富嶽百景・走れメロス 他八篇 の商品レビュー
子供の頃に読んだことがありますが、大人になって読むと感じ方が違いますね。 30分もあれば読み切れる短編ですが、感動できました。
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「魚服記」「ロマネスク」「満願」「富嶽百景」「女生徒」「八十八夜」「駆け込み訴え」「走れメロス」「きりぎりす」「東京八景」全十篇。あとがき(井伏鱒二)
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昭和13年の初秋、御坂峠の天下茶屋に赴き、以降、冬の訪れまでの2ヶ月間逗留する。その間宿の娘さんとの交流、太宰のファンと名乗る青年との会話、先輩作家 井伏鱒二との登山に、お見合いなど、いろんなシーンで富士山と関わり、その都度富士山は姿・表情を変える。遊女の一行を見かけた太宰は哀惜...
昭和13年の初秋、御坂峠の天下茶屋に赴き、以降、冬の訪れまでの2ヶ月間逗留する。その間宿の娘さんとの交流、太宰のファンと名乗る青年との会話、先輩作家 井伏鱒二との登山に、お見合いなど、いろんなシーンで富士山と関わり、その都度富士山は姿・表情を変える。遊女の一行を見かけた太宰は哀惜の情を抱く。その時の富士は敢然と見守ってくれる大親分のようだと例える。 僕が最もグッときた一節は次である。 十国峠から見た富士だけは、高かった。あれは、よかった。はじめ、雲のために、いただきが見えず、私は、その裾の勾配から判断して、たぶん、あそこあたりが、いただきであろうと、雲の一点にしるしをつけて、そのうちに、雲が切れて、見ると、ちがった。私が、あらかじめ印をつけておいたところより、その倍も高いところに、青い頂が、すっと見えた。 富士山を擬人化し、富士にしてやられたと高らかに笑う。ネタ振りからサゲまでを実に闊達な筆致で綴る。何度も読み返してしまう。本書には10編の短編が収録されており、富士山よろしくいろんな貌の太宰が見られる。
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高校生くらいの頃に何を思ってか古本屋で買ったやつ。確か。 太宰治はメロスと人間失格が苦手であまり読んでなくて、その他は『御伽草子』とか「桜桃」くらいしか読んでないきがするんだけども、積んどくのももったいないし読みました。 普通に面白かったわ。「魚服記」なんかは、つげ義春とか萩尾...
高校生くらいの頃に何を思ってか古本屋で買ったやつ。確か。 太宰治はメロスと人間失格が苦手であまり読んでなくて、その他は『御伽草子』とか「桜桃」くらいしか読んでないきがするんだけども、積んどくのももったいないし読みました。 普通に面白かったわ。「魚服記」なんかは、つげ義春とか萩尾望都らへんが漫画にしてても違和感なさそうなし、「ロマネスク」は強烈に面白かったよ。太宰治は本人の性格もあるんやろうけど、へたれな男性主人公を描いたのが面白いわ。 しかし「女生徒」はだめやった。あれだけで何日読むのにかかったか。無性に不快になってしょうがなかった。文体がだめ。中身もむり。まじむり。思春期の女の子の心の機微は伝わってくるものの、むり。ダザイはどういう目を少女に向けておったの? 女性一人称でも「きりぎりす」は面白かったんやけども。 そんなわけで星の数悩む。魚服記とかロマネスクとか、八十八夜はごこ。女生徒いっこ。富嶽百景、駆け込み訴え、きりぎりすはよんこ。東京八景はさんこ。くらい。メロスは読み返してない。
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富嶽百景ー 絶望の淵からの希望の描き方が とても素敵で、太宰に目覚めるきっかけとなったお話。太宰っていうと堕落していく様な暗くて湿っぽいイメージを持たれがちだけどこれは 前に進んでいくお話。太宰食わず嫌いの人に勧めたいな。あ、読まず嫌いか(笑)
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国語の教科書に一部のっとった走れメロスしか、今の今まで読んだことなかった太宰治の作品。 それ以前に太宰治がまさか戦後まで生きとった人やったってのも知らんかった。 (無知ですみません。) この小説にのっとったすべての作品、読み終わった今でもイメージがすぐ浮かんでくるいうことは、きっ...
