人はなぜ「美しい」がわかるのか の商品レビュー
美しいとは、判断基準が自己にあるもの。他者との関係において発生するもの。幸福を知って孤独を感じるから、気付くもの。夕焼けのキラキラを、月を美しいと思う時、私のそれはそれは幸せの思い出と繋がっている。相変わらず、橋本治の本は難しくて、何度戻っては読み直し、やっと自分の中に言葉は入っ...
美しいとは、判断基準が自己にあるもの。他者との関係において発生するもの。幸福を知って孤独を感じるから、気付くもの。夕焼けのキラキラを、月を美しいと思う時、私のそれはそれは幸せの思い出と繋がっている。相変わらず、橋本治の本は難しくて、何度戻っては読み直し、やっと自分の中に言葉は入ってくる。時間がかかるが面白い。時をおいて再読したい本。 夕焼けはなぜ美しいか?清少納言にわかって兼好法師にわからない理由。夕焼けは近代社会のもの。キラキラ輝くものが美しい理由。愛情とは介入しないこと。美しいとはある種の学習の結果。孤独(家制度からの逸脱)は、罪破綻を意味していたから、前近代に孤独はなかった。 途中、橋本治の男性との恋愛話は若干寒かったが。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
三回目。自分の中で過渡期になると再読しだす本の一つ。 完全に自分の土俵での感想ですが…、 最近自分は「悲しい」とか「哀しい」という感情について気になっているのだけど、橋本さんは「孤独」についてどんなに言及しても「かなしい」という感情については言及しないんだなぁ…と思った。どことなく、「かなしい」と思うことを敗北のように捉えている気がする。 例えば、ラストに杜甫の詩について語っているのだけど、悲哀を感じさせるような言葉が語られてる部分を好きでは無さそうなところとか。 ただ、自分にとっては「かなしい」という気持ちと「美しい」という気持ちは不可分にひとしいようなところがあるので、逆にこれ読んで自分の問題が炙り出されたかも。 再読情報下↓
Posted by
完全に、ジャケ買いならぬ題名買い。 最初は大学の講義のようなダラダラとしたウンチクだったが、 途中で、ゴキブリは美しいんじゃないかとか、 ウンコも考えようによっては美しいじゃないかとか、 言い出して、たまげた。 たぶん、この人の言いたかったことは、 美しいがわからない人がいる...
完全に、ジャケ買いならぬ題名買い。 最初は大学の講義のようなダラダラとしたウンチクだったが、 途中で、ゴキブリは美しいんじゃないかとか、 ウンコも考えようによっては美しいじゃないかとか、 言い出して、たまげた。 たぶん、この人の言いたかったことは、 美しいがわからない人がいるんだということを発見した。 でも、おれは違うよ。というか、美しいがわからないなんて、 人生損してるね。ということな気がする。 美しいを分からない人としては、 例えば、美しいの判断を外部に求める人が挙げられている。 豪華な家が美しくないのがその典型らしい。 あと、面白いと思ったのは、昔の職人さんは、何度も同じものを 作ることで、時間をかけて試行錯誤をして、ものを作った。 そこには、「ためらい」があった。 人はためらうことで、余分なものをそぎ落とし、そのものの観念を そのまま表現するものを作ることができた。 だから美しいものが作れたのだ。と。 今は、「これが美しいはず」とか「これが機能的であるはず」とか、 そういうものが多い。らしい。 あとは、源氏とかを研究している人らしく、枕草子とか徒然草の中の 美しさの概念についても書いてあった。 久しぶりに理論的じゃない本を読んだので、 話が色んなところに脱線して、最初は読みづらかった。 でも、じっくり読むと、味が出てきそうな本だと思う。 ------- 他の人のレビュー http://d.hatena.ne.jp/pha/20050310/1110457658 http://drupal.cre.jp/node/286 http://members.jcom.home.ne.jp/j-miyaza/page123.html
Posted by
捨てようと思って再読してしまったよ。改めて読むとめちゃくちゃ面白いなー。/以下適当なメモ。清少納言は、サブカル女子っぽい。自分に無駄な自信があり、うかれているかんじ。一方兼好法師は、サブカル女子が嫌いなオタ男子っぽい。知識としては、美しい物がわかってるんだけど、それをむやみやたら...
