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国家(下) の商品レビュー

4.1

39件のお客様レビュー

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2021/11/19

おととしくらいから、細々と古典に体当たりし続けてきて、思うこと。 1冊読み終わると、その次の1冊は、まったく違う時代やジャンルの著作であっても、不思議とほんのすこーし楽に読める気がする。 筋トレしてて、ちょっとずつ腹筋できる回数が増えてくる、みたいな感じかなあ。 そんなわけで、上...

おととしくらいから、細々と古典に体当たりし続けてきて、思うこと。 1冊読み終わると、その次の1冊は、まったく違う時代やジャンルの著作であっても、不思議とほんのすこーし楽に読める気がする。 筋トレしてて、ちょっとずつ腹筋できる回数が増えてくる、みたいな感じかなあ。 そんなわけで、上下巻合わせて1000頁超えのボリュームにおののきつつ、思い切って挑戦してみたプラトン『国家』です。 「正義」と「不正」、人に幸福をもたらすのは、果たしてどちらかーーという問いに、ソクラテスとその知人らによる対話、という形式で向き合う本書。 『国家』という題名から、政治学の発端の書のように思って手にとったけれど、例えば『正義』とか『幸福論』という題名でも成立しそうです。 この本が書かれたとされるのは紀元前4世紀ごろで、はるか昔のことだけれど、現代の社会だって、いろんなところで「不正」がまかり通ってる。 それどころか、めちゃくちゃ幅をきかせていることすら、ある。 だから、ソクラテスたちの問答が自分にとってもすごく切実に感じられて、ソクラテスの口を借りて、プラトンが何を語るか、ドキドキしながらページをめくりました。 大著すぎて、いったいどの部分について日記を書けばいいのか迷ってしまいますが、やっぱり読み応えがあったのは、有名なイデア論や、洞窟の比喩の部分。 幼い頃に家にあった『ソフィーの世界』で目にして以来、今まで、何度その紹介や解説を読んでも、いまひとつピンとこなかった思想なのですが、ソクラテスとグラウコンのやりとりの中に身をゆだねていたら、自然と頭に入ってきました。 何というか……「絶対ムリ!」と思っていたストレッチのポーズがあって、でも、インストラクターの先生の言うとおり、足を広げて、腕を伸ばして、とやっていたら、いつの間にかその体勢がとれてた、みたいな感じ? やっぱり、哲学の本を読むのって、体を動かすのと似ている気がする。 知を愛し、真実に触れることが、人の最も大きな喜びであること。 人生を生きるに値するものとするために、正義を選ぶ努力をしてこそ、人は幸福になれること。 「対話」というリズムを通して、プラトンの決意がこちらの身体に染み込んでくるような本でした。

Posted byブクログ

2021/01/21

何となく読んでみた。内容は確かに難しいが、対話形式であり、また難しい箇所を飛ばしながら読んだので割とスラスラ読めた。よく教科書に出てくるイデア論や哲人王による国家、4つの徳などが本書にすべて盛り込まれている。表紙にも書いてあるが、善のイデアに関する「太陽」「線分」「洞窟」の比喩も...

何となく読んでみた。内容は確かに難しいが、対話形式であり、また難しい箇所を飛ばしながら読んだので割とスラスラ読めた。よく教科書に出てくるイデア論や哲人王による国家、4つの徳などが本書にすべて盛り込まれている。表紙にも書いてあるが、善のイデアに関する「太陽」「線分」「洞窟」の比喩も本書に当然存在する。教科書でなんとなく覚えた事項について、実際にそれが記述された本で読むと感動と共に頭にしっかり刻み込まれる感覚がある。

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2021/01/06

現代にも通用する政治思想のエッセンスに加え、価値の原理のルーツともいえる「善のイデア」に関して解説した壮大なる古典。これが2400年前に書かれたという驚愕の名著。

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2020/11/03

一先ず通読しました。 厳しく合理的で誤解を生みそうなところも感じられましたが、熱くロマンがあって、尚且つ愛を感じる作品だと思います。素晴らしいです。 復習したり、要所で読み返してみましたが誤読があるかもしれません。 今度は参考書や研究書を読みながら多角的な視点で読み返したいと思...

一先ず通読しました。 厳しく合理的で誤解を生みそうなところも感じられましたが、熱くロマンがあって、尚且つ愛を感じる作品だと思います。素晴らしいです。 復習したり、要所で読み返してみましたが誤読があるかもしれません。 今度は参考書や研究書を読みながら多角的な視点で読み返したいと思います。

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2019/09/04

「洞窟の喩え」の出典でもある「国家」下巻。 正しいものごとを理解していない人、そしてそういった人々へ真実を伝えることの難しさ、その中でどう振る舞うべきなのか。 そういった困難を比喩の力で見事に表現しきっている。 画家、詩人について喩えるくだりで語られる、使う人と作る人、そして真...

