コンプレックス の商品レビュー
かなり噛み砕いて書いてあり、様々な事例とともに紹介されているため、とても分かりやすい。 コンプレックスとはマイナスの要素だけでない。それを乗り越えた先に人格の発展があると考えれば、かなり救われるものがある。 (人間の心の中は無意識の領域がかなり大きくあると考えられるが、それらを...
かなり噛み砕いて書いてあり、様々な事例とともに紹介されているため、とても分かりやすい。 コンプレックスとはマイナスの要素だけでない。それを乗り越えた先に人格の発展があると考えれば、かなり救われるものがある。 (人間の心の中は無意識の領域がかなり大きくあると考えられるが、それらをいちいち意識していたら正常な意識、思考など保てないだろう。意識的な自我をメインとして据えながらも、それらを補うものとして無意識領域があり、その中で何らかの感情によって結合されている心的内容の集まりがコンプレックス(複合体)である。) 自我を自分で作り上げること、自分自身を冷静に見つめることが日本人は苦手である。ゆえに自我が弱くなり、コンプレックスに飲み込まれやすいのだろう。コンプレックスによる精神症の解消のためには、自分自身を見つめ自我を強くするか、コンプレックスを受け入れて自我に統合していくかの作業が必要。 私は母親が好きだが、昔から外出先では些細なことで母親の粗が見えてしまうことが多かった。家では結構べったりだったのだが、外では嫌な面が目につき冷たくしてしまい、後でそんな態度を反省するということが多々あった。今思うと、これもコンプレックスなのだろう。母親が好きで、一緒にいたいと思う反面、自立しなければという気持ちも働いている。親からうまく自立できなかったために、こういった態度を取ってしまうのだろうか。
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コンプレックスとは、無意識にある感情を伴った心的複合体で、意識・自我に様々な影響を及ぼす。それは個人の経験や外的環境に左右されており、自我と対をなし、抑圧されたり暴走したりする。意識されない領域が存在するということ、一定の統一により安定している自我に対し、影としてあるコンプレック...
コンプレックスとは、無意識にある感情を伴った心的複合体で、意識・自我に様々な影響を及ぼす。それは個人の経験や外的環境に左右されており、自我と対をなし、抑圧されたり暴走したりする。意識されない領域が存在するということ、一定の統一により安定している自我に対し、影としてあるコンプレックスを意識し統合することで、より高次元の自己実現を促す構造は、人の成長にとって重要。人が成長する過程で親や性別は条件として存在しているし、地母などの元型・普遍的無意識についても、人間という根本的な構造がある限り、普遍的に共通する何かがある、という考察はその通りだと思う。
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めちゃくちゃ面白い。心理学専攻だったのに河合先生の本は初めて読みました。 コンプレックスとは無意識下に存在しており何らかのきっかけで自我に影響を与える。もう1人の自分と言っても過言ではない。 コンプレックスは必ずしも悪ではなく、自我とうまく統合することができたら、今までよりもっ...
めちゃくちゃ面白い。心理学専攻だったのに河合先生の本は初めて読みました。 コンプレックスとは無意識下に存在しており何らかのきっかけで自我に影響を与える。もう1人の自分と言っても過言ではない。 コンプレックスは必ずしも悪ではなく、自我とうまく統合することができたら、今までよりもっと自我は成長する…。 言葉が難しくなくてわかりやすく、都度患者さんの事例が出てくるので面白くてどんどん読んでしまう。夢の事例がとても面白くて、これから自分も夢を見た時に分析したいなと思った。 コンプレックスは悪だと思っていて、解消されないものだとも思っていたが、自分で苦しみながらも受け入れることができれば少しずつなくなっていくかもしれない。 多分わたしは多くのコンプレックスが入り混じっている。紐解いていけるようになりたい。
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その後の心理学の発展のために、またその後の社会のあり方の変容のために、内容が古くなってしまっているところも多いのだが、それでもこの本が今なお臨床心理学の名著として輝きを放つのは、河合先生の臨床心理の専門家としての矜持、クライアントに対する真摯な姿勢と暖かい眼差しが随所にちりばめら...
