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国家(下) の商品レビュー

4.1

39件のお客様レビュー

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2012/02/09

 プラトンが国家で、ソクラテスに哲人王として君臨すべき人物として彼を想起させるような論理展開をさせたことはやはり、『ソクラテスの弁明』の結果処刑されたソクラテスに対する複雑な感情と、民衆のみならず、都市の頭脳たちに対する不満と怒りの念が会ったからであろう。    教育論も語られて...

 プラトンが国家で、ソクラテスに哲人王として君臨すべき人物として彼を想起させるような論理展開をさせたことはやはり、『ソクラテスの弁明』の結果処刑されたソクラテスに対する複雑な感情と、民衆のみならず、都市の頭脳たちに対する不満と怒りの念が会ったからであろう。    教育論も語られていて、読み物として面白いのでぜひ一読してはいかがだろうか。

Posted byブクログ

2011/09/30

古典から正義について知るにはプラトンの『国家』の右に出るものは無いでしょう。いきなり理想の国家の設計図を描こうとするのではなく、「老年の平和と自由」をめぐる意見交換から始めて、「正義と幸福」は果たして両立するものなのかと言う難題に立ち向かっていきます。

Posted byブクログ

2011/07/20

正義とは何か、正しい国家とは何かについて語られる。哲人王の統治や有名な洞窟の比喩もコンテクストの文脈で語られると意義深い。広範に渡って語られるため全貌を掴むにも何度も読み込む必要がありそうだ。理想の国家から堕落していく国家のあり方はアテネだけでなく、古代ローマ、フランス革命などと...

正義とは何か、正しい国家とは何かについて語られる。哲人王の統治や有名な洞窟の比喩もコンテクストの文脈で語られると意義深い。広範に渡って語られるため全貌を掴むにも何度も読み込む必要がありそうだ。理想の国家から堕落していく国家のあり方はアテネだけでなく、古代ローマ、フランス革命などと照らし合わせても正しいと感じられ洞察力には舌を巻いた。また、魂の不死を説いたエルの物語は現代人にも説得力を持つように感じられた。

Posted byブクログ

2011/06/09

『国家』の第6巻~第10巻までを収録。プラトンの正義論については、ポパーはじめ多くの批判的意見が提出されてきた。しかし、洞窟の比喩、エルの物語など、いまなお人の精神にゆさぶりをかける優れてアクチュアルな内容が含まれていることは間違いない。その意味で、やはり『国家』は第1級の古典と...

『国家』の第6巻~第10巻までを収録。プラトンの正義論については、ポパーはじめ多くの批判的意見が提出されてきた。しかし、洞窟の比喩、エルの物語など、いまなお人の精神にゆさぶりをかける優れてアクチュアルな内容が含まれていることは間違いない。その意味で、やはり『国家』は第1級の古典と言えるだろう。

Posted byブクログ

2010/08/17

哲学の授業で読んだ本 「洞窟の比喩」が出てくる。 私がプラトンに興味を持ったのは 洞窟の比喩が引用されている 「アルジャーノンに花束を」 を読んだから。 難しいけど哲学を、人の考えを学ぶのは面白い

Posted byブクログ

2009/10/04

有名な「洞窟の比喩」が出てきます。 私のゼミでは「洞窟」=「現代の映画館」論へ強制的に持って行かされます。

Posted byブクログ

2009/10/04

上巻を読み終えてからしばらくたちました、ようやく読み終えたプラトンの『国家』。イデア論を中心に、ソクラテスとグラウコン、アディマントス兄弟の答弁は続きます。知ること、知識こそが真理を見出す唯一の道といい、感情がいかに芸術を求めようともそれを切って捨てることが正義。ホメロス批判が響...

上巻を読み終えてからしばらくたちました、ようやく読み終えたプラトンの『国家』。イデア論を中心に、ソクラテスとグラウコン、アディマントス兄弟の答弁は続きます。知ること、知識こそが真理を見出す唯一の道といい、感情がいかに芸術を求めようともそれを切って捨てることが正義。ホメロス批判が響きます。上巻で取り上げられた『ギュゲスの指輪』に対する答えも一応答えられています。結局は本心の問題。死後の世界が巻末に広がりますが、当時の価値観としては意味がある答弁だったのでしょう。黄泉の有無よりも、そういった恐怖信仰以前の人間の本性としての正義を追及した点で哲学のすばらしさを感じます。今より2500年ほど昔に、このような道徳の語らいがあったのは驚きです。ソクラテス、プラトン、やはりすばらしい。 09/5/8

Posted byブクログ

2009/10/04

若いころに政治に熱心だったプラトンは、ソクラテスの裁判以後哲学に傾倒していくが、それでも政治に対して完全に決別できず、どこかで、ソクラテス的哲学と、政治の融合できる方法を探していた。しかしこの両極の二つが融合するには、そこに揺るぎない理論的支柱がなければならない、その確信が得られ...

