廃用身 の商品レビュー
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小説を、あたかも実在の手記であるかのように書く手法。それ自体は別に構わない。ただ、ここまでやってしまうとやり過ぎではないだろうか。 前半部分、かなり話がうまく進みすぎではあるが、とりあえず読むのは読めた。しかし後半は興味が持続せず、流し読みで終わらせてしまった。
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「廃用身」とは脳梗塞などの麻痺で回復の見込みがない手足のこと。 パプアニューギニアでマラリアの研究をしていた漆原糾は帰国後、老人デイケアに勤務し、老人介護の現場でさまざまなお年寄りに接していた。 そこで思いついたのが廃用身の「Aケア」。つまりAmputation(切断)すること...
「廃用身」とは脳梗塞などの麻痺で回復の見込みがない手足のこと。 パプアニューギニアでマラリアの研究をしていた漆原糾は帰国後、老人デイケアに勤務し、老人介護の現場でさまざまなお年寄りに接していた。 そこで思いついたのが廃用身の「Aケア」。つまりAmputation(切断)すること。 思い通りに動かない、肝心なときには邪魔をする麻痺した手足。切ってしまえば重量が減るから床ずれも治り、血流が必要なところだけに行渡り活発に動けるようになる。 そして介護する人間も楽になる。 お年寄りのQOL(生活の質)を高めるため、「治療(キュア)」ではなく「介護(ケア)」の一環として考案された「Aケア」。 デイケアの老人たちには好意的に受け入れられた「Aケア」だが、外部から見た場合、手足のない老人の集うデイケアは異様な光景だった。 やがて始まった、マスコミによる攻撃。 漆原は「Aケア」についての誤解を解くため、手記を出版することにするが・・・。 といった内容なのですが、読後思わず笑ってしまいました。さすが幻冬舎、よくやるわ。 これはね~、ほんとに騙されましたよ。もう笑うしかないくらい。なんとなく鳥飼否宇さんと同じ匂いがしました。 ひとに紹介したくなる本ですね。ぜひ読んでいただきたいです。
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なんか読み終わったあと、すっごい脱力感。体の一部が動かない人にとって、その部分を切断して生活することが身軽なのかどうか。介護する人の負担が軽くなるのかどうか。よかれと思って提案したことから、医師自らが精神を病んでいく。難しい問題なんだろうな、と思う。人としての尊厳もあるから、体の...
なんか読み終わったあと、すっごい脱力感。体の一部が動かない人にとって、その部分を切断して生活することが身軽なのかどうか。介護する人の負担が軽くなるのかどうか。よかれと思って提案したことから、医師自らが精神を病んでいく。難しい問題なんだろうな、と思う。人としての尊厳もあるから、体の一部がないことがたとえ機能していなくても平気なのかどうか。考えさせられる1冊。ラストの一文が頭に残っている。
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図書館の本 読了 内容(「BOOK」データベースより) 「廃用身」とは、脳梗塞などの麻痺で動かなくなり、しかも回復の見込みのない手足のことをいう医学用語である。医師・漆原糾は、神戸で老人医療にあたっていた。心身ともに不自由な生活を送る老人たちと日々、接する彼は、“より良い介護とは何か”をいつも思い悩みながら、やがて画期的な療法「Aケア」を思いつく。漆原が医学的な効果を信じて老人患者に勧めるそれは、動かなくなった廃用身を切断(Amputation)するものだった。患者たちの同意を得て、つぎつぎに実践する漆原。が、やがてそれをマスコミがかぎつけ、当然、残酷でスキャンダラスな「老人虐待の大事件」と報道する。はたして漆原は悪魔なのか?それとも医療と老人と介護者に福音をもたらす奇跡の使者なのか?人間の誠実と残酷、理性と醜悪、情熱と逸脱を、迫真のリアリティで描き切った超問題作。 これってどこまでありなんだろうと、思うのでした。 自分が切られたら、それは嫌かも。
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私はまんまと騙されました。 後でノンフィクションではなく、フィクションだったのねと気づきました。 体の動かなくなった部分を切り落としてしまうという突拍子もないことをさらりと書いているのに読むうちにどんどん引き込まれ、実際あったことのように錯覚してしまいました。 すごいです。医師の...
