小さな本の数奇な運命 の商品レビュー
古書店で誰かに手に取ってもらうのを待っている1冊の本の独白。 あと2か月の間に売れなければスクラップ行きだから当人(当本?)も必死だ。 古書店の客が自分を手に取ってくれるのを乞い願いつつ今までの持ち主について語っていく。持ち主の家族の歴史、本棚で隣り合わせになった友だち(もち...
古書店で誰かに手に取ってもらうのを待っている1冊の本の独白。 あと2か月の間に売れなければスクラップ行きだから当人(当本?)も必死だ。 古書店の客が自分を手に取ってくれるのを乞い願いつつ今までの持ち主について語っていく。持ち主の家族の歴史、本棚で隣り合わせになった友だち(もちろん本)について。 中に出てくるたくさんの友本の話がとても楽しい。古典だからといって上から目線だ、とか詩集がうらやましいとか。 内容とは関係ないけど嬉しかったのは最初の持ち主の子どもたちが夢中になって読んだ本の中に「黒い海賊」がでてきたこと!作者がわかっただけでもすごくうれしい。懐かしい友だちに再会した気分♪
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一冊の本が主人公という珍しい小説です。 ---四月五日、私の蔵書に一万冊目の本が入った。それを機に、ある一冊の本が発言を求めた。自分が最後にいた書店でのことを話したいのだという。以下がその本が自ら語った物語である。--- という一文からはじまるこの小説は、1938年にできあが...
一冊の本が主人公という珍しい小説です。 ---四月五日、私の蔵書に一万冊目の本が入った。それを機に、ある一冊の本が発言を求めた。自分が最後にいた書店でのことを話したいのだという。以下がその本が自ら語った物語である。--- という一文からはじまるこの小説は、1938年にできあがった一冊の本の人(本)生告白のような書物なのだ。 作者の名は明かされないが、作品の何本かは映画化された人気作家の小説として世に出たその本は、発売当初は増版を重ねた本であった。(そして、その本(彼)は名誉ある初版本である) しかし、何人かの手に渡ったあと、今は、古本屋に並べられ、買い手を待っている。期限までに売れなければリサイクルされてダンボールになってしまう。 ヘミングウェイとスタインベックの本に挟まれて買い手を待つ彼(その本)は、古本屋に人が入ってくるたびに、胸をドキドキさせ、自分が買われて青空の下を新しい持ち主と共に歩き、新しい家で暮らすことを夢見ている。 リサイクル行き、ギリギリセーフの状態で四番目の持ち主となる古書コレクターの男に買われ、その男に向って彼(その本)は、今までのことを語っているのである。 この小説を読んで、突然ハタと気づく。本には本の人(本)生があり、よく考えてみると、自分の意志に関わらず誰かに所有され、または、人間の損得のみで運命が決まる。 これは本に限らず、ペットやそのほかのものもそうだが、人間の身勝手さを改めて感じたりした。 著者は、1960年イタリア生まれ。イタリア・テレコムの重役で、蔵書を1万2千冊持つビブリオマニアのようだ。 蔵書狂の癖のある著者が、数多なる本とのめぐりあい、一冊一冊を愛する純なる心から生れたのが本書といえるだろう。
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何千冊もの本に、一顧だにされずに埋もれていた。そうやってほぼ三十年。たまに場所を変えたが関心の的になったことはない。最高の傑作でも気力が失せよう。本にとって読まれないということは恐らく最悪な結末だ。実は多くの本がその憂き目にあっている、ほとんど認めようとしないが。 インターネット...
何千冊もの本に、一顧だにされずに埋もれていた。そうやってほぼ三十年。たまに場所を変えたが関心の的になったことはない。最高の傑作でも気力が失せよう。本にとって読まれないということは恐らく最悪な結末だ。実は多くの本がその憂き目にあっている、ほとんど認めようとしないが。 インターネットの存在はぼくを幸福にする。 それにしてもなんと多くの本を積み上げているのだ。
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1冊の本である「ぼく」が、それまでの人生を語る本。 本を擬人化という目の付け所は面白いなと思いましたが 内容は「数奇」ではなく普通の本の運命という感じでした。 話に出てくる本が馴染みのない本(洋書はあまり読まないので…)ばかりで残念だったけど、読んで良かった本です。
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左隣のヘミングウェイは、素敵な詩を読んでくれた。五年間隣り合った「復活」は折り紙付きの名作だけれど、分厚さと教訓を垂れようとする尊大さにはまいった・・・古書店の片隅で買い手を待つ本がしゃべり出した!過去の持ち主への思い、売れる本への嫉妬。時代の変化を乗り越えたくましく生き延びる本...
左隣のヘミングウェイは、素敵な詩を読んでくれた。五年間隣り合った「復活」は折り紙付きの名作だけれど、分厚さと教訓を垂れようとする尊大さにはまいった・・・古書店の片隅で買い手を待つ本がしゃべり出した!過去の持ち主への思い、売れる本への嫉妬。時代の変化を乗り越えたくましく生き延びる本が語る自らの人生。
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とりあえず読んだけど、これはもうちょっとじっくりゆっくり読んだ方がいい気がする。ぱっと読んで面白さが分かる本じゃない。
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古本屋で、一冊の本が自分を買ってくれる人を待ちながら、今までの持ち主のことなどを思い出している話。 「本」が主人公、というちょっと目先の変わった本だった。夏までに買い手がつかなければリサイクルという危機迫る状況。本棚でたまたま隣り合った本について、尊大だ、とか色々感想を述べてい...
古本屋で、一冊の本が自分を買ってくれる人を待ちながら、今までの持ち主のことなどを思い出している話。 「本」が主人公、というちょっと目先の変わった本だった。夏までに買い手がつかなければリサイクルという危機迫る状況。本棚でたまたま隣り合った本について、尊大だ、とか色々感想を述べているのも面白い。
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おもしろい視点だった。いつもは本を選んでいるけれど、選ばれる本から買う人を見るという作品。新鮮な感覚だった。でも、残念なことに、本文の中にちりばめられている欧米の作品が全然わからなかった。これがわかればもっと楽しめただろうに
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