江戸の絵を愉しむ の商品レビュー
江戸の絵を書いた画家たちの創意工夫や、当時の思想などが、知識の全くない人にもわかりやすく書かれています。美術館で絵を見ると、絵巻を、襖絵を、掛幅画(掛軸)を、「ひらいて」見ることは難しいですが、当時は「ひらいて」見たのだと知っているだけで、今までと違った見方ができると思いました。...
江戸の絵を書いた画家たちの創意工夫や、当時の思想などが、知識の全くない人にもわかりやすく書かれています。美術館で絵を見ると、絵巻を、襖絵を、掛幅画(掛軸)を、「ひらいて」見ることは難しいですが、当時は「ひらいて」見たのだと知っているだけで、今までと違った見方ができると思いました。 この本を読むと、もっと江戸の絵を愉しめるようになりそうです。実物の絵を見たくなりました。
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芦雪以外の作品も含めて、江戸時代の日本画の面白い見方、視点が紹介されている。例えば芦雪の虎図襖絵は、襖絵だからこその動くという特性、即ち紙芝居効果を芦雪は考えたうえで描いたのではないかと紹介している。確かに取り上げられている名古屋城上洛殿襖絵や芦雪の虎図などを、実際の部屋の襖とし...
芦雪以外の作品も含めて、江戸時代の日本画の面白い見方、視点が紹介されている。例えば芦雪の虎図襖絵は、襖絵だからこその動くという特性、即ち紙芝居効果を芦雪は考えたうえで描いたのではないかと紹介している。確かに取り上げられている名古屋城上洛殿襖絵や芦雪の虎図などを、実際の部屋の襖として閉められている図、開ける時の図、閉める時の図を文中の図のイメージに助けられて思い描くと、おお!、なるほど!と驚きの納得がある。他にも襖絵に描かれた絵同士の視線の話や、絵巻、掛け軸を開きながら眺める時の空間、時間効果などもワクワク感をかきたてられ、実物を見たい!と思わせてくれるお話が並んでいた。
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襖絵を「開ける」。 すると図様に消える部分と残る部分とが生じる。襖絵の宿命だ。しかし、名古屋城上洛殿襖絵の場合、この残る部分に主たるモチーフを配すことによって、この宿命を克服し、あまつさえテーマを鮮明化させることに成功した。 開けた襖絵は閉めねばならぬ。 これもまた「可動性」のひとつだ。「閉める」。そのとたん、わたしたちの視界から一瞬消えていた『虎』が、突然、巨大な姿を現す。その唐突さが、画面から飛び出さんばかりの『虎』の勢いに、いっそう拍車をかける。「開ける」「閉める」。その度ごとに『虎』は消え、出現する。まるで紙芝居だ。その視覚的意外性に人びとは手を打って喜んだにちがいない。(p.42) 大江戸人士の見る力ー視覚を高めたというならば、顕微鏡、望遠鏡なども忘れてはなるまい。前述した「七面鏡」や、覗眼鏡もふくめて、すべてこの時代オランダ船が舶載したものだ。それらの珍しい光学機器のレンズの向こうに現れる天体の姿や微小の世界は、通常の視覚ではとらえることができないはずだ。その「かたち」が意外であったことはいうまでもない。(p.138) それぞれの時代の人びとの「眼」が何に向けられていたか、その関心の所在を、その時代が生み出した「かたち」を通じて分析し、明らかにすること、それが美術史だ、と。わたしなりの精一杯の答えだ。(p.211)
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[ 内容 ] 襖を閉めると飛び出す虎! 江戸時代、絵画の世界はアッと驚く遊び心にあふれていた。 視覚のトリック、かたちの意外性、「大きさ」の効果―。 絵師たちの好奇心と想像力が生みだした、思いもよらない仕掛けを凝らした作品を浮世絵・戯作絵本から絵巻・掛軸・襖絵にいたるまで紹介し、新しい絵画の愉しみかたを伝える。 図版多数。 [ 目次 ] 1 生活のなかの遊び―動く画面(日本の絵はどこで見る 「ひらいて」見る―絵巻「大蛇に化ける女」 動く壁―襖絵の隠現効果 ほか) 2 視点の遊び(日本の絵の魅力とは? 意外のかたち 合成された顔―国芳の「寄せ絵」 ほか) 3 「かたち」の遊び―猿の図像学(擬人化された猿 「猿」と「猴」 猿猴捉月―長い手の魅力 ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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『賢学草紙絵巻』や長沢芦雪の絵が面白い。 この本では書かれていないが、個人的には伊藤若冲がこの時代の絵師では一番好きだ。
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江戸時代やそれ以前を含めて、日本の絵画の特質を抉り出して教えてくれ、興味深かった。 「扉」には、こう書いてある―― 襖を閉めると飛び出す虎! 江戸時代、絵画の世界はアッと驚く遊び心にあふれていた。視覚のトリック、かたちの意外性、「大きさ」の効果――。絵師たちの好奇心と想像力が生...
