カンバセイション・ピース の商品レビュー
穏やかな気持ち!!
何と言うこともない特別じゃない日常って、いいと思う。猫とか野球とか、仲間とか家族とかに彩られて、いくつもの時間と記憶を重ねた大きな家で過ごす日々。読者に穏やかで静かな喜びをくれる、珠玉の一冊。
mari
綿密に書かれた野球試合の様子、住む家の構造、自然、思弁そして人々の(時に途方もなくスケールの大きな)会話。そういったものがタペストリーのように織りなされ、豊かな世界を産み出している。実に保坂はその五感を通して世界を体験/体感し、それを文字だけで構成される小説という器の中で私たちに...
綿密に書かれた野球試合の様子、住む家の構造、自然、思弁そして人々の(時に途方もなくスケールの大きな)会話。そういったものがタペストリーのように織りなされ、豊かな世界を産み出している。実に保坂はその五感を通して世界を体験/体感し、それを文字だけで構成される小説という器の中で私たちにも追体験させんと書き綴る。ゆえにその記述は安易に読み飛ばしてしまってはならない。ダラダラと書き連ねられているようで、こちらの五感を試す実験的な試みがなされているようでもあり、実にオーソドックスな日本文学の世界に回帰する作品でもある
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つまりよ、ちょっと大きめの一軒家があって、そこに作家である主人公と妻と、親戚の娘と、その家の一部を借りて仲間で会社をやってる人と猫が出てきて、それをぐだぐだぐだぐだぐだぐだぐだぐだぐだぐだ描写して考えるわけよ主人公が。猫が階段登って降りてエサ食ったとか死んだ猫はどうだったとかベ...
つまりよ、ちょっと大きめの一軒家があって、そこに作家である主人公と妻と、親戚の娘と、その家の一部を借りて仲間で会社をやってる人と猫が出てきて、それをぐだぐだぐだぐだぐだぐだぐだぐだぐだぐだ描写して考えるわけよ主人公が。猫が階段登って降りてエサ食ったとか死んだ猫はどうだったとかベイスターズがどうしたこうした、と400ページ。もうムキになって最後まで読んだが、わたくしには合いませんでした、と言うしかない。
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初めて読んだ保坂作品でした。 井之頭五郎のようにいいぞ、いいぞとか心の中で呟きながら読んでました。 親戚から預かった世田谷の古い家で、夫婦と姪と会社をやるのに間借りしている友人3人と、そして猫たちの日常風景。住人たちの会話や主人公モノローグで進行していきます。 ストーリーなんてな...
初めて読んだ保坂作品でした。 井之頭五郎のようにいいぞ、いいぞとか心の中で呟きながら読んでました。 親戚から預かった世田谷の古い家で、夫婦と姪と会社をやるのに間借りしている友人3人と、そして猫たちの日常風景。住人たちの会話や主人公モノローグで進行していきます。 ストーリーなんてないようなもの。日常の会話にしては哲学的なやりとりです。 何気ない言葉の中に時折はっとするような真実をついてくることがある。 穏やかに過ぎていく文章にぼんやりしていると、大切な言葉に気づけない気がして、できるだけじっくり読みました。 とはいえ、正直わからないときはわからない。人それぞれ共感したり強烈な気づきになる部分は違う本かもしれません。時間がたったら今とは違うところに感動するのでは。 そう思って、何年か置いてからまた再読したいです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
シェアハウス、家開きのブームを先取りしたような作品。日常的な世間話から哲学的な考察にシームレスにつながっていく。 家そのものが重要な登場人物といえる。そこには常に誰かや猫の気配が満ちている。著者は目に煮えない、言葉にできない「気配」を書こうとしている。 ひとつの場所に30年過ごしていてもこの話の語り手のような視点は得られない。かつて生活していて一度離れ、長い期間をおいてふたたび生活しはじめてからこそ、過去と現在が並行して進み、意識は双方を自由にいきかうのだ。 【引用】 ・あのときのゆかりは私とか誰とか特定の誰かの子ども時代ではなくて、ここに住んだ全員の子ども時代のように私には感じられた。 ・「この人は何でもかんでも自分がたまたま知ってることが一番なんだよ」 「愛するっていうのはそういうことだ」と私は言った。「愛っていうのは、比較検討して選び出すものじゃなくて、偶然が絶対化することなんだよ」 ・「脳だって、一つ一つのニューロンはどうせ何もわかってないんだろうけど、全体としてちゃんと仕事をしてるじゃないか」 ・「死んでからが人生なんだよね」 ・「いい大人になっても、親が怒ったらしゅんとして見せてやるのが、親孝行ってもんなんだから」 ・「家にはかつてそこに住んだ人たちの気配がいつまでも残るものなのだ」 ・しかし実際はこの家が建って二十五年かそこらで、多人数がいつもここに暮らしているという伯父の構想か願望は崩れはじめていたのだ。 ・「木はすごいよなあ。百本あれば百通りの枝の広がり方をする。 しかも枝の広がり方を正確に伝えるだけの種類の言葉が人間にはない」 ・ごっこは遊びで本気じゃないけれど、本気が混じっていないとごっこは面白くならない。 ・「気安く幽霊だの何だの、そんなの、昔の人が生きたことに対しても、その人たちが持っていた感情に対しても、その人たちがきちんとした意味で使っていた言葉に対しても、失礼どころじゃなくて冒瀆なのよ」
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小説論はあんなに面白いのに、期待値が高いからつまらなく感じてしまうのか。やろうとしていることはわかるし、その意義もわかる。でも最後まで読めない。なぜ読めないのか、考えさせられる(そういう意味ではこれも著者のいう「小説」の醍醐味なのか)。原因は「オヤジ」的なユーモアの感覚と猫? 猫...
小説論はあんなに面白いのに、期待値が高いからつまらなく感じてしまうのか。やろうとしていることはわかるし、その意義もわかる。でも最後まで読めない。なぜ読めないのか、考えさせられる(そういう意味ではこれも著者のいう「小説」の醍醐味なのか)。原因は「オヤジ」的なユーモアの感覚と猫? 猫好きじゃないと、猫のくだりは楽しめない。
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夏だから夏の本を、とおもって、 ゆっくりじっくり読みました。 いつの間にか綾子と森中が年下になってたー。 私もこんな夏を過ごしてみたいなぁ。綾子みたいな立場になってさ。
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自分とそれ以外のものとの関係性に、 時間とそれに伴う空間の移り変わりを絡めて描かれる日常。 保坂さんの作品、やっぱりイイな、惹かれる。 横浜ベイスターズの事は、 ちょっと良くわからなかったが。
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しえー!本物の作家だべー!と思った。でも、そんな小難しい事をごちゃごちゃ考えてないで、仕事しろと思った。この文章は合う人にはすごく合うんだろうな・・・合わない人にはすごく読み辛いかも。
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最近この人の本を読んでいなかったせいか、妙に理屈っぽく感じられて、この分量を読むのは正直辛かった。 ええいうるさいさっさと小説を書かんかと主人公にツッコミを入れたくなってしまった…。 この人のもう少し短い小説を読み直してみるかなあ。
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