富嶽百景・走れメロス 他八篇 の商品レビュー
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富岳百景と駆け込み訴え目当て。 富士山のうつろいと主人公の気持ちが連動したりしなかったり。 懐手をして夜徘徊したら財布落としてるし。 いらねーやと思ったけど思い直して拾って帰るとかかなりコミカル。へんに、だるい。とかかなりコミカル。 富士山を誇ったり王道すぎて恥ずかしくなったり。...
富岳百景と駆け込み訴え目当て。 富士山のうつろいと主人公の気持ちが連動したりしなかったり。 懐手をして夜徘徊したら財布落としてるし。 いらねーやと思ったけど思い直して拾って帰るとかかなりコミカル。へんに、だるい。とかかなりコミカル。 富士山を誇ったり王道すぎて恥ずかしくなったり。 富士山おじさんの手のひらの上で楽しく遊んでるように感じる。 駆け込み訴えは、訴える一人の台詞が最後まで続く。 息つく暇もない。 好きと嫌いと清いと醜いがごちゃ混ぜ。すべてが人間らしい感じがする。 愛を説いているのに、愛されていると感じられないユダ。 愛されたい。
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表題作の他にも粒ぞろいの短編八編を収録。 著者による作品執筆の舞台裏と合わせて、一度で二度作品を楽しめる内容です。 以下、個人的に気になった作品と雑感です。 『女生徒』 とある女子大生の日常を見事に書き出した短編。 ともかく描写が上手い。中央線に乗って登下校する乙女の感性が余...
表題作の他にも粒ぞろいの短編八編を収録。 著者による作品執筆の舞台裏と合わせて、一度で二度作品を楽しめる内容です。 以下、個人的に気になった作品と雑感です。 『女生徒』 とある女子大生の日常を見事に書き出した短編。 ともかく描写が上手い。中央線に乗って登下校する乙女の感性が余すことなく書き出されている。女生徒はどこかサリンジャーの小説にも登場しそうな様子で、若干乙女成分が濃い。だがそれがいい。 『東京八景』 太宰治(本名:津島修治)の半生が綴られる自伝的内容。 上京後に地下活動とクスリに溺れながら、まさに「人間失格」の主人公同様な生活を送ってきたことが綴られており、着色なしの述懐は鬼気迫るものがある。 さらに巻末には、彼の師匠である井伏鱒二による太宰の人物評が掲載されています。 こちらも一読の価値あり。
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女生徒を読むと今も昔も一定の変わらぬ価値観が思春期の少女達には存在しているのではないかと思わされる 盛り上がりがあるわけではないがそれでも何度も読み返したくなる作品
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「富嶽百景」 確か学校の教科書に載っていたのだが、当時は流し読み程度で、始めから通読したことはこれまでなかった。読んでみると面白い。 『晩年』の中に収められている諸作品と比べると、形式的な工夫はほとんど見られないが、その分だけ随分と読みやすくなっていて、また言葉のセンスが良い...
「富嶽百景」 確か学校の教科書に載っていたのだが、当時は流し読み程度で、始めから通読したことはこれまでなかった。読んでみると面白い。 『晩年』の中に収められている諸作品と比べると、形式的な工夫はほとんど見られないが、その分だけ随分と読みやすくなっていて、また言葉のセンスが良い。 「実際の富士は、鈍角も鈍角、のろくさと拡がり」 「やはりどこかこの富士の、あまりにも棒状の素朴には閉口して居るところもあり」 なんて、富士の描写としてはいまだに斬新。 棒状の素朴!
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走れメロスを読みました。 読んでみようと思ったきっかけは、子供が通う学校の学習発表で、6年生が演じた走れメロスを観劇したためです。 劇はたいへんよくできていました。保護者を中心とした観劇者は、みな、しんと静まり、劇の世界に引き込まれていました。わたしも感動しました。 感動しな...
走れメロスを読みました。 読んでみようと思ったきっかけは、子供が通う学校の学習発表で、6年生が演じた走れメロスを観劇したためです。 劇はたいへんよくできていました。保護者を中心とした観劇者は、みな、しんと静まり、劇の世界に引き込まれていました。わたしも感動しました。 感動しながら、小林よしのりの漫画で読んだ「南の島に雪が降る」のことを考えていました。 「南の島に雪が降る」とは、大東亜戦争でパプアニューギニアに駐屯していた日本陸軍の部隊で、慰安のため、隊員同士で劇を催し、その劇の中で降らした紙の雪に、劇を見ていた隊員が感動し涙を流した、という実際の話です。 6年生の劇でも感動するレベルの劇に仕立てられたのですから、陸軍部隊の劇も、それは高いレベルだったでしょう。 もちろん、戦地では物資に限りがあります。しかし、徴兵された兵隊は、元々さまざまな職についていたはずです。そのさまざまな職のスキルを活かして、衣装や小道具、舞台装置などを工夫したはずです。そしてなにより、故郷を思う気持ちは、だれしも強かったに決まっています。演ずる側も観る側も感動はいかばかりだったか・・・。 劇もいいものですね。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
学校の国語の試験で、作家の意図は?という問題がよくありました。 採点結果を見ると、どうしても納得できないことがよくありました。 本当に、作家は、それを意図したのでしょうか? 作家の意図は単純ではないのではないでしょうか? 走れメロスは、分かりやすいかもしれないし、太宰らしくないかもしれない。 作品ごとに別々に読むか、作家ごとまとめて読むかは、その人の好みです。 ただ、複数作品まとめて搭載している本を買うかどうかは、迷うかもしれません。 富嶽百景だけでも価値はあるし、走れメロスだけでも価値はあると思います。 両方好きになる必要はないと思いますがいかがでしょうか。
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黄色い花の力強さと、富士への憧憬と落胆。 何故「富士には月見草がよく似合う」のか。 自己投影について考察が必要。
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太宰治というとディープな面がたまらない、という方も多いでしょうが、私はこの「富岳百景」のおちゃめさが どうしようもなく好きなのです。本人の語り口のような文体も、おしゃべりを聞いているようで楽しい。お嬢さんにカメラ撮影を頼まれて へどもどしている姿は秀逸です!
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短編集。走れメロスを読もうと思って全部読んだ。全部読んでみると、走れメロスだけなんだか雰囲気が違う気がする。昔に読んだことがあるからだろうか。駆け込み訴えを読み始めて少しして、もしやこれは、と思ったらやっぱりそうで、面白かった。 2011/2/21
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