私はまんまと騙されました。 後でノンフィクションではなく、フィクションだったのねと気づきました。 体の動かなくなった部分を切り落としてしまうという突拍子もないことをさらりと書いているのに読むうちにどんどん引き込まれ、実際あったことのように錯覚してしまいました。 すごいです。医師の最後は出来すぎて鳥肌ものです。
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老人医療の崩壊は始まっている。 年金は始まったときから破綻している。 医療保険もこのままでは(あるいは多少の政策的カンフルがあったとしても)ゆっくり破綻することがすでに見えている。 税金はあがり、ガソリンも消費財の価格も上がる。 そして老人は増え、若い世代は減る。 この本で扱っ...
老人医療の崩壊は始まっている。 年金は始まったときから破綻している。 医療保険もこのままでは(あるいは多少の政策的カンフルがあったとしても)ゆっくり破綻することがすでに見えている。 税金はあがり、ガソリンも消費財の価格も上がる。 そして老人は増え、若い世代は減る。 この本で扱っているテーマは、とても根が深い。 社会への怒り、システムへの怒り、自己への怒り、 いろんな怒りを醸成し、爆発させるエネルギーがある。 つまりは、それは問題提起。 このままで、いいのでしょうか。 という訴えと嘆き。 そういうものを内包する本だけど、 最後まで読んで、「ああ、そうか。」と。 そう、これは問題提起の本では決してない。 そんな意図はないのだと、感じた。 これは娯楽。 うつつの地獄、うつつ人の業、読者の絶望を、 開放してあげる最後の最後のカタルシス。 構造もコンセプトも、ミステリー小説や悪趣味な娯楽小説とまったく同じ、ニッチなエンターテイメント。 「ああ、よかった。」って安心した自分に、 3時間後にちょっとガッカリした。 読者の感情を徹底的に操るジェットコースター小説。 傑作なのは間違いない。
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怖いもの見たさにも似たような気持ちだった。書かれていることの全てが余りに生々しく読んでいる最中にドキュメントかと思うほどリアルだった。こんな事件が起こっていたらいくらなんでも覚えてるだろうと思う反面、知らなかっただけで実際に今も片腕や足を切断した老人がいるのかも知れないと思ってみ...
怖いもの見たさにも似たような気持ちだった。書かれていることの全てが余りに生々しく読んでいる最中にドキュメントかと思うほどリアルだった。こんな事件が起こっていたらいくらなんでも覚えてるだろうと思う反面、知らなかっただけで実際に今も片腕や足を切断した老人がいるのかも知れないと思ってみたり・・・。この先、確実に訪れる超高齢化社会にはこんな治療法もアリなんだろうか?手足切断という禁忌を麻痺してるから、どうせ動かないからとやってしまう世の中が来るんだろうか?グロテスクで空恐ろしい。良心や善悪の判断さえも揺らぐ世の中がもうすぐやって来るのかも知れない。
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2009/05/14読了 すごいな、これがデビュー作か。 内容も構成も面白かった。ただ少しグロい…。
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「右腕が思うように動かない? なら切っちゃいましょうか。 大丈夫です。まだ左腕がありますからね。 前向きに、前向きに。 動かない右腕を憂うよりも、動く左腕を上手く生かす方が大切ですよ。 最終的に手足を全部切っちゃっても、生きていて、そして本人が幸せならいいんです。 ...
「右腕が思うように動かない? なら切っちゃいましょうか。 大丈夫です。まだ左腕がありますからね。 前向きに、前向きに。 動かない右腕を憂うよりも、動く左腕を上手く生かす方が大切ですよ。 最終的に手足を全部切っちゃっても、生きていて、そして本人が幸せならいいんです。 一番大切なのはQOLなんですからね。」 気持ち悪い?わかります。 でも、きっとそれはなんとなーく嫌がっているに過ぎないのです。 そもそも昔は手術や輸血だって気持ち悪かったことなのです。 慣れだよね、人間。 「手術や輸血は仕方ないからいいんだよ」って人がいたら、その人は全く介護の現場を理解しておりません。 究極に人手不足の老人介護。 それはこれからも、進行していく。 限られた資源を上手く割り振らなきゃいけないのはどこの世界でも同じ。それが政治でも。介護でも。 いらないものを切り捨てて何が悪い?
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久坂部さんのデビュー作。 無痛が面白かったので読んでみました、 無痛に比べるとエンタメ度は下なんですがメッセージ度ははるかにこちらのほうが上で現代の老人医療制度について深く考えられさせます。 小説としての完成度はともかくとして読んでみる価値はある本だと思いました。
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