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組織戦略の考え方 の商品レビュー

4.1

102件のお客様レビュー

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2024/04/24

一橋大学で名誉教授を務める著者による「日本企業の組織デザインの改善」をテーマとした本。 著者は経営組織論・経営戦略論のスペシャリストであり、本書は経営組織論の内容に寄っている。 本書は著者が自ら冒頭で述べている通り、実用的な内容となっている。「自分が経営するとすればどうするべき...

一橋大学で名誉教授を務める著者による「日本企業の組織デザインの改善」をテーマとした本。 著者は経営組織論・経営戦略論のスペシャリストであり、本書は経営組織論の内容に寄っている。 本書は著者が自ら冒頭で述べている通り、実用的な内容となっている。「自分が経営するとすればどうするべきか?」という視点を持ちながら読めるのが特徴的で、そこが本書の優れた点だと感じた。 日本企業の一般的な問題点を挙げ、その原因を分析し、有効なソリューションを紹介・解説する形で書かれている。 この問題点補足の精度が高く、個人的にはいままで感じていた問題が「なぜ起こるのか?」の解像度が上がった。 テーマは組織デザイン、人事制度、決断力不足、社内権力の種類、組織腐敗のメカニズムと多岐にわたる。 特に興味深かったのは、「ある問題を解決するためには誰かがコストを負担する必要があるが、それを解決することによる利益は多くのメンバーが受けられるので、誰も積極的にコストを負担しなくなる」というフリーライド問題についてだった。 これを解決するための策として、著者は「かなり少数の人々をコア人材として選別し、その少数のエリート社員が周りの社員にフリーライドされても平気でいられるくらい大幅に高い賃金を獲得し、強い権限を発揮できるようにすること、また自分がかなり確実に会社のトップ層へと登り詰めていくという意識を早い段階から植え付けること」が有効だとする。 確かにこれは欧米でも主流の方法で、一定の成果を発揮できると考える。 ただし、この施策はエリート/ノンエリートの乖離を大きくして対立を強めるものである。だから、この間を取り持ち、当たり前のことを当たり前にやれる中間層の重要性が増す。 しかし、エリート層に金銭・昇進のインセンティブは充ててしまうので、彼らに報酬や昇進で十分に還元することはできない。故にそれに代わる報酬を開発しなければならない。 この報酬のひとつとして著者が挙げているのが、「彼らの働きを褒め、感謝を伝えることで承認・尊厳欲求を満たしてあげること」である。この感情が満たされれば人は頑張れる。 他にも興味深い内容が幾つもあり、実用的なので参考になった。良書。

Posted byブクログ

2024/02/13

職場同僚の推薦図書として読んだ。 第2部 組織の疲労 第7章 トラの権力、キツネの権力、第3部 組織の腐り方 第9章 組織腐敗のメカニズム、 が、自分の勤める会社が観察されてたのか、と思うぐらい、グサグサ来た。著者は学者一筋の筈なのに、随分とフィールドワークを熟して来たのだろう...

職場同僚の推薦図書として読んだ。 第2部 組織の疲労 第7章 トラの権力、キツネの権力、第3部 組織の腐り方 第9章 組織腐敗のメカニズム、 が、自分の勤める会社が観察されてたのか、と思うぐらい、グサグサ来た。著者は学者一筋の筈なのに、随分とフィールドワークを熟して来たのだろう。 特に、「宦官vs武闘派」で、外向きにリスクを取って勝負している武闘派が、安全地帯から批評を述べるだけの宦官に屈するパスを解説する箇所は、当たっているだけに恐怖を感じた。(自分の仕事は、ここでいう宦官にかなり近いのでは?と。。) あと、マトリクス型組織を、ミドルに権限ではなく「悩み」を委譲する形態、と断じる分析が秀逸だった。(P73-76) 組織は生き物であり、破壊と創造、新陳代謝を絶え間なく続けて行かない限り腐敗していくものだ、と肝に銘じたい。

Posted byブクログ

2023/01/29

意外と読みやすかった。日本人が書く本は読みやすいね。 3時間弱で読了。 腐っている組織の特徴が前職や前職の時の自分を言っているようでグサッときた。自分を振り返って健全な状態なのかを考えたい。

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2022/04/10

斬新さはないが、サラリーマンからすると、なるほどと思える内部が多かった。 学者の立場ながら、企業内部のこうした事情に精通できている点が興味深い。

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2022/04/02

全般的に読みやすい。 あー、なるほどなーという事実と解釈が書かれており理解しやすい。 自分の会社に例えるとなお頭に入ってきやすいかと思う。 62-64 組織は仕事の邪魔はできても、自動的に仕事を処理してくれるわけではない 組織変革でいい人がすぐに出てくると勘違いしている 組織変...

