神の子どもたちはみな踊る の商品レビュー
作者の短編集読み漏らし④ 6つの短編どれも、背後に神戸での大災害が起こっているらしい、ある種繋がった作品世界。 単純な救いがある訳でもなく、孤独と向き合うような静かな作品が並ぶ。 『UFOが釧路に降りる』は、神経が逆立つ様な名作と感じる一方、『蜂蜜パイ』は個人的に不快が勝り、突...
作者の短編集読み漏らし④ 6つの短編どれも、背後に神戸での大災害が起こっているらしい、ある種繋がった作品世界。 単純な救いがある訳でもなく、孤独と向き合うような静かな作品が並ぶ。 『UFOが釧路に降りる』は、神経が逆立つ様な名作と感じる一方、『蜂蜜パイ』は個人的に不快が勝り、突拍子も無い設定でも謎の納得感を与える作者にしては少し珍しかった。
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阪神淡路大震災や当時の世相から着想を得たのだろうか。無関係にしかみえないもの同士が共振し、自分の大事な何かを揺らがされたような気がする。
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村上春樹の小説は面白いのは面白いんだけど、触感がツルンとしているから、どんなに良くても★は4つと決めているw ただ、これは★5つ(^^)/ というのは、読んでいて感じる触感があるからだ。 あー、小説だなぁーっていう感じ? そこがいい。 それを感じたのは、1話目の「UFOが釧路に降りる」。 主人公の小村が何に巻き込まれているんだか、別に何にも巻き込まれていないんだかわからない、人を食った展開にザワザワっとするんだよね。 最後に、小村の胸に指先でまじないのようなものを描いたシマオさんが、「でも、まだ始まったばかりなのよ」と言うのも小ジャレているし。 なにより、胸に女性の指を感じるような錯覚を覚えて。 思わず、ニヤニヤしてしまった(^_^;) 2話目の「アイロンのある風景」は、砂と風を感じる。 椎名誠の『あやしい探検隊・北へ』のあの感じ(^^ゞ 厭世感?、諦観?、達観? オレはオレ/わたしはわたし、世間は世間? 選挙なんて行くか、ばーか…、みたいな(爆) そういう優しさ、お気楽さ。そして、悔やみきれないなにか。 もしかしたら、ちょっとうらやましいのかもしれない(^^ゞ 3話目、「神の子どもたちはみな踊る」は、『1Q84』の牛河が『1Q84』の主人公になったような話(?)。 読んでいて、なんだか薄気味悪くなってくるところは好み。 ていうか、村上春樹でなく村上龍が『1Q84』を書いたらこういう感じになるのかも?w 4話目、「タイランド」も宗教…、というよりスピリチュアル? というか、東南アジアとかインドとかで、この手の占いで気づかぬ間にボラれてることは普通にありそうだ(ーー;) 5話目の「かえるくん、東京を救う」は、まさにThe 村上春樹って感じ。 村上春樹って『ノルウェイの森』を出すまでは、こういうポプな小説を書く作家というイメージだったように思う。 ていうか、村上春樹の本質って、こういうポップさにこそあるんじゃないのかな? ただ、同時に「僕が…」、「僕が…」的なナルシシズムが強烈にあるから。 同じようにナルシシズムの強いファンたちから、「それこそが村上春樹の妙であり、ボク/わたしが求める村上春樹」みたいに受け取られることで、それが世間での村上春樹評みたいになっているけど。 でも、そのポップな部分というのは、齢を経て、あるいは時代を経て、いろいろ変わっていったとはいえ、今でもあるんだと思う。 もっとも、最近は徐々に時代から遅れ始めているよーな気がするしw なにより、ユーモア精神がなくなってきているから、ポップがポップじゃなくなってきている面が多少ある。 ただ、ポップじゃなくなって枯れた村上春樹というのも、それはそれで味なのかもしれない(^^ゞ 『フクロウは黄昏に飛び立つw』から始まって、『ねじ巻き鳥クロニクル』、『1Q84』、『ノルウェイの森』、そしてこの『神の子どもたちはみな踊る』と読んできて、だんだん気づいてきたのは、村上春樹の小説の多くに含まれている、著者特有のおフザケである「茶化し」だ(言ってみれば、村上ギャグw)。 「茶化し」というとビートルズだけど、村上春樹はリアルタイムのファンなわけで。てことは、ビートルズのそれをわかっているはずだし。また、その影響を絶対受けているはずだ。 つまり、村上春樹の小説には茶化しや皮肉、あるいは毒がたぁーーーっぷりと含まれていることを意識して読むことが必要で。 それらを選り分けないで丸呑みしちゃおうものなら、たちまち、甘ぁーーーいナルシシズムの穴に陥ってしまうということなんじゃないだろうか?w 村上春樹の小説を読む人は、『1Q84』の登場人物である青豆が思う、 “そこにあるのはある種の病を到来するのを暗示するような暗鬱さだ。それは人の精神を芯から静かに蝕んでいく致死的な病だ。(中略)ここには間違いなく何か健全でないものが含まれている。”