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損料屋喜八郎始末控え の商品レビュー

3.6

43件のお客様レビュー

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<読了した文庫を文庫…

<読了した文庫を文庫OFFに売却する前に記念としてレビューを書きます。>直木賞作家のデビュー作。時代小説ではあるがこれまでにない分野を開拓した野心作ですネ。チャンバラのシーンはもとよりありますが江戸時代のリース屋さんを営む主人公・喜八郎のビジネスエンターテインメント小説です。文体...

<読了した文庫を文庫OFFに売却する前に記念としてレビューを書きます。>直木賞作家のデビュー作。時代小説ではあるがこれまでにない分野を開拓した野心作ですネ。チャンバラのシーンはもとよりありますが江戸時代のリース屋さんを営む主人公・喜八郎のビジネスエンターテインメント小説です。文体が少し硬いような気もしますが、楽しめた作品でした。

文庫OFF

もう一つ物語に入り込…

もう一つ物語に入り込めないのは、主人公・喜八郎の人物像が明確に浮かんでこないことにある。鋭敏な頭脳の持ち主であることは分るが、過去のいきさつも説明的で物足りなく、現在、どんな思いを抱いて暮らしているのか生活のリアリティーが感じられない。とはいえ、ミステリー的趣向が面白く、伊勢屋の...

もう一つ物語に入り込めないのは、主人公・喜八郎の人物像が明確に浮かんでこないことにある。鋭敏な頭脳の持ち主であることは分るが、過去のいきさつも説明的で物足りなく、現在、どんな思いを抱いて暮らしているのか生活のリアリティーが感じられない。とはいえ、ミステリー的趣向が面白く、伊勢屋の謀略に対抗していくところは大いに読ませる。そして、3作目「いわし祝言」、4作目「吹かずとも」となっていくと、微妙に筆致が変わっていく。極め付けの悪役だった伊勢屋にも、息子を亡くしたという暗い影を持ち、人間の多面性を感じさせる。

文庫OFF

現代の人物やその生き…

現代の人物やその生き様を描こうとすると、さまざまな瑣末な要素を加えなければならないが、時代小説は昔の事だけに、読み手が経験上引っ掛かる事柄も少ない。

文庫OFF

歴史小説でありながら…

歴史小説でありながらミステリーの分野を含んでいるところが読み応えがありよい

文庫OFF

一般の時代小説と違っ…

一般の時代小説と違って、どこか商業的なにおいがして、なじめませんでした。見せ所の少なさや人物像の個性的ではないところがあんまり面白味が感じられなかったです。

文庫OFF

これがデビュー作

これがデビュー作。とにかく巧い!人情あふれる江戸が舞台でありながら、現代の時代感覚もおりこまれており、目が離せない展開。粋で格好よく、男気のある喜八郎の生き様、味わってください。

zxc

2024/03/03

 『損料屋喜八郎始末控え』シリーズ第1作。深川で小さな損料屋を営む喜八郎が、真っ当に生きる人たちの暮らしを守る姿を描く経済時代小説。4編からなる連作。再読。       * * * * *  田沼バブル経済と定信緊縮財政。真逆の政治体制に翻弄される江戸が舞台です。  そして主...

 『損料屋喜八郎始末控え』シリーズ第1作。深川で小さな損料屋を営む喜八郎が、真っ当に生きる人たちの暮らしを守る姿を描く経済時代小説。4編からなる連作。再読。       * * * * *  田沼バブル経済と定信緊縮財政。真逆の政治体制に翻弄される江戸が舞台です。  そして主人公は、深川で損料屋を営む元同心の喜八郎という男。この喜八郎が実に魅力的。  損料屋の規模は小さいものの、優れた洞察力と抜群の経営センスで大店の札差たちと互角以上に渡り合い、真っ当に生きる江戸の庶民たちの暮らしを守ろうとする喜八郎が、なんとも粋でカッコイイ。  やはり何度読んでもおもしろい! シリーズ化が納得できるほどの出来栄えで、一力節の本領が存分に発揮された名作です。

Posted byブクログ

2021/09/11

山本周五郎、藤沢周平に続く凛とした時代小説の作家だと思う。 「万両駕籠」「騙り御前」「いわし祝言」「吹かずとも」 と連作長編。 江戸時代にはいろいろな職業があった。損料屋とは庶民に鍋釜ふとんをわずかなお金で貸すなりわい。侍だった喜八郎の仮の姿、転職組み。このキャラクター、ス...

