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二百年の子供 の商品レビュー

3.6

13件のお客様レビュー

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2024/03/02

今を生きている私たちは今しか経験しかできない。 でも、今は過去から続き、未来へと続いていく。 私たちが過去を知り、今と未来をつなげる大切な役を担っている。 戦争を知らない若者がこの先の戦争を止めなければならないように。

Posted byブクログ

2019/12/10

ここで語られる「童子」とは ある土地に語り継がれている伝説の存在だ 何か大きなもめ事がおこる度に、森の中から現れて 人々を助けたり、調停役を買って出たりする子供のことである それについて書かれたこの作品は 発表時期から見ても「憂い顔の童子」の続編というか 「おかしな二人組」3部作...

ここで語られる「童子」とは ある土地に語り継がれている伝説の存在だ 何か大きなもめ事がおこる度に、森の中から現れて 人々を助けたり、調停役を買って出たりする子供のことである それについて書かれたこの作品は 発表時期から見ても「憂い顔の童子」の続編というか 「おかしな二人組」3部作における インターミッション的役割を担っていると言っていいだろう また、それのみならず 不幸な結末に終わった初長編「芽むしり仔撃ち」に対しての ひとつのセルフアンサーをも内包している まあ、一歩間違えれば そのまま「歴史修正主義」になりかねない面はあるけどな 例えば 歴史の中にある人文系の理想主義者たちは だいたい現実に飲み込まれてしまって 志半ばで倒れたり、道化と誹られることになったり あるいは、首尾よく権威を手に入れたとしても その力に酔いしれて固執して ひどい変節と欺瞞に陥ってしまったりするわけだが もしも将来 無垢なる善性を持つ「新しい人」が社会の中心を占めたならば 理想主義者たちも真に再評価されて「生き直す」ことができるだろう しかしその希望は 人間のエゴイズムというものを甘く見積もりすぎていると思うし その裏にやはり、あらかじめ去勢された子供たちの悲しみを 見ないわけにはいかんのだ ただまあ話の終盤には グローバル世界のなか自国主義を強める保守本流と 移民の同化を助ける革新保守が対立しながら共存しているという 極端にデフォルメされながらもわりかし現実的な 未来世界が描かれており 結局はそれについて読者がどう受け止めるか、だなあ

Posted byブクログ

2015/01/06

初の大江作品。同僚が大江作品のファンと言ってたから、読んでみようと思ったが、お薦めを聞き忘れて、図書館で適当に選んだ一冊。 結論は、とっかかりとしては、子どもでも読めそうなわかりやすい文章。しかし踏み込むと内容はとても難しい。 三兄弟が「三人組」で「百年スダジイ」で同じことを思い...

初の大江作品。同僚が大江作品のファンと言ってたから、読んでみようと思ったが、お薦めを聞き忘れて、図書館で適当に選んだ一冊。 結論は、とっかかりとしては、子どもでも読めそうなわかりやすい文章。しかし踏み込むと内容はとても難しい。 三兄弟が「三人組」で「百年スダジイ」で同じことを思いながら寝るとタイムマシンのようにその時代に行ける。 真木、あかり、朔、ベーコン(犬) 「過去は変えられないが、未来は変えられる」(川にたとえて) メイスケさんが牢屋で病気になっててお母さんが言った言葉「大丈夫、わたしがまた生んであげる」 母としては、弱った子どもを励ますその気持ち、とても共感できる。 三人の考え方も、すばらしく思慮深いと思う。 他の本は、もっと難解らしい。他の本にも挑戦してみようと思う。

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2014/10/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

先日「七夜物語(川上弘美)」を読んだから比べてしまったというのもありつつかなりよかった。 詰まるところ、わたしたちに大切にできるのは現在のこの手の中だけであるということが力強くしっかりとしたためてあり、過去・現在・未来をつなぐ人という存在への希望/失望、豊かさ/貧しさを「信じる」という意思にあふれている。その意思の強さが、老いるに従って得られるものなのでしょうか。現在を生ききった成果なのでしょうか。 3人組は、「静かな生活」の3人として再生されてしまうのがわたしの残念なところでありつつ、とても読み進めやすかったところでもある。「静かな生活」と筆致も似ているから必然といえば必然なのだけど、、(オマージュ)ちなみに、伊丹十三「お葬式」の森と何かかぶる、「芽むしり仔撃ち」と何かかぶる、と混乱する部分もあり、それはまあ「静かな生活」と同じく必然といえば必然。物語本編とは関係なく、わたしのこころのなかの四国というものができつつあるなあと気づかされる。

Posted byブクログ

2014/04/23

http://blog.goo.ne.jp/abcde1944/e/5e5ffee4cbdb13c270a1b3a13b285120

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2010/08/27

大江健三郎さんの唯一児童向けのファンタジーと聞いて読みました。児童向けかどうかは・・・・(今の子どもたちの読書力を考えるとちょっと首を傾げてしまいますが・・)私はとても楽しませてもらいました。往って帰る子どものファンタジーとしては,さすがの出来栄えでした(^0^)大人が読んで楽し...

大江健三郎さんの唯一児童向けのファンタジーと聞いて読みました。児童向けかどうかは・・・・(今の子どもたちの読書力を考えるとちょっと首を傾げてしまいますが・・)私はとても楽しませてもらいました。往って帰る子どものファンタジーとしては,さすがの出来栄えでした(^0^)大人が読んで楽しめる本かもしれないとも思いました。

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2009/10/04

大江さんの本はヒロシマ・ノート以来。でも、こんなにも温かくて知的なファンタジーを書かれる人だとは。苦しむ子供をみて、同じ子供なのに何もしてあげられないという悲しみ、朔ちゃんは抜けても三人組のチームを守ろうと、ずっと真木さんと一緒にいこうという決心、大人になることが少し見えてきてい...

大江さんの本はヒロシマ・ノート以来。でも、こんなにも温かくて知的なファンタジーを書かれる人だとは。苦しむ子供をみて、同じ子供なのに何もしてあげられないという悲しみ、朔ちゃんは抜けても三人組のチームを守ろうと、ずっと真木さんと一緒にいこうという決心、大人になることが少し見えてきているけれど、もうちょっと待ちたい、そんなあかりちゃんの痛々しいまでの純粋な気持ちが、変に曲げられていない子供像で描かれていて、それに大江さん自身である父親の苦悩が正直に織り交ぜてあって、なんだか久しぶりに読んだ、いい本だった。世の中、こういう親子関係もあるものなのか・・・

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2009/10/07

三人の少年少女が森の中の不思議な木のうろに入り込み、時空の旅に出る。現在に深く陰をおとす過去の「歴史」の存在、そして輝ける未来は来るのか。悲しみと勇気、ゆったりとしたユーモア、時を越えた友情。――そして「新しい人」が浮かびあがる。

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2009/10/04

三人の少年少女が森の中の不思議な木のうろに入り込み、時空の旅に出る。 現在に深く陰をおとす過去の「歴史」の存在、そして輝ける未来は来るのか。 悲しみと勇気、ゆったりとしたユーモア、時を越えた友情。 ――そして「新しい人」が浮かびあがる。

Posted byブクログ

2009/10/04

以前読んだ大江氏の本はさっぱり分からなかったが、子の話は分かりやすく読みやすかった。 心にしみる言葉が幾度となく出てきて、心を打った。 過去は変えられないけど、未来は変えられる。当たり前だけど忘れがちな事だと思う。

Posted byブクログ