江戸時代やそれ以前を含めて、日本の絵画の特質を抉り出して教えてくれ、興味深かった。 「扉」には、こう書いてある―― 襖を閉めると飛び出す虎! 江戸時代、絵画の世界はアッと驚く遊び心にあふれていた。視覚のトリック、かたちの意外性、「大きさ」の効果――。絵師たちの好奇心と想像力が生み出した、思いもよらない仕掛けを凝らした作品を浮世絵・戯作絵本から絵巻・かけj区・襖絵にいたるまで紹介し、新しい絵画の愉しみかたを伝える。図版多数。 筆者は\'48年愛知県生まれ。早稲田大学院卒、サントリー美術館主席学芸員を経て群馬県立女子大教授。日本絵画史専攻。 面白かったのは、一つは、日本の美術が多く、「開く」という動作を伴い、それが鑑賞に当たっても、 物理的な「時間」の要素が加味される、という点の指摘。 つまり具体的には、一つは「絵巻物」。また「掛け軸」。いずれも、鑑賞に当たって、軸なりを繰ることによって、その中に「絵」がある。 繰るなかに、時間的な遷移があり、物語も展開する。 典型的な例としての、鳥獣戯画。そこの線、フォルムもさることながら、どのように鑑賞されるか、という視点だ。 筆者が冒頭に書いているのは、例えば狩野派などの障壁画が、展覧会で「平面的」に展示されることの誤り。 西洋画の二次元的な広がりとはまた一味違う「障壁画」では、その「絵」が何枚かある障壁画、襖絵などの関連のなかで、どのような位置を占めているのかを無視しては、製作者の意図も見えなくなってしまう。襖絵は、襖を引いたときに、どの面が見るものに残されることになるのか、どの面が消えてしまうのか――その点についての、これまでの展覧会での展示方法に問題があったのではないか、という。 それに「視点」の遊びについても書いている。「見立て」という、日本の芸術の特質ともいえる芸の話だ。 例えば、歌川国芳の「影絵」。「何に見えますか?」というクイズみたいだが、絵解きには「金魚にひごいっ子」ある。 それが、実は「狩人に狸」であった――っていう趣向。文字だけで説明をすることは不可能に近いが、 視点が微妙にずれたり、人びとがもつ文化の中で、当然と思う組み合わせにドンデン返しの手品のタネ明かしが目の前で行われる(正確には、冊子の表と裏のような位置に、影絵と光が当たった実体が描かれるという手法だ) 嵌絵であるとか、日本人が鎖国をしていた時代に醸してきた文化、さらに細い外国からの舶載の道を辿って、新たな工夫を生み、それを耕した土壌に花咲かせる……。そんな営みが、かつてあったのだな、と改めて感じさせてくれた。
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河野御大が『名古屋城上洛殿襖絵』に関して指摘した「隠現効果」(襖絵はその可動性によって図様が変化せざるを得ないが、その変化を逆に利用し図様を構成することによって得られる効果のこと、だと思われるが河野論文自体にあたってないので何とも)を蘆雪の『虎図』に適用してみるテスト、みたいな第...
河野御大が『名古屋城上洛殿襖絵』に関して指摘した「隠現効果」(襖絵はその可動性によって図様が変化せざるを得ないが、その変化を逆に利用し図様を構成することによって得られる効果のこと、だと思われるが河野論文自体にあたってないので何とも)を蘆雪の『虎図』に適用してみるテスト、みたいな第一章。図版が多くて普通にオモロイ。
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