萩原朔太郎詩集 の商品レビュー
いいです。彼は故郷に…
いいです。彼は故郷にいるとき、けっこう寂しく悲しい思いをしたんだなーという詩がちらほらあって、切なくなります。詩人というのは、けっこう独特な性格を持つ人が多いですが、朔太郎もその一人です。でも彼の書く詩はとてもきれいです。中原中也と同じくらい澄んでいます。
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純粋な孤独と、苛立ち…
純粋な孤独と、苛立ちを込めた朔太郎の詩は、若者のバイブルとも言えるでしょう。
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**孤独を纏い、言葉をつむぐ詩の革命者の静かな叫び。** [読後の印象] 私が萩原朔太郎の詩は、ある意味で罪である。 私の心の奥底で詩への憧憬を宿らせ、現実の世界から剥がしたのは、紛れもなく萩原朔太郎の詩そのものでもあるのだ。 萩原朔太郎の詩集は、日本近代詩に革命的変容を...
**孤独を纏い、言葉をつむぐ詩の革命者の静かな叫び。** [読後の印象] 私が萩原朔太郎の詩は、ある意味で罪である。 私の心の奥底で詩への憧憬を宿らせ、現実の世界から剥がしたのは、紛れもなく萩原朔太郎の詩そのものでもあるのだ。 萩原朔太郎の詩集は、日本近代詩に革命的変容をもたらした。 その詩の底には、「感覚の孤独」「抒情の哀愁」「都会の喧騒と沈黙」といった複雑にして繊細な要素が織り込まれ、あたかも言葉がひとつの生ける肉体となっているかのような独自の感性が漂っている。 彼の代表作である『月に吠える』『青猫』は、現実の冷徹な世界を見据えつつも、その奥に秘められた暗く重苦しい魂の叫びを強烈かつ鮮烈に描き出しているのだ。 『月に吠える』は、彼が青春期に感じた孤独と絶望を詩の中で研ぎ澄まされた苦悩と共に昇華した作品である。 ここには、日本語の詩の既存の枠を突き破るべく鋭利に磨かれた自由詩の試みがある。 伝統的な詩形を脱却し、暗夜に吠えかかるごとき言葉の奔流が、読み手に彼の内なる孤絶と激しい疎外感を容赦なく突きつける。 萩原はまた西洋文学の影響を受け、近代社会の冷酷さや都市生活の無機質な感覚を鋭敏に捉え、そこに生きる人間の苦悩と矛盾を深く抉り出している。 続く『青猫』では、幻想の色彩が濃厚に漂い、夢と現実の境界が曖昧となる作品が多く収録されている。 彼は異世界への憧憬と人間の存在の儚さを透徹した幻想美によって描き、現実からの逃避をその冷ややかなイメージに託している。 「青猫」という象徴的な存在は、萩原の内に巣食う虚無あるいは人間の哀愁を抱いた孤独の具現であり、どこまでも逃れられない無常の象徴と化している。 とりわけ彼が選び抜いた「青」という色は、冷ややかで透明な美しさを放ち、静寂と孤独の中に澄みきった凛とした感覚をもたらしている。 また、彼の詩風には鋭利な社会批評が潜み、時に都会生活の無情さや人間の存在意義に対する深い嘆きが綴られている。 その詩に繰り返される「孤独」「無力感」といったテーマは、萩原自身の内なる苦悩を投影すると同時に、日本の近代化という時代の宿命的な影響を映し出す鏡である。 彼の詩に問いかけられるのは個の存在を超え、社会や時代そのものが孕む本質への根源的な疑念である。 萩原の詩はただ美辞麗句の羅列ではなく、彼の苦悩と絶望の果てに生み出された魂の鏡像であり、それゆえ、今日に至るまで多くの孤独な人々の心の奥底に響き続けているのだ。 萩原朔太郎の詩集は、時代を超えてなお孤独と哀愁を抱える現代の読者の胸に深く突き刺さり、見ることも触れることもできぬ魂の孤影を浮かび上がらせる。 もっとも私自身を揺り動かし、もっとも愛する詩「旅上」は、旅の孤独と無常を情緒豊かに映し出した作品である。 彼の言葉は現実の風景と共に心の内なる風景を描き、旅路に潜む寂寥を余すところなく掬い取る。その詩句には旅が一つの「放浪」へと変貌し、日常の喧噪から解き放たれた魂が浮遊するかのような感覚が漂う。 