忘れられた日本人 の商品レビュー
生活誌の叙述の最高峰とも呼ばれる本書だが、戦後日本の地方生活をオーラルヒストリーから垣間見ることで、当時から村落共同体は崩壊しつつあると考えられていたものの、少なくない地域で依然残っていた等の状況を知ることができ、大変興味深かった
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何年かに一度 読み返す 一冊 ポール・ゴーギャンのあの作品名 「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」 になぞらえば 「日本人は 何を考えて来たのか 日本人とは 何者か 日本人とは どこに向かっていくのか」 を いつも 考えさせてもらえる...
何年かに一度 読み返す 一冊 ポール・ゴーギャンのあの作品名 「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」 になぞらえば 「日本人は 何を考えて来たのか 日本人とは 何者か 日本人とは どこに向かっていくのか」 を いつも 考えさせてもらえる 一冊である 地位、名誉、権威になど 頼らずに 自分の言葉で語り 自分の考えで判断し 自分の思いを生きた 正真正銘の 日本人が ここに おられる 自分の中の「日本人」が ここに ある
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現代の我々とはかけ離れた生活を送る人々に対して、インタビューをして調査している。 老人の役割、連日続く会議、性への開放性といった、現代では非効率、非現実とも思えるものであるが、当日の人々にはそれが当たり前のものとして見られていた。遠い昔でもない時代に対して、僅かな期間でここまでの...
現代の我々とはかけ離れた生活を送る人々に対して、インタビューをして調査している。 老人の役割、連日続く会議、性への開放性といった、現代では非効率、非現実とも思えるものであるが、当日の人々にはそれが当たり前のものとして見られていた。遠い昔でもない時代に対して、僅かな期間でここまでの生活環境、思考の劇的な変化があることに驚嘆した。 外国に行けば、異なる文化や価値観に出会い、自己の成長にも繋がると聞くが、国内だけでもこのような辺境の地を訪れれば、同様の収穫があるのではないか?この質的調査への需要を感じた。
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やはり『土佐源氏』は印象的だなあ。老人の猥談かと思いきや、最後までたどると見事に恋物語になっている。 ほかの老人の聞き書きにしても、一編の小説のよう。
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幕末から明治にかけての古老のお話し。貨幣経済が浸透したなかにも、村落共同体のしきたりや明らかな身分差など中世的、封建的な匂いを感じる話しが多い。文明開化を中心とした教科書的な歴史との同時代に、パラレルに存在した民俗学的な景色である。 近代の価値観では会議は結論が大事であり、性は秘...
幕末から明治にかけての古老のお話し。貨幣経済が浸透したなかにも、村落共同体のしきたりや明らかな身分差など中世的、封建的な匂いを感じる話しが多い。文明開化を中心とした教科書的な歴史との同時代に、パラレルに存在した民俗学的な景色である。 近代の価値観では会議は結論が大事であり、性は秘匿し慎むものと相場が決まっている。しかし、対馬の会議はプロセスに重きを置くため結論がでるまで何日も続き、土佐における性の交わりは単調な暮らしにおける最も身近な娯楽である。 私が手にとったのは61刷である。岩波文庫のなかでも人気の一冊であることがわかるが、その理由は近現代に欠けたものに想いをはせるノスタルジックな感覚だけでないと思う。冷静になって自省したとき、曽祖父母の時代にまであった感性がどこか自分のなかにも息づいている直感を残すからであろう。
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明治~昭和前半期を生きた、主に四国・中国地方の老人の話をまとめた書です。分類的にいえば民俗学です。 みなが納得するまで2日も3日も話し合う“寄り合い”とか、声のいいのがモテる“盆踊り”、情報ネットワークでありガス抜きでもある女たちの会話、犯罪や病気でドロップアウトしても用意され...
