浅草博徒一代 の商品レビュー
浅草の博徒、出羽家(出羽屋?)にいたおじいさんの話/ 明治38年生まれで、古い博徒だ/ 実家を飛び出し東京の下町で色々な人に出会い博徒一家に入った少年/ 出羽屋を紹介したのは「プライドの怪人」と言われた百瀬博教の父親である百瀬梅太郎だというのが凄い/ 生井一家系で柳橋の親分として...
浅草の博徒、出羽家(出羽屋?)にいたおじいさんの話/ 明治38年生まれで、古い博徒だ/ 実家を飛び出し東京の下町で色々な人に出会い博徒一家に入った少年/ 出羽屋を紹介したのは「プライドの怪人」と言われた百瀬博教の父親である百瀬梅太郎だというのが凄い/ 生井一家系で柳橋の親分としてとても有名な人だ/ 刑務所時代に北星会の岡村吾一と一緒になり仲良くなったのも凄い/ 全盛期の岡村吾一は山口組の田岡一雄など足元にも及ばない存在であった/ 第二次大戦で日本が降伏した直後に霞ヶ浦の海軍航空隊にあった何兆円分もの資材物資を周辺住人や軍人たちがみんな泥棒して大金持ちになった話も興味深い/ 終戦間際に物資が乏しくほとんどの国民が食うや食わずやの生活を強いられているときに、ツテのある田舎で豚を絞めて闇食材として高級料亭に卸し大儲けしたり、匂いでバレないように部屋中を目張りして豚を焼いて食べたり、本当にリアルで面白い/ がんがん空襲されているのに旅館を借りて賭場を開帳したり、群馬の桐生まで聞こえたという日立沖からの艦砲射撃を体験したり、とにかく興味深い話が満載であった/ 出羽屋の跡目扱いだというが伊地知栄治という名前が博徒の顔役名鑑などにも出てこないので、これは本名でなく作中消えたと書かれる兼吉なのではないかと思うがどうだろうか/
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バクチ打ちというのは、今の暴力団とはまったく違います。バクチ打ちというのは、サイコロひとつで生きて行く一種の職人です。だから人情というものが大切で、人を痛めつけて自分だけ儲かりゃあいいというような考えでは、到底生きてはいけない世界ですよ。 (P.78) 親分になるような人間は...
バクチ打ちというのは、今の暴力団とはまったく違います。バクチ打ちというのは、サイコロひとつで生きて行く一種の職人です。だから人情というものが大切で、人を痛めつけて自分だけ儲かりゃあいいというような考えでは、到底生きてはいけない世界ですよ。 (P.78) 親分になるような人間は、根性があるとか腕っぷしが強い、なんていうだけではまったくだめです。そんな人間はいくらでもいますからね。大切なのは、親分の為だったら命も惜しくない、と子分が惚れ込んでしまう器量です。 (P.109) 「さあ、どっちが足りねえんだ、どっちからでも張ってやら、なにぐずぐずしていやがるんだ。考えて勝てるものなら百年でも考えてろ!」なんて言って、札束を、まるで新聞紙でも張るようにばっさりと賭ける。 (P.305) 私は、確かに深川の女郎屋に足を踏み入れたこともなければ、駆落ちしたこともない。しかしどうしたわけか、そのようなことを過去において絶対にしたことがないとは到底思えないのだ。 もしかしたら彼の世界は私の世界であり、同時に父や祖父や、平凡な大勢の人々の共有の宇宙なのかもしれない。彼の生きた時間の異質性は単に見せかけのものであり、その深部には、私たちと同じ空気が流れているのかもしれない。 (P.417)
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1906年に生まれて15歳でヤクザの道に入り、サイコロの出目の丁半を賭ける賭博の胴元として暗躍しつつも、いさかいから同じヤクザを殺害し2度の懲役をくらいながら1976年まで生き延びたその生涯を巡るノンフィクション。ひょんな縁でヤクザと出会った医師である著者が実施した聞き取りに基づ...
