1,800円以上の注文で送料無料

おわりの雪 の商品レビュー

3.4

19件のお客様レビュー

  1. 5つ

    3

  2. 4つ

    6

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    2

レビューを投稿

2020/04/12

まさに静謐な世界。初めて読む作家さんでしたが、冬の町の情景や主人公の心の描写がとても繊細で丁寧で、そのおかげもあって、ひたすら気鬱になる展開でも静かに結末を受け入れることができました。一番好きなシーンは、病床の父親と会話。そして、老犬と歩く雪原のシーン。

Posted byブクログ

2019/07/29

静寂の物語。 150ページほどの短い作品。 古道具屋で鳥籠に入れられた一羽のトビを見つけ、それを手に入れることを夢見る主人公の少年。父親は重い病床にあり、夜になるとそっと家を出て行く母親。少年はトビを買うお金を得るために養老院の老人たちの散歩の付き添いのアルバイトをしている。 ...

静寂の物語。 150ページほどの短い作品。 古道具屋で鳥籠に入れられた一羽のトビを見つけ、それを手に入れることを夢見る主人公の少年。父親は重い病床にあり、夜になるとそっと家を出て行く母親。少年はトビを買うお金を得るために養老院の老人たちの散歩の付き添いのアルバイトをしている。 シンプルに、訥々と紡がれる物語。 茶色い子犬と共にひたすら雪の平原を彷徨うシーン。毎夜のように自分で創作したトビを獲る男の物語を父親に語る少年。小川洋子さんの作品を読んで感じる静謐さに似て、でももっと物寂しさを含む「静寂感」が素晴らしい。 他のレビューを見ていたら堀江敏幸さんの名前が出てきた。確かに近いかも。 一方で、まだどこか掴み切れない感覚が有る。暫くしてどれだけこの物語が心に残っているか、それを見てみたい気がします。

Posted byブクログ

2018/10/11

『14歳の~』から。YA作品みたいだけど、文体とか含めて普通の文学小説。路傍で売られるトビが欲しくて、それに向けての仕事を淡々とこなしつつ、ときに危ないことにも手を染め、で要所要所に父親との交流が挟まれていく。それだけの物語なんだけど、淡々とした語り口調のせいもあり、読んでいるう...

『14歳の~』から。YA作品みたいだけど、文体とか含めて普通の文学小説。路傍で売られるトビが欲しくて、それに向けての仕事を淡々とこなしつつ、ときに危ないことにも手を染め、で要所要所に父親との交流が挟まれていく。それだけの物語なんだけど、淡々とした語り口調のせいもあり、読んでいるうち、背筋を正される。短めの長編小説だけど、余韻もなかなか。

Posted byブクログ

2017/07/19

養老院にて老人の散歩の手助けをして、お金を稼ぐ主人公。 父は病で臥せっており、稼ぎの半分を家に入れているが、「トビ」を買うため金を貯めている。 金は中々貯まらないがある時、動物を処分する仕事をやってくれないかと頼まれる。 「死」と、父とトビと過ごす日々が静かに描かれている...

養老院にて老人の散歩の手助けをして、お金を稼ぐ主人公。 父は病で臥せっており、稼ぎの半分を家に入れているが、「トビ」を買うため金を貯めている。 金は中々貯まらないがある時、動物を処分する仕事をやってくれないかと頼まれる。 「死」と、父とトビと過ごす日々が静かに描かれている。

Posted byブクログ

2017/06/04

喪ったものへの追憶とか、それを感じることはできるけど、やっぱフランス文学とは相性が良くないみたいで、自分の中には嵌らない、つかみどころのなさが不安になるし、こぼれ落ちてしまう感覚にとらわれる。

Posted byブクログ

2015/03/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ずっと「さいごの雪」だと思ってて見つからなくて、やっと見つけた^^;; (←こーゆうの多過ぎ) 雪を踏む音みたいに静かに流れて。普段だったら少しタルかったかもしれないけど、たまたま体調悪くて転がって読んだので、妙にマッチした~ 私ゃ落ち葉を踏む足音の方が好き。シモーン、森へ行こう・・・ってグールモンの綺麗な詩があります。

Posted byブクログ

2014/12/26

雪が降り積もった美しく冷たい世界の物語。母と病気の父と暮らしている少年のある時の記憶。 通りのお店で見かけたトビをどうしても手に入れたくなった少年は、「悲しい仕事」の依頼を引き受けます。トビのこと、父の病気のこと、真っ白な雪は冷たくもあり、悲しくもあり、どこか美しく、少年の心と一...

