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国家(下) の商品レビュー

4.1

39件のお客様レビュー

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2014/03/14

プラトン最大の対話篇。 正義から始まり、国家、真実在、教育、芸術、魂を対話によって哲学する。 2000年以上たっても何も変わっていないのだなあとつくづく感じる。イデアはどこか天上界にあるのではない。洞窟の比喩が間違って解釈されてしまっている。イデアは、見るー見られるの関係と同じく...

プラトン最大の対話篇。 正義から始まり、国家、真実在、教育、芸術、魂を対話によって哲学する。 2000年以上たっても何も変わっていないのだなあとつくづく感じる。イデアはどこか天上界にあるのではない。洞窟の比喩が間違って解釈されてしまっている。イデアは、見るー見られるの関係と同じく、知るー知られるの関係によるものなのだから、ほかでもない、自分自身の思推の力によってしかたどり着けないもの。 優れた芸術は常に感覚による模倣だから、真実在へ思考する力を養う教育において大きな役割を果たすが、模倣であることからは逃れられない。ワイルドのいう「芸術は人生そのものではない」や「外観で判断できないような人間」「善良さとは自身との調和状態」といった言葉の意味がよりクリアに入り込んできた。 特に話題としては上がっていないが、一巻初めの、年を取ることについてのさりげない言葉もとても味わい深いものがある。 本編で語られているように、真実は単調かつ素朴に語られるものだから、読んでいて一部の逃げる隙もなく、ストレートに言葉が伝わってきた。池田さんが「プラトンは素直すぎる」というのを肌身で感じた。 自らの力で、真実を求めることをこれからも決してやめない。

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2013/08/03

「その国において支配者となるべき人たちが、支配権力を積極的に求めることの最も少ない人間であるような国家、そういう国家こそが、最もよく、内部的な抗争の最も少ない状態で、治まるのであり、これと反対の人間を支配者としてもった国家は、その反対であるというのが、動かぬ必然なのだ」(p109...

「その国において支配者となるべき人たちが、支配権力を積極的に求めることの最も少ない人間であるような国家、そういう国家こそが、最もよく、内部的な抗争の最も少ない状態で、治まるのであり、これと反対の人間を支配者としてもった国家は、その反対であるというのが、動かぬ必然なのだ」(p109-110) ・この認識を土台として、支配者となるべき者は、金銭や名誉に関心がなく、かつ優れた人間でなければならないとする。すなわち、哲学者が支配者となるか、支配者が哲学するかのいずれかでなければ、国家はうまく統治されない。 ・この哲人王が支配する極度に理想的な国家との対比として論じられる、他の政体(寡頭制→民主制→僭主独裁制の変遷)についての記述は、不気味なほどその後の歴史と符合している。富を寡占する支配者への反発から民主制が生じ、自由が秩序を崩壊させた結果として僭主独裁制が生じるというプラトンの予言は、市民革命と全体主義によって見事に的中した。 ・まさに西洋思想の源流とも言うべき一冊。詭弁のオンパレードに辟易するところはあるが、それも人間社会の基本的諸要素の全てが合理化を経ないで未整理のまま抱合されているがゆえのこと。そこから救い出すべきものは決して少なくはない。

Posted byブクログ

2013/05/24

洞窟の比喩とイデア論についてはわかった。 しかしラストはどうしたんだ・・・プラトン先生 神話を否定していたのに・・・。ラストで全部内容が吹っ飛んでしまった(苦笑) 魂に対する考えが今と違うからかしら。難しかった。

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2013/04/22

読んだのは昭和30年河出書房刊、世界大思想全集、山本光雄訳本。 しかし「読み終わった」なんて言ってしまっていいんだろうか? 2週間要す。

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2013/01/28

哲学に馴染みの無い人も、きっと好奇を持って読んでゆける良書。現代一般に、悪い、ズル賢い人々が金儲けに長け幸せな人生を送っている、とされることがあるが、本書では真の正義こそが人、せはの集合体である国家を真に幸福にするかとができる、とあるが如何なものか。これは人類にとって普遍的論題で...

哲学に馴染みの無い人も、きっと好奇を持って読んでゆける良書。現代一般に、悪い、ズル賢い人々が金儲けに長け幸せな人生を送っている、とされることがあるが、本書では真の正義こそが人、せはの集合体である国家を真に幸福にするかとができる、とあるが如何なものか。これは人類にとって普遍的論題であるが、なかなか答えのない問いのように思えてならないのである。

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2012/11/07

上巻の終盤で放たれた超弩級の思想(哲人統治、イデア論など)に引き続き、下巻も読みどころ満載である。有名な《善のイデア》や《洞窟の比喩》は、下巻の割と早い段階で語られる。下巻の中盤では、国家の諸形態の分析がなされる。名誉支配制国家、寡頭制国家、民主制国家、独裁制国家のそれぞれの特徴...

