1,800円以上の注文で送料無料

黒いトランク の商品レビュー

3.7

46件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

    21

  3. 3つ

    9

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2021/01/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

私のようになんとなくすいすい読んでいって、おおよそのトリックであったり謎解きであったりといったものをゆるやかに楽しんでいるタイプの人には、時刻表トリックはあまり向いてないかもしれないけれど、表題のトランクに関するトリックでは、見事に鬼貫警部と一緒に悩まされて、最後に明かされるトリックになるほど!と思わされる。 刊行されたのがずいぶんと昔であるけれど、今の時代に読んでも違和感なく入り込むことができる。 自身でトリックを解いていきたい人には一部納得のしかねるところもあるというのは、他の人の感想を見ていると確かにそうだとは思わされるものの、あくまでもこれは虚構であって現実ではない。そこにツッコミを入れるのは野暮に感じる。

Posted byブクログ

2021/01/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

どうやったかに特化した推理小説。いろんなトリックが散りばめられてておもしろかった。 よくできたトリックだけど一点だけ。若松駅の前で、たまたま運よく彦根運転手のトラックを捕まえられたけど、いつまでたっても博多まで行くトラックを捕まえられない可能性だってあるんじゃないの?時間が肝のはずなのに、そこが行き当たりばったりで納得いかない。列車の時刻の正確さ云々よりよっぽど気になる。

Posted byブクログ

2021/03/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

事件発生の派手な演出や、持って回った関係者を集めての謎解きショウではなく、丁寧な推理で徐々に謎を解いていく。主人公と一緒に考えることができて、古い作品だけど情景が浮かんできて作品のなかに徐々に入っていく感じがした。 登場人物の行動などがあまりに犯人の思惑通りに事が運んでいる気がしないではないけど、十分楽しめた。 あと簡潔な人物描写と詩情を感じさせる風景描写や、当時の鉄道や船の様子も興味深かった。

Posted byブクログ

2019/12/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

書かれた時代的に仕方がないのかもしれないが、作者のミソジニー的な表現が気になってしまい、正当に評価するのが難しい。 緻密なトリックのように見えて、たまたま通りかかったトラックが命綱になっている辺りはちょっと弱いかなと思ったり。

Posted byブクログ

2019/10/10

面白かった。とことん論理的思考。トリック関係は頭がこんがらがるくらい複雑な印象受けたけど、読んでいて楽しかった。

Posted byブクログ

2019/09/01

名作と誉れ高いが、まだ読んだことがなかったので。 トランクに関する論理や、容疑者のアリバイを地道に崩していくのは、今読んでもとても面白いのだが、やはり時刻表アリバイトリックはリアルタイムで読むほうが楽しめるものなのだろう。 作中では1949年の日本が描かれているが、当時の常識も7...

名作と誉れ高いが、まだ読んだことがなかったので。 トランクに関する論理や、容疑者のアリバイを地道に崩していくのは、今読んでもとても面白いのだが、やはり時刻表アリバイトリックはリアルタイムで読むほうが楽しめるものなのだろう。 作中では1949年の日本が描かれているが、当時の常識も70年を経た今では変わってしまっている…。時代の流れを感じさせる作品だった。