捨てようと思って再読してしまったよ。改めて読むとめちゃくちゃ面白いなー。/以下適当なメモ。清少納言は、サブカル女子っぽい。自分に無駄な自信があり、うかれているかんじ。一方兼好法師は、サブカル女子が嫌いなオタ男子っぽい。知識としては、美しい物がわかってるんだけど、それをむやみやたらに好きとはいえないし、いう自信もない。なんで、まぁ自虐的に、どうせおれなんてとつぶやいている。/平安時代が、もう日本の文化の最高潮で、一番華やかで「美しい」ものを美しいと屈託なく言えた時代で、すでに鎌倉は、美しいを本当の意味で実感することはできないという意味では、ほぼ現代的だなぁとおもた。鎌倉リアリズムとはよくいったものだぬ。
Posted by
2011/4/21読了。 タイトルから想像していた内容とだいぶ違う方向へと進んだが、今までは全く視野に入っていなかった観点を得られたように思える。どんなものごとでも、どこまででも深く掘り下げることが可能なことを実証している1冊。今の自分にこんなに深い思索は不可能であり、いかに注意...
2011/4/21読了。 タイトルから想像していた内容とだいぶ違う方向へと進んだが、今までは全く視野に入っていなかった観点を得られたように思える。どんなものごとでも、どこまででも深く掘り下げることが可能なことを実証している1冊。今の自分にこんなに深い思索は不可能であり、いかに注意を向けてモノを見るかという重要性を認識した。 「美しい」に関して色々な例を交えて説明しているものの、結論は予想以上にシンプルだった。というよりも、結論自体に意味があるというのではなく、むしろ途中の議論が著者が伝えたかった部分なのだと感じた。
Posted by
[ 内容 ] 人はなぜ、「美しい」ということがわかるのだろうか? 自然を見て、人の立ち居振舞いを見て、それをなぜ「美しい」と感じるのだろうか? 脳科学、発達心理学、美術史学など各種の学問的アプローチはさまざまに試みられるであろう。 だが、もっと単純に、人として生きる生活レベルから...
[ 内容 ] 人はなぜ、「美しい」ということがわかるのだろうか? 自然を見て、人の立ち居振舞いを見て、それをなぜ「美しい」と感じるのだろうか? 脳科学、発達心理学、美術史学など各種の学問的アプローチはさまざまに試みられるであろう。 だが、もっと単純に、人として生きる生活レベルから「審美学」に斬り込むことはできないだろうか? 源氏物語はじめ多くの日本の古典文学に、また日本美術に造詣の深い、活字の鉄人による「美」をめぐる人生論。 [ 目次 ] 第1章 「美しい」が分かる人、分からない人(「美しい」が分からない人;「美しい=合理的」という発見 ほか) 第2章 なにが「美しい」か(なぜ私の話は分かりにくいか;「カッコいい」の意味するところ ほか) 第3章 背景としての物語(嵐の雲を「美しい」と思った時;台風を「美しい」と思ってしまう人間の立つポジション ほか) 第4章 それを実感させる力(不思議な体験;だったら人生はつまらないじゃないか ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
Posted by
美に「=合理的」という側面があるというところ、そしてそれ以外の美しさもあるんだよってところまでは良かった。 それ以降はどうだろうなー 美しいという感覚は人それぞれ、といっては元も子も無いけど、自分を確立する過程と深く関わっている感情であるとは思う。
Posted by
美しいを「夕日の美しさ」で切り込んでいくところが印象的。 結局「美しいものは美しいから美しいんだ」っていう話に落ち着ける訳だけど、そこに至るまでに、相当な説明が入ります。 自分には絶対こんな風には言えない。すごすぎます。これももっかい読みたい。
Posted by
橋本治さんの書かれる文章はちょっとわかりにくい…という声も聞こえてきますが、とにかく最後まで読んでみて欲しいと思います。 私には、共感できる部分が多くて、特に、愛情というのは、人の中に育つものをじっと待ってあげること…という部分とか、自分の中に幸福感がちゃんとあって、それが欠けた...
橋本治さんの書かれる文章はちょっとわかりにくい…という声も聞こえてきますが、とにかく最後まで読んでみて欲しいと思います。 私には、共感できる部分が多くて、特に、愛情というのは、人の中に育つものをじっと待ってあげること…という部分とか、自分の中に幸福感がちゃんとあって、それが欠けた状態があって、自分が求める姿を発見した時、人はそれを美しいと感じる…という部分がとても心に残りました。
Posted by
この本と、「科学的」って何だ!を 同じ値段で売るちくまってわからないと思ってしまう。 科学的がひどいんですよ、もちろん。 橋本治のいつもの調子の話です。 簡単にいうと、美しいを実感して生きようね。 楽しく生きたものが、幸せですよ。もちろん。
Posted by