ローマ人の物語(15) の商品レビュー
皇帝としての足元を固めたアウグストゥスが,地中海を「内海」にしたローマの版図に適合するとともに,その政体を長期にわたって維持するために創作した,「帝政」の基礎を確立した統治中期の物語です。着実に目標点を見定め,新生ローマにふさわしい「平和(パクス)」を実現したアウグストゥス帝が...
皇帝としての足元を固めたアウグストゥスが,地中海を「内海」にしたローマの版図に適合するとともに,その政体を長期にわたって維持するために創作した,「帝政」の基礎を確立した統治中期の物語です。着実に目標点を見定め,新生ローマにふさわしい「平和(パクス)」を実現したアウグストゥス帝が構築した体制は,ローマの進むべき方向性を示したユリウス・カエサルの後継者として,そして初代ローマ皇帝として十分なものであったと思います。
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アウグストスは77歳まで生きた。その中盤の最も脂の乗った治世をジャーナルしているのが本巻。ユリウス姦通罪・婚外交渉罪法、ユリウス正式婚姻法、世紀祝祭、平和の祭壇建設、軍制改革、近衛兵団創設、税制改革と相続税創設、アグリッパの死、マエケナスの死、ゲルマニア侵攻、ドゥルーススの死とテ...
アウグストスは77歳まで生きた。その中盤の最も脂の乗った治世をジャーナルしているのが本巻。ユリウス姦通罪・婚外交渉罪法、ユリウス正式婚姻法、世紀祝祭、平和の祭壇建設、軍制改革、近衛兵団創設、税制改革と相続税創設、アグリッパの死、マエケナスの死、ゲルマニア侵攻、ドゥルーススの死とティベリウスの引退が大きな柱。事績が列記されているだけなのがアウグストスなのだ。もちろん著者の記述はそう感じさせないが。天才と言われるカエサルさえも成し得ぬまま道半ばで倒れた。アウグストスだからこそ引継ぎ成しえたのは、カエサルのようなドラマではなく、淡々と事実を積み重ねたから。それが共和制を骨抜きにして、結果として帝政に以降せしめた秘訣なのだ。
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パクスロマーナ、だんだん平和で退屈な時代になってきた。ただでさえ文章が下手で読みにくいのに、時代背景も退屈と来ては、なかなか読み進めるのがつらい。途中断念。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
地味だ・・・でも、最後の方は面白くなりつつある。ティベリウスの反乱。分かる、分かる。やっぱりアウグストゥスは分からないんだろうな。アウグストゥスは、アグリッパとマエケナスという人材に恵まれたこそであって、カエサルのようなカリスマ的天才ではないんだろうな。まあそれも一つの才能ではあるのだけど。しかし、無理やり愛する妻と離婚させられて、アウグストゥスの娘のユリアと結婚させられてまで尽くしたティベリウスはやるせないだろうな。とか思ってしまう。
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アウグストゥスの話はすごく面白いわけでは無いがたんたんとどうやって帝政化がなされて行くのかが気になって読み進めている感じである。
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アウグストゥスの統治がはじまり、徐々にその次の世代への移り変わりが見え始める巻。側近であり親友であった者の死や、後継者たちの思惑が出始め、完璧に思えたアウグストゥスの統治にも歪みが出始める。その歪みの中で次の世代がどのように育ち、ローマを動かしていくのか、次巻に期待。
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オクタヴィアヌス改め、アウグストゥスの治世中期ですね。この辺になってくると、そこまでダイナミックな動きはないように感じました。後の巻をすでに読んでいるので、特にそう思いますが、アウグストゥスにとって幸運だったのは、よき友人・仲間に恵まれたことだと思いました。彼にアグリッパがいなけ...
オクタヴィアヌス改め、アウグストゥスの治世中期ですね。この辺になってくると、そこまでダイナミックな動きはないように感じました。後の巻をすでに読んでいるので、特にそう思いますが、アウグストゥスにとって幸運だったのは、よき友人・仲間に恵まれたことだと思いました。彼にアグリッパがいなければ、勝ち残ることもできず、アントニウスに負けていたでしょう。それに、マエケナスがいなければ外交上の成功だけじゃなく、精神的にかなり辛いものがあったのじゃないかと思いました。
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アウグストゥスの両腕、アグリッパとマエケナス。 ドゥルーススとティベリウス。 内政改革とゲルマニアに進行するお話の前半戦。 やっぱりカエサルが面白い。
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前巻で権力を掌握したアウグストゥスの統治中期を書いている。少子化対策のための「ユリウス正式婚姻法」などの倫理対策、軍隊における志願制から常設軍への転換、常設軍を維持し、兵士の退職後の暮らしを助ける基金としての「相続税」の創設、「平和の祭壇」の建設などである。皇帝の身辺としては、1...
前巻で権力を掌握したアウグストゥスの統治中期を書いている。少子化対策のための「ユリウス正式婚姻法」などの倫理対策、軍隊における志願制から常設軍への転換、常設軍を維持し、兵士の退職後の暮らしを助ける基金としての「相続税」の創設、「平和の祭壇」の建設などである。皇帝の身辺としては、17歳から軍事部門でアウグストゥスを支え続けたアグリッパの死、内政部門で支え続けたマエケナス(メセナの語源)の死など、皇帝の身辺に寂寥の感がただよってくる。アウグストゥスは名門の出ではないが、血のつながりに執着し、娘のユリアをアグリッパに嫁がせ、孫をもうけたが、彼らが相次いで死んでしまうと、妻リディアの連れ子であったティベリウスに寡婦だったユリアを再嫁させた。ティベリウスは愛していた妻と離縁させられ、皇帝の娘を妻とするが愛情がもてなかった。これが、対ゲルマンの軍事作戦の見解の相異がきっかけとなって噴出し、ティベリウスはロードス島に隠棲してしまう。アウグストゥスはライン=ドナウ防衛線を拡大し、エルベ=ドナウ防衛線にまで拡大しようとし、これまた妻の連れ子であったドゥルーススに戦闘をまかせた。北海からエムズ河を遡上し、ゲルマンの本拠を衝くなど派手な作戦もあったが、皇帝は戦争が下手で現場に行かなかったために、誤った判断をし、ゲルマンに「とどめ」がさせなかった。
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