武士道 の商品レビュー
武士道を体系的に解説している。だいたい儒教の解説。現代でも大和魂・侍魂などと称されるものがこの武士道精神だと思う。 将来的に物質面での成功を求める功利主義と道徳はキリスト精神のみ生き残ると予想している。実際功利主義は完全に現代社会の大前提の思想となっている。キリスト教は力を徐々に...
武士道を体系的に解説している。だいたい儒教の解説。現代でも大和魂・侍魂などと称されるものがこの武士道精神だと思う。 将来的に物質面での成功を求める功利主義と道徳はキリスト精神のみ生き残ると予想している。実際功利主義は完全に現代社会の大前提の思想となっている。キリスト教は力を徐々に失い無神論者が増えている。現代の道徳を担っているのはどこなのか自分は知らない。
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儒学の立場から武士道を確立。山鹿素行『武家時紀ぶけじき』1673 毎朝毎夕、いつも死ぬつもりで行動し、いつも死身になっていれば、武道に自由を得、一生落度なく家職をまっとうすることができる。武士道というは死ぬこととみつけたり。山本常朝つねとも『葉隠』1716 ※佐賀藩士 武士道...
儒学の立場から武士道を確立。山鹿素行『武家時紀ぶけじき』1673 毎朝毎夕、いつも死ぬつもりで行動し、いつも死身になっていれば、武道に自由を得、一生落度なく家職をまっとうすることができる。武士道というは死ぬこととみつけたり。山本常朝つねとも『葉隠』1716 ※佐賀藩士 武士道とは、戦士階級がもつ高貴な身分に伴う義務・戦士の掟である。卑怯や不正な行動ほど恥ずべきものはない。信実と誠実なくしては、礼儀は茶番であり芝居である。礼節をわきまえ、惻隠の情(同情心)を失わず、私心を捨てる。武士道が重んじるのは行動であり、知識ではない。新渡戸稲造『武士道』1899 ※ベルギーの学者の疑問「日本の学校では、宗教なしに、どうして道徳を授けているのか」に答えるため。 ※日清の後、日露の前。 「葉隠」の言つてゐる死は、何も特別なものではない。毎日死を心に当てることは、毎日生を心に当てることと、いはば同じだといふことを「葉隠」は主張してゐる。われわれはけふ死ぬと思つて仕事をするときに、その仕事が急にいきいきとした光を放ち出すのを認めざるをえない。三島由紀夫『葉隠入門』1967 「あなたは無心になろうと努めている。 つまりあなたは故意に無心なのである。 それではこれ以上進むはずはない」こう言って先生は私を戒めた。オイゲン・ヘリゲル『日本の弓術』1982
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新渡戸稲造氏が1900年に英語で出版したBushidoを、1938年に矢内原忠雄氏が日本語に訳したものですが、本書ほど欧米における日本理解を促進させた本はないのではないかと思われるほど重要な本だと思います。新渡戸氏は主要読者が英米国人ということ、かつ本人がキリスト教徒ということも...
新渡戸稲造氏が1900年に英語で出版したBushidoを、1938年に矢内原忠雄氏が日本語に訳したものですが、本書ほど欧米における日本理解を促進させた本はないのではないかと思われるほど重要な本だと思います。新渡戸氏は主要読者が英米国人ということ、かつ本人がキリスト教徒ということもあって、武士道の考え方をキリスト教との比較、あるいは古代ギリシャ、ローマ、あるいはシェイクスピアなど英米文学の巨匠の言葉を参照しながら解説しています。そのためか日本人であれば相当の高い教養がないと全文を理解するのは困難なのですが、本書を読んで腹におちるところが多々あり、武士道の思想は現代日本においても生きている、と断言できることも確かです。1回だけ読むのではなく、何度も読めば読むほど味が出て理解が深まる本です。
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義理の解説に納得するものです。 キリスト教文化圏の人が「愛」を動機として為すべき、と教えられ身に付けている家族や隣人への行為を、 日本人は、たとえ愛が不足している場合でも「義理」を感じて実践する事が出来る。 と、僕は理解しました。 逆に言うと、日本人に「愛」を求めるのには無...