その後の心理学の発展のために、またその後の社会のあり方の変容のために、内容が古くなってしまっているところも多いのだが、それでもこの本が今なお臨床心理学の名著として輝きを放つのは、河合先生の臨床心理の専門家としての矜持、クライアントに対する真摯な姿勢と暖かい眼差しが随所にちりばめられているからなのだと思う。励まされる内容がとても多かった。折りに触れて読み返していきたい。
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先日、長らく外見で悩んでいたコンプレックスの一つが解決に向かう出来事があった。その時、コンプレックスの解消がここまで心を軽くするものかと感動し、同時に、他のコンプレックスも解消していけば人生はもっと快適になるのではと考えた。 そこで、そもそもコンプレックスって何だっけを知りたく手...
先日、長らく外見で悩んでいたコンプレックスの一つが解決に向かう出来事があった。その時、コンプレックスの解消がここまで心を軽くするものかと感動し、同時に、他のコンプレックスも解消していけば人生はもっと快適になるのではと考えた。 そこで、そもそもコンプレックスって何だっけを知りたく手に取った一冊。 コンプレックスの定義等は本書参照だが、自分の中でも抱えていた内面のコンプレックスを考えるいい機会になった。家族との関係性、結婚に対する束縛感、苦手な同僚に対する嫌悪感と言ったものがどこから来ていたのか。 最終章の元型の話はあまり理解出来無かったが、全体通して、本を置きながら自問自答出来る良書だと思う。
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15年ぶりくらいに再読。ふたたびの感動。 91pから始まる船と船長に例えてコンプレックスを説明するくだり。 そして78pの、自分の本当の感情に気がついた時の描写は何度読んでも素晴らしい。
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無意識に認めたくない劣等感を持っている状態をコンプレックスと呼び、劣等であってもそれを認められていればコンプレックスとは言わない。 その様々なコンプレックスの形についての解説。それを打ち破る為には、大きな犠牲、破壊的な局面を乗り越えなくてはならない場合がある。 『仲間が集ってソフ...
無意識に認めたくない劣等感を持っている状態をコンプレックスと呼び、劣等であってもそれを認められていればコンプレックスとは言わない。 その様々なコンプレックスの形についての解説。それを打ち破る為には、大きな犠牲、破壊的な局面を乗り越えなくてはならない場合がある。 『仲間が集ってソフトボールをしようというとき、「僕は下手だから」というので応援にまわったり、ボールひろいをしたりして楽しく共に時間をすごす人は、ソフトボールについて「劣等」であり、それを認識しているが、劣等感コンプレックスをもっていない。この場合、下手なくせに無理にピッチャーになりたがったり、失敗したことで何時までもぶつぶついったりする人の方が、むしろコンプレックスをもっているといえる。つまり、この人達は劣等であることを認めていないのである。』p58
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河合隼雄先生の本は読んでみたいと思っていて、ようやく読んだ初めての一冊。 さぞかしお話の上手な方だったのだろうなぁと思いました。古い本だけど、古さを感じさせない。とても面白くて、分かりやすくかった。
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コンプレックスというと、ネガティブなイメージを抱きがちだが、本書を読むことによって、ポジティブな面もあるということを知った。 また、私たちは日頃他人の行動を評してコンプレックスから来てるだのなんだの言いがちだが、コンプレックス自体はそんなに単純なものではなく、複雑な要因からきてい...
コンプレックスというと、ネガティブなイメージを抱きがちだが、本書を読むことによって、ポジティブな面もあるということを知った。 また、私たちは日頃他人の行動を評してコンプレックスから来てるだのなんだの言いがちだが、コンプレックス自体はそんなに単純なものではなく、複雑な要因からきているものであるということを知った。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
コンプレックスとは何か?について、一歩踏み込んだ考察が書かれている本。人間誰しも持っているコンプレックスが、家族や人生、思考にどのように絡んでいるのか、どこにその源泉があるのか、、どのように解消していくのか、がよく分かると思います。 若干、言い回しや文言が専門的なため読みにくいと感じるものもあるし、一読では頭に入ってこないところもあるけれど、それほどコンプレックスというものが複雑で多層構造を持っていることの裏返しでもある。 コンプレックスを船・船長・交渉係にたとえてる部分は秀逸。コンプレックスの動きがよく分かりました。
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