国語の教科書に一部のっとった走れメロスしか、今の今まで読んだことなかった太宰治の作品。 それ以前に太宰治がまさか戦後まで生きとった人やったってのも知らんかった。 (無知ですみません。) この小説にのっとったすべての作品、読み終わった今でもイメージがすぐ浮かんでくるいうことは、きっと面白く読めたんやと思う。 でもそれ以上に太宰治の人生にびっくりさせられっぱなしで(最後の東京八景にて)、それどころでなくなってもうた。
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表題作の他、女生徒、ロマネスク、東京八景など10作の短編集。 太宰の短編はどれも好きだけど、特に印象的なものをメモ。 『富嶽百景』…最初は富士の一辺倒な姿を横目で見るような様子だった主人公は、茶屋の人々や彼を訪ねてきた人々との交流を通して少しづつ富士の様々な表情に触れ、心を許し始...
表題作の他、女生徒、ロマネスク、東京八景など10作の短編集。 太宰の短編はどれも好きだけど、特に印象的なものをメモ。 『富嶽百景』…最初は富士の一辺倒な姿を横目で見るような様子だった主人公は、茶屋の人々や彼を訪ねてきた人々との交流を通して少しづつ富士の様々な表情に触れ、心を許し始める。富士はそこにあるだけでいい。 『走れメロス』…学生の時に初めてこの作品を読んだ時はメロス身勝手、という身も蓋もない感想だったけれど、年を重ねてこの直球の友情ストーリーが沁みるようになった。 『女生徒』…思春期特有の揺れを表現する秀逸さ。この危なっかしい様がまた魅力。 井伏鱒二のあとがき…太宰とのエピソード。不思議と愛を感じる。 読む度に違う印象や感想を持たせてくれる作品。何度も読み返したい。
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斜陽? 人間失格? 知らん。 太宰はやっぱ短篇だよね。 「女生徒」のすごさ。その現代性。十分に今この時代の小説として読むことができる。 小気味よい、よく練られた彼の文章は、音楽にたとえればプログレではなくポップスだ。
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太宰の私小説にしては、生きることの後ろめたさを感じさせない「富嶽百景」。むしろさわやか。 富士と戯れる太宰が描かれる。ときに俗な書き割りだと罵り、ときにその存在に感服し、ときに月見草と並置する。 なんだかんだ言っても、富士に惹かれる己を認められないのでしょうね。
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『富嶽百景』 富士山について書かれたエッセイ。 富士山の姿が美しいっていう風に書かれているものは多いと思うのですが、 これはそれだけではない作品でした。 冒頭から、絵に描かれている富士山は実際とは違う、 絵よりももっと不格好だ、と述べています。 それだけで続きを読んでみたくなって...
『富嶽百景』 富士山について書かれたエッセイ。 富士山の姿が美しいっていう風に書かれているものは多いと思うのですが、 これはそれだけではない作品でした。 冒頭から、絵に描かれている富士山は実際とは違う、 絵よりももっと不格好だ、と述べています。 それだけで続きを読んでみたくなってパラパラ読みました。 描写が素敵ですね。 ひたすら富士山の様子が書かれていました。 『女生徒』 ある女生徒の1日を描いた小説です。 彼女が置かれている状況についての説明は一切ないから、 読んで推測していくしかないんだけど、 そういう方が描き方としてはきれいなのかもしれませんね。 説明がない分、彼女の視点から書かれている世界の様子を想像してしまいました。 それにしても、異性を主人公にしても違和感がないのはすごいですよね。 なんか、この感覚わかるなぁって共感する部分が結構ありました。 『きりぎりす』 これも女の人の視点から語られる物語です。 彼女は親類の反対を押し切って貧乏なけれど才能があると直感した画家と結婚し、 彼はだんだんと成功していって、それにともなって態度が変化していく様子を綴っています。 お金なんかいらないの、あなたはいい絵を描いていればそれでいいの、 こういう部分ってきっと太宰らしい感覚なのかなと思いました。 太宰ってすごくいいお家のお坊ちゃんですよね? 貧乏なお家で育ってたら、こういうことは考えないだろうなと思います。 『東京八景』 太宰治の東京に住んでいたころのことを書いた作品です。 自分のことを書いているんですが、エッセイではないです。小説だなと思いました。 作品の中で『晩年』を執筆した時の様子も書かれています。 これを読んでから『晩年』を読むと、また味わいも違うでしょうね。 彼はどういう状況にいて、どういう心境で書いたのか。 読みながら『晩年』の中に収められた作品のことも考えていました。 最後の場面がすごく印象的でよかったです。
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