ケルベロス第五の首 の商品レビュー
ひとまず一読。やっぱりふたつめが読みにくかった。あと何回か読まないと、全然消化できていない。 若島先生の本を副読本として再読。難しいけどわくわくする。
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ジーン・ウルフ初挑戦。 SFだけど、 語り口や描かれる事物から立ち上る雰囲気がゴシックミステリ風で、物凄く好み。 地球人の侵略で原住民が滅亡した、 サント・クロアとサント・アンヌという名の二連星には、一方で、実は原住民が、 襲ってきた地球人を返り討ちにして彼らに成りすましたまま現...
ジーン・ウルフ初挑戦。 SFだけど、 語り口や描かれる事物から立ち上る雰囲気がゴシックミステリ風で、物凄く好み。 地球人の侵略で原住民が滅亡した、 サント・クロアとサント・アンヌという名の二連星には、一方で、実は原住民が、 襲ってきた地球人を返り討ちにして彼らに成りすましたまま現在の栄華を保っている、 という異説があるとされている――といった基本設定で、三部構成。 Ⅰ「ケルベロス第五の首」 人身売買に携わるサント・クロアの名家の事情。 罪を犯して服役した青年が 「犬の館(メゾン・デュ・シャン)」と綽名される屋敷に戻って綴った回想録。 ケルベロス(Cerberus)は三つの頭を持つ、ギリシア神話における冥界の番犬だが、 彼自身は「五番目」の首だった。 Ⅱ「『ある物語』ジョン・V・マーシュ作」 「犬の館(メゾン・デュ・シャン)」に出入りしていた人類学者マーシュ博士が 採集した、二連星の民話。 Ⅲ「V・R・T」 スパイ容疑で拘束された「囚人143号」に関する記録の開示。 スタージョン『きみの血を』好きがニヤニヤしてしまう、雑多なテクスト構成。 で、何故こんな叙述方式を採用するかと言ったら、 それは作者が読者に対して隠蔽したい何事かが存在するから、なんでしょう。 ちなみに、タイトルは「143号」の資料に登場する人物のイニシャル。 しかし、どうして長い間、知らずにいたんだろうか、こんな面白い小説を。 いや、やっぱりちょうどいいタイミングっていうのがあって、 やっと受け手である自分の準備が整ったから機会が巡ってきたんだと思うことにしよう。 ちなみに、レビューの準備として、他人様には見せづらい グチャグチャなメモ(ネタバレ含む)を書いていたんだけど、それは非公開メモ欄にコピペ。 【付記】8/25 読みが浅いと思って、ちょっとネタバレ情報を検索し、 なるほどなぁ、っていう推論に出会したので、非公開メモ欄に追記。 結局、自我がどうとか個性がなんだとか言っても、 人はそれを自ら形成するに当たって某かの「お手本」を必要とする――って話だと思った。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
そもそも柳下毅一郎氏が翻訳してるってところからして曲者なわけですがヽ( ´ー`)ノ、私には手が届きませんでした・・・。たぶんね、ある角度からある意思を持って読めば「あっ、そういうことか!」と物語の世界観が”見えて”くる、そういう性質の作品なんだと思うんです。でも、鴨には最後までその立ち位置がわかりませんでした。ジーン・ウルフは難解だと聞いてはいましたが、予想以上でしたよえぇ。あと10年後ぐらいに再読してみよう。
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難解な作品だ。 3 つの中編を元に、思考の漸次的な混濁が惹き起こされる。 「ヴェールの仮説」がひとつの肝だと思うのだが、 仮説の肯定は、自己存在の不確実さをあぶり出してしまう。 その曖昧さ、揺らぎを過去の記憶、記録、 失われたもの、希望などから再構築しようとしても、 更に一層深い...
難解な作品だ。 3 つの中編を元に、思考の漸次的な混濁が惹き起こされる。 「ヴェールの仮説」がひとつの肝だと思うのだが、 仮説の肯定は、自己存在の不確実さをあぶり出してしまう。 その曖昧さ、揺らぎを過去の記憶、記録、 失われたもの、希望などから再構築しようとしても、 更に一層深い不安定場に導かれる。 無間解釈地獄だ。
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自分はだれに変身しているのだろうと思うときがある。真実、自分とは何かと悩み迷う人々は数多い。自殺する人もいるくらいだ。自身の謎、不気味さはほかのそれとは比べようのない恐怖であり輪切りだ。精神を痛め続ける。諦念を持つものを大人というのだろう。正体不明のものに対して震えることは正しい...
