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殺人症候群 の商品レビュー

3.6

15件のお客様レビュー

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2018/11/13

「殺人症候群」 症候群シリーズ第三弾。 症候群シリーズとは、岡嶋二人の捜査0課シリーズの中断を惜しんだ貫井が「設定をそのまま借りてオリジナルのストーリーを書いた」小説である。警視庁警務部人事二課に所属する環敬吾がリーダーを務める特殊工作チームのリーダーの活躍を描くシリーズも...

「殺人症候群」 症候群シリーズ第三弾。 症候群シリーズとは、岡嶋二人の捜査0課シリーズの中断を惜しんだ貫井が「設定をそのまま借りてオリジナルのストーリーを書いた」小説である。警視庁警務部人事二課に所属する環敬吾がリーダーを務める特殊工作チームのリーダーの活躍を描くシリーズものだ。殺人症候群は、失踪症候群、誘拐症候群に続く第三弾で、失踪、誘拐共に未読でありながらも、殺人症候群が一番面白いとのことで先に手にとってしまった。 環の特殊工作チームは、警察組織が扱いにくい事件を捜査し真相を追い求める。主なメンバーは、原田 柾一郎(私立探偵)、武藤 隆(托鉢僧)、倉持 真栄(肉体労働者)である。彼らが何故環に協力する様になったかその多くは殺人症候群では語られない為、恐らく第1弾の失踪症候群を読む必要がある。 今回環がチームに調査を依頼したものは、精神疾患や未成年等の理由で人殺しをしながらも、刑を執行されない、もしくは軽い刑で刑期を終えた前科者が連続して死んでいる事件。これら複数の事件は起きた場所や被害者の関係等がバラバラ。他殺の確証も無い。ただ、何かが裏で動いている可能性があると環は睨んでいた。環の依頼を受けるメンバー達であったが、倉持はこの件は下りるという。この初めての出来事に原田と武藤は驚きながらも調査を開始するが、やがて倉持が別行動で事件を追っていることが判明する。 人を殺したのに精神的に判断がつかない状態だったから結果的に刑は軽くなる、未成年だから更生させる為に少年法に従う、このような法の不完全さを問う小説は多い。殺人症候群もその一つであり、倉持と環は真逆の立ち位置に立ち、武藤と原田はその中間値に立つことになる。これだけ多くの小説が出る理由は一つしかないように思う。それは、法は不完全であり、不完全を埋めようとしない政府の責任は重く、それを利用する悪徳弁護士、犯罪者や予備軍が多過ぎるからだ。 個人的な見解としては、環チームが正義の下、法を破る違法捜査を必要悪として実施しているならば、今回の犯罪行為も必要悪ではないかと考える。法があまりにも不完全であり、その不完全さを埋めようとしない、利用する悪人ばかりが蔓延るならば、何故必要悪を絶対悪と罰することが出来ようかと思うのだ。 この点に関して環自身の考えは明らかにならない。それはずるいのではないか?と思う。結局は法の下、私罪による処罰はダメで、正義の旗を掲げる環チームの違法捜査はアリと言うのは理解し難い。勿論、環チームは警察であり、法を問う組織ではないから議論の余地は無いとは分かるものの、そんな話を皆したい訳じゃないのだ。 話は変わるが、小説など様々な媒体で法の不完全さを問うものは多いはず。政治家などはこれらを読み、何を感じるのだろうか。所詮はフィクションだからと相手にしていないのだろうが、フィクションからノンフィクションに行動を起こすことが必要だろうし、自分はどう考えるかを思考すべきだと常々思う。法改正を実質的に下せる立場にあるのは間違い無いのだから。不倫や不正ばかりしてるけど何のために政治家なんすか?と毎度思うのは国民の勝手なんだろうか?そんな訳ないですよね。

Posted byブクログ

2018/11/09

小林由香氏の『ジャッジメント』は「復讐法」なるものが 成立した世界のお話だったけれど、今現在の世の中は 無慈悲に奪われた命の代償は無く、 連鎖されるような無神経な暴力に遺族は翻弄され 己の在り方まで問われる。 少年法・心神耗弱という理由で守られる加害者たち。 我が子を生かすために...

小林由香氏の『ジャッジメント』は「復讐法」なるものが 成立した世界のお話だったけれど、今現在の世の中は 無慈悲に奪われた命の代償は無く、 連鎖されるような無神経な暴力に遺族は翻弄され 己の在り方まで問われる。 少年法・心神耗弱という理由で守られる加害者たち。 我が子を生かすために犯罪に手を染めている母。 人はどこまでも残忍で愚かなんだろうかと 考えさせられる題材でもある。 『愚行録』といい、人間の愚鈍さを描かれるのがうまいなと思う。

Posted byブクログ

2018/06/17

警視庁内には、捜査課が表立って動けない事件を処理する特殊チームが存在した。そのリーダーである環敬吾は、部下の原田柾一郎、武藤隆、倉持真栄に、一見無関係と見える複数の殺人事件の繋がりを探るように命じる。

Posted byブクログ

2018/01/06

秘密捜査グループの荒唐無稽さは置いておいて、少年犯罪の少年法の壁や被害者保護と心(魂)の救済の問題、復讐の是非等答えのない困難な問題を考えさせられる内容で、語り口は平易だが重い物語だった。ミステリ要素も程よいもので興味深く面白かったです。

Posted byブクログ

2017/05/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

湊かなえの小説を「イヤミス」と言うらしいがこの作者の小説はいつももやもやした終わり方なので「モヤミス」とも言うべきかな。本作は法律で罰しきれない殺人者に死の鉄槌を加えるのだが、実に明治以後西洋のキリスト教によるエセヒューマニズム(何十万人も爆撃で殺しても反省しようともしない西洋思想)の法体系によって被害者は救われぬままになっている。これならハムラビ法典の目には目の方が、人間に自然と馴染んでるように思う。叙述トリックで途中まで警察官が犯人と分からないが映像ではどうするのだろうか、そして話の筋から言えば非合法な冷徹な捜査を繰り返す環は死ぬべきであり、倉持は誉田哲也の歌舞伎町セブンになりそうだ。

Posted byブクログ

2015/12/10

出だしは面白かったが、少しずつ警察の依頼を受けて動いているという秘密グループが出て来たり、復讐の為に殺人をしている人達が出てきたり、臓器移植を待つ子の為に殺人をする母親が出てきたり・・いくらなんでもそれはないでしょう!という設定ばかりで白けてしまった。 きっと、渉は今までに出て...

出だしは面白かったが、少しずつ警察の依頼を受けて動いているという秘密グループが出て来たり、復讐の為に殺人をしている人達が出てきたり、臓器移植を待つ子の為に殺人をする母親が出てきたり・・いくらなんでもそれはないでしょう!という設定ばかりで白けてしまった。 きっと、渉は今までに出てきた登場人物の一人だろうな・・と思いながらそれが知りたくて途中投げ出さずに読み進めてが、ほほう、彼だったとは笑。さすがにそれは思っていませんでした私は。 最後もなんだかなー、という感じで。この作者のものは読みごたえがあって何冊か読