ねじれた絆 の商品レビュー
「そして父になる」観賞後に読みました。重夫と智子の子、美津子。照光と夏子の子、初子(後に真知子)。取り違えという悲劇にあってから後の15年以上を取材した奥野氏による渾身のドキュメンタリー。実話であるだけに、映画以上に重苦しく、読み進めるのが苦しいほど。美津子と真知子、それぞれが成...
「そして父になる」観賞後に読みました。重夫と智子の子、美津子。照光と夏子の子、初子(後に真知子)。取り違えという悲劇にあってから後の15年以上を取材した奥野氏による渾身のドキュメンタリー。実話であるだけに、映画以上に重苦しく、読み進めるのが苦しいほど。美津子と真知子、それぞれが成人し、自立していく頃になってようやく、気持ちが晴れていく。それぞれがこの事件を消化したかのように見えた終盤。書き下ろしの新章こそがとても印象に残った。実の子である美津子に懐かれることのなかった、実の父、照光。彼が奥野氏に送った手紙で美津子への執着をのぞかせる。この章こそが、「そして父になる」の原案であり、父であるが故に最も胸に迫る章でした。
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昭和46年の沖縄で実際に起こった赤ちゃん取り違え事件、小学校入学前6才時の血液検査で発覚してから17年後まで追ったルポ。 絶対に子供を手放さないと思っても、実の子がいると言われれば一目会ってみたいと思う親心。育ててきた子と似ている相手家族に会い、自分たちに似ているのに他人を家族と...
昭和46年の沖縄で実際に起こった赤ちゃん取り違え事件、小学校入学前6才時の血液検査で発覚してから17年後まで追ったルポ。 絶対に子供を手放さないと思っても、実の子がいると言われれば一目会ってみたいと思う親心。育ててきた子と似ている相手家族に会い、自分たちに似ているのに他人を家族と慕う実子を見て、親たちの気持ちは揺れます。そして、いつもとは違う何かを感じ情緒不安になる子供たち。 子供への愛情はあれど子育ての考え方や優先順位の違い、子供同士のライバル意識、と何年たっても解決することができない家族関係は、読んでいて悲しくなりました。 そもそも正解のない事件に巻き込まれ苦しむ家族に付き添い、長く取材を続けた筆者は、よほど信頼されていたのだな、と。 物語のように簡単には解決できないですよね。
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沖縄の2家族に起きた1971年(昭和46年)に生まれた赤ちゃん取り違え事件。25年の取材に及ぶドキュメンタリー。 読み進めるペースが遅いのは、噛みしめたいからあもるけれど、かなりの衝撃を受けました。 女の子2人の取り違え。 幼少期、思春期、そして30歳。 家族の関係だけではな...
沖縄の2家族に起きた1971年(昭和46年)に生まれた赤ちゃん取り違え事件。25年の取材に及ぶドキュメンタリー。 読み進めるペースが遅いのは、噛みしめたいからあもるけれど、かなりの衝撃を受けました。 女の子2人の取り違え。 幼少期、思春期、そして30歳。 家族の関係だけではなく、夫婦の関係についてなど。 娘を持つお父さんは、娘との関係をどのように築いていたらいいのか。 様々な思いを巡らせるのではないでしょうか。 ステップファミリーへの理解は、これからの時代において必要と感じます。
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ドラマを見て興味を持ち、購入。映画「そして父になる」の参考図書でもある本書。実在の家族からは、映画に対して「内容が違う」という趣旨の物言いがついたというワイドショー的な好奇心もあって、読み始めた。 内容は、赤ちゃん取り違え事件を記者の立場から書いたノンフィクション作品。 取...
ドラマを見て興味を持ち、購入。映画「そして父になる」の参考図書でもある本書。実在の家族からは、映画に対して「内容が違う」という趣旨の物言いがついたというワイドショー的な好奇心もあって、読み始めた。 内容は、赤ちゃん取り違え事件を記者の立場から書いたノンフィクション作品。 取材を重ね、年齢を経て取り違えられた家族の姿を描いている。 ドラマでは、それぞれの家族が抱える苦しみやせつない心情が伝わってきたが、この本では記者がたんたんと事実を書き記していく。 小説的な展開や登場人物の心情に深く入り込むことを望む方にとっては、少し物足りないかもしれない。 けれど、客観的な視点で描かれているがゆえに、この事件の悲しさが伝わってくる部分もあるかと思う。 なにより、ドラマで描かれていない、より詳細な事実と、せつない現実にやりきれない気持ちになる。 読んでいくうちに「もし、取り違えられなかったら、この家族たちの人生は違っていたのだろうか」という疑問は、きっと多くの人が感じるだろう。 「子を育てる親の愛」「血のつながり」など、家族という深いテーマについて考えさせられた一冊。
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沖縄で実際に起こった赤ちゃん取り違え事件。 今話題の映画「そして父になる」の参考書籍だそうです。 取り違えが発覚したのが、子供が6歳の時です。 うちの娘がちょうど今6歳なんですが、どうしても自分ならどうか?と考えてしまいました。 子育てにおける6年ってすごく長いですよね。 し...
