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歴史とは何か の商品レビュー

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108件のお客様レビュー

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2024/07/09

1962年に第1刷が発行された本です。 私が手にしたのは2022年6月発行の第93刷でした。 過去の事実を集めただけでは歴史にならないこと。 「歴史とは歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、過去と現在の間の尽きることを知らぬ対話であります。」という第1章の最後の言葉が一...

1962年に第1刷が発行された本です。 私が手にしたのは2022年6月発行の第93刷でした。 過去の事実を集めただけでは歴史にならないこと。 「歴史とは歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、過去と現在の間の尽きることを知らぬ対話であります。」という第1章の最後の言葉が一番よくこの本を表していると思いました。 また、歴史の研究方法は、実験ができないという違いはありますが、私が思っていたよりもずっと自然科学の研究方法に近いことを知りました。

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2024/05/06

大学の講義にて本書の内容が複数引用されていたため、本書に興味を持った。 歴史とは過去との絶え間ない対話の過程であり、それを行う歴史家は、現代の中を生きる個人であるため、社会、文化的影響を受けている。だから歴史を研究するときは、まず歴史家自身を研究する必要があると本書から学んだ。...

大学の講義にて本書の内容が複数引用されていたため、本書に興味を持った。 歴史とは過去との絶え間ない対話の過程であり、それを行う歴史家は、現代の中を生きる個人であるため、社会、文化的影響を受けている。だから歴史を研究するときは、まず歴史家自身を研究する必要があると本書から学んだ。 歴史研究において、事実を重視し過ぎると、無味乾燥な歴史ができあがり、解釈を重視し過ぎると、懐疑主義やプラグマティズムに陥る。その間で両立が必要だと学んだ。 現在にも通じる歴史観がここにある。

Posted byブクログ

2024/04/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

どのような歴史を紡ぐのかは歴史家次第であり、歴史を把握する上で、歴史家の背景を考慮しなければならないことは、いかなる時代にも当てはまる普遍的な喝破であると感じた。しかし進歩の概念については、やはりカーが社会主義者であったことが関わっているのか、今の常識には当てはまらないように感じられ、新鮮でもあった。

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2023/12/18

現代史の扱いは難しい。何故なら出来事に利害や未練を有する人たちがまだいるからである。 歴史を決定論として捉える説、偶然の連鎖として捉える説がある。いずれにせよ歴史家康とは因果経過を選択し価値観に基づき体系化する。 過去に対する建設的意見を持たぬ者は、神秘主義かニヒリズムに陥いる。...

現代史の扱いは難しい。何故なら出来事に利害や未練を有する人たちがまだいるからである。 歴史を決定論として捉える説、偶然の連鎖として捉える説がある。いずれにせよ歴史家康とは因果経過を選択し価値観に基づき体系化する。 過去に対する建設的意見を持たぬ者は、神秘主義かニヒリズムに陥いる。 進歩史観は幻想である。唯一の絶対者は変化である。優れた歴史家は狭い視野を乗り越え、未来から過去を深く洞察する。 歴史家は勝利を占めた諸力を前面に押し出し、これに敗れた諸力を背後に押し退けることによって、現存の秩序に不可避性という外観を与えるものである。

Posted byブクログ

2023/07/31

歴史とは、過去から続いて未来へ向かう時間の動的な動きの中で、ある目的に関連し且つ重要と思われる出来事を前後の関係性と共に並べた物であり、すべての事実が歴史になるわけではなく、また無闇に抜き出した事実が歴史になるわけでもない、というのが本書の主旨だと思うが、いやー、冗長。 この講演...

歴史とは、過去から続いて未来へ向かう時間の動的な動きの中で、ある目的に関連し且つ重要と思われる出来事を前後の関係性と共に並べた物であり、すべての事実が歴史になるわけではなく、また無闇に抜き出した事実が歴史になるわけでもない、というのが本書の主旨だと思うが、いやー、冗長。 この講演がなされた時は新奇な発想であり、劃期的な発見であったのかも知れないが、現代を生きる人には正直「何を今更」という感想しか湧かないと思う。 その内容を個別個別の歴史家や神学者、哲学者を挙げて甲はこういった、乙はこういった、丁はこいった、と挙げていって、批判するのかと思ったら、しない。いや、もしかしたら原文ではもっとはっきり批判しているのかも知れないが、少なくともこの訳本はすごくらわかりにくい、個人的に。そのため、読んでいて「私はトマトがすきであるが、甲は嫌いと言っていた。乙はトマトの赤がきになるようだ。丁は……」みたいなどうでもよい紹介文が延々続くようにしか思えず、大層疲れた。 興味深い話もあるにはある。個人的には第四章が面白かった。そのほかの章にもところどころおもしろい話はあったが、割合的にはそうでもない。そもそも英国人のアイロニーみたいなのも期待していたが、翻訳の時点で削がれたか、原文になかったか、自分が気付かなかったのか、みつけられなかった。 概して、名著として学校の授業でも紹介されたその理由がよくわからない。学校の先生、特に歴史の先生は読んだことあるのだろうか。

