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私は誰になっていくの? の商品レビュー

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15件のお客様レビュー

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2020/04/05

オーストラリア政府の首相・内閣省、第一次官補を務めた才女が若年性認知症となる。その初期症状、また患者本人からの視点で書かれている。優秀な女性でもあり書くこと、話すことの機能が比較的衰えなかったことからこの執筆が実現されたようである。また宗教との出会いも著者から後押しされたことがわ...

オーストラリア政府の首相・内閣省、第一次官補を務めた才女が若年性認知症となる。その初期症状、また患者本人からの視点で書かれている。優秀な女性でもあり書くこと、話すことの機能が比較的衰えなかったことからこの執筆が実現されたようである。また宗教との出会いも著者から後押しされたことがわかる。 本書は認知症を発症するまでの過程、キリスト教徒の出会いそして宗教がこの病に与える影響。後半は著者の第二の人生(再婚後)のことなどが書かれている。   個人的に感動したのは著者とキリスト教と出会い、その宗教の教えが認知症と診断された著者の心と体を支える軸となっているというところ。文章は読んでいて深く引き込まれ圧巻であった。宗教、信仰ということ、あるいはものの崇高さのようなものを感じた。 また再婚相手のポールも「痴呆症と診断された時、自分の人生に意味があるという思いと、今日から違う形の自分の人生を楽しんで行くんだと考える内側からの力がないと生きていけない」と語っている。 「精神性、心の平和を感じさせるものは何かということ。宗教に限らず、人によっては芸術、絵、歩くことでもあるでしょう。それに価するものがないまま痴呆になると大変な人生を送っていたであろうと言えるようなものです。 病に焦点を当てるのではく、人に焦点を当てることが大切です」と書いている。 ... なんだかすごい言葉です。 そして肉体は壊れても魂は残る...みたいなことも 全体として淡々と書かれており最初は違和感を感じながら読み進んだが、キリスト教の章は熱いものを感じてしまった。 『聖書』を読んでみようかと思ってしまった。 //追記 付録として「アルツハイマー症はどんな病か?」という章もありこちらも読み応えがあり、症状から薬のことまで書かれている。 一読の価値あり。すごい本だと思う。

Posted byブクログ

2016/03/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

若年性アルツハイマーの人の体験談。 認知症といえば、高齢者がなるものだから、若い時分には関係のないことだと思いがちになる。 記憶が失われ、当たり前にできることが失われていく。 著者は家族や宗教の支えがあったが、若年性認知症を抱えた人のいる家族にとって、その人ができることを支えることは容易じゃないはずなんだ。

Posted byブクログ

2015/06/14

誰かが「障害や病気は、その人にあるものではなくて、人と人の間にあるもの」って言ってた。その言葉にしっくり納得できるのがこの本。すべての人に尊敬の気持ちを持って接することの難しさを日々感じているけど、大切なことだなあと再確認しました。今日から実践。

Posted byブクログ

2013/11/13

直前に読んだ「私が壊れる時」同様アルツハイマー患者自身による本。私が〜は主体的かつ情緒的な描写が強かったけど、本書はより具体的で客観的。この二冊を読んで「ボケちゃえばわからないから幸せだよ」とは冗談でも言えなくなった。アルツハイマーは脳の病気であると言うシンプルな事実を再認識。後...

直前に読んだ「私が壊れる時」同様アルツハイマー患者自身による本。私が〜は主体的かつ情緒的な描写が強かったけど、本書はより具体的で客観的。この二冊を読んで「ボケちゃえばわからないから幸せだよ」とは冗談でも言えなくなった。アルツハイマーは脳の病気であると言うシンプルな事実を再認識。後半の信仰に関する描写は「死ぬ瞬間」でもそうだったように白人社会でのキリスト教のありようを浮かび上がらせる。きっとこの点に関して真の意味で理解できるのは自分も同じ信仰を持った時だけだろう。

Posted byブクログ

2013/05/21

認知症の内面世界を知るために、またとない貴重な著書。介護者、医療者の本は巷にあふれているのに、当事者の本は皆無という、厳しい現状があるからだ。 クリスチャンであることの重要性については、いまいちピンと来ないが、その本質をくみ取るように努めれば、得るものは大きい。 ・私たちは正...