1906年に生まれて15歳でヤクザの道に入り、サイコロの出目の丁半を賭ける賭博の胴元として暗躍しつつも、いさかいから同じヤクザを殺害し2度の懲役をくらいながら1976年まで生き延びたその生涯を巡るノンフィクション。ひょんな縁でヤクザと出会った医師である著者が実施した聞き取りに基づき本書はまとめられている。 さて、本書に興味を持ったのは、Bob Dylanが2001年に発表した「Love and Theft」というアルバムに収められた曲の中で、本書の英訳版から文書の一部をほぼそのまま歌詞に利用した、ということを知ったからであった。そうしたきっかけから出会った本書であるが、ヤクザ男が語るアウトローとしての歴史は、日本近現代史の裏側とも言うべき面白さに満ち溢れている。賭博のシステムとはどのようなものか、ヤクザ同志の義理・人情の実態、網走刑務所をはじめとする当時の監獄の凄さなど、とにかく出てくる内容全てが新鮮であった。
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長編のノンフィクション。「そもそも、わたしが悪縁に染まったのは十五の時でした…」から始まる、大正、昭和を生きたヤクザの一代記。死が間近な彼の生涯を毎日録音して書き起こした茨城の医師が作者。 当時のヤクザが博打のみを生業としていて、揺るぎのない統制力と街場や同業他...
長編のノンフィクション。「そもそも、わたしが悪縁に染まったのは十五の時でした…」から始まる、大正、昭和を生きたヤクザの一代記。死が間近な彼の生涯を毎日録音して書き起こした茨城の医師が作者。 当時のヤクザが博打のみを生業としていて、揺るぎのない統制力と街場や同業他社との義理人情に立脚した組織だったことがよく描かれてる。関東大震災とか、足尾銅山一揆とか、戦争についても当事者感覚の強い表現でリアリティに富み、勉強になりました。 2度ムショでのお勤めを果たしてるけど、2度目の網走刑務所なんか、モロにゴールデンカムイの1シーンのようで、とても面白い。 何年か前にボブディランの盗作疑惑で表に出て来た作品のようです。 殆どが、1人のヤクザの語りでとても長いのだけど、聴かせる講談師のようなテンポと日本語の扱いの鮮やかさに引き込まれて入り込めました。
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「浅草博徒一代」佐賀純一著。昭和の初め頃の話が読みたくて見つけた本。著者である佐賀氏の診療所に、とある老人が現れる。彼は診察、というか、治らないのはわかっている、ただどうしても辛いときに注射でもしてもらいたいのだ、と言って、度々診療所を訪れることになるのだが、その男、伊知地栄治は...
「浅草博徒一代」佐賀純一著。昭和の初め頃の話が読みたくて見つけた本。著者である佐賀氏の診療所に、とある老人が現れる。彼は診察、というか、治らないのはわかっている、ただどうしても辛いときに注射でもしてもらいたいのだ、と言って、度々診療所を訪れることになるのだが、その男、伊知地栄治は、15で女を追って上京し、やくざ者になった人物。一目見てただ者ではない伊知地氏に興味を抱いた著者が、その半生を聞き、本にまとめた、というもの。大正から昭和、そして戦争を挟んで、という時代、その中を生きてきた伊知地氏の生き様は、あらゆるフィクションを超えている。 混沌とした時代の日本に実在した、いちアウトローの物語。この本に出会えたのは本当によかったが、この本にはさらにもう一つ、素晴らしいストーリーがある。 実はこの本は、長らく日本では絶版になっていた。そんな本が文庫版で再発されたのは、海を越えたアメリカである騒ぎがあったからである。それはボブ・ディランが、この本の文章を歌詞として拝借している、という盗作騒ぎからであった。僕はその話はニュースでは聞いていたがあまり詳しく追っておらず、読了後文庫版のあとがきと解説を読んで、これこそがその本と知ったのだ。 盗作騒ぎはそれほどおおごとにならずに終わった。あとがきによれば、佐賀氏は相当数の海外メディアから取材を受けた。そんな中で、BBCのインタビューへの答えが振るっている。 「ここにカボチャがある。誰もが忘れてしまったカボチャだ。ところが、ある日、女神がやってきて、魔法の杖で触ったら、黄金の馬車になってしまった。