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博士の愛した数式 の商品レビュー

4.2

764件のお客様レビュー

  1. 5つ

    311

  2. 4つ

    257

  3. 3つ

    131

  4. 2つ

    17

  5. 1つ

    4

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2020/09/01

人間と人間の真の心の交流というのは、突き詰めるとこういうシンプルで美しいやり取りに帰結できるのではないか、と思わせてくれるような温かい物語でしたなぁ。 江夏は偉大だ。そして素数は美しい。

Posted byブクログ

2020/08/30

博士のような人に、数学に限らず他の学問も教わりたかったなぁ。そして博士の子どもを慈しむ心根はどこから来たんだろう? 時に大袈裟だけど、大人は博士のようにあるべきだとも思った。博士そのものがルート君に受け継がれたんだな。私はてんで数式はわからないけれども、好きな学問に出合える事は正...

博士のような人に、数学に限らず他の学問も教わりたかったなぁ。そして博士の子どもを慈しむ心根はどこから来たんだろう? 時に大袈裟だけど、大人は博士のようにあるべきだとも思った。博士そのものがルート君に受け継がれたんだな。私はてんで数式はわからないけれども、好きな学問に出合える事は正直、羨ましい。

Posted byブクログ

2020/08/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この物語の主な登場人物は博士と私と私の息子ルートの3人である。3人ともとうとう最初から最後まで本名がでてこなかった。 博士のキャラクターは最初からインパクトが大きかった。博士の記憶は過去の交通事故の後遺症により80分しか記憶がもたない。初めて会う人には毎回靴のサイズや電話番号を尋ね、「君の靴のサイズはいくつかね?」「24か。実に潔い数字だ。4の階乗だ。」と博士独自の数学目線での会話が毎回とても印象的だった。 博士は数学を心から愛しており常に頭の中は数字で埋め尽くされている。最初はそれ以外の人や物事に一切興味関心がないのかなという印象を受けたが、博士という人物が時折見せる子どもへの愛情深い一面や、チャーミングな言動に心が和んだ。 博士が語る数学の美しさは私にはまだ理解出来ない部分も多かったが、この本では数学と文学が丁度具合に合わさってとてもロマンチックに感じられた。 主人公の誕生日220の数字と博士の腕時計の284の数字、バラバラに見えた2つの数字が実は友愛数で結びついていた場面の感動は、この本を読んでみないことにはきっと分からないだろう。また、博士が0という数字の話をする時の台詞も好きだ。「では君は、花や星のように、0は人間が生まれた時にもう既に目の前にあったと思っているのかい?何の苦もなくその美しさを手に入れることができたのだと?古代ギリシャの数学者たちは皆、何も無いものを数える必要などないと考えていた。だがこのもっともな論理をひっくり返した人々がいたのだよ。無を数字で表現したんだ。非存在を存在させた。素晴らしいじゃないか。」 今当たり前に身の回りで溢れているものは遥か昔の時代に誰かの人生をかけて産み出したものであり、私たちは常にその恩恵を授かっていることを博士に教えられたような気がした。 また本書では、野球の話もよく出てくる。途中博士と私とルートの3人で野球観戦に行く場面や、物語の最後の要となる部分でも野球が関わってきたのだが、残念ながら私は野球の事が全くと言っていいほど分からなかったため、もっと野球の知識があれば違う形での感動も味わえたかもしれないと読みながら思った。

Posted byブクログ

2023/03/18

記憶する能力を失った数学者の『博士』と出会い、数学に魅了され、博士を敬愛した『私』と息子の『√(ルート)』。 博士の数学に対する情熱に感化され、読んでるうちに数学に魅了される作品。

Posted byブクログ

2020/08/13

すぐに読み終わった。 おじいちゃんと博士が重なってちょっと切なかった。博士の言葉の一言一言が刺さった。純粋で優しさの塊のような博士が日常にいたとしたら、自分はあまりにもせかせかしてて、大事なものとか人を大事にできていないかもしれないと思った。 久々に大切にしようと思った本

Posted byブクログ

2020/07/26

ずっと気になっていた本。 何か特別なことが起こるわけではなく、淡々と話は進んでいく。でも、主人公とその子ども、博士との関係性が心地よく、あたたかな雰囲気に包まれた。 誰かに寄り添う、とは「受容する」ことであると、この本を通しても再確認できた。

Posted byブクログ

2020/07/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

一見これといった繋がりもない、老人と家政婦とその息子を描いているだけなのに、読後こんなにも心暖かくなるなんて。 最後の終わり方が綺麗すぎる。 子どものことになると全てを注ぎ込む博士は愛に溢れてて、そういう博士がかわいらしく微笑ましかった。 80分すらも記憶が持たなくなっても家政婦やルートとの繋がりが失われなかったこと、最後まで穏やかに物語が続いて読後感がとても柔らかく優しいものだった。 夕日が降り注ぐ古ぼけた離れ、カサカサとなるメモの音と宿題をするルート、家政婦の料理をする音、全てが暖かく愛おしい時間で、本当に優しい物語だった。 数学に美しいという感情を持つ人がいることは知っていたけど、実感できたのは初めて。家政婦が数字に物語を持たせたり、美しくも簡単な言葉で紡いでいったりするのが更に数字の美しさを際立たせていた。数学をレースに例えるの文学的センスの塊、、数式で編まれたレース模様。 未亡人、一体何者、、、 "博士の痛みはもっと別のところにあったのに、自分はいつも、見当違いの場所ばかりさすっていたような気がした" "背景は暗く、観客もスコアボードも闇に沈み、江夏ただ一人が光に浮かび上がっている。今まさに、左手を振り下ろした瞬間だ。右足はしっかりと土をつかみ、ひさしの奥の目は、キャッチャーミットに吸い込まれてゆくボールを見つめている。マウンドに漂う土煙の名残が、ボールの威力を物語っている。生涯で最も速い球を投げていた江夏だ。縦縞のユニフォームの肩越しに背番号 が見える。完全数、28。" 完全数はその約数の和がその数になるもの

Posted byブクログ

2020/06/10

映画の予告は何度も見ていたので気になっていた一冊。 淡々と優しいお話でした。 出てくる人たちがみんな優しいのがとても沁みる。 後日、映画も見ましたが切り口が変わっていて、「こうきたかー」と思いつつ楽しく観れました。先に読むか後に読むかで評価は変わりそうですが、先に読んでおい...

映画の予告は何度も見ていたので気になっていた一冊。 淡々と優しいお話でした。 出てくる人たちがみんな優しいのがとても沁みる。 後日、映画も見ましたが切り口が変わっていて、「こうきたかー」と思いつつ楽しく観れました。先に読むか後に読むかで評価は変わりそうですが、先に読んでおいてよかったです。

Posted byブクログ

2020/02/24

よく小川洋子さんのラジオを聴いていて、とても楽しく本を紹介されているので、初めて小川さんの作品を読んでみました。 個人的には苦手な数学と好きな野球に、母と息子、義理の姉弟の愛が綴られる物語という印象です。

Posted byブクログ

2020/02/11

小川洋子の魅力ななんといってもその作風だ。 この作品でも失われる記憶、派遣された家政婦、義理の姉弟など、小川洋子らしい要素が並ぶが、そこに「数学」と「江夏豊(プロ野球)」が加わったことが、何よりも新鮮だ。

Posted byブクログ