の垂れ流しをミステリーの仕掛けの中に取り込むと言う意欲作です。ミステリーの体裁を取っているけど、私小説、それも家族の物語ですね。 途中の回想シーンも、含めて作品全体だと理解すると楽しめると思います(読んで不快とかそうじゃなくて圧が凄いです)。 &qu...
東西ミステリ72位。自意識の垂れ流しをミステリーの仕掛けの中に取り込むと言う意欲作です。ミステリーの体裁を取っているけど、私小説、それも家族の物語ですね。 途中の回想シーンも、含めて作品全体だと理解すると楽しめると思います(読んで不快とかそうじゃなくて圧が凄いです)。 "これが噂のMaijoだ"のキャッチコピーに偽りは無いですね。圧倒的な読後感でした。20代の多感な時期にこの本に出会えた人は幸福ですね。 蛇足ですが、舞城王太郎は"清涼院チルドレン"らしいです。清涼院流水さんが後世に残した功績って途方もないんでしょうね。☆4.4
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
お名前は見かけていましたが、その名前故に避けていたところがあります。だって、なんというか狙っている風のネーミングというのでしょうか、ちょっとふざけている?感を勝手に感じていたのです(作者名も作品名も)。読む前から「キャッチーな外面で内面をごまかしてはいないか?」という疑念がありました。 でも、やっぱり名前が、そしてタイトルが、気になるのです。そして、いくつかの機会をやり過ごしたのち、この度とうとう購入に至りました。 結論としては、自分の思い込みは大いに翻りました。 ・・・ な、なんなの、この作風は? 感想をぎゅっと絞ると、これです。 主人公は米国で救急外科医として勤務する奈津川四郎。彼のキャラ設定がもうアクがあり過ぎます。数日間ぶっ通しでメスを握り、神業的外科手術を夜通し成功させつつ、ふとした合間にセ〇レ看護師の下半身をまさぐる。 そんな彼の母親が頭を殴打され日本へ緊急帰国するのですが、出身の福井に帰ってもこの破格のキャラが大暴れ。かつての級友を連れまわす(もう連れ去りに近い?)、義理の姉とよろしくしけこむ、気に入らないやつには暴力を振るう、友人を使って公権力に入り込む等々違法行為スレスレのもうやりたい放題。 そしてこのような横暴が主人公目線の独白調で方言?も交えて、改行なく語られるのです。さらに合間合間に横文字の禁忌ワードの数々。その文体はドライブ感・疾風感が強く感じられ、嫌みな感じの一歩手前くらいで絶妙に抑えられているようにも見えます。というより、あまりに常軌を逸しているため、つい笑ってしまう、ギャグマンガ的なシュールさすら感じてしまいました。 ・・・ そんな物語ですが、実は犯罪予告を解くDetectiveものの展開であり、密室犯罪のトリックもあり、悲しい家系的暴力の因縁があり、それらを超克して最後はきれいに大団円を迎えるというものでありました。つまり一言でいうとぐいぐい読ませるし、面白い。 エンタメを標榜するメフィスト賞受賞は伊達ではありません。 登場人物の個々のキャラが強く、展開も早いので意識しづらかったのですが、物語のピークが分からず気づいたら終わってた、でもキレイに終わってた、という読後感です笑 ・・・ ということで初舞城作品でありました。 アクの強い作品で読者によって好き嫌いが分かれそうな気がする作品でした。私はそうでうすね、結構好きです笑 なんか他の人からえー?って言われそうですが。 でも娘や息子に読ませるかっていると・・・、そうですね、たぶん黙っていると思います笑。 ダメと言われると余計に読んでみたくなる人、そもそもヒールとか露悪的なものが好きな人には楽しむことが出来るエンタメ作品だと思います。話の分かる大人にはお勧めの作品。
Posted by