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2023/05/28

歴史とは、歴史家と事実との相互作用の不断の過程であると説く本。 今の歴史観は今の社会感を反映している。現代文の問題っぽい。

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2023/04/28

20世紀のイギリスを代表する歴史家の1人であるE・H・カー氏が1961年の1月~3月にかけてケンブリッジ大学で行った連続講義「歴史とはなにか」が書籍になったものです。本書を読んだ私の理解は、一貫して「相対性」「相互性」が強調されていることかなと思いました。例えば過去と現在、未来の...

20世紀のイギリスを代表する歴史家の1人であるE・H・カー氏が1961年の1月~3月にかけてケンブリッジ大学で行った連続講義「歴史とはなにか」が書籍になったものです。本書を読んだ私の理解は、一貫して「相対性」「相互性」が強調されていることかなと思いました。例えば過去と現在、未来の相対性。個人と社会の相互性などです。また歴史を語る歴史家自身も、少なからず自分の生活している環境に影響を受けているので、純粋に客観的な存在としての歴史家など存在していない、と断言しています。絶対的な存在としての歴史家はいない。「まず歴史家を研究せよ」というのは非常に重要なメッセージだと思います。彼はどんな時代のどんな国で育った人間なのか、その時代はどんな価値観が重視されていたのか、などの背景情報です。歴史を専門的に勉強していないと難解な箇所もありますが(特に19世紀、20世紀の歴史家の名前と思想がたくさん出てくるのでなじみがない)、全般的には普通のビジネスマンでも教養として読めるのではないかと思います。時間をあけてもう1度読むとさらに味わいが出るような本だと思います。

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2023/01/15

ここに書かれている内容が歴史を勉強するうえで大事なのはなんとなく分かりますが、自分がまだそのレベルにいきついていないこともはっきりしました。 結果的に読破するまでには至りませんでした。 これからも歴史関係の本を中心に多くの本を読み、再度この本の読破に挑戦したいですし、読破するだけ...

ここに書かれている内容が歴史を勉強するうえで大事なのはなんとなく分かりますが、自分がまだそのレベルにいきついていないこともはっきりしました。 結果的に読破するまでには至りませんでした。 これからも歴史関係の本を中心に多くの本を読み、再度この本の読破に挑戦したいですし、読破するだけでなくより多くのものをこの本から吸収したいです。

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2022/10/10

はしがきで「歴史とは現在と過去との対話である」というフレーズが登場するが、繰り返し述べられるこの一文に本書の大部分が表されていると思う。 ここでいう「歴史」とは過去に起こった事象そのものではなく、「歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程」と著者は定義している。 私たちが学校や書...

はしがきで「歴史とは現在と過去との対話である」というフレーズが登場するが、繰り返し述べられるこの一文に本書の大部分が表されていると思う。 ここでいう「歴史」とは過去に起こった事象そのものではなく、「歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程」と著者は定義している。 私たちが学校や書物で学んだ歴史は、歴史家の主観が多大に影響しており、「歴史的事実」と言われるものでさえ「解釈の問題に依存する」のだという。 これの意味するところを考えてみると、もし歴史における客観的事実を知りたいのであれば、過去に行われた歴史家の解釈に挑む、つまり対等な立場で対話するくらいの心構えで向き合わないと真の歴史の姿は見えてきませんよ、ということなのだと理解した。 述べられていることは全くもって正論なんだけど、日常を生きるのに忙しい庶民にとってみると、歴史に触れる際に常にこのようなスタンスで向き合わないといけないというのはなかなか難しいのではなかろうか。なので頭の片隅に入れておく、ぐらいの受け止め方がちょうどいいのかもしれない。 やはりある程度信頼できる人物が補助線を引いてあげる必要があるのだろうけど、カルトのように悪意を持って偽史をばらまく輩もいるからなかなか難しいところではある。

Posted byブクログ

2022/02/02

p218 ただし、史料はうそをつく、というのが歴史家の常識だ。つまり、人間というものは、自分の経験を書くとき、必ず個人の好みが入る。自分の感覚が受けた印象に、これはこういう事件だ、という物語を与えて理解する段階で、その物語の筋書の選択に、個人の好みが働くのだ。これは、個性による偏...

p218 ただし、史料はうそをつく、というのが歴史家の常識だ。つまり、人間というものは、自分の経験を書くとき、必ず個人の好みが入る。自分の感覚が受けた印象に、これはこういう事件だ、という物語を与えて理解する段階で、その物語の筋書の選択に、個人の好みが働くのだ。これは、個性による偏向である場合もあるし、その人が属している文化や社会で受け入れやすい筋書きである場合もある。

Posted byブクログ