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おわりの雪 の商品レビュー

3.4

19件のお客様レビュー

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2011/07/19

哀しいけど透明感のあるとてもいいお話です。 良質の大人の絵本みたいな。 切ないイノセンスの喪失。 ただ、決してセンチメンタルではありません。 その文体は(って訳文だから本当は分かりませんが)淡々として実にシンプルです。 シンプルな中での空気感がとてもいいです。

Posted byブクログ

2011/05/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

良さがちょっと…わからない…。静かなのはわかる。あと犬を殺すのよね。情感みたいなものが全く伝わらずさっぱり。自分はまだ子供ということでしょうか。

Posted byブクログ

2013/07/15

トビを買いたいと思ったのは、、雪がたくさんふった年のことだ。そう、ぼくは、その鳥がどうしてもほしかった──。 おわりの雪。それはその冬最後の雪。死期の迫った父にとっての最後の雪。幼年時代、最後の雪。 その季節は既に去った。けれど記憶の中で、雪は今も静かに降り続いている。どんなに...

トビを買いたいと思ったのは、、雪がたくさんふった年のことだ。そう、ぼくは、その鳥がどうしてもほしかった──。 おわりの雪。それはその冬最後の雪。死期の迫った父にとっての最後の雪。幼年時代、最後の雪。 その季節は既に去った。けれど記憶の中で、雪は今も静かに降り続いている。どんなに時が経っても、心はいつも、そこへと帰る──。 トビとの出会いを基点にして、少年時代の記憶を辿る「ぼく」の回想。 病床に伏した父との交流。夜、どこかへ出かけてしまう母親の背中。養老院の庭を一緒に散歩した老人達。トビを買うためにした、悲しいこと。 思い出されるのは、雪のように心に降り積もる、人生の美しさと哀しみ。 静謐な筆致と、時に雪の窓辺に佇み、時にランプの橙色の灯火に浮かび上がる鳥籠とトビの描写がとても印象的。児童書に分類されているけれど、決して子供だけのために書かれた小説ではありません。

Posted byブクログ

2010/09/18

病気の父を喜ばせる為にトビ獲りの話しを父に聞かせる少年。彼が1羽のトビを手に入れるため引き受けたアルバイトとは‥。 この本、中身ももちろんいいけれど装丁も好きです。ストーリーに とてもよくあっている。

Posted byブクログ

2013/11/04

(2006.05.10読了)(拝借) うちの神さんは外国文学が結構好きで、結構読んでいるようです。話題の本ということもたまにはありますが、どちらかというと表紙や題名で選ぶというほうが多いようです。とんでもなくつまらない場合もあるし、その場合は途中で放棄ということになります。思いが...