自分はだれに変身しているのだろうと思うときがある。真実、自分とは何かと悩み迷う人々は数多い。自殺する人もいるくらいだ。自身の謎、不気味さはほかのそれとは比べようのない恐怖であり輪切りだ。精神を痛め続ける。諦念を持つものを大人というのだろう。正体不明のものに対して震えることは正しいことだ。生物的なものだ。それならばそれに明確な答えがあるのか、アイデンティティがあるのかと訊かれたら、ない、と答えるしかない。自分で考査し発見するしかないのだ。それがもし、汚濁な存在で、泥に近い物質であっても認めなければならない。だからこそ逃げ続けるのだ。怖いのだ。真実を知ることが。・・・逆説的になるが、それこそミステリでありSFである。
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「アイデンティティーの揺らぎ」を軸にした、3つの中編からなるSFミステリ。 クローン・一卵性双生児・変身能力を持つ原住民、さまざまな話がからみあって、一つの複雑なストーリーになっている。 ミステリというからには、答えのようなものがあるはずなのだが、うーん、わからない・・・。...
「アイデンティティーの揺らぎ」を軸にした、3つの中編からなるSFミステリ。 クローン・一卵性双生児・変身能力を持つ原住民、さまざまな話がからみあって、一つの複雑なストーリーになっている。 ミステリというからには、答えのようなものがあるはずなのだが、うーん、わからない・・・。 読み方によって、話が変わってしまうんですもの! でもそれが魅力となっているのかもしれないので、いくつものストーリー、いくつもの答えを見つけてみようかな☆
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[ 内容 ] 地球より彼方に浮かぶ双子惑星サント・クロアとサント・アンヌ。 かつて住んでいた原住種族は植民した人類によって絶滅したと言い伝えられている。 しかし異端の説では、何にでも姿を変える能力をもつ彼らは、逆に人類を皆殺しにして人間の形をして人間として生き続けているという…。...
[ 内容 ] 地球より彼方に浮かぶ双子惑星サント・クロアとサント・アンヌ。 かつて住んでいた原住種族は植民した人類によって絶滅したと言い伝えられている。 しかし異端の説では、何にでも姿を変える能力をもつ彼らは、逆に人類を皆殺しにして人間の形をして人間として生き続けているという…。 「名士の館に生まれた少年の回想」「人類学者が採集した惑星の民話」「尋問を受け続ける囚人の記録」という三つの中篇が複雑に交錯し、やがて形作られる一つの大きな物語と立ちのぼる魔法的瞬間―“もっとも重要なSF作家”ジーン・ウルフの最高傑作。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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じっくり、解読するように読んでいけば、「あっ」と思う瞬間がある。「あっ、もしかして、ここで・・・」 何の予備知識も持たずに、流れに身を任せるように読んでいくと、体温が上昇するような心地よい混乱で満たされる。 お好きなように、2通りのお楽しみ方でどうぞ。
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感覚でも、感情でもないところに訴えてくる。誤解を恐れず言えば、官能的。 難解と言われて言われているけど、気にならないくらいちゃんと面白い。
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1本目は、つーっと読めた。2本目も「?」となりながらも、なんとか読んだ。問題は3本目。数ページ読んだものの状況がいまいち把握できずいったん戻り、どうにか理解してやっとこ読み進め始めたものの、必死に探りさぐり読んでしまったせいか、どえらく読むのに時間がかかりました。うーん・・・・。...
1本目は、つーっと読めた。2本目も「?」となりながらも、なんとか読んだ。問題は3本目。数ページ読んだものの状況がいまいち把握できずいったん戻り、どうにか理解してやっとこ読み進め始めたものの、必死に探りさぐり読んでしまったせいか、どえらく読むのに時間がかかりました。うーん・・・・。 1本目:幻想文学的、2本目:神話的、3本目:・・・・・探検SF的なごにょごにょごにょ、と言う感覚ですかねえ。そりゃ世界の全体像ってのはわかりにくいもんですが。うーん・・・・・・・・・・・・。
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