山本周五郎、藤沢周平に続く凛とした時代小説の作家だと思う。 「万両駕籠」「騙り御前」「いわし祝言」「吹かずとも」 と連作長編。 江戸時代にはいろいろな職業があった。損料屋とは庶民に鍋釜ふとんをわずかなお金で貸すなりわい。侍だった喜八郎の仮の姿、転職組み。このキャラクター、ストイック。紺木綿の薄着で素足、背筋が通っている。目に力、かすれ声、若い。 その喜八郎が奉行所を辞めて損料屋になるについてのいきさつからこ憎い面白さ。役人の保身はいつの時代でもあるのだなー。ってあたりまえかな。 田沼時代のバブル崩壊後、札差という金貸し業が上に取り入り陰であくどくかせぎ、のさばるのを彼がある方法で、あくまでも冷静に底深く抵抗しくいとどめる。それが痛快である、あこがれるのである。 また全編、風雪雨季節のかおりがただよっている。それがうるさくないほどに。 江戸時代の経済のしくみが分かるし、お金にまつわるバブル後の現代に通じる話になっている。剣劇はことさらない、浮いた話もないが文章がうまくて、構成が凝っていてなかなか面白い。 山本一力 1948年生まれ。「あかね空」で126回直木賞。 うーむ、はまるかもしれない。

Posted byブクログ

2021/07/05

読み応えありました。3作目があっさりだったので、それが作風かと思いきや。 前シリーズ読みたくなりました。主人公ちょっと堅過ぎだと思いません?

Posted byブクログ

2021/06/20

「損料屋」(日用品のレンタルショップ)とあるが、主人公・喜八郎が損料屋を営むシーンはない。あくまでも損料屋は表向きの姿であり、実際は過去に世話になった元上司で北町奉行所与力・秋山久蔵と札差〈米屋〉のために探索、推理、そして『始末』を着ける、裏で動く仕事人のような感じ。 第一話で...

「損料屋」(日用品のレンタルショップ)とあるが、主人公・喜八郎が損料屋を営むシーンはない。あくまでも損料屋は表向きの姿であり、実際は過去に世話になった元上司で北町奉行所与力・秋山久蔵と札差〈米屋〉のために探索、推理、そして『始末』を着ける、裏で動く仕事人のような感じ。 第一話では〈米屋〉を先代から引き継いだ若主人・政八が店を畳むと言う。ご時世もあるが元々商売下手なようだ。中でも同業者〈伊勢屋〉には手酷い思いをさせられているようで、どうせ畳むなら〈伊勢屋〉に一杯食わせる形で…とい喜八郎の図らしい。だが結果はちょっと違っていて。 第二話ではその〈伊勢屋〉が〈米屋〉に意趣返しとばかりに大掛かりな騙りを仕掛ける。〈米屋〉主人の政八は典型的な坊っちゃん主人。自分の裁量がないのは棚にあげて喜八郎を見下すし、ちょっと持ち上げれば思い通りに動いてくれるし。あのまま店を畳んでいれば良かったのに…と思うが、結末はさて。 第三話は料理屋〈江戸屋〉の板長・清次郎を巡ってのまたまた騙りの事件。〈江戸屋〉の女将・秀弥は喜八郎を慕っているのがアリアリで喜八郎もまんざらじゃなさそうなのに何故か進まない二人の仲。いつも手助けしてくれる〈江戸屋〉への恩返しは上手くいくのか。そしてこの話になると〈伊勢屋〉=悪徳業者という設定が変わってくる。 第四話は〈伊勢屋〉に借金をしている〈笠倉屋〉がいよいよ首が回らなくなって最後の手段と〈伊勢屋〉にある仕掛けをしようと企む。しかし〈笠倉屋〉もまた小者というか、窮地に追い込まれた故に盲目になってしまったというか。 物語の背景にあるのは札差と武家の良くも悪くも切れない縁と、武家の借金を棒引きする「棄捐令」。 札差業者の栄枯盛衰を見ているとバブルがはじけた直後の日本を見ているようだし、「棄捐令」で混乱する経済状況を見ると行き当たりばったりの政策に頼らざるを得ない今の社会のよう。 与力・秋山も良かれと思って「棄捐令」を進言したのであり、実際に実行された当初は武士仲間に感謝されたのに、結果的にはそれが札差連中だけでなく武士の首を締めることになった。 札差連中=強欲で悪徳業者だから潰してしまえ、という簡単な図ではない。そこがこの物語を複雑に面白くしている。 チーム喜八郎も頭の回る連中から体が先に動く連中まで様々いて個性的。喜八郎が頭から荒事から何でも出来ちゃうのがやり過ぎな感もあるが危ない仕事をしているのだから仕方ないか。 冒頭は取っつきにくい感じのあった文章も段々慣れてきた。まだキャラクターは硬い感じがするがシリーズが進むに連れて魅力的になっていくだろうか。

Posted byブクログ