号泣する準備はできていた の商品レビュー
あとがきの本人解説によると、 短編集、といっても様々なお菓子の詰め合わされた箱のようなもなではなく、ひと袋のドロップという感じです。色や味は違っていても、成分はおなじで、大きさもまるさもだいたいおなじ、という風なつもりです。 いろんな人たちが、いろんな場所で、いろんな記憶を持ち...
あとがきの本人解説によると、 短編集、といっても様々なお菓子の詰め合わされた箱のようなもなではなく、ひと袋のドロップという感じです。色や味は違っていても、成分はおなじで、大きさもまるさもだいたいおなじ、という風なつもりです。 いろんな人たちが、いろんな場所で、いろんな記憶を持ち、いろんな顔で、いろんな仕草で、でもたぶんあいも変わらないことを営々としている。 その通りの12のドロップでした。 『煙草配りガール』が何故だか心に残った。話の筋書きには全く影響のない煙草配りガールが何故だか表題。たまたますれ違っただけの人にもいろんな営みが潜んでいる。
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冬の海の白浜に打ち寄せる冷たい波しぶきが、細かい粟粒となって砕け散り、あとから来た波に呑み込まれていく・・・映画のワンシーンを見ているような12の短編集です。甘く苦い青春の記憶、恋愛と失恋、家族との死別、離婚と再婚、嫁と姑の立場、不倫関係・・・今にも崩れ落ちてしまいそうな女性心理...
冬の海の白浜に打ち寄せる冷たい波しぶきが、細かい粟粒となって砕け散り、あとから来た波に呑み込まれていく・・・映画のワンシーンを見ているような12の短編集です。甘く苦い青春の記憶、恋愛と失恋、家族との死別、離婚と再婚、嫁と姑の立場、不倫関係・・・今にも崩れ落ちてしまいそうな女性心理の浮き沈みを、 繊細で流れるような文脈で語られていきます。世間体に縛られず、もがき苦しみながらも、生きていこうとする心意気が偲ばれる直木賞受賞作品です。
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いろんな人の間のいろんな愛の形 あとがきで、 人々が物事に対処する仕方は、つねにこの世にとって初めてで一度きりであるために、びっくりすほどシリアスで刺激的です 一話一話はサラッとしてるんだけど、読後にフワッと心に残る感じ 2021.2.20
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深くて優しい、わたしの大好きな声で言い、でもわたしは赦されたことが赦せなかった。 ひとを好きになるって、強くて脆くて美しくて、ばかみたいに辛いのにどう足掻いても逃げられないんだなあ、って
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この本を読み終わったときの感情は「やるせなさ」である。 映画『阪急電車』の冒頭部分のナレーションで語られる、 人は、それぞれみんな色んなやりきれない気持ちを抱えて生きている。死ぬほどつらいわけではないけれど、どうにもならない思いを抱えて生きている。 そして、その気持ちは誰にも...
この本を読み終わったときの感情は「やるせなさ」である。 映画『阪急電車』の冒頭部分のナレーションで語られる、 人は、それぞれみんな色んなやりきれない気持ちを抱えて生きている。死ぬほどつらいわけではないけれど、どうにもならない思いを抱えて生きている。 そして、その気持ちは誰にも言えないのだ。...(以下略) という内容をまさに表現したような短編集ではなかろうか。 また、この作品には「孤独」という言葉がよく登場する。 喪失するためには所有が必要で、孤独を感じるためには誰かといた記憶が必要である。そして、ずっと孤独な人は孤独を感じることもないのだろう。 日々悶々と抱える得も言えぬやるせなさと、誰かといたからこそ感じる「孤独」を抱えながら、我々は生きているのだと改めて感じた作品であった。 ハッピーエンドやバッドエンドが語られる小説が多いなかで、どちらにも分類しきれぬが私たちが日々直面しているストーリー(感情)を、やわらかく繊細に表現した、面白い作品だと感じた。
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筆者の後書きに「一袋のドロップ」のような短編集なのだと書いてあり、なるほどなと思った。私はCDアルバムのようだと感じた。 純粋な感想ではないのだけらど、「いわゆる普通」に生きていけるアッパーミドル的な人ばかりが出てきて、読むと落ち込んでしまう。時代の違いもあるしフィクションなの...
筆者の後書きに「一袋のドロップ」のような短編集なのだと書いてあり、なるほどなと思った。私はCDアルバムのようだと感じた。 純粋な感想ではないのだけらど、「いわゆる普通」に生きていけるアッパーミドル的な人ばかりが出てきて、読むと落ち込んでしまう。時代の違いもあるしフィクションなのだから現実から突き放して読めばいいのだが、頭のどこかで自分はこんな大人にはなれなかったと思って、読むのが少し辛かった。
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手に入れば失う予感がしたり、心は意に反して移り変わったり。 ゆえに一人の男を愛し続けられなかったり、昔の男の記憶を拠りどころにしたり。 タイトル通り、特別ななにかがなくても、いつも思い切り泣けるだけの状態に女はある、ということかな。
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他の作品はそんなことなかったけど、今回読むのにちょっとつっかかってしまったなーと 擬音?オノマトペ?がなんかするする入ってこないのが多かった 解説でもあったけど、江國さんの書く女性は受け入れる女性が多いなって確かに思った そこはわたしとは違うので、あまり重ならず響かなかった...
他の作品はそんなことなかったけど、今回読むのにちょっとつっかかってしまったなーと 擬音?オノマトペ?がなんかするする入ってこないのが多かった 解説でもあったけど、江國さんの書く女性は受け入れる女性が多いなって確かに思った そこはわたしとは違うので、あまり重ならず響かなかったのかもしれない
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直木賞受賞作品。リアルを感じさせられる話がたくさん詰まっています。登場人物が共通して孤独感、喪失感というものを抱えて生きていて、読んでいる最中は何だか憂鬱な気持ちになってしまいましたが、実際人生はこんなものかもしれないと読みおわった後は軽い気持ちでした。号泣する準備は出来ていても...
直木賞受賞作品。リアルを感じさせられる話がたくさん詰まっています。登場人物が共通して孤独感、喪失感というものを抱えて生きていて、読んでいる最中は何だか憂鬱な気持ちになってしまいましたが、実際人生はこんなものかもしれないと読みおわった後は軽い気持ちでした。号泣する準備は出来ていても、号泣できない事実を突きつけられるそんな話です。
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甘ったるくて複雑でどうしようもない。けど、透き通ってきらきらしている。 書き口や雰囲気のせいで気取った高級ワインのように思われるけれど、本質はふだん飲んでるぶどうの缶ジュースだ。どれもありふれた、けれども(だからこそ)胸に突き刺さるかなしみ。「お菓子の詰め合わされた箱」ではなく「...
甘ったるくて複雑でどうしようもない。けど、透き通ってきらきらしている。 書き口や雰囲気のせいで気取った高級ワインのように思われるけれど、本質はふだん飲んでるぶどうの缶ジュースだ。どれもありふれた、けれども(だからこそ)胸に突き刺さるかなしみ。「お菓子の詰め合わされた箱」ではなく「ひと袋のドロップ」というたとえがたしかにしっくりくる。
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