Posted byブクログ

2019/08/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

解説で有栖川氏が「世界で一番好きなミステリ」「私が好きなミステリとはこういうもの」と述べているが、まさに私にとっても、好きな要素をとにかく詰め込んでまとめてくれたような小説であった。 まず、クロフツ式の、地道な裏付け捜査とそれにより過去の被害者や犯人の動きが徐々に明らかになっていく過程は、人によっては退屈に感じるかもしれないが、私には、その過程に特に読書の喜びを感じる。 例えば他の人は、最後にどんでん返しがあってその驚きが大きければ大きいほど面白いとか、過去にさかのぼって何があったかを調べていく過程より、小説の中の時間の進行に伴って、どんどん新しい展開(第二、第三の殺人など)が次々に起こっていく方が良いとする向きもあるだろう。だが、有栖川氏が指摘しているように、この小説では必要最低限の登場人物しか用意されていない。だから犯人が意外な人物だったということも、実はない。過去にあったことを丁寧に捜査して明らかにしていく、実はそれだけなのだが、こんなに先が気になり、展開がスリリングなのは、本書が優れた「本格もの」であり、奇抜さや奇を衒うのではない王道の推理小説ということだと思う。 それから戦後すぐの時代の、当時の時刻表を題材にとっている点。当時の鉄道網や鉄道史にも興味がある読者なら、必ず本書も興味を持つことだろう。石川達三や北原白秋など、いわゆる純文学系の話題にも触れられている点も良かった。 また、探偵役たる鬼貫の人となりの描き方も好感を持った(これは個人の好みだが、私は天才肌の奇人変人的探偵より、鬼貫警部のような生真面目で好人物な探偵の方が良い)。 さらに、巻末の解説部分で、鮎川氏が無名の新人だった頃、苦労して本作を書き上げた経緯や、初版から大きく改稿されてきている箇所も多いこともわかり、長年に渡って作者や編集者、さらには読者が、大切にしてきた作品だということが伝わってきて、そのような作品を読むことができて大変嬉しく思った。 また、クロフツの「樽」をあらかじめ読んでいたので、さらに読む楽しさが増したのだろうと思う。「樽」のように、トランクが複数存在すると思われることが明らかになった箇所は、思わず唸ってしまったほどだが、決してクロフツの作品の焼き直しではないことは無論である。「黒いトランク」の方が、よりテンポが早く、やはり日本人が読者なので地名などの位置関係も頭に入りやすかった。

Posted byブクログ

2019/06/14

再読。初読のときはよくわからず、後に光文社文庫版の解説の図とにらめっこしたのを思い出します。この創元版は会話などにも手が入っているのかとても読みやすくあれほど難しかった人とトランクのルートが今回はちゃんと伏線があることも気づけて素直に読み進めることができました。ひとつひとつ足で稼...

再読。初読のときはよくわからず、後に光文社文庫版の解説の図とにらめっこしたのを思い出します。この創元版は会話などにも手が入っているのかとても読みやすくあれほど難しかった人とトランクのルートが今回はちゃんと伏線があることも気づけて素直に読み進めることができました。ひとつひとつ足で稼いで真相を明らかにしていく過程は本当に細やかでもつれた糸が綺麗に解ける様は感動します。でも事件の関係者がもともと警部の関係者ということもあり、心に響いたのは犯人との対決シーンと独白。ただのアリバイ崩しだけじゃない読後感も好みです。

Posted byブクログ

2018/05/20

自分が九州出身で、元の勤務地の通勤路に、物語中登場する別府(べふ)があるので、親近感を持ちつつ読み進めた。 人の心理として、ここまで綱渡りの凝ったアリバイ作りをするかしら、という点で、どうしてもリアリティを感じることが出来ないが、ミステリーとはそういうもんだ、と思えば、盲点を突い...

自分が九州出身で、元の勤務地の通勤路に、物語中登場する別府(べふ)があるので、親近感を持ちつつ読み進めた。 人の心理として、ここまで綱渡りの凝ったアリバイ作りをするかしら、という点で、どうしてもリアリティを感じることが出来ないが、ミステリーとはそういうもんだ、と思えば、盲点を突いた面白いトリックではありました。

Posted byブクログ

2017/11/29

汐留駅で発見された死体入りの黒いトランク。 調べれば調べるほど強固になる鉄壁のアリバイを崩すべく クリスマスも盆休みもなく、彼方此方に列車で行き来する鬼貫警部の捜査の道程に仄かな旅情を感じつつ 微にいり細を穿つ論理と、可能性の取捨選択の連続に身を浸していった。

Posted byブクログ