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「わかる」とは何か の商品レビュー

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16件のお客様レビュー

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2021/09/18

 本書は、同じ「わかる」についての書物の中でも、特に科学/技術を「わかる」という観点から説いたもの。著者いわく、本書のもととなる文章は「科学における説明と理解」といってよいものだった。つまり「科学技術が社会に正しく理解されるためにはどのようなことを科学技術に従事する者が注意しなけ...

 本書は、同じ「わかる」についての書物の中でも、特に科学/技術を「わかる」という観点から説いたもの。著者いわく、本書のもととなる文章は「科学における説明と理解」といってよいものだった。つまり「科学技術が社会に正しく理解されるためにはどのようなことを科学技術に従事する者が注意しなければならないか」ということについて論じている。したがって、対象(この場合科学)がはっきりしている場合の「わかる」についての論であるという点が、これまでの「わかる」に関する書籍と性質を異にする。  「わかる」ための技術はどこかのタイミングで、一般的な技術論から、対象ごとに固有の技術論を磨く段階に入るものと思う。これは、世の中にあるものすべてを対象とするということを意味するので、とても極めつくせるものではないが、現代を生きていく上で「何をわかるべきか」を先に考えると、だいぶ絞られてくる。こうして絞った中で、科学/技術という対象は、間違いなく優先度の高いものであり、この点で本書の意義は極めて大きい。 はじめに 1 社会と科学技術 2 科学的説明とは 3 推論の不完全性 4 言葉を理解する 5 文章は危うさをもつ 6 科学技術が社会の信頼を得るために おわりに

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2021/01/28

著者は「わかった!」と「理解できた」には感覚としての本質的な違いがあると述べる。「わかった!」は、対象となる内容に関連する知識はもちつつも、その知識だけでは解釈しきれなかった際に、何かしらのヒントを得た結果、完全に解釈できたという状態。一方の「理解できた」は、これまで知らなかった...

著者は「わかった!」と「理解できた」には感覚としての本質的な違いがあると述べる。「わかった!」は、対象となる内容に関連する知識はもちつつも、その知識だけでは解釈しきれなかった際に、何かしらのヒントを得た結果、完全に解釈できたという状態。一方の「理解できた」は、これまで知らなかった知識を与えられて、それが論理的に自分のもっている知識と整合的であるという場合である。

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2017/02/13

科学とはなにか、説明とはいったいどんな営みか。科学は社会に対して説明責任を果たさねばならない。そのためにわかりやすく、伝えることが重要だ、という内容。

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2017/01/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2001年刊。著者は京都大学工学部教授・総長。本書はタイトルから想起される認知心理学の書でなく、世上に流通流布する「説明」(ロジック)の理解に必要な要素を解説。テーマは様々だが①演繹・帰納といった推論過程、②推論過程を可及的に短くし得る方法如何(⇒一義的方法は無く場面により違う)、③客観的推論の具体的内容、④推論の道具たる言語、語や文章解釈の方法論、⑤科学の社会的認知の方法等々。面白いが、広範囲すぎるため内容が散漫になっている気がしないではない。なお著者は多分、コンピュータ・人工知能等情報工学の専門家か。

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2016/05/13

科学的説明や日常の推論などを例に取り上げながら、「わかる」とは何かというテーマについて解説している本です。 ロジカル・シンキングとやや重なる内容ですが、認知科学や情報科学などの観点が取り入れられ、もう少し広い視点からの考察がおこなわれているのが特徴と言えそうです。

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2016/05/03

何をもってすれば、わかるようになるのか、わかってもらえるかが分かる。自分の知識、経験、感覚に照らして理解することで、納得できるようになる。教えてもらったことを再構成し、人に伝えてみるのも大事。科学技術のあり方についてだけではなく、共存する考え方についても言及あり。

Posted byブクログ

2016/04/10

ざっと眺めた。 認知科学的な「わかる」という現象について述べたというよりも、科学的な理解とは何か、科学によって説明することについて論じている。 期待していた内容とタイトルが違った…。 科学観についてを読みたい人には良いと思う。

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2013/10/21

「わかる」ということについて、脳科学的な認識を解説するものではなくて、科学技術の構造や理解を認識して、どのように付き合っていくべきかを前提に解説されている。 「わかる」には、第一のレベルとして、言葉の範囲で理解すること、第二のレベルとして、文が述べている対象世界との関係で理解す...

