ローマ人の物語(15) の商品レビュー
前巻から引き続き、アウグストゥスによる帝国の「行政改革」が描かれる。 少子化対策、軍事縮小策、税制改革、行政組織の改編・創設等々。 地味だけどなかなか興味深い。
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アウグストゥスの統治下でのパクス・ロマーナ。著者も書いていたが、実績としてはものすごいが、読み物としてはちょっと退屈かな P32 ローマ人は法の創始者でありながら、次のような格言さえ遺しているのである。「公正を期してつくられるのが法律だが、そのあまりにも厳格な施行は不公正につな...
アウグストゥスの統治下でのパクス・ロマーナ。著者も書いていたが、実績としてはものすごいが、読み物としてはちょっと退屈かな P32 ローマ人は法の創始者でありながら、次のような格言さえ遺しているのである。「公正を期してつくられるのが法律だが、そのあまりにも厳格な施行は不公正につながる」
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広大なローマ帝国に平和で安定した状態をもたらそうとしたアウグストゥス。実行したことはローマ市民権所有者全体の強化。1.少子化対策。子を沢山持つ親への税制上の優遇。2.軍事再編成。侵略から防衛への転換。退職金制度の整備など兵士の労働条件の向上と確立。3.税制改革。財源確保のため当時...
広大なローマ帝国に平和で安定した状態をもたらそうとしたアウグストゥス。実行したことはローマ市民権所有者全体の強化。1.少子化対策。子を沢山持つ親への税制上の優遇。2.軍事再編成。侵略から防衛への転換。退職金制度の整備など兵士の労働条件の向上と確立。3.税制改革。財源確保のため当時としては全く新しい概念だった相続税の導入。驚くべきは表立った反対もなく、これらが施行されていったこと。カエサルと比べて保守的と評されるアウグストゥスだが、リーダーは強かだ。
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紀元前1世紀末のローマで少子化対策が必要だった。 マキャベリの言葉が紹介されている。「いかなる事業も、それに参加する全員が、内容はそれぞれちがったとしても、いずれも自分にとって利益になると納得しないかぎり成功できないし、その成功を永続させることもできない」なるほど。民主主義、権利主義の高まりに伴い、スピーディに決めることは難しくなる。
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人間、何事をも完璧にこなせるわけではないのは勿論だが、それは史上の英雄といえども同じようだ。 東方遠征を果たしたアレクサンダーの先進性は、故郷を想う部下の心を変えることができなかった。ローマに戦闘で完勝したハンニバルは、母国の貴族の嫉妬心を抑えることができなかった。ガリアを征服...
人間、何事をも完璧にこなせるわけではないのは勿論だが、それは史上の英雄といえども同じようだ。 東方遠征を果たしたアレクサンダーの先進性は、故郷を想う部下の心を変えることができなかった。ローマに戦闘で完勝したハンニバルは、母国の貴族の嫉妬心を抑えることができなかった。ガリアを征服しローマを変えたカエサルは、虐げられた人間の鬱屈した感情を御すことができなかった。 何事かを成し遂げるということは、成し遂げられなかった人々との間に決定的な溝を作ってしまうことからは逃れられないのかもしれない。内乱を制し、帝国を築いたアウグストゥスが作らずにはいられなかった溝とは、血の継承への拘りによる後継者との溝だった。 長く続いた戦争が終結し、快適になった社会で発生する問題とは、まさに今の世と同じ少子化問題だった。これを社会、税制、キャリアすべてにおいて独身が圧倒的に不利になる法制化で強引に解決し、さらに軍縮による経済の活性化と治安維持も兼ねた地方民による防衛戦構築を同時に進める。また、インフラ整備のための関税や退役兵の社会保障費のための相続税の設立など、今の世に続くような制度の概念を次々に発明するその手腕は、初代皇帝の名に相応しい偉業だ。 しかし晩年。病弱な身だからこそ後進の事を常に考えていたアウグストゥスを襲った不幸とは、右腕のアグリッパと左腕のマエケナス、そして実子同然に目をかけていた、妻の連れ子の一人ドゥルーススの死であった。唯一残されたもう片方の連れ子ティベリウスは、アウグストゥスの血への拘りを理解できず、政界を引退してしまう。 『皇帝』以外は何も残されていないアウグストゥスは、『皇帝』であり続けるしかない。紀元前から紀元後への移り変わりとともに、カエサルが道標を示した時代が終わる。
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「帝政」の名を口にせず、しかし着実に帝政を ローマに浸透させていくアウグストゥス。彼の頭 にあったのは、広大な版図に平和をもたらすため のリーダーシップの確立だった。市民や元老院か らの支持を背景に、アウグストゥスは綱紀粛正や 軍事力の再編成などに次々と取り組む。アグリッ パ、マエケナスという腹心にも恵まれ、以後約 200年もの間続く「パクス・ロマーナ」の枠組み が形作られていくのであった。
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「帝政」の名を口にせず、しかし着実に帝政をローマに浸透させていくアウグストゥス。彼の頭にあったのは、広大な版図に平和をもたらすためのリーダーシップの確立だった。市民や元老院からの支持を背景に、アウグストゥスは綱紀粛正や軍事力の再編成などに次々と取り組む。アグリッパ、マエケナスとい...
「帝政」の名を口にせず、しかし着実に帝政をローマに浸透させていくアウグストゥス。彼の頭にあったのは、広大な版図に平和をもたらすためのリーダーシップの確立だった。市民や元老院からの支持を背景に、アウグストゥスは綱紀粛正や軍事力の再編成などに次々と取り組む。アグリッパ、マエケナスという腹心にも恵まれ、以後約200年もの間続く「パクス・ロマーナ」の枠組みが形作られていくのであった。
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塩野さんも書いていたけど、カエサルが革命を成し遂げた後に、ローマの世界を安定させるにはアウグストゥスは適任だったと。 ちょっとアウグストゥスが可哀想なのは、アウグストゥスの前任者がカエサルってこと。後継者選びで失敗したり変な失敗してるしね。 でも、それを差し引いても、体が弱いのに辛抱強く平和のローマを作ったのは、常人では無理だよね。。何千万にもの人の上に立って、成功させるのはかなり難しいことだと思うしね。
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確かに盛り上がりに欠ける。でもそれこそがパクスロマーナの基礎を築いたアウグストゥスの生き様なんだろう。
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