イラクの小さな橋を渡って の商品レビュー
10/10/08 「世界中どこでも人がすることに変わりはない。自分と 家族と隣人たちが安楽に暮らせるように地道に努力する こと、それ以外に何があるか」(あとがきより)
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開戦前に書かれた本。写真が素晴らしい。「まだ戦争は回避できるとぼくは思っている」という後書の言葉がつらい
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この間、イラクの現状を伝える講演会に行ってきた。 その時、一緒に行った友達がこの本を貸してくれた。 この本は、イラク戦争が始まる前に書かれた本で、 イラクの街の風景が写真と共によくわかる。 こんなにおだやかな街だったんだなぁ・・・ だけど、アメリカによる戦争のせいで、 イラ...
この間、イラクの現状を伝える講演会に行ってきた。 その時、一緒に行った友達がこの本を貸してくれた。 この本は、イラク戦争が始まる前に書かれた本で、 イラクの街の風景が写真と共によくわかる。 こんなにおだやかな街だったんだなぁ・・・ だけど、アメリカによる戦争のせいで、 イラク戦争が終わった今も自爆テロが続き、 人々は、安心して街に出ていくことができなくなっている。 講演会で見た、モスルでの状況は悲惨だった。 戦争のせいで、国全体が10年前の状態で発展が止まり、 (いや、戦争による被害のせいで、それ以上かもしれない) いまだに立ち直っていない。医療状況も整っていない。 アメリカの攻撃は何だったのだろうか? そして、それを支援した日本は? 他人事のように思っていていいわけがない。 今のこの現実を受け止め、二度と、このような無意味な戦争が起こらないようにしなければならない。 いつも被害に逢うのは、罪のない一番弱い人達だ。
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イラクを実際に旅してたくさんの普通の人々と会話し、写真を残してきたというところに、この本の大きな意味があると思う。かつて仮想敵国といわれたソ連も、実際旅してみると本当に素朴で人間くさい場所だった。人々が人々を憎まず、また、人々に無関心にならずに、他国のありさまを冷静に見つめていけ...
イラクを実際に旅してたくさんの普通の人々と会話し、写真を残してきたというところに、この本の大きな意味があると思う。かつて仮想敵国といわれたソ連も、実際旅してみると本当に素朴で人間くさい場所だった。人々が人々を憎まず、また、人々に無関心にならずに、他国のありさまを冷静に見つめていけるような、こういう種類の書籍が巷に増えるといいですが。
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つきなみだけれども、やっぱり戦争はいけないな、と。 少なくとも、アメリカがイラクを攻める理由は何もない。 戦争推進論者に、この本を読んだ感想を聞きたいなぁ。 [03.1.31]
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同じ国だって、日本のジャーナリストと外交官では見方が全く変わってくるもの。 「普通の人の生活があったのに…かわいそう」とか「戦争こわい」って思うことは大事だけど、それだけじゃダメだなぁと思う。 この前に、奥克彦(イラクで亡くなった外交官)の本を読んでいたから それと比べて、イラ...
同じ国だって、日本のジャーナリストと外交官では見方が全く変わってくるもの。 「普通の人の生活があったのに…かわいそう」とか「戦争こわい」って思うことは大事だけど、それだけじゃダメだなぁと思う。 この前に、奥克彦(イラクで亡くなった外交官)の本を読んでいたから それと比べて、イラクの印象がだいぶ違う。 こっちから先に読んでたら、イラクの人かわいそう!違う国があんなに乗り込んで行って…と思うんだろうけど 外交官の目線で見たら、違うんだよね。 色んな目線って意味で、勉強になった本。
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(2005.02.20読了)(拝借) 神さんが池澤夏樹のファンなので、神さんの本棚には、池澤夏樹の本がいっぱいある。この本はその中の一冊。 この本は、月刊「PLAYBOY」に連載中の遺跡による文明論の取材のためにイラクを訪問した際の見聞をまとめたものである。 メソポタミアは、世界...