若いころに政治に熱心だったプラトンは、ソクラテスの裁判以後哲学に傾倒していくが、それでも政治に対して完全に決別できず、どこかで、ソクラテス的哲学と、政治の融合できる方法を探していた。しかしこの両極の二つが融合するには、そこに揺るぎない理論的支柱がなければならない、その確信が得られたのは、プラトンがアカデメイアを創設してから10年もの歳月を要した。 その哲学と政治の融合、哲人政治をこの「国家」によって明らかにしたのである。

Posted byブクログ

2009/10/04

内容に入る前に一言…「長いんじゃ、ボケ!」 そして、対話のテーマが、柱である「国家論」「正義論」に留まらず、あらゆる方向に伸びてるのに巻数ごとのテーマ別の分類などが一切無いため、非常に読みづらい。まぁ、解釈書じゃないから原典に忠実でなければならないのはわかるけど…苦しかった。 ...

内容に入る前に一言…「長いんじゃ、ボケ!」 そして、対話のテーマが、柱である「国家論」「正義論」に留まらず、あらゆる方向に伸びてるのに巻数ごとのテーマ別の分類などが一切無いため、非常に読みづらい。まぁ、解釈書じゃないから原典に忠実でなければならないのはわかるけど…苦しかった。 さて、下巻では上巻の最後で登場した「哲人統治」の続きから。結局は真理や実在を愛する哲学者が、国を守る…というか支配するのに相応しいということでファイナルアンサー。トラシュマコスさんが陥落した今となっては、誰もソクラテスの意見に異を唱えません。「アナタノイウコトハタダシイデス」…そんな言葉ばかり繰り返してないでもっと食い付いていかないと対話篇とした意味が無いような…。 そして、出ましたイデア論。哲学的な素質を育てるために必要な「善」のイデアについて、有名な洞窟の比喩などを用いての説明。個人的にはこのイデア論の考え方、「(元々は良い素質を持っているはずの)魂の向く方向を変えればいいんだ!」的な発想は大好き。 また、国家の五種類の形態・国制の話をとても面白く感じた。まずはソクラテス達が上巻で作り上げた完璧な国家「優秀者支配制」。そして、そこから生じてくる不完全な四種類の国家、すなわち「名誉支配制」「寡頭制」「民主制」「僭主独裁制」。これらの国制について、そこに存在する人間の性格をも検討しながら語り出す。ちなみに幸福という観点から見て順位をつけると、ここに挙げた順に素晴らしい国家であるそうだ。…民主制がやたら低い順位にあるのをソクラテスが(直接)民主制国家の下で殺されたことを受けてのプラトンの情報操作かと疑ったり、優秀者支配制と僭主独裁制を対極に位置するものとしているけど両者は非常に紙一重の関係…というかほとんど同じでは?なんて批判的に見てしまったりもしたが、まぁ面白かった。 締めくくりは、イデア論と密接な関係を持つ「魂の不死」について説いた後、「エルの物語」という話で魂の行く先について語ってお終い。だんだん普段自分達が認識できる範囲の世界から離れるようにして語られてきた、国家篇の最後としては綺麗な形で終われてる気がする。 読み終えて…自分はどうもこの本を批判的に見てしまったことに気付き、反省した。「法は国家全体に幸福を行き渡らせるように存在すべき」としながらも「正しい人は望むなら国を支配し、どこからでもすきなところから妻を貰い、誰でも好きな者と子供達を結婚させることができる・・・」云々、ソクラテスの基準での「徳のある者」「善い魂を持つ者」…すなわち「哲学者」がほとんど独裁者と化すことを喜ばしいことだとしている(ようにも思える)下りがどうも現代人たる自分にはマッチしなかったみたいで…。 もう少し大人になったら読み返したい一冊。…これ以上歳をとってからだと、こんな長い本は読む気力が無くなりそうだと不安に思いながらも、今はそう思いながらこの本を本棚にしまうことにしよう。

Posted byブクログ