コーラン(上) の商品レビュー
イスラーム教の聖典コ…
イスラーム教の聖典コーランの全訳。本訳はムスリム協会のクルアーンなどに比べて、意訳された部分が多い。しかし、哲学の用語などに慣れているならば、その意訳の部分がコーランの思想の理解を助けてくれる。しかし、本書において索引が付いていないのは非常に残念である。
文庫OFF
(通巻の感想) 20億人近くの信者を抱えるイスラム教をどこか遠く未知なものと感じてしまうのは彼らの聖典に馴染みがないからかもしれない。そう思いコーランを手にしたが、たしかに取り扱いの難しい書物だ。同じような表現が何度も反復され、物語(のオリジナル)性が乏しく、過激な表現の今日的な...
(通巻の感想) 20億人近くの信者を抱えるイスラム教をどこか遠く未知なものと感じてしまうのは彼らの聖典に馴染みがないからかもしれない。そう思いコーランを手にしたが、たしかに取り扱いの難しい書物だ。同じような表現が何度も反復され、物語(のオリジナル)性が乏しく、過激な表現の今日的な受け入れは難しい。それでもイスラムの世界観を知るには繙かねばならない書物だと思う。 まず、アッラーの、唯一性、遍在性、不可知性が強調される。「東も西もアッラーのもの。いずこに顔を向けようと、必ずそこにアッラーのお顔がある。」という表現は神の遍在を端的に表しており、天上の人型の神というイメージからはかけ離れている。ここに偶像の絶対禁止の理由を知ることができる。また、神の一人称が「我ら」であることも興味深いが、ムハンマドが語る最中にしばしば人称が変化する様は神秘体験の臨場感を伝える。 ムハンマドが宗教家であると同時に為政者であり戦の指導者であったことが、聖典としての特殊性をもたらす。離婚や相続についてなど生活上の規則まで細かく規定される。ここにイスラムにおいて宗教と世俗的生活を分離するのが難しい理由があるのだろう。また、戦いを鼓舞する表現など厳格で荒々しい表現も多く、聖典としては戦闘的な性格であることは否めない。 そして、天国と地獄の描写はとても感覚的だ。天国は、川の流れる楽園で、食物に満ち、男性には天女があてがわれるといい、とても快楽的・実利的な描写である。対して、信仰しない者が地獄(ジャハンナム)の火に焼かれるという描写がとにかく散々繰り返される。神の恵みも強調されてはいるが、不信仰への報復を徹底する峻厳な神がアッラーだという印象を強く受ける。 アブラハム、モーセ、イエスなど旧約と新約の神話についても語り直されているが、オリジナルな物語として、イブリースの神話が興味深い。天使の一人イブリースは、神の創った人間(アダム)に跪けとの神の命令を拒み、追放されサタンとして神に抗うようになったという。たとえ自己の不利益になろうと、たとえ神の命令であろうと、己に及ばないものには決して跪拝しない自恃の精神にはある種の輝きがあり、否定的精神を具現化したアンチヒーローともとれる。
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馴染みがないせいなのか、とっつきがわるく、なかなか前にはすすめない。回教の教えそのものが浸透していないか、テキストはこれくらいしかみあたらなかった。
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50ページで断念。 時間をかけて、精読しなければいけないが、ちょっと時間が取れない。 しばらくは積読か。
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マホメットが信徒に向かって語った日々の教えを編纂した文書。 つまりマホメットによる信仰告白、説教集なのだが、繰り返し繰り返し、アラーを信じよ、敬え、懼れよ、讃えよという言葉がいやというほど出てくる。それは当然なのだが、訳者も言っているように、聖書のようなストーリーがあるわけではな...
マホメットが信徒に向かって語った日々の教えを編纂した文書。 つまりマホメットによる信仰告白、説教集なのだが、繰り返し繰り返し、アラーを信じよ、敬え、懼れよ、讃えよという言葉がいやというほど出てくる。それは当然なのだが、訳者も言っているように、聖書のようなストーリーがあるわけではなく、アラーに関するメッセージが延々と続くので、まとめて読むのはかなりつらい。 それにしてもアラーという神は、偉そうに威張っているな。 神様だから当然だが。
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読了。上、中、下の上だけです。読誦はできませんのでしていません。イスラームの知識が欠けていることを自覚して読んだ次第です。非常に長いものを苦労して読んだため、少しは分かったことになるのかも知れません。が、国内の識者らしきひとびとに見られるいくつかの言及は、わたしのなかではより不鮮...
読了。上、中、下の上だけです。読誦はできませんのでしていません。イスラームの知識が欠けていることを自覚して読んだ次第です。非常に長いものを苦労して読んだため、少しは分かったことになるのかも知れません。が、国内の識者らしきひとびとに見られるいくつかの言及は、わたしのなかではより不鮮明になりました。詳しくは書きません。主に、書物のなかに矛盾がいくつも見られることに加えて、本物の天の啓示である証拠に矛盾がないと堂々記述されていることが不思議でした。また、死後の刑罰の描写は火責めの一辺倒であり、それが100回くらい記述され、一方天国の描写は川と女だけで、こちらも幾度も出てくる割にバリエーションはありませんでした。ひとつ気が付きましたが、神は過去と現在を完全に疑いなく熟知している一方で、未来については判らないように思えます。ひとの人生がいつ終わるのかを決めているという記述はありますが、これは寿命をろうそくの火で例える日本の宗教観に例えても、ろうそくの長さは過去のいづれかの日に決めておいておくものなのだから、未来を知っていることにはなりません(谷から石を落とせば「落ちる」ことなら人間も知っています)。風を起こして火を消すように、人のともし火を消すことも可能でしょうが、それは現在を司る力です。未来は、存在しない。後、これを持ち歩いて電車のなかで読んだりするのは少し怖かったです。無知故の不敬をお許しください。
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ムハンマドが書き直した旧約聖書の神は慈悲深いな。イスラム教の教えは、ムハンマドがいきなり書き上げていきなり広まったのではなく、彼の時代にはすでに一定以上の信者がいたのか。 これを読み通すだけでなく、朗唱できるほど自分の一部にしきったハーフィズは偉大すぎる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いわずと知れたイスラム教の聖典の邦訳本。全3巻中の第1巻。黙音読。 全能の神は全責任を負う(というより万能で責任すら問題にならない)。一方、神(アッラー)の思し召しである以上、人々は責任を感じる心性を持ちにくい。自己責任や罪の概念を持ちうるのか。 イスラム圏の初等教育がどういう手法で、どういう内容が教授されているのか。本書を読むと気になってきたところである。
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長いし、同じ話が繰り返し出てくる。ただしそれも含めて教養として読んでおく価値は十分にあるだろう。 前提として旧約聖書の主なエピソードは復習する必要あり。
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この本はイスラム教の初学者にとって難しいと思われる。大学入試で倫理の受験経験がある人や大学の一般教養の講義を受けた人でも難しいかもしれない。何かイスラム教に関する入門書を読んでから、『コーラン』を読んだ方がよいと思われる。
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