時間と空間の拘束から逃れることで、朔太郎は旅の刹那の美しさ、すなわち「永遠の一瞬」を凝視し、読む者に深く静かな孤独と儚さの境地を示しているのである。 この詩に触れる度毎に、私は旅を想い、旅に憧れ、そして旅路を描くのだ。 彼の詩は今も、読者の心に切り立った岩のように残り続け、読む者にとってひとつの永遠の問いかけであり続けている。
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仕事で毎週前橋に行くので、朔太郎が故郷・前橋について綴った「郷土望景詩」を読んだ。朔太郎の前橋に対する愛憎相半ばする屈折した感じが興味深い。
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本当に大好きな大好きな作品。 萩原朔太郎は繊細な感性と表現を用いて自分の孤独と影と向き合っていることが伝わる。 彼の初期の作品である『月に吠える』では醜い、堕落した、不自然なものを人間の本性の反映として捉れられている。敢えて醜悪な対象に孤独な自己を投影し、それを描写するために顔...
本当に大好きな大好きな作品。 萩原朔太郎は繊細な感性と表現を用いて自分の孤独と影と向き合っていることが伝わる。 彼の初期の作品である『月に吠える』では醜い、堕落した、不自然なものを人間の本性の反映として捉れられている。敢えて醜悪な対象に孤独な自己を投影し、それを描写するために顔、死体や動物等、様々な隠喩を使用することで病や不安、他者と共有できない絶望という「孤独」の世界観を作り上げている。 『青猫』では馬や猫という存在を意図的に利用し、それらの影そのものに自身を投影することで苦しみながらも、それでも生きていかざるを得ない「孤独」の変化を描いている。 つまり、朔太郎は表面的な「一人」ではなく、本質的な、変化する「独り」を理解し、彼が見た「孤独」や「さびしさ」の姿が二作品を通して変わっていったことに、彼の独特な表現を通じて再現することができるのだ。
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やはり初期の作品群はすごい どれくらいすごいのかというと紙面にまで緊張感がみなぎっている 月光に照らされた静かな水面に、言葉のしずくが一滴落とされると波紋がさっと広がる 詩的イメージの鮮烈さに心が震える
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純情と陰惨 いじらしくて、人間、という感じがする。上手く生きられずに吠える。悲しい、人間。 北原白秋の序文があまりにも親密でもっと掘り下げたくなってしまう。 かわいくて、不気味で、儚くて、なんて魅力的な人なんだろう。 詩は慰め。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
全部は読んでいないが、月に吠える 抄が1番印象に残った。その中でも「悲しい月夜」「雲雀の巣」が印象に残った。「さびしい空の月に向って遠白く吠えるふしあわせの犬よ」というフレーズが雰囲気が想像できて感慨深いなぁと思った。もしかしてライトノベル「千歳くんはラムネ瓶のなか」も、この作品に影響を受けているのかなと思った。だって主人公の名前が「朔」だし、月の描写も書かれていたりするから。勘違いだったらすいません笑
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僕にはこの詩集は暗すぎた。 しかし、ひとつ好きな詩を見つけた。 「こころ」 こころをばなににたとへん こころはあぢさゐの花
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病的な雰囲気も素晴らしいし、序文すら詩的で素敵だった。 青白いけれど情熱的な朔太郎の詩は生きることの美しさを教えてくれる。
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