「洞窟の喩え」の出典でもある「国家」下巻。 正しいものごとを理解していない人、そしてそういった人々へ真実を伝えることの難しさ、その中でどう振る舞うべきなのか。 そういった困難を比喩の力で見事に表現しきっている。 画家、詩人について喩えるくだりで語られる、使う人と作る人、そして真似る人。 ここでは何にも増して、使う人の考えこそが重要であると語られる。 これは現代社会においてもUXの重視という形で語られるものであり、普遍的な価値が語られていることの証左でもあろう。 人物から国家に飛躍し、様々な形態の国家について吟味する。 そして国家という粒度での議論から、当初の問題であった正義と不正、正義「のようにみえる」ものと正義そのものについて帰着する。 現代のまなざしでは粗く感じる部分も多分に存在するが、それ以上に現代にも通底する本質が宿っている。 難解な部分がないといえば嘘になるし、上下巻あわせたボリュームは人を尻込みさせるのに十分だ。 それでも、手に取る価値のある、いや手に取るべき名著であるのは間違いない。

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2019/01/19

ソクラテス先生「正義」の話をしようの巻 「国家」という邦題が付けられているが、 最後まで読めば解説に書かれている通り 「正義」がこの本のメインテーマで有り、 国家論に関しては、その一部だと分かる。 多くの人が指摘しているが、洞窟の比喩や 国家論の「民主制から独裁制が生まれる」...

ソクラテス先生「正義」の話をしようの巻 「国家」という邦題が付けられているが、 最後まで読めば解説に書かれている通り 「正義」がこの本のメインテーマで有り、 国家論に関しては、その一部だと分かる。 多くの人が指摘しているが、洞窟の比喩や 国家論の「民主制から独裁制が生まれる」 という指摘は現代人も舌を巻く観察眼である。 最後のエルの物語はプラトンの師への想いが感じられ、 輪廻転生の概念がギリシアにも存在することが分かって興味深かった。

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2018/11/18

下巻もサラッと読み終わる。翻訳は読みやすい。しかしきっと原著がまだるっこしい。 知的探索の方法としてプラトンが対話を選んだことには理解を示しつつ、それが上手く機能しているのか、というと、どうだろう。 1人に1つの役割、というプラトンの想定では、1人が自分の中で複数の意見を対立させ...

下巻もサラッと読み終わる。翻訳は読みやすい。しかしきっと原著がまだるっこしい。 知的探索の方法としてプラトンが対話を選んだことには理解を示しつつ、それが上手く機能しているのか、というと、どうだろう。 1人に1つの役割、というプラトンの想定では、1人が自分の中で複数の意見を対立させる、ということが考えにくかったのか。 もしくは、自分の中で対話をするにも、その仮想の対話をシミュレーションするにはいくつかの人格を置く必要があり、自己のなかのそれぞれの立場にソクラテスやそれ以外の名をつけたのだろうか。 プラトンは実際には1人で本著を書いているわけだから、後者なのだろう。しかし、その前提になるのは前者、1人に1つの役割、という考えがあったのだろう。でなければ、自問自答でもこのように議論を進められるはずだ。 廣松渉の四肢的構造などを考えると、1人に1つの役割というプラトンの考え方がいかに素朴であるかは言うまでもないことだが、ではやはり完全に無視すべきか、というと、人にとってのアイデンティティは、究極にはやはり1つのものに結実する場合もあるだろう。特に男性はそうなりやすいのではないか。 女性は、よくいわれるように、女としての自分、母としての自分、妻としての自分と、いくつものペルソナを有することの自覚があると思う。男性は、割と、俺は俺だ、となりやすい。 これにはなんら裏付けはなく、個人的な感覚的な話だ。もちろん、今の社会では多くの場合、という程度の条件をつけての感覚だが。 というわけで、プラトンの考える方法が、まさにここで想定する「国家」の基本構造にもなっており、「正義」になっている。 大きな理想的な構造を個人が描くとそうならざるを得ないが、描かれるものは自然と自分の精神構造の相似形になる。 ホワイトヘッドが、「西洋哲学はすべてプラトンの注釈に過ぎない」というときには、(原文読んだことはない。引用で知ってるのみ。そのうち読む。)そういう、プラトンという1人の人間の相似形である構造が、そのまま1人の人間と人類一般との(西洋の)精神構造の相似形ともなるので、然るべくしてその注釈という形を持たざるを得なくなるのであろう。 逸れたが、本著でプラトンの言おうとしていることを把握するのは、この対話構造によって少しわかりにくくなる。対話のために必要な不要な文章が出てくるからだ。もちろん、それを不要とするかどうかは受取手の精神構造に由来するのであって、プラトンにしっかりそれを重ねることができる人には、必要なものなのだろう、が、僕はせっかちなのだ。「、、、っていう論理が成り立つと思うけど、どう?違う?」「いえ、まさしくその通りです」みたいなのは邪魔くさい。今日的合理主義なのだろうか、もう少し数論的に幾何学的に整えたくなる。でも、それがプラトンの論理方法なのだ。 で、それを気持ちよく整理してくれてるのがこの岩波文庫の解説等だ。すごくよくできてる。何が書いてあったのか、をまとめるには素晴らしい出来だと思う。 構造化してくれる。 まだるっこしかった気持ちをすっきり整理してくれた。 さて、次は、ティマイオスにいこうと思う。ティマイオスの始めが国家の一部要約のようなところから始まるのもいい。 プラトンを知るには国家は最適な主著のようだが、プラトンの与えた影響、新プラトン主義をみるには、国家よりもティマイオスなのだろう。哲学史で勉強する限りにおいては新プラトン主義のどの辺りが新プラトンなのかよくわからかかったけども、ティマイオスがそこをつないでくれると思ってる。