黄金の馬車はシンデレラを乗せてみんなの驚きをよそに宮殿へと急ぐんだ。そんな時、カボチャはこう言って講義するだろうか。『女神さん、君はカボチャである僕を勝手に魔法の杖で触って、金の馬車に変えてしまった。こんなことは我慢できない。僕は断固として、君の不正な行為を神々に訴えるつもりだ』私にとってこのカボチャは特別なものだった。しかし日本ではすっかり忘れられて見向きもされなくなっていた。それがボブ・ディランの魔法の杖で変身して、みんながびっくりするような曲に生まれ変わったら、それは奇跡だ。ほんとにたまげている」 伊知地氏も凄いし、話を聞いて本にした佐賀氏も凄いし、埋もれたこの本にスポットをあてたディランも凄いのだ。そしてこの本を偶然見つけて読んだ俺も凄いと思いたい。というオチはいらないか。
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『浅草博徒一代-アウトローが見た日本の闇-』 佐賀純一 著 関東大震災に、二度の戦争を経験した明治、大正、昭和初期を生きたやくざの親分伊地知栄治の体験記を、町医者である著者が録音テープから起こした一冊。 暴力団でも香具師でもなく、やくざの親分。 当時の下町の町人たちの生活や、...
『浅草博徒一代-アウトローが見た日本の闇-』 佐賀純一 著 関東大震災に、二度の戦争を経験した明治、大正、昭和初期を生きたやくざの親分伊地知栄治の体験記を、町医者である著者が録音テープから起こした一冊。 暴力団でも香具師でもなく、やくざの親分。 当時の下町の町人たちの生活や、軍部の動向など、当時を知る手掛かりとしては大変に面白い。 敗戦時の玉音放送の際には、国民皆が泣いたなどと言われているが、実際には殆どのものが終戦に歓喜し、手当たり次第、軍部が貯蔵していたものをかっぱらっていったなど。 満州での当時の状況や、戦争中の凄惨な行いが、べらんめえ調で語られる。 正に爺さんの戦争体験記や昔話を聞いてるみたいである。 本書は昭和60年に発刊された作品だが、数十年後ボブディランの引用疑惑で、再び日の目を見ることになった一冊。 英語版『confessions of a Yakuza』
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自分のルールをもつ人は面白い。戦後のどさくさで儲けた人の話などあったが、サブタイトルにある「日本の闇」はそれほど感じず。 この手の本は語りたいことや自分の見せたい姿を作るように語られていることは注意しなければいけない点だろう。 ちなみに、この本の一節をボブディランが歌詞に引用して...
自分のルールをもつ人は面白い。戦後のどさくさで儲けた人の話などあったが、サブタイトルにある「日本の闇」はそれほど感じず。 この手の本は語りたいことや自分の見せたい姿を作るように語られていることは注意しなければいけない点だろう。 ちなみに、この本の一節をボブディランが歌詞に引用しているとのこと。
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大正から昭和にかけて生きた浅草界隈の賭場の親分さんの一代記。本人の話もいいが、ディケンズっぽく挿話で語られる別の人物の物語がまた面白い。親分はやくざの決まりごとの中でまっとうに(?)生きているけれど、もっとアウトローな世界で生きている人たちの目はとても冷めていてとても孤独だ。そっ...
大正から昭和にかけて生きた浅草界隈の賭場の親分さんの一代記。本人の話もいいが、ディケンズっぽく挿話で語られる別の人物の物語がまた面白い。親分はやくざの決まりごとの中でまっとうに(?)生きているけれど、もっとアウトローな世界で生きている人たちの目はとても冷めていてとても孤独だ。そっちのほうにぞくっとした。
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本好きの人なら誰でもさうだと思ひますが、わたくしもこれまでは興味のある本はとりあへず購買し、しかし読書速度は購入頻度に追ひつかず、それでも買ひ控へをすることなく、勢ひそのまま積読となる書物が数多くあるのです。 しかも必ずしも購入した順番に読む訳ではありません。後から購入した本がよ...
