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不倫と南米 の商品レビュー

3.7

59件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    23

  3. 3つ

    17

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    1

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2018/07/05

アルゼンチンを舞台にした短編集。 現在、自分がアルゼンチンに住んでいるからか、作者が感じたことがとても理解できる。 と言うか、自分がその場所で感じたことをうまく言葉にしてくれている感じ。 ほんの2週間ぐらいの取材なのにここまでうまく雰囲気を切り取って言葉にできるのはさすがだと思っ...

アルゼンチンを舞台にした短編集。 現在、自分がアルゼンチンに住んでいるからか、作者が感じたことがとても理解できる。 と言うか、自分がその場所で感じたことをうまく言葉にしてくれている感じ。 ほんの2週間ぐらいの取材なのにここまでうまく雰囲気を切り取って言葉にできるのはさすがだと思った。

Posted byブクログ

2018/02/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

目次 ・電話 ・最後の日 ・小さな闇 ・プラタナス ・ハチハニー ・日時計 ・窓の外 旅先での、地にしっかりとは足がついていない感じと、不倫という、気持ちのありかが何とも不確かな感じが融合した小説集。 結婚していたところで、配偶者ではない人を恋う心をどうこうなんてできやしない。 心をしばりつけておくことなんてできないもの。 不倫はいけないことと言ったって、倫理自体が人間社会の都合でつくられたものであって、人為的なものなのだから。 不倫というのは、その大切な約束事をすら踏みにじっても眼前に迫ってくる、どうしようもない気持ちなんだろうと、漠然と考える。 『不倫と南米』であって『浮気と南米』ではない。 倫理に悖ると自覚しながらの恋愛は、多分通常の恋愛よりもやるせなくてしんどいのだろうなあ。 自分のことと置き換えて考えてみても、ピンとこない。 吉本ばななが上手いなあと思うのは、そういう恋愛偏差値の低い私にも、その所在なさが感じられる、理解できるような気にさせるところ。 彼女らしいスピリチュアル的な展開もあるけれど、南米の明るく、乾いた景色の中で、ひとり自分の過去や現在、そして未来について思いを馳せる主人公たちは、どろどろの不倫に倦み疲れた人というよりも、不確かなものの中で途方に暮れている人のように見える。 主人公の祖母が、偉大な外国人芸術家の現地妻としての愛情を喪ったとき、それを幼い目で見つめていた母がその後一生抱えることになった小さな闇。 喪失の圧倒的な存在が、母を狭い箱の中へと閉じ込めていく。 喚起されたイメージがあまりにも鮮明で衝撃的だった「小さな闇」が、一番心に残った。

Posted byブクログ

2017/12/13

20代のころからばなな作品が大好きで、出版を追いかけるように読んできたけれど、当時の私には「不倫」も「南米」も遠すぎて、タイトルだけでしばらくのばなな離れに。今になって読んだけど、食わず嫌いはやめておけばよかった!!やっぱり私は、ばななさんのその土地の表現がすきなのです。

Posted byブクログ

2015/03/25

物憂いような、気怠いような… 不倫相手の妻から届いた「主人は死にました」という連絡の話がじわじわ気味が悪い。

Posted byブクログ

2013/09/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

不倫を軸とした7つの物語からなる短編集。小説は本格的で、作者御本人も満足な様子。評価も高そうだ。ばなな作品の良質の部分がよく出ていると思う。また、今回も原マスミの絵がいい。この人は自分の様式をちゃんと持ちながら、バリではちょっとバリアート風のスタイルを、そしてここでは中南米風の味わいを出している。ただ、アルゼンチン絵画というよりはメキシコ風のような気がするのだが。

Posted byブクログ

2013/07/20

ばななさんがアルゼンチン旅行で体験したことが織り混ぜられてる。 ひとつひとつの話に写真が載ってて、想像しながら読んだらさらに楽しかった。アルゼンチンって奥が深そうだな。。

Posted byブクログ

2013/03/02

『人生はたくさんの事件の連続で、愛する人になにが起ころうとまわりはじぃっとみているしかない。実際身動きひとつとることもできない。気持ちがぐるぐる回ることだけが愛をしめす唯一の証拠だ』 不倫と南米、まさにそのまま(笑) アルゼンチン、ブラジル…。 この挿し絵が苦手だ、 わたしの夢...

『人生はたくさんの事件の連続で、愛する人になにが起ころうとまわりはじぃっとみているしかない。実際身動きひとつとることもできない。気持ちがぐるぐる回ることだけが愛をしめす唯一の証拠だ』 不倫と南米、まさにそのまま(笑) アルゼンチン、ブラジル…。 この挿し絵が苦手だ、 わたしの夢にでてくる白黒の世界みたいで。 でも南米って明るさとこの種の暗さが共存してるかんじがする。 この本は普段の吉本ばななとかちょっと違う気がする。 そんなときがたまにある。 それらはきまって海外取材をしてる作品だったりする。 やはり影響をうけてきてるのかな 写真もあって国々をまわりながら ストーリーを生み出すばななさんを想像したら 尊敬したり、微笑ましい気持ちになったりした

Posted byブクログ

2013/01/10

隠さないと続けられない恋の孤独と窮屈が 乱暴なくらいの大自然とそこに暮らす人々のあっけらかんとした明るさによって 救われたり一歩踏み出したり …な作品。 吉本ばななって もともと孤独をやりすごす人の表現にひいでてて ある意味日本的かなと思う。南米の大らかさは日本でよしとされてる控...

隠さないと続けられない恋の孤独と窮屈が 乱暴なくらいの大自然とそこに暮らす人々のあっけらかんとした明るさによって 救われたり一歩踏み出したり …な作品。 吉本ばななって もともと孤独をやりすごす人の表現にひいでてて ある意味日本的かなと思う。南米の大らかさは日本でよしとされてる控えめさとは対照的に書かれてるけど かえって両方のよさを見せているかも。 挿絵がステキー!

Posted byブクログ

2012/07/02

言葉に出来ない興奮を感じ、それをどうしても言葉にしたいのに自分ひとりでは持て余してしまう、そんなときに手にとった本。 大好きな南米の魅力、パワーを、胸に沁みる言葉、絵、写真で綴られた小説。 南米は、行き場のないエネルギーに詰まっていると感じていて、それが溢れる形はこれらの国で生...

言葉に出来ない興奮を感じ、それをどうしても言葉にしたいのに自分ひとりでは持て余してしまう、そんなときに手にとった本。 大好きな南米の魅力、パワーを、胸に沁みる言葉、絵、写真で綴られた小説。 南米は、行き場のないエネルギーに詰まっていると感じていて、それが溢れる形はこれらの国で生まれる音楽や文学や、政治や人々の生活そのものから感じられるのだけれど、この小説で果たされた「不倫」と「南米」の組み合わせによって発せられるエネルギーは、この2つの色がすごく似ているのか、それとも今この本を読む私の心と同調しているのか、よく分からないけどひたすら圧倒される。 もやもやして、逃げ出したくなって、この本を手に取ると、不思議と心が落ち着いて、そしてすごく南米に行きたくなるんです。

Posted byブクログ

2012/05/17

最終章で作品の価値が一変した。作品全体が最後から照射されるような、そういう構成のよう。重くズシリとくる。生きるとか、そういう次元を作家は逡巡してたのは、どういうわけか少し見えた気がする。

Posted byブクログ