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2015/05/02

オフィス樋口Booksの記事と重複しています。記事のアドレスは次の通りです。 http://books-officehiguchi.com/archives/3993292.html 登場人物はソクラテス、ケパロス、ポレマルコス、トラシュマコス、クレイトポン、グラウコン、アデイ...

オフィス樋口Booksの記事と重複しています。記事のアドレスは次の通りです。 http://books-officehiguchi.com/archives/3993292.html 登場人物はソクラテス、ケパロス、ポレマルコス、トラシュマコス、クレイトポン、グラウコン、アデイマントスである。この登場人物による対話が上巻と下巻で展開されている。 上巻では正義・国家・哲学者について議論が展開され、下巻では議論が完結されている。この上巻での議論は国家や正義について熱く語られているので、面白いと感じた。私が議論の中で注目しているフレーズなどは後日取り上げたい。

Posted byブクログ

2014/12/13

「西洋の全ての哲学はプラトン哲学への脚注に過ぎない」という有名な言葉がある。この『国家』を読んだだけでも、なるほど確かにそうなのかも、と思わされてしまう、それほど広範かつ重要なテーマを扱った本である。 ただ、完全無欠の神のような人間の存在(ないしは創造可能性)を前提とした国家設...

「西洋の全ての哲学はプラトン哲学への脚注に過ぎない」という有名な言葉がある。この『国家』を読んだだけでも、なるほど確かにそうなのかも、と思わされてしまう、それほど広範かつ重要なテーマを扱った本である。 ただ、完全無欠の神のような人間の存在(ないしは創造可能性)を前提とした国家設計は許容しがたい。個人より国家を優先して思考を突き詰めれば当然の帰結なのかもしれない。 プラトン曰く、理想的な哲人政治もいつかは落ちぶれる運命にあるという。しかしそれがなぜかを説明する箇所は意味不明の数式で煙に巻く。そもそもプラトンが説くような、完全無欠な哲人が統治を続ける限り、その国家の衰退はありえないはずではないか。この部分のプラトンの論旨展開は、統治者として君臨すべき完全無欠な人間の存在を自ら否定するようなものだ。 下巻で展開された詩人追放論は、上巻で主張された音楽・文芸の効用と矛盾するものではないか?という陥りがちな疑念は、訳者による説得力のある註釈により晴らされた。 本書は、世人の間で哲学が文学よりも重要であるとは必ずしもみなされていなかった時代に書かれた。そしてプラトンは哲学の地位向上を図るためにあえて強い書き方を選んだのだった。 2400年も昔の人が書いた本を読むというのは刺激的な体験であった。ルソーやニーチェなど後世の哲学者を先取りしたかのような考え方が随所に見られた。ニーチェが否定した西洋哲学の伝統とは何かを知るための重要な手がかりとなることは間違いない。

Posted byブクログ

2014/03/06

著作の構成に関する「解説」は、プラトンがこうした議論を展開した理由を考える上で有益だったが、それでも全体としてみれば、何のために彼がこうした議論を提示したのか、やはりわからない・・・。

Posted byブクログ