(2005.02.20読了)(拝借) 神さんが池澤夏樹のファンなので、神さんの本棚には、池澤夏樹の本がいっぱいある。この本はその中の一冊。 この本は、月刊「PLAYBOY」に連載中の遺跡による文明論の取材のためにイラクを訪問した際の見聞をまとめたものである。 メソポタミアは、世界四大文明の発祥地の一つなので、是非訪れたいと思うが時期が時期だけに難しいと思われたが2002年5月、そんなにイラクへの入国は難しくはないと言う情報を元に、イラク大使館にヴィザを申請し、10月末に訪れることができた。2週間にわたり北のモスルから南のナシリヤまで見て回った。 「国と言う制度の目的を考えてみれば、国とはそこにすむ人々の生活の土台と言うことに尽きる。安全で、食べるものが十分にあり、若い夫婦が安心して子を産んで育てられる。子供たちがすくすくと育ち、老人が安楽な日々を過ごせる。言いたいことがいえて、行きたいところに行ける。それを制度によって保障するのが国と言うものの第一の役割である。」 「イラクは立派だった。食べるものは充分にあったし、質も申し分ない。」 「イラク人のA氏は、サダム・フセインは大きな失敗を二度した。一つは、イラン・イラク戦争、もう一つは湾岸戦争、と言った。」(この二つは、イラクの発展を妨げたと言えるかもしれない。) イラク国内を取材中に、アメリカの観光団とフランスの観光団に会ったという。遺跡の好きな人には、イラクは魅力的なところだ。(平和が訪れたら僕も行きたい。) 「アラブ圏では、本を書くのはエジプト人、印刷するのはレバノン人、買って読むのはイラク人という言葉があるそうだ。」 「今のイラクはいかなる意味でもアメリカにとって脅威ではないし、開戦の根拠は限りなく脆弱なものだ。」(9.11を清算してしまうための手段だったのだろうか?) ●池澤夏樹の本(読了) 「タマリンドの木」池澤夏樹著、文芸春秋、1991.09.25 「メランコリア」池澤夏樹著、光琳社出版、1998.12.10 著者 池澤 夏樹 1945年 北海道生まれ 埼玉大学理工学部中退 1988年 「スティル・ライフ」で芥川賞受賞 1992年 「母なる自然のおっぱい」で読売文学賞受賞 1993年 「マシアス・ギリの失脚」で谷崎潤一郎賞受賞 1996年 「ハワイイ紀行」でJTB出版文化賞受賞 2000年 「花を運ぶ妹」で毎日出版文化賞受賞 2000年 「すばらしい新世界」で芸術選奨文部科学大臣賞受賞 2003年 「言葉の流星群」で宮沢賢治賞受賞 2003年 「静かな大地」で親鸞賞受賞 2003年 著作活動全般について司馬遼太郎賞を受賞 (「BOOK」データベースより)amazon もしも戦争になった時、どういう人々の上に爆弾が降るのか、そこが知りたかった―。イラク戦争開戦前夜、実際に現地に入った著者が見たのは、人々の普通に人間的な暮らしだった。その後戦争が強行され、多くの不条理な死者が出てしまった今、我々がなすべきこととは。現地の姿を文と写真で綴り、戦争の現実を突きつける旅行記録。
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伊集院静さんの著書『ずーっといっしょ』内での対談において、伊集院静さんと堂本剛さんが対談前に読んだ本のうちのひとつ。 それがきっかけで、この本を手に取りました。
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初版が2003年の1月。 作家の池澤夏樹氏がイラク戦争前のイラクを訪れ、 イラクの普通の市民の生活を取材してきた。 取材、といっても、 ただひたすらイラクの地を歩き、 そこに住む人々の生活を観察し、 淡々とした口調で、私達読者に 彼らの過ごす日常を伝えてくれている。 見たかっ...
初版が2003年の1月。 作家の池澤夏樹氏がイラク戦争前のイラクを訪れ、 イラクの普通の市民の生活を取材してきた。 取材、といっても、 ただひたすらイラクの地を歩き、 そこに住む人々の生活を観察し、 淡々とした口調で、私達読者に 彼らの過ごす日常を伝えてくれている。 見たかったのは、 イラクの普通の市民の生活。 つまり、軍人でもタリバンでもない、 戦争になった時、 どのように生きている人々の上に爆弾が降るのか、 そこが知りたかった、と池澤氏は語る。 池澤氏の文章の間に、本橋成一氏が撮影した イラクの人々の写真が散りばめられている。 ページを開いた瞬間、 遊園地で遊んでいる子供達が 屈託なく私達に笑いかける。 ユーフラテス川のほとりで暮らす大家族や、 市場でいきいき買い物をする人達の姿。 生活や文化のレベル、環境、宗教、 民族性に違いはあっても、 日々の生活を少しでも楽しく豊かなものにしたい、 毎日幸せに暮らしたい、といった想いは 万国共通であり、私達日本やアメリカ、 世界中の人間がそれぞれ願っている事で 何の違いもないだろう。 この作品が発表されてまもなくアメリカは 本格的にイラクへの攻撃を開始した。 この写真の人達に代表される 「普通の市民」の、無数の尊い命が奪われてしまった。 池澤氏があとがきに書いた 「まだ戦争は回避できるとぼくは思っている。」が 今となっては「幻となって消えた希望」となり、 哀しくこの作品に遺されている。
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イラキストでもアラビストでもない池澤さんの見たイラク。それは、本当の庶民から見た庶民の世界と言えよう。アメリカが乗り込む前の、平凡で切実な生活風景を見るための貴重な一冊。
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