だれかのいとしいひと の商品レビュー
短編集。共通するのはここに出てくる男女には先がないこと。中でも『ジミ、ひまわり、夏のギャング』が一番よかった。「過去は掌をすべりおちる液状の砂」「つまりナンバリングを永遠に続けるようなこと」「さよなら、かつてのあたしを奮い立たせたすべてのもの」・・・段落ごとに入る言葉がよいです。...
短編集。共通するのはここに出てくる男女には先がないこと。中でも『ジミ、ひまわり、夏のギャング』が一番よかった。「過去は掌をすべりおちる液状の砂」「つまりナンバリングを永遠に続けるようなこと」「さよなら、かつてのあたしを奮い立たせたすべてのもの」・・・段落ごとに入る言葉がよいです。角田さんの本は読んでると、情景が浮かんでくるので最近はまり中。
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珍妙な転校生の会に赴く転校経験のない女。 元恋人の部屋にポスターを盗みにいく女。 愛しい親友の恋人までも好きになろうとする女。 この短編集に出てくる登場人物たちは変わっていて、どこかズレているように思う。彼女ら(もしくは彼ら)は時にしてとても愚かにみえる。けれどそれでも私...
珍妙な転校生の会に赴く転校経験のない女。 元恋人の部屋にポスターを盗みにいく女。 愛しい親友の恋人までも好きになろうとする女。 この短編集に出てくる登場人物たちは変わっていて、どこかズレているように思う。彼女ら(もしくは彼ら)は時にしてとても愚かにみえる。けれどそれでも私はそんな彼ら彼女らに愛しさを覚えてしまう。特に冒頭であげた三人の女たち。私は彼女たちに恋をしていると言っても過言ではない。ああ!なんていじらしい! 彼女たちは強い。ちょっとやそっとじゃくじけやしないし、転んでもただでは起き上がらない、度胸もある。だが、それでいてとんでもなく純粋で繊細で不器用だ。彼女たちは恋をして、たくさん傷つく。そしてなぜだかその傷について考える。理解できないことをあの手この手で理解しようとし、なにがしかの答えを見つけようしたりする。全くもって効率の悪い生き方で生きている。でもまあ、そんな彼女たちの物語だからこそ、そこにあるのはありきたりな日常に良く似た非日常的・日常生活があるのやもしれない。思うに、結構すごいことをしでかしてくれている彼女たちの生活にはドロドロとしたマイナスの要素がちっとも感じられない。他の人はわからないが、少なくとも、私にはそうだ。 旅行などに行く時は必ずと言っていいほど持っていきます。私にとって本書はいわゆる愛読書と言われる類のモノ。ポケットの中に入ってる色とりどりの飴玉のような、そんな存在です。甘くてほんのちょっと胸が苦しくなる切なさがあります。どうにもできないできないとわかっていることに対する行き場の無い憤りの思いも。きっと幸せも不幸せもない。だけど、この本を読んで実は人生って悪い偶然の連続なのかもしれない、と少しだけ思わないこともないなあ。(笑)
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きっと、一編一編違う出会い方をしていれば残らなかったと思う。集まって力になる!文庫もででるけど、ハードカバーの方が装丁とか挿絵が素敵!
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