全般的に読みやすい。 あー、なるほどなーという事実と解釈が書かれており理解しやすい。 自分の会社に例えるとなお頭に入ってきやすいかと思う。 62-64 組織は仕事の邪魔はできても、自動的に仕事を処理してくれるわけではない 組織変革でいい人がすぐに出てくると勘違いしている 組織変更後に実るのは数年後でしかない 82 マズローの欲求階層説 人は自己実現よりも承認欲求が潜在的にある。 カネもポストもあげれなくても、褒めることが大事 平等感という意味がわからないものに縛られて、差をつけすぎないで、なにを満たすことができるのか 102 第5章 フリーライド(人の貢献に乗っかる人) コア人材の少数エリートに対して賃金格差を設けると、ノンエリートから社内野党が増えてくる なにも言わずに成果をあげる中間層にいかにして、生産性をあげつつ、仕事してもらうのか 139 第7章 トラの権力 キツネの権力 厄介者の存在。 顧客や上層部からのメッセンジャーとしての立ち位置を利用して、誇張表現する。 自分の立場を利用して、権力を行使する人、たしかにいる! 178,204 第9章、10章 組織腐敗は成熟化の部分が面白い。 優秀ゆえに効率化していき、同じ仕事をこなしていても暇になっていく。 その暇を潰すために無駄に指摘を増やし、無駄な仕事を増やす。 なるほどと思った。 また社内の雑談の質からも腐敗しているかわかるとのこと。 社内の内向きの話(誰それと誰それが仲が悪いだの)よりも、外向きの話(なぜあの事業は失敗したのか)という高質な雑談をしているかどうか。 なるほど、前職では内向きな話が最後は多いようであったと実感。

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2022/03/22

一橋大教授で経営戦略・経営組織・経営学方法論等を専門とする沼上幹の新書。現実的・本質的な実践を念頭に会社組織構成について基本的な考え方と、日本社会において起こりがちな組織腐敗の事例とその対処の基本的理論を紹介している。これを読むことで、一般的な組織構造の意義と、陥りがちなミスや腐...

一橋大教授で経営戦略・経営組織・経営学方法論等を専門とする沼上幹の新書。現実的・本質的な実践を念頭に会社組織構成について基本的な考え方と、日本社会において起こりがちな組織腐敗の事例とその対処の基本的理論を紹介している。これを読むことで、一般的な組織構造の意義と、陥りがちなミスや腐敗への対処法を学ぶことができる。また経営者側の立場に寄り添って組織戦略の考え方を書いているため、いち従業員の立場で読むと観点の違いをよく知ることができると思う。 一旦読んだが、咀嚼しきれていない。 「官僚制」は批判されるが、組織で価値を生み出すための基本構造であり、官僚制の腐敗は憎むべきだが、官僚制の基本的な構造自体は憎むべきでない、という立場で始まる組織戦略の考え方の一章や、それ以降のいくつかの議論は、当たり前だけど何故か誰も言わなくなってしまったことを再度述べている。基本を疎かにしてはいけないと感じる。 あと口が悪い。

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2022/03/03

事象が言語化されている、という意味において気付きもあったけれど、課題に対する改善方法に膝を打つようなものが見つけられず、少しモヤモヤが残った。 自分にとっては、学問的な考察を学ぶよりも、現役の経営者の考え(判断基準や直観の用い方)を知る方が役立つと思った。

Posted byブクログ

2022/02/06

会社の同僚からの勧めで読みました。そうでなければ、手に取らなかったでしょう。社会に出て、会社に勤める中で、日々思う事が言語化されております。腑と落ちる、納得感がありました。

Posted byブクログ

2021/11/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

三品さんの経営戦略を問いなおすに続く、ちくま新書のロングセラー本。三品さんの本と異なり、連載がベースだったからか、本としてのまとまりは弱いけれど、組織を考えるためには必須の文献と言ってもいいのではないか。 まずは官僚制が組織の基本であるという点。得手して官僚制は唾棄されるべきものと扱われがちだが、官僚制がなければ、都度対応方法を考えなければならず、組織として大きな非効率が生ずる。官僚制により、実力者がルーティンに煩わされない状況を作ることこそ、組織論の第一歩なる。そして、組織設計上の工夫は、官僚制に付加する形で追加的に行われる。 事業部制の目的は、日常的に発生する問題の解決をすべて行えるだけの資源を事業部に与えて自律的にすることで、トップマネジメントが日常業務を離れて長期的なビジョンや経営課題に取り組む時間を得ることができる。一方で、現場=ルーチン、ミドル=例外処理、トップ=戦略とすると人が育たない。緩やかにオーバーラップさせることが必要。 ザ・ゴールにしたがって、ボトルネックを考えることは生産工程に留まらずあらゆる局面で有効。制約条件が何かを見極め、それを取り除くことが組織設計上も有効。 マズローの欲求階層説で重要なのは自己実現ではなく、承認尊厳。給料で答えられなくても、成果を認めること、感謝を示すことは必要。 後半はいかに組織が腐るかが論じられている。多くの兆候はあるものの、やはり議論が内向きになっているときは要注意で、資料の書き方がダメということが議論になっているような企業はやはり危険。そんなことを指摘する経営もどうかと思う。パワポがきれいすぎる会社はやはりダメ。もっと本質的なことを考えろということ。

Posted byブクログ

2021/10/15

フリーライダーのとこはおもしろかった。特に、フリーライドを上回るメリットを感じられれば、この問題は克服できるだろうなと思い、一次的にはWG、二次的には別の策を考えていかないとないと思った次第。

Posted byブクログ