沖縄で実際に起こった赤ちゃん取り違え事件。 今話題の映画「そして父になる」の参考書籍だそうです。 取り違えが発覚したのが、子供が6歳の時です。 うちの娘がちょうど今6歳なんですが、どうしても自分ならどうか?と考えてしまいました。 子育てにおける6年ってすごく長いですよね。 しかも0歳~6歳って、すごく大変で、子供はすごく可愛い時期。 それを急に「その子はあなたの産んだ子じゃないですよ。あなたの 産んだ子はこっちですよ。」って見ず知らずの子に会わされたら・・・ そんなの「交換なんてできるわけない!」って私は思いますが、それも今育てている子が自分の産んだ子だって確信があるのでそう思うだけかもしれないし。 実際、本書に出てくる伊佐・城間2家族の両親は最初は「交換なんてできない」と思っていましたが、実際自分達の実の子を見た時に「血の繋がり」を強烈に感じています。まず単純に顔が似ているという事。やっぱりそれは衝撃でしょうね。 結局子供たちは交換され、実の親の元に帰るのですが、もう子供たちの気持ちを考えると胸が締め付けられました。 もちろん親の葛藤にも・・・ 特に美津子が痛々しくて見ていられない気分でした。 そして読み進むにつれて、この2家族の特殊な事情も浮き彫りになってきました。特に城間家は色々ありすぎて、これは取り違え事件の中でも特殊な事例だったのでは?と思いました。 6歳まで城間家で育ち、伊佐家の実の子であった真知子はそれなりに段々馴染んでいきます。 6歳まで伊佐家で育ち、城間家の実の子であった美津子は全く城間家に馴染もうとせず、隙あらば(次第に隙なんてなくても)伊佐家に戻って来ています。 「血」か「情」か?なんて書かれ方をしていますが、結局は親の愛情ではないかなと、本書を読んで思いました。 結局どちらの子供も伊佐家の方へ行ってしまうのですから。 そして親の愛情以外にも、「ある程度の経済力」・「親の教養」。 これはものすごく大事だと改めて気付きました。 総合して子育てにおいて「家庭環境」と言うものは非常に大事だなと思いました。 「血」とか「情」とかじゃない大事な物が確かにあるんだと思います。 今回、この2家族には、片方には健全な家庭環境があり、もう一方にはなかった。それが事態をより複雑にさせた気がします。 文庫化の際には、美津子・真知子が30歳になった近況も綴られています。これを読むと、少しは救われる思いがしましたが、それにしても根の深い問題で、本当に答えも解決策も何もない。 ただ当事者達は乗り越えて前に進むしかないんだなと思います。
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そして父になる、の原案的なノンフィクションですが…一方の家族に、取り違え以前の重大な家族の問題があって、取り違えどころではなくなったのは私だけ…?ご本人たちが出版を許可したのが謎。
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色々考えさせられた。 夏子さんに個人的には同情する 駄目な人とは思うけど 物悲しくなる 哀れだ。
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40年前の沖縄での嬰児取り違え事件をその後25年に渡って追いかけたノンフィクション。自分は親でもあるのでこの本を取り違えられた親子両方の視点で読んだ。血の濃さはは情を超えるけども、情の濃さは血の繋がりすらも凌駕する。一見パラドックスのようだけども、結局どこまで親が愛情を注いだかの...
40年前の沖縄での嬰児取り違え事件をその後25年に渡って追いかけたノンフィクション。自分は親でもあるのでこの本を取り違えられた親子両方の視点で読んだ。血の濃さはは情を超えるけども、情の濃さは血の繋がりすらも凌駕する。一見パラドックスのようだけども、結局どこまで親が愛情を注いだかの一点に尽きるのだなというのが大まかな感想。両家の両親の姿があまりにも対称的なために、どちらの子も片方の母親を慕うといったくっきりとした実験結果のような結論になったのが皮肉だなと思う。実際自分の子が取り違えられていたら、と想像するとその葛藤は想像するに余る。久々に素晴らしいノンフィクションを読んだ。取材者の姿勢に脱帽。
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ドラマを見ました。映画とは異なり子どもは娘。生活水準学力水準が低下する家への交換はつらい。映画はかなりソフトに描いていたんだな。「血か情か、正解なんてあるわけがない」と親が言っていた。そう思う。
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これは実際に沖縄県で起きた赤ちゃん取り違え事件の家族の話。 赤ちゃんが取り違えていたことが発覚して、その赤ちゃんたちが成人するまでを見守り続けた著者の記録でもある。 この事件は、子どもが6歳になるまで発覚しなかった上、その後子どもたちを交換してからも、様々な出来事が子どもや両親...
これは実際に沖縄県で起きた赤ちゃん取り違え事件の家族の話。 赤ちゃんが取り違えていたことが発覚して、その赤ちゃんたちが成人するまでを見守り続けた著者の記録でもある。 この事件は、子どもが6歳になるまで発覚しなかった上、その後子どもたちを交換してからも、様々な出来事が子どもや両親たちに巻き起こる。 事件が発覚してからそれぞれの両親は交換するべきか迷い、その後交換してからも自問自答を繰り返す日々。事実だからこそ、この家族の葛藤、苦悩、そして、嘆き苦しむ姿に、胸がつまりそうになる。 血のつながりのない子を6年間育ててきたことは、母親にとっては、かけがえのないものであり、育ての子、産んだ子のどちらも大切にしたいという気持ちが切々と伝わってくる。ただ、それは両方の母親ではなく、片方の母親だけだったことが、その後の家族、子どもたちとの関係に大きくかかわってくることが分かる。 複雑な家庭になりながらも、二人の少女がたくましく生きていく姿に救われる気持ちと、その少女たちをまさしく全身全霊で支え続けた家族の姿に感動させれた。 家族の愛情とは、血のつながりとは何なのかと深く考えさせられた。
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