明治~昭和前半期を生きた、主に四国・中国地方の老人の話をまとめた書です。分類的にいえば民俗学です。 みなが納得するまで2日も3日も話し合う“寄り合い”とか、声のいいのがモテる“盆踊り”、情報ネットワークでありガス抜きでもある女たちの会話、犯罪や病気でドロップアウトしても用意されているセーフティネット、おおらかな夜這い習慣(楽しそうだなぁ(笑))…タイトル通りの、今は無き日本の良風が、古老の声を通してつづられています。 貧しかったかもしれないが、必ずしも暗く狭い時代ではなかったのだ…それを教えてくれる良書ですね。 日本人は物質的な豊かさを(一応)手に入れた一方、なにかを置き去りにしているのではないか? それがいま、さまざまな社会悪として露見しているのではないか? というのがソボクな感懐であるのですが、こういう本を読むと、やっぱそうだよねぇ、と思いますね。
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けっこう気楽に読める。 今の感覚ではびっくりするほど非効率だけど、人の入れ替わりのほとんど無い狭い共同体をうまく回す工夫の結果だとわかったり。 夜這いがあったり、やしない子があったり、旅の人を気安く泊めたり、余所の者がそのまま居着くようなことがあったり、おおらかなのかわからないけ...
けっこう気楽に読める。 今の感覚ではびっくりするほど非効率だけど、人の入れ替わりのほとんど無い狭い共同体をうまく回す工夫の結果だとわかったり。 夜這いがあったり、やしない子があったり、旅の人を気安く泊めたり、余所の者がそのまま居着くようなことがあったり、おおらかなのかわからないけど。 昔の農村、漁村というとなにかと不便で抑圧されていたと思いがちだし、現代の価値観からは豊かで幸福とは言いがたいが、それでもだいぶイメージは崩れた。
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面白かった。 民俗学とかあまりわからんのですが、フィールドワークの大切さは良くわかるし、伝わって来る。 後で自分のサイトにちゃんと書こう。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
おそらく戦中から戦後間もなくの頃にこれだけの聴き取りをするのは相当な労力がかかっている。当時、テレビはなくラジオも普及していない地域のそのままの習俗が残っている様が感慨深い。テクノロジーが発達し、どこの町に行っても同じようなチェーン店があり、またそれに期待してしまう今、地域ごとに習俗を記録することの意義はこの先も色あせないのだろうか。
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対馬にある村の寄り合いで、著者が文書を一時貸出してくれるように頼むシーンから始まる。ああでもない、こうでもないと、関係あるようなないような取り留めのない話が何日も続いて(一つの議題だけを話している訳ではない)から、やおら結論が出る。会社の打合せの場でも、こうした由緒正しき合意形成...
対馬にある村の寄り合いで、著者が文書を一時貸出してくれるように頼むシーンから始まる。ああでもない、こうでもないと、関係あるようなないような取り留めのない話が何日も続いて(一つの議題だけを話している訳ではない)から、やおら結論が出る。会社の打合せの場でも、こうした由緒正しき合意形成のスタイルを継承している人が多くいるような。 昭和10年代から20年代にかけての西日本を中心とした聞き取り調査。著者による分析、まとめも少々交えるが、ほとんどが古老たちの語るライフヒストリーや伝承を記録したもの。 まず序章の対馬での調査旅行の様子が、著者のスタイルを伝えていて面白い。寄り合いに付き合い、騎行の一団に小走りでついていき、着いた村で歌垣の名残に出会う。なんと自由で刺激的な旅であることか。 2章目では村落の社会構造についての東西比較。 ・年齢階梯制が色濃く、村内の非血縁的な横のつながりが強い西日本。伝承を伝えるのは男が多く、早く村の公役から身を引くために隠居するのが早い。 ・家父長的な同族結合の東日本。伝承を伝えるのは女が多くなる。 第3章は愛知県設楽町(旧名倉村)での座談会。夜おそくまで田で仕事をする隣人のために、戸を開けて明かりをつけていた家。働いていた方は数十年後まで、夜のおそいうちだと思い込んでいた。それに著者は感動する。細やかな話である。 その他にも、エロ話、村を出て方々を渡り歩いた世間師、レプラ患者の旅する裏の細道、対馬の漁村の開拓談、ピシッと背筋の伸びた著者の祖父、文字記録を残した村の文化人など内容は盛りだくさん。 土佐源氏は、創作と疑われたというのも納得の数奇な人生。
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