認知症の内面世界を知るために、またとない貴重な著書。介護者、医療者の本は巷にあふれているのに、当事者の本は皆無という、厳しい現状があるからだ。 クリスチャンであることの重要性については、いまいちピンと来ないが、その本質をくみ取るように努めれば、得るものは大きい。 ・私たちは正気を失っているのではなく、病気なのである。 ・まさに患者たち一人ひとりの人格や個性こそが崩れつつあるのだ。 ・今の私はまるで昔の自分のスローモーション版だ、身体的にではなく精神的な意味で。 ・ガンや心臓発作でも恥ずかしいとは思わないのに、なぜ脳の中と言うだけで、ただ身体的に侵される病気をそんなに恥じるのだろうか。 ・どうか私たちを隠すのではなく、私たちを仲間に入れ、もう少しの間、生きる喜びを味わわせてください、あなたの記憶力、能力、そして忍耐力をもって。 ・またどこかでエイリアンになってしまう感覚。 ・辛抱強く接していただくこと、注意深く私たちの話に耳を傾けて頂くこと、ゆっくりと物事を進めること、私たちの介護に当たってくれている人たちをできるだけ助けてもらうことによって、私たちはもっと暮らしやすくなるだろう。 ・アルツハイマーがまだ人間社会に物珍しい病だから、不安や恐怖をかき立てる面もある。 ・難しいのはお年寄りが仕事やお金のことばかり考えている場合。本当の能力は魂です。それは消えてしまうものではない。 ・自分の人生に意義がある、という考えがなければ、認知症と診断されても、その日から、違う形の自分の人生を楽しんでいくんだと考える力がないと生きていけません。 ・囚人とアルツハイマーの人は似た存在です。社会的関係が無く、将来を恐れているけれども、自尊心がある。 ・病に焦点を当てるのではなく、人に焦点を当てることが大切です。 ・底なし沼に引き込まれる、暗い穴に落ちていく、何かが消えていく。

Posted byブクログ

2016/02/13

出版にいたる背景・著者は本を書ける人だった。(政府高官、高学歴、頭脳明晰、自分を語る。) 昔から語られていること、病者が作るのか、作った人が病者になるのか。今回は特異な例になるのだろうが、前者である。数年(十数年)前から記憶をなくすことがあるもの対象にした著作が、日本では話題に上...

出版にいたる背景・著者は本を書ける人だった。(政府高官、高学歴、頭脳明晰、自分を語る。) 昔から語られていること、病者が作るのか、作った人が病者になるのか。今回は特異な例になるのだろうが、前者である。数年(十数年)前から記憶をなくすことがあるもの対象にした著作が、日本では話題に上っていたと思う。社会的に認知が高まるという背景はあるが、経済的な意味も十分に含まれる。本書においても薬物が登場する。それほどにこの薬は効果的である。そして日本産である。著効例はいかほどあるのか?調べたことはないが、この分野の治療(=認知症=ボケの認知度)良い意味で高めた効果は間違いない。治療薬は今後続く。どんどん新しい薬が出てくる。そして、治療の有効例が多い中、私は症状のエンドポイント、治療の目標目的、意味を考える機会に恵まれた。脳に関しては失われた細胞は残念ながら元には戻らない。しかし、記憶がうしなわれるということは別な問題だ。また、新たに記憶=記録を作られるのか、ということも関連することであるが、記憶、記録、自己形成、自分らしさなどを考えると、それらの思考回路がなくなってしまうことは、自分がなくなる自己破壊となるように思いがちである。 しかし、ここからが本書を読んでいて得たことであるが、今までの獲得した思考、記憶などが失われたとしても変わらない思考が存在するのである。それは、愛という言葉に表されるのであろう。自分の愛する人たち事象は忘れ去られることはないのである。そしてそれを得るための手段(もっとも容易な)は神を信ずることである。 永遠普遍な不滅な万人に対しての愛である。信仰とは心を強いては生命を意義あるものとするものである(と思う。) 付録 アルツハイマー病とはどのような病気か アルツハイマー病の段階として説明があり。参考となる。 第1段軽度2年から4年 第2段中度2年から10年 第3段重度3年から タクリン

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2010/11/11

47歳の若さで、自分が自分であることさえもわからなくなってしまうアルツハイマー病。 3人の娘たちと話ができなくなってしまう前に、いつか慰めとなるようにと、症状を自覚できる中度までの初期段階の間に書かれたものです。だからこの本は、アルツハイマー病による認知症の症状を、当人の視点から...

47歳の若さで、自分が自分であることさえもわからなくなってしまうアルツハイマー病。 3人の娘たちと話ができなくなってしまう前に、いつか慰めとなるようにと、症状を自覚できる中度までの初期段階の間に書かれたものです。だからこの本は、アルツハイマー病による認知症の症状を、当人の視点から書いた貴重な本なのです。私たちが経験したことのない、認知症の方の世界をクリスティーンさんは教えてくれます。ぜひ読んでみてください。

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2010/06/25

認知症の方が書いた本。見えてる症状だけじゃなくて、患者さんの心に寄り添えるようなセラピストになりたいね。うん。

Posted byブクログ

2010/06/13

アルツハイマー病の方が書いた本。 アルツハイマー病になると、どんな感じなのか? 「絶壁に爪を立て、張り付いている感じ」 アルツハイマー病になった筆者の気持ちがとても伝わってくると思います。 また付録ではアルツハイマー病とはどのような病気かということがわかりやすく書かれ...

アルツハイマー病の方が書いた本。 アルツハイマー病になると、どんな感じなのか? 「絶壁に爪を立て、張り付いている感じ」 アルツハイマー病になった筆者の気持ちがとても伝わってくると思います。 また付録ではアルツハイマー病とはどのような病気かということがわかりやすく書かれているし、最後の方には小澤さんという方がこの本をうまくまとめているのでそちらを読むだけでもいいかと思いました。

Posted byブクログ

2009/12/29

介護する側の視点で描かれることの多い認知症の問題を、 認知症の人・本人が書いたエポックメイキングな著作。 認知症について学ぶものの必読の書。

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