義理の解説に納得するものです。 キリスト教文化圏の人が「愛」を動機として為すべき、と教えられ身に付けている家族や隣人への行為を、 日本人は、たとえ愛が不足している場合でも「義理」を感じて実践する事が出来る。 と、僕は理解しました。 逆に言うと、日本人に「愛」を求めるのには無理があると思いました。 例えば、「義理」として家族の看病をする日本人に、「愛」を以て看病をしろ。と求めると、少々酷なように思います。 義理として看病するにしろ、 愛情をもって看病をするにしろ、 実際のところは同じ事をしているのですから、あえて 「愛情を以て接しなさい。」 と言う必要は無いと思います。 アメリカのテレビドラマなどを観ていると、恋人同士は頻繁に言葉で愛情がある旨を発言し、確認しています。 本書を読むと、 「なるほど、キリスト教文化圏で育った人は、家族や近しい人へ接する際には、根拠として愛が必要で、それを表現する訓練をしながら育ち、平然と表現できるのだな。」 と理解出来ました。 ただし、これを日本人に求めるのは、やはり無理だと思います。 例えば、しばしば 「子供に愛情がわかず悩む」 と親の嘆きを耳にしますが、 僕はそんなときに 「日本人なら当然です。愛情が沸かずとも、義務として接してあげましょう。」 とアドバイスをするとずいぶんと楽にしてあげられるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。 家事や、家計のための収入を得るための仕事を、 義務として為しているときに、 もし愛情の裏付けに不安を持った時には、是非とも思い出したいものです。 「愛」の裏付けを必要とするのは、キリスト教の文化で育った人の考えで、 あらかじめそのように育てられた人にしか出来ないもので、 日本人は「義務」として世話をすれば良いのだ、と。 もし、「愛」があるのか?と疑問に思ったら、それはアメリカのテレビドラマの見過ぎだ、と気づきたいものです。
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冒頭の教授との対話の中で「宗教なくして如何にして道徳を学べるのか」という価値観の違いに、なるほど日本固有の道徳観というものが語られるのだと悟る。 昔の武士と言えば、野蛮なイメージを持たれがち(特に当時の時代背景を踏まえ、その時代の外国の方から見れば尚更)と思うのだが、弁明するでな...
冒頭の教授との対話の中で「宗教なくして如何にして道徳を学べるのか」という価値観の違いに、なるほど日本固有の道徳観というものが語られるのだと悟る。 昔の武士と言えば、野蛮なイメージを持たれがち(特に当時の時代背景を踏まえ、その時代の外国の方から見れば尚更)と思うのだが、弁明するでなく堂々たる文体で描かれている本書は、日本人としては一度読んでおくべきと言われても納得 新戸部博士の思慮深さもよく伝わってくる。5千円札の人物は伊達じゃなかった()
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
・・・「あなたのお国の学校には宗教教育はない、とおっしゃるのですか」と、この尊敬すべき教授が質問した。「ありません」と私が答えるや否や、彼は打ち驚いて突然歩を止め、「宗教なし!どうして道徳教育を授けるのですか?」 ・・・私は、私の正邪善悪の観念を形成している各種の要素の分析を始めてから、これらの観念を私の鼻腔に吹き込んだものは武士道であることをようやく見出したのである。 上記は本書第一版の序文からの引用ですが、著者(新渡戸稲造)と留学先の教授との会話の一幕です。これが、著者が本書を執筆したモチベーションだといって差し支えないと思います。 欧米においてはキリスト教が民衆の倫理観念の根底に位置するのに対し、日本においては武士道がその地位を占めることを、著者はあらゆる側面から詳述します。 上記経緯のためか、本書では武士道の諸特徴を聖書、ハムレットなどの文学、哲学(主にストア哲学)や古代ローマの逸話といった西洋思想との類似性に絡めて説明をします。この対比がとても面白いですし、西洋の価値観・倫理観との類似性を指摘することで日本人の振る舞いに共感を持ってもらおうとする著者の意図をひしひしと感じます。 またこの武士道の観念が日本人の行動でどのように発露されるのかを、実生活や(よく知られている)歴史の逸話をもとに語られるのでとても分かりやすいと感じました。 武士道の観念の歴史的な成り立ちについては『本当の武士道とは何か』(菅野覚明/PHP新書)を読んでおくとスッと入ってきます。 美徳(仁・義・忠など)や名誉、それらの葛藤の説明は『菊と刀』(ルース・ベネディクト)を読むとしっくりときます。 実生活における武士道に根差した振る舞いは、例えば『ある明治人の記録(会津人柴五郎の遺書)』(石光真人編著/中公新書)を読むと、その厳格さをうかがい知ることができると思います。 関連する様々な書籍と組み合わせて読むのがおすすめだと感じました。 本書終盤で著者は、日本人の美徳の土台をなした武士道が近代化の流れの中で失われつつあることに慨嘆しつつも、「武士道は倫理の掟としては消ゆるかもしれない、・・・しかしその光明、その栄光は、・・・シンボルとする花のごとく、四方の風に散りたる後もなおその香気をもって人生を豊富にし、人類を祝福するであろう。」と締めくくります。 著者が今の日本を眺めたなら果たして何を思うだろうか、とちょっぴり考えましたね。
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古臭い言葉が並ぶようではあるが、新自由主義の行き過ぎが言われる時代においては、改めて読み直す価値があると感じる。 渋沢栄一の「論語と算盤」と併読すると、現代理解の橋渡し役になってくれるかもしれない。
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高校生の時に文学で幕末を何度も駆け抜けたちょっとイタめな私は読んだと言うのですが、日常からの逃避を文学と映画と音楽で埋め尽くされて俗化した今の私はそうだったっけ?と言ってしまうぐらい内容は覚えてないし、だいぶ難しかった記憶だけあるのでスネが攣りそうなその背伸びも受け止めます。
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日本人には宗教がないわけではなく、武士道という精神がある。武士という職は無くなったが武士によって培われた精神が現在も日本人の根底にあるということが分かった。日本文化についての気づきがある良書。
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日本人の精神の根底にあるものの一つが武士道なのかなと読んで思った。武士の生き方から武士が社会に与えた影響、今にもつながる武士道の教えが書かれていた。まだ消化しきれていないが、日本人の心の一部を改めて考えることができる本だった。
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