ということは、常に頭に入れておいた方がいい(^^)/ なぜなら、人は、“何か健全でないものが含まれて”いて、“人の精神を芯から静かに蝕んでいく致死的な病”が内包されているものにこそ惹きつけられるからだw 6話目、「蜂蜜パイ」は、これぞThe 小説って感じのお話。 それも、かなりド定番で、くっさーーーい小説(^^ゞ 臭イイ小説と言った方がいいかな?w 村上春樹の小説を読んでいる人ならお馴染みの村上春樹オールスターズともいうべき登場人物が出てきてw、読者の期待に沿って話が進行していく。 だからこそ、これはThe 小説とも言うべき、良い小説になっている。 ストーリーの中で、ブラジャーがクスっと笑えると同時に、上品な色気を添えるいいアクセントになっていて。 そこがニクい!(爆)
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表題作が一番面白かった。 何と言っても笑える面白さだからだ。 新興宗教を題材にしていること、そして阪神淡路大震災の後に書かれたという時代背景からもオウム真理教をベースにしていることは間違いないだろう。 宗教を深く信じている人を外側から見るととても滑稽である、ということを描きながら...
表題作が一番面白かった。 何と言っても笑える面白さだからだ。 新興宗教を題材にしていること、そして阪神淡路大震災の後に書かれたという時代背景からもオウム真理教をベースにしていることは間違いないだろう。 宗教を深く信じている人を外側から見るととても滑稽である、ということを描きながらも、また全ての人間の営みは同じく滑稽なのではないかという気持ちにもさせてくれる。
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阪神大震災をモチーフにした物語りたちということでずっと気になっていた。 直接的ではないものの、みんなどこかに震災の影を潜ませていて、完全な当事者でない人たちにとってもあの震災は何かしらの影響というか爪痕を遺している気がした。それは自分も含めて。 村上春樹っぽくない登場人物もい...
阪神大震災をモチーフにした物語りたちということでずっと気になっていた。 直接的ではないものの、みんなどこかに震災の影を潜ませていて、完全な当事者でない人たちにとってもあの震災は何かしらの影響というか爪痕を遺している気がした。それは自分も含めて。 村上春樹っぽくない登場人物もいたりして、新鮮だった。 最後に希望が、こんなに明らかな形で希望が提示されている村上春樹作品も珍しいのではないかと思ったけれど、とても晴れ晴れしく嬉しかった。 『運命』の第四楽章のような、思い切り、てらいなく希望を示されるっていうのは嬉しいんだな。
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最後のは2人の男と1人の女という小説家なら一度は取り扱いそうなテーマ。 文章は日常的で具体的だけど、決心に至る男の心理は直接的には触れることなく描写している間接的な感じが日本的な美しさのように思えた。
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何もかも放り出したい時。 世界なんか壊れてしまえばいいのに。 ふとそんなことを考える時。 それが実際に起こると、 阪神淡路大震災。 人間の小ささを感じる。 一度の地震により、一瞬で崩壊。 こちらの本ではさまざまな視点から、 有像無像を交えた物語集。
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どうしても女性の作家さんの作品の方が読みやすく偏りがあるのでとりあえず久しぶりの読書の1冊目として村上春樹さんの本を読んでみた。 不思議な世界観と短編ならではの良さが感じられその点では好みだった。ただ性的な描写が多すぎて辟易とした。
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1995年1月に起きた大地震を背景に異なる6つの物語を描いた短編集。6つの物語は1995年1月阪神淡路大震災後の生活を描いた作品である。中には同年3年新興宗教団体「オウム真理教」が起こした地下鉄サリン事件をモチーフとして扱った物語もあった。物語の月日を見てみるとおよそ2月である...
1995年1月に起きた大地震を背景に異なる6つの物語を描いた短編集。6つの物語は1995年1月阪神淡路大震災後の生活を描いた作品である。中には同年3年新興宗教団体「オウム真理教」が起こした地下鉄サリン事件をモチーフとして扱った物語もあった。物語の月日を見てみるとおよそ2月であることが分かり、震災以後事件以前が物語の背景であることがわかる。 どれも面白さを感じられなかった。再読する必要があるのかも知れない。
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