ローマ人の物語(15) の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
前の巻に続き、アウグストゥスによるローマ統治の布石が記された巻。タイトルこそ「パクス・ロマーナ」ではあるが、そこに至るまでの苦難が並大抵ではなかったことは、この巻を読むとよくわかる。 中盤では軍備の再編成について触れられている。他国に攻め込み、領土を広げる段階から、ローマ領となった地域や自国を外敵から守っていくための「防衛軍」への方針転換。兵役期間を変え、退職金を用意して兵士たちの人生を守れるようにしたのも、ローマが安定してきたからこそ。 後半は、後継者に悩むアウグストゥスの様子が描かれる。盤石かと思われたアウグストゥスの側近たちや後継者候補がこぞって死んだり脱落したり。ローマ自体は平和な時代を迎えつつあったが、皇帝アウグストゥスの心労は尽きなかったようである。
Posted by
アウグストゥスによる帝国統治 少子対策・宗教再興・平和路線・防衛線改定・軍事再編・税制改革・行政改革・ゲルマニア遠征…… アグリッパ・マエケナス・ドゥルーススの死とティベリウスの隠居 盛りだくさん!
Posted by
アウグストゥス、45歳から57歳までの業績。少子化対策、宗教政策、軍制改革、税制改革などを行い、パックス・ロマーナを確立していく。「平和の祭壇」の彫刻、特にアウグストゥス一家の彫刻の写真が載っているのが良かった。現存しているとのことで、見てみたいなあ。 政策についての説明が続くと...
アウグストゥス、45歳から57歳までの業績。少子化対策、宗教政策、軍制改革、税制改革などを行い、パックス・ロマーナを確立していく。「平和の祭壇」の彫刻、特にアウグストゥス一家の彫刻の写真が載っているのが良かった。現存しているとのことで、見てみたいなあ。 政策についての説明が続くと少し飽きてくるのだが、後半は忠臣アグリッパとマエケナス、義理の息子のティベリウス・ドゥルースス兄弟、血の継承にこだわるアウグストゥスなどに話題が移り、一気に読めた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
アウグストゥス帝中期。 相変わらず元老院を立てながら、着々と帝政の浸透を進めていくアウグストゥス。 ”平衡感覚とは、互いに矛盾する両極にあることの中間点に腰をすえることではないと思う。両極の間の行き来をくり返しつつ、しばしば一方の極に接近する場合もありつつ、問題の解決により適した一点を探し求めるという、永遠の移動行為ではなかろうか。” 経済的に立ち遅れている地域も、戦略的に属州として受け入れたために陥る財政難。 そのために断行した軍縮。 ローマの平和はタダではない。 アウグストゥスが考え出した「相続税」。 1.全く新しい税なので、他と比較しようがない。 2.毎年払うわけではない 3.遺産を相続するという幸せな時期に払うので、抵抗感が薄れる 等のような理由で、反対はあまりなかったらしい。 こんなにできる男だと、17歳の彼を見てカエサルが気づいたのだとしたら、すごい。 そして、あのカエサルに実力を買われたはずの彼が、自身の血を残すことに執着したというのは、何かの皮肉なのだろうか。
Posted by
どうもなぁ、、、礼賛の感じが続くのも若干辟易。 ティベリウスの離反なんかは、もっと違う角度があるのでは?と期待するのですが、このお方の感じだとそうはいかんのでしょうなぁ。 でもまぁ、こういう機会でもないとローマ史に目を通すこともない気がしますので、我慢我慢。
Posted by
カバーの銅貨について ユリウス=クラディウス朝系図 統治中期(紀元前一八年~前六年) 著者:塩野七生(1937-、北区、小説家)
Posted by
内容 : 「帝政」の名を口にせず、しかし着実に帝政をローマに浸透させていくアウグストゥス。 彼の頭にあったのは、広大な版図に平和をもたらすためのリーダーシップの確立だった。 市民や元老院からの支持を背景に、アウグストゥスは綱紀粛正や軍事力の再編成などに次次と取り組む。 アグリッパ...
内容 : 「帝政」の名を口にせず、しかし着実に帝政をローマに浸透させていくアウグストゥス。 彼の頭にあったのは、広大な版図に平和をもたらすためのリーダーシップの確立だった。 市民や元老院からの支持を背景に、アウグストゥスは綱紀粛正や軍事力の再編成などに次次と取り組む。 アグリッパ、マエケナスという腹心にも恵まれ、以後約200年もの間続く「パクス・ロマーナ」の枠組みが形作られていくのであった。 著者 : 1937年東京生まれ。学習院大学文学部哲学科卒業。 「ルネサンスの女たち」でデビュー、70年以降イタリア在住。 著書に「海の都の物語」「わが友マキアヴェッリ」など。
Posted by
アウグストゥスの本格的な帝政確立の話。様々な改革を実施し、帝政を確固たるものにする。 友人とも言える協力者を亡くし、こうけいしゃもんだいあも抱え始める。
Posted by
アウグストゥスにアグリッパ、マエケナス、ドゥルースス、そして2代皇帝ティベリウスに行き着くパックスロマーナの中核の巻。 制度の定着を試みる地味な内容と思ったが、意に反してこれが面白い! ページを繰る手が止まらなかった。
Posted by
アウグストゥスの45歳から57歳まで。虚弱ながら77歳まで生きたという人であるから、人生では一番脂ののった時期なのでしょうか。一見共和制を装いながら、帝政を浸透させていくために、国の統治に於いて色々な対策や改革を推し進めていきました。 この時代にも現代に通じるような、少子化対策が...
アウグストゥスの45歳から57歳まで。虚弱ながら77歳まで生きたという人であるから、人生では一番脂ののった時期なのでしょうか。一見共和制を装いながら、帝政を浸透させていくために、国の統治に於いて色々な対策や改革を推し進めていきました。 この時代にも現代に通じるような、少子化対策があったり、パクス・ロマーナのシンボル建築として平和の祭壇を建てたりしました。そして、その為の安全保障として軍事の再編成にあたりました。さらに、一律の関税を課し、流通を活発にしてローマを中心とした一大経済圏を築いたりしました。 税制も売り上げ税のような税だったり、史上初の相続税もあったりということでしたが、税率が低く単純明解な税の制度だったのと、その計算のための幼児教育の徹底化だったせいなのか…ということで、税務員は少数で脱税摘発要員も存在しないと書かれています。パナマ文書なるものの存在が騒がれ、常にマルサが活躍する今の世の中から見れば、理想的な仕組みだったと言えるのでしょうか。 この巻の本の表紙を飾る銅貨の人物は、アグリッパ。アウグストゥスの右腕と言われた人でした。30年もの間アウグストゥスの足りない部分を補い、これまで支えたアグリッパでしたが、急逝してしまいます。アグリッパ以外にもマエケナスという左腕もいたのですが、相次いで喪います。その後に右腕となったのは義理の息子たち、ティベリウスとドウルーススの兄弟でしたが、事故で弟の方を失う不遇があり、兄のティベリウスもアウグストゥスの命に背き36歳で引退してしまいます。こうして、広大なローマの統治を孤軍奮闘で進めることになったのでした。 この他、指導者に求められる資質で、カエサルと比べてアウグストゥスに足りない資質は何か?いう考察もあり、興味を惹かれました。
Posted by