(2006.05.10読了)(拝借) うちの神さんは外国文学が結構好きで、結構読んでいるようです。話題の本ということもたまにはありますが、どちらかというと表紙や題名で選ぶというほうが多いようです。とんでもなくつまらない場合もあるし、その場合は途中で放棄ということになります。思いがけず面白いとか、感動したという場合は、僕のほうへ回ってきます。興味を示さないと機嫌が悪くなったりしますので、程ほどのところで、付き合うようにしています。回されてくる本に全部付き合っていると、何せ、主婦業なので、僕以上に本は読むので、自分の読みたい本が読めなくなってしまうという事情もあります。 この本も、そういうわけでまわってきた本です。内容を聞いてみた感じでは、イタリアの映画の題材になりそうな感じだったのですが、フランス文学でした。訳者のあとがきによると、作者の祖父がイタリア出身ということなので、なんとなく納得しました。 病気の父親とその息子の話です。少年が主人公です。母親は、夜働きに出て行き、夜中に帰ってくるようです。少年は、昼は、養老院の老人の散歩の手伝いをして小遣いを稼ぎ、半分は母親に渡し、半分は自分の欲しいものに使います。 少年は、ディ・ガッソの店(ラジオ、中古車の部品、ナイトテーブル、等を売っている)で売りに出しているトビが欲しいのですが、簡単に買える値段ではないので、小遣いを貯めて、買おうと思っています。お金がたまる前に、トビが売れてしまったり、死んでしまったりするのが心配でたまりません。 少年は、トビを捕まえた人に捕まえた時のことを聞きたいと思いました。ディ・ガッソの店で、トビを捕まえた人と思しき人を見かけたので、後を追いかけたのですが、声をかける事はできませんでした。でも、父親には、トビを捕まえた人に会って、トビを捕まえた時の話を聞いたと話してしまいました。父親が、その話を聞きたいというので、話を自分で創作して話してあげました。それからは、たびたび父親に、父親が眠りにつくまでの間、その話を繰り返し話して聞かせることになります。 少年が小遣い稼ぎをするための養老院は、ボルグマンさんに家の前にあるので、散歩の手伝いの声がかかるのを待つ間は、ボルグマンさんの家で過ごします。 ある日ボルグマンさんの妹がやってきて、子猫を何匹か厄介払いしたいので、処分してくれないかと、頼んで帰りました。ボルグマンさんは、引き受けたのですが、子猫を殺すことなどできないので、困り果てて、少年に頼みます。少年も子猫を殺したことなどないので、困ってしまいましたが、水を入れた桶に、布袋に子猫と重石の石を詰めたのを入れて子猫を殺してしまいます。ボルグマンさんの妹がお金を置いていったので、少年はそのお金をもらいます。その後、もう一度子猫の処分の依頼があり、同じように処分してしまいます。 冬になると老人は散歩することがないので、小遣い稼ぎができない。そんな日、犬の処分の依頼がボルグマンさんのところにあった。御礼の金額は、トビが買えてあまりが出るほどのものだった。悩んだすえ引き受けることにした。 トビを買うことができ、えさ代も十分まかなえた。トビがえさを食べるのを父親と眺めながらすごした。 父親の病気が悪化し、死亡した。 訳者のあとがきに作品の解説があるので、それを読んで気に入れば、この本を読んでみるのもいいのではないでしょうか。 著者 ユベール・マンガレリ 1956年 フランス、ロレーヌ地方に生まれる。 17歳より3年間海軍に在籍。 1989年 「綱渡り芸人の秘密」で児童文学作家としてデビュー。 『Quatre Soldats(四人の兵士)』で2003年度メディシス賞受賞 内容紹介(amazon) 「トビを買いたいと思ったのは、雪がたくさんふった年のことだ。そう、ぼくは、その鳥がどうしてもほしかった」 雪深い山間の小さな町で、病床の父と、夜留守がちな母と三人で暮らす〈ぼく〉は、養老院にいる老人たちの散歩に付き添い、小銭をかせいでいる。 ある日、少年は古道具屋の鳥籠に一羽のトビを見つけ、すっかり心を奪われる。毎夜、トビの話を父親に語って聞かせ、その物語が二人の絆を強めていく。少年はどうしてもトビを手に入れ、家に連れ帰りたいと願うが、自分の稼ぎでは足りない。ついに少年は辛い〈仕事〉を引き受けることに……。 初めての執着、いくつもの別れ、孤独と恐怖、空想と記憶――季節の移ろいの中で、静謐かつ繊細な筆致で描かれる、生と死をめぐる美しい寓話。流麗な訳文で贈るマンガレリ作品の最高傑作。

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2009/10/04

雪のなかでつぶやくこと。静かな不安と子どものころの憧憬。個人的に動物好きにはつらい部分もあるけど好き。真冬の朝に似ている小説。

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2009/10/07

雪深い山村で病床の父と暮らす少年は、ある日、1羽のトビを手に入れるためにつらい任務を引き受ける。父と子、死と記憶、季節のうつろい-。メディシス賞受賞作家による、胸にせまる小説。

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2009/10/04

田久保麻理さんの訳はもちろん素晴らしく、大変きれいな日本語には感動するのだけど、おそらく原書で読むと、おそろしく美しい言葉で綴られているのだと思う。フランス語を解さない自分がちょっとだけ悔しくなった小説。 主人公の少年時代の回想という形で語られる。 「生きていく人間の苦悩」を...

田久保麻理さんの訳はもちろん素晴らしく、大変きれいな日本語には感動するのだけど、おそらく原書で読むと、おそろしく美しい言葉で綴られているのだと思う。フランス語を解さない自分がちょっとだけ悔しくなった小説。 主人公の少年時代の回想という形で語られる。 「生きていく人間の苦悩」を身体全体で受け止める少年の姿は、いわゆる「無垢な子供」ではなく、その生活感と共に生々しくはあるのだが、真に純粋で透き通っている。 彼が暮らす狭い空間の、音や光の描写と少年の心理がシンクロし、苦しいくらい切なくなるが、読み終わったあとに清々しい気分にもなる。 ふと、小学校低学年の頃に学校の映画会で見た「赤い風船」という古い映画を思い出した。 赤い風船と少年との交流を描いた映画。(はるか昔のことなので、詳細は思い出せないが) 最後に風船がシワシワになっていたところで、どうしようもなく悲しくなった自分がよみがえった。 そんな感じの小説。

Posted byブクログ

2009/10/04

静かな本です。ストーリーはそれほど起伏が激しいものではないのですが、情景や心理の描写が絶妙で、少年の懸命にかつ丁寧に生きる姿や、父との会話での興奮・うれしさなど、心にじんわりきます。 読むと優しい気持ちになれる文章です。

Posted byブクログ