上巻の終盤で放たれた超弩級の思想(哲人統治、イデア論など)に引き続き、下巻も読みどころ満載である。有名な《善のイデア》や《洞窟の比喩》は、下巻の割と早い段階で語られる。下巻の中盤では、国家の諸形態の分析がなされる。名誉支配制国家、寡頭制国家、民主制国家、独裁制国家のそれぞれの特徴を論じたこの部分は、ある意味、最大の読みどころかもしれない。特に、「民主制国家が堕落したらどんな現象がみられるようになるか」「民主制から独裁制への移行はどのようにして達成されるか」を論じた部分は圧巻。下巻の最後は、正義の報酬として有名な《エルの物語》で締めくくられる。ここは哲学というより物語(神話)として興味深い。 ・《哲人王》による《善のイデア》を希求する政治(≒ユートピア思想) ・エリート層による大衆の統制(≒民主主義の否定) ・エリート層における私有財産の禁止(≒共産主義) ・エリート層における妻女と子供の共有(≒優生学的思想) …など、私には容認しがたい極論も多いのだが、「衆愚政治へと堕落した民主主義への批判」や「僭主独裁政治への批判」など、現代人必読の警告と思われる箇所も多い。その主張の是非はともかく、形而上学的にも政治学的にも西洋思想の原点となった著作である。

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2012/10/08

久々に読むのに骨が折れた。 正義とは何か、正しい国家の姿とはどのようなものなのかを根源的に問い詰めたプラトンの著書。ある種の理想の姿なのかもしれないが、この理想を目指して失敗したのがナチス・ドイツだったりレーニンのソヴィエト連邦だったりポルポトだったりするのだろう。家族を否定し...

久々に読むのに骨が折れた。 正義とは何か、正しい国家の姿とはどのようなものなのかを根源的に問い詰めたプラトンの著書。ある種の理想の姿なのかもしれないが、この理想を目指して失敗したのがナチス・ドイツだったりレーニンのソヴィエト連邦だったりポルポトだったりするのだろう。家族を否定し、心を揺さぶる娯楽的なものを排除し、理想的な人間の完成をひたすらに目指す。宗教の原理主義もこんな感じなのかもしれない。 だが、だからと言って本書を悪書とは思わない。元来哲学とか思想とかは、斯様に根源的であり、社会にとって劇薬―薄めると薬にもなり、原液だと毒にもなる―であるべきだから。 とは言え、私はプラトンよりもホメロスを愛す。

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2012/08/20

言葉が何者だというのですかと以前先生に尋ねた。わたしには言葉がどうしても単なる音であってそのパフォーマンスを心得たものが理知あるとみなされているように思えていたから。 この本を読んでその答えを見つけられたように思う 「画家は手綱やはみを描くであろう、しかしそれを作るのは革職人や鍛...

言葉が何者だというのですかと以前先生に尋ねた。わたしには言葉がどうしても単なる音であってそのパフォーマンスを心得たものが理知あるとみなされているように思えていたから。 この本を読んでその答えを見つけられたように思う 「画家は手綱やはみを描くであろう、しかしそれを作るのは革職人や鍛冶家だろう」作家であるホメロスも音楽家も女優も実際には、語るそのものについての知識を、技術を、持ってはいない。それは神から数えて三番目の職となる。(二番目は実際にそれを作り出す人のこと。)しかし 言葉の意味に対する共通理解がなければ勘違いといざこざが絶えないだろう。そのうえで共通認識を持たせるために文化、文芸が発達したのであり快い音とは、美とは統治に欠かせないものだろう。しかし現代ではより多くの富を得ることが快いとされるために自ら創り出すよりもそれを演じる人たちをうらやましいと思うのである。やはりここでも形骸化が起こっているといえると思った

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2012/07/29

最初、哲学史を理解するための教養として読むつもりで手に取ったのだけれど、その気高い思想に触れるうちに読むこと自体が快楽になってしまった。たとえ、本書で語られている内容がほとんど理解できなかったとしても、著者がこれを書かざるをえなかった動機のようなものは感じ取れると思う。そして、そ...

最初、哲学史を理解するための教養として読むつもりで手に取ったのだけれど、その気高い思想に触れるうちに読むこと自体が快楽になってしまった。たとえ、本書で語られている内容がほとんど理解できなかったとしても、著者がこれを書かざるをえなかった動機のようなものは感じ取れると思う。そして、それだけでも本書を読んだ価値はあると断言したい。 個人的には、これまで頭の中でばらばらの点として存在していた数々の思想が、一応弱いながらも一定の線を描きつつあるように感じられたことも含めて非常に満足のいく読書となりました。

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2012/04/11

プラトン以降の歴史は全て、彼の手の平の中だったのかもしれない-そんなことを痛切させれらる。とにかく国家の形態とその推移に関する分析は圧巻だった。ここでプラトンは自由と平等を愛する民主主義というのを決して優れた国家形態とはみなしていない。またこの制度は富者が支配する寡頭制に対する反...

プラトン以降の歴史は全て、彼の手の平の中だったのかもしれない-そんなことを痛切させれらる。とにかく国家の形態とその推移に関する分析は圧巻だった。ここでプラトンは自由と平等を愛する民主主義というのを決して優れた国家形態とはみなしていない。またこの制度は富者が支配する寡頭制に対する反発として、寡頭制の次に必然的に現れるものと考察している、正に歴史がそれを証明している通りに。そして何より恐ろしいのは、この民主制というのが自由と平等を愛する結果、守るべき秩序も失われ僭主独裁制、つまりファシズムを必然的に生み出すものと描かれているのだ。そう、歴史は今まさに、その事実を証明しようとしつつある。

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