姫椿 の商品レビュー
浅田次郎のノンテーマ短編集。現代が舞台のものばかりなのも珍しいか。 派手ではないものが多いが、読みやすさがありながら読み応えもあるのはさすが。 ただ、他の作品集と比べるとやや「軽い」感触があり、ライトユーザー向けな気もする。 表題作と、「獬(xie)」がよかった。 4-
Posted by
読めば読むほど、浅田次郎の短編は黄昏流星群と印象が被ってくる。 若輩者のワタクシが、内容をしっかり読み解くにはまだ10年早いような気がして来た。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
シエ:伝説の麒麟の顔を持ち、立派な鹿の角を生やし、虎の尾と牛の足を持った神の獣。こんな動物が今の世の中にいるわけはない 再開:女の恋は流れ去るけれど、男の恋は積み重なるものさ。水と雪の違いだね マダムの咽仏:時は移ろうのではなく積みあがって行くものなのだと、周囲の人々はみな思い知らされた トラブルマーカー:幸福の形はだいたい決まっているけれど、不幸の形というのは無限にあります
Posted by
「なんなら、毎日あったかいメシ、食わしてやってもいいぜ。俺、あいつみたいにカッコよくないし、学校も出てないし、取柄といったらガキのメシ作るだけなんだけど、でも、子供らはみんな俺の作ったメシを残さず食うから。うまいうまいって。それで、みんなスクスクでかくなるんだ」 2015/07/...
「なんなら、毎日あったかいメシ、食わしてやってもいいぜ。俺、あいつみたいにカッコよくないし、学校も出てないし、取柄といったらガキのメシ作るだけなんだけど、でも、子供らはみんな俺の作ったメシを残さず食うから。うまいうまいって。それで、みんなスクスクでかくなるんだ」 2015/07/16-07/24
Posted by
「マダムの咽仏」と「永遠の緑」が特に良かった 前者は"銀花のマダム"というキャラクターの深い魅力に心掴まれた 後者では最高のタイミングで最高の台詞が出てくるのだから視界が滲まないわけない
Posted by
タイトルの姫椿がよいです。死に場所を探すほど追い詰められている夫に対しての、穏やかな他愛もない言葉をかけられる妻が素敵です。
Posted by
設定は現実だけど展開がファンタジックだったり、ラストにカタルシスを感じるとともにぞっとしたり、簡単に言ってしまえば「世にも奇妙な物語に出て来そう」な物語たちの短編集。 これだけ全部違ったインパクトが残る短編集もあまりないかも、と思った。 精神的にぐっとくる要素がある本だと長め...
設定は現実だけど展開がファンタジックだったり、ラストにカタルシスを感じるとともにぞっとしたり、簡単に言ってしまえば「世にも奇妙な物語に出て来そう」な物語たちの短編集。 これだけ全部違ったインパクトが残る短編集もあまりないかも、と思った。 精神的にぐっとくる要素がある本だと長めに語ってしまうのだけど(笑)、これはシンプルに物語がおもしろいし、全体を通してぐっとくる感じだから、どこかに焦点を当てて語るのが難しい。 「マダムの咽仏」のこんな一節が心に残った。 「嘘でもハッタリでも、腹をくくっちゃえばいいんでしょう。そしたらなれるわよ。役者でも、医者でも、オカマでも。もしかしたら総理大臣にだってなれるわ。でも、とりあえずそうなってから、そのさき本物になるっていうのはものすごく難しい。それが、芸ってやつじゃないのかな」 説明不要。本当にその通りだな、と思ったのでした。
Posted by
短編集。「鉄道員」には及ばないが、この本もなかなか面白かったです。個人的に好きなのは、「シエ」、「マダムの咽仏」、「永遠の緑」。「永遠の緑」は思わず涙してしまう場面がありました。
Posted by
浅田次郎現代ハートウォーミングもの、と思って読んでしまう先入観が悪いんだろうか、'こんなになるまで'のそれぞれの主人公が無神経過ぎて不快。 周りの人のあたたかさや支えに気づかない、または見た目に騙されて悪意に気づかない、また他の誰かが心にいる人と毎日暮らさなけ...
浅田次郎現代ハートウォーミングもの、と思って読んでしまう先入観が悪いんだろうか、'こんなになるまで'のそれぞれの主人公が無神経過ぎて不快。 周りの人のあたたかさや支えに気づかない、または見た目に騙されて悪意に気づかない、また他の誰かが心にいる人と毎日暮らさなければならない伴侶を忖度しない。とにかく最後の話以外はずっとそんな調子で、嫌になった。
Posted by
初めて読むと思ってたら、一度読んだことがありました。全ての短編に、なんとなく覚えがあったので ^ ^ ほんとに、人情ものを書かせたらピカイチかと。 浅田次郎さん、さすがです。 私、電車の中でどうやって涙こらえようか…戦いでした。 こういう、浅田さんの代表作として一番に...
初めて読むと思ってたら、一度読んだことがありました。全ての短編に、なんとなく覚えがあったので ^ ^ ほんとに、人情ものを書かせたらピカイチかと。 浅田次郎さん、さすがです。 私、電車の中でどうやって涙こらえようか…戦いでした。 こういう、浅田さんの代表作として一番に挙げられるものではない作品が自分はとっても好きです。 霞町物語もよかったし、うん! やー、ほんとに泣かせます。浅田さんは。 誰ひとり病気になることも死ぬこともなく、ありふれた不幸で涙を誘うわけじゃない。 それなのに、胸がじーんと暖かくて泣ける。 すごく好きな作家さんのひとりです。 浅田さんの小説の特徴とも言える、良い意味で古めかしい、どこか昭和の香りがするとこも自分は好きです。 姫椿の中では「シエ」が一番お気に入り。 さらっと読めるし、オススメの一冊。
Posted by