本好きの人なら誰でもさうだと思ひますが、わたくしもこれまでは興味のある本はとりあへず購買し、しかし読書速度は購入頻度に追ひつかず、それでも買ひ控へをすることなく、勢ひそのまま積読となる書物が数多くあるのです。 しかも必ずしも購入した順番に読む訳ではありません。後から購入した本がより興味を引く内容ならば、先輩書籍を差し置いて先に繙くことになります。結果、積読本は増えこそすれ減ることは無く、中には最大で購入後38年経つても未読の本が我が家にはあるのでした。 この『浅草博徒一代』も、さすがに38年とは言ひませんが、購入後12年近くに達してゐました。このたび、やうやく読んでみて、激しく後悔したものです。もつと早く読むべきだつた! いやあ、とにかく面白いの一言であります。しかし「面白かつた」だけで終ると、白痴的な感想文になるので、少しだけ蛇足を。 著者の佐賀純一氏は、本職は医者なんですが、作家活動も旺盛であります。どうやら聞き書き形式の作品が多いやうですね。さういへば本書も同様でした。 或る時、佐賀先生の診療所に、背中一面に刺青を入れた老人がやつてきました。佐賀さんはこの男に「ありきたりの言葉ではとうてい言い尽くすことのできない不思議な魅力」を感じ、診察と治療を引き受けたのであります。男の名前は伊地知栄治、1906年生まれ。 次第に二人は親しくなり、佐賀さんは伊地知の家に招かれるほどになりました。そこで話される伊地知の半生が、ひどく佐賀さんの興味を引き、結局かういふ一冊が誕生した訳です。 15歳の時に「お佳」なる女性に出会つたのが、アウトロー人生の始まりでした。以後やくざの世界に入り、裏街道を歩くことになります。バクチ打ちとして生きることになり、「出羽屋」の親分に預けられました...... 当時のやくざは、暴力団とは違ひ、その資金源は専ら賭場の上がりでした。変な副業(?)などはしなかつたさうです。ゆゑに賭場の客を大切にし、映画やドラマみたいに、負けて身包み剥がされて裸で追ひ出されるなんてことはあり得ないとか。同様に、いかさま博奕なんかはとんでもない。 とにかく、地元の住人たちから悪い評判が出ないやうに、当時のやくざは腐心してゐたらしい。 大正から昭和戦後にかけての、ドサクサ時代。間違ひなく、ここにはもう一つの現代史があります。「正史」だけでは歴史は語れないなあと強く感じるのであります。 伊地知栄治の話は、聞けば聞くほどその先を知りたくなる痛快なものです。伊地知以外の登場人物もユニイクなキャラ揃ひ。あまりに面白いので、これは佐賀先生の創作ではないかしらんと疑念を抱くほど。 教訓としては、「気になつた本はさつさと読め!」ですね。 デハご無礼します。 http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-632.html
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友達に借りた本だけど、自分の本棚にも欲しい一冊。 日本の戦前のヤクザ家業がどういうものだったのか、初めて知りました。ヤクザは、もともとは賭場を仕切る人たちだったようです。賭場は法律で禁止されていたから。女を扱う娼館などは、むしろ商売人だったのか。あと、クスリ(ヘロインなど)は簡...
友達に借りた本だけど、自分の本棚にも欲しい一冊。 日本の戦前のヤクザ家業がどういうものだったのか、初めて知りました。ヤクザは、もともとは賭場を仕切る人たちだったようです。賭場は法律で禁止されていたから。女を扱う娼館などは、むしろ商売人だったのか。あと、クスリ(ヘロインなど)は簡単に手に入ったから、その辺を取り仕切ることもなかったようだ。 このヤクザのおじさんは、昔の映画にあるような、仁義とけじめ、決まりごとに拘束された社会の一員。たぶん、戦前の日本は社会のどの部分もそういう風に動いていたんだろう。 それが、どういう経緯で現在の「暴力団」なんていう形になって、社会からつまはじきにされる犯罪組織になっていったんだろう。いろいろ興味をそそられる一冊であった。 自分の知らない新しい世界の入り口になる本だったね。
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