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大航海時代の東南アジア 1450-1680年 新装版(1) の商品レビュー

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2009/10/04

今授業で読んでいる本ですが、大航海時代(貿易風下)の東南アジアの社会・文化について、事件史ではなく民衆の生活に注目した歴史書。 現地史料・植民地史などを駆使して、かなり慎重に明らかなこととそうでないことを厳密に区別をして興味深い分析を加えています。 東南アジア学には必携の書だそう...

今授業で読んでいる本ですが、大航海時代(貿易風下)の東南アジアの社会・文化について、事件史ではなく民衆の生活に注目した歴史書。 現地史料・植民地史などを駆使して、かなり慎重に明らかなこととそうでないことを厳密に区別をして興味深い分析を加えています。 東南アジア学には必携の書だそうですが…今さらになって読むとは。 東南アジアを一地域として捉える様になったのは随分最近のことですが、地理的な視点から東南アジアを一つのまとまりとして捉え、それを分析することは意義ある行為であるというのがよくわかる。 この地域は特に「多様性」という言葉で語られるが故に、一地域としてまとめるのはどーかと思う向きもありましょうが、「多様性」をもつ地域としての東南アジア、という風にみることもできます。 と言いつつ共通している点も案外多いのがおもしろい。 そういった事象を、社会・文化と絡ませて描く筆者の手腕がまた素晴らしく、読者を飽きさせません。 例えばこの地域で広く見られる噛み煙草(「ベテル・チューイング」「キンマ」などとも呼ばれます。東南アジアやインドで道が赤いのはこれが吐き出されたものの色が残っているため)は東南アジア発祥と考えられているようですが、なんでも麻薬のような効果を持っていて、中枢神経などに作用し、飢えや労働による疲労からの解放だとか、トランス状態に陥って先祖に会うためとか、そういう意味合いもあるというようなことが書いてあります。なんと肉食の習慣やお酒もそういった意味合いが強かったようなことも書いてあります。 学術書っぽいし量も半端ないので取り組みにくいですが、東南アジアがなんとなく好きな方や、旅行して何であーいうことをするの?と疑問を持たれた方なんかには、オススメの1冊です。 おもしろいと思うためには、ある程度東南アジアについての学術的知識を必要とするので、入門書とはいかないかもしれませんが…。

Posted byブクログ