雪が降り積もった美しく冷たい世界の物語。母と病気の父と暮らしている少年のある時の記憶。 通りのお店で見かけたトビをどうしても手に入れたくなった少年は、「悲しい仕事」の依頼を引き受けます。トビのこと、父の病気のこと、真っ白な雪は冷たくもあり、悲しくもあり、どこか美しく、少年の心と一致します。

Posted byブクログ

2014/03/15

<生きることの静かな哀しさ> 淡々と静かに綴られる物語である。 少年は、病気の父、夜ごとにどこへともなく出かける母とともに、小さい町に住んでいる。 父の年金に頼る家計の足しにと、少年は養老院で老人と散歩をすることでお金をもらっている。 そんな暮らしの中、通りの道ばたで売られてい...

<生きることの静かな哀しさ> 淡々と静かに綴られる物語である。 少年は、病気の父、夜ごとにどこへともなく出かける母とともに、小さい町に住んでいる。 父の年金に頼る家計の足しにと、少年は養老院で老人と散歩をすることでお金をもらっている。 そんな暮らしの中、通りの道ばたで売られていたトビに少年は心を奪われる。 トビを買いたい。 少年はたびたびトビを眺めに行き、トビがどのように捕らえられたか空想し、その話を父親に語って聞かせる。 噴水にある鳥の石像。 蛇口からぽたりぽたりと落ちる水滴。 身じろぎをし、かすかな音を立てるトビ。 こげ茶の犬を連れ、どこまでもどこまも雪原を歩く少年。 1つ1つの情景が、抑えたタッチで繊細に描き出される。 鳥籠のトビは羽を思い切り広げることができない。 ただ夢の中でだけ、その豊かな翼で大空を舞う。 その姿の悲しいまでの自由さ。 白く広がる雪野原は、生きていくことそのもののようである。 美しく、哀しく、ときに残酷で、どこか懐かしい。 私は私の雪原を歩く。 叶わぬことだけれども、白い世界のどこかで、少年とはぐれた犬ともしも出会ったら、そっと首を抱いて、暖かい家に連れ帰ってやりたい、と思う。

Posted byブクログ

2012/08/25

父さんは、病気で自宅でほとんど寝たきりの生活をしている。 ぼくは、養老院で老人たちと散歩をし、お金を貰っている。 冬のある日、ぼくは、どうしてもディ・ガッソの店にいるトビが欲しくなった。 でも、家は貧しく、冬は、養老院の老人たちからの散歩の依頼も減り、お金はトビを買うには全...

父さんは、病気で自宅でほとんど寝たきりの生活をしている。 ぼくは、養老院で老人たちと散歩をし、お金を貰っている。 冬のある日、ぼくは、どうしてもディ・ガッソの店にいるトビが欲しくなった。 でも、家は貧しく、冬は、養老院の老人たちからの散歩の依頼も減り、お金はトビを買うには全くたりなかった。 ぼくは、トビ捕りの話をトビ捕りから聞いたと偽り、父さんに何度も語った。 養老院の管理人のボルグマンに「猫を殺してくれないか」と言われ、ぼくは、トビを買いたい為に猫を殺した。 お金を貰った。 また、養老院の散歩をしたこともある老人が亡くなった後、その飼い犬も金銭授受の約束のもと、連れ出し、彷徨い、置いてきぼりにした。 それらのお金でぼくはトビを買った。 父さんは、死んだ。 雪の降る寒い土地。貧しい家族。静かな家。 シンプルでいて、繊細で、静寂に包まれながら、命について考えさせられる小説だ。

Posted byブクログ

2012/01/10

…綺麗な静寂な世界かもしれないけど、色々投げっ放しで、読者として取り残された印象。読み終わった後(ページが残り少なくなったあたりから)謎に対して回収の見込みが消え、ええーっと、残念な感じでした。

Posted byブクログ