「わかる」ということについて、脳科学的な認識を解説するものではなくて、科学技術の構造や理解を認識して、どのように付き合っていくべきかを前提に解説されている。 「わかる」には、第一のレベルとして、言葉の範囲で理解すること、第二のレベルとして、文が述べている対象世界との関係で理解すること、第三のレベルとして、自分の知識と経験、感覚に照らして理解すること(いわゆる身体でわかる)というレベルを設定することが必要としている。 論理学的な解説や、言葉に対する構造的な仮説もあり、興味深く読めた。 『「わかった!」というのは、知識を得たのではなく、自分のもっている知識によって、ある状況が解釈できたという場合である。そのような場合には、与えられたヒント以上にくわしく理由を説明してもらう必要はまったくなく、自分の頭のなかに説明の道すじが明瞭に浮かび上がっているのである。』 「わかる」主体としての経験って大切だな。 ---------------- 【内容(「BOOK」データベースより)】 私たちはどんなときに「わかった!」と言うのだろうか。言葉、文章、科学的内容、気分…。いったい「何が」わかるのか。わかるには、何が必要で、どんなステップを踏むのか。IT、クローンなど、生活の中につぎつぎと押し寄せてくる科学技術を題材に、科学的説明のしくみや困難点、さらに社会的受容の道すじを考える。 ---------------- 【目次】 1 社会と科学技術 2 科学的説明とは 3 推論の不完全性 4 言葉を理解する 5 文章は危うさをもつ 6 科学技術が社会の信頼を得るために ----------------

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2012/12/29

著者の名前をどこかで聞いたことがあると思ったら前国立国会図書館長だった。科学技術を理解し「わかる」ことを目的に、具体例を用いながら論理と推論の方法を説明する本。本の雰囲気は理科系の作文技術と似ていて、科学技術の説明をいかに論理的に、簡潔に、わかりやすく伝えるかを重要視している。出...

著者の名前をどこかで聞いたことがあると思ったら前国立国会図書館長だった。科学技術を理解し「わかる」ことを目的に、具体例を用いながら論理と推論の方法を説明する本。本の雰囲気は理科系の作文技術と似ていて、科学技術の説明をいかに論理的に、簡潔に、わかりやすく伝えるかを重要視している。出版されたのは2001年だが、すでに原発問題をはじめあらゆる科学技術の崩壊と衰退を危惧していた。残念なことに事故が現実となってしまったいま、改めて科学技術と向き合うべくこの本を読むべきだと思う。

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2012/05/12

図書館より。 まえがきで科学技術の話が出てきたので、読めるかどうか不安だったのですが、科学技術についてそこまで言及しているわけでもなくさまざまな説明や、定義付け、あいまいな文のことなど文章に関しての話が多かったので思ったよりも理解しやすかったです。 理解するとわかるの微妙な違い...

図書館より。 まえがきで科学技術の話が出てきたので、読めるかどうか不安だったのですが、科学技術についてそこまで言及しているわけでもなくさまざまな説明や、定義付け、あいまいな文のことなど文章に関しての話が多かったので思ったよりも理解しやすかったです。 理解するとわかるの微妙な違いや、一言にわからないといっても「なぜわからない」のかをいろいろと挙げてくれたりと、自分が何かをわかろうとするとき少し意識してみようと思えるものもいろいろありました。 そして原発の危険性についても例として少し触れられていたのも印象的でした。わかっている人にはその危険性が分かっていたのに、自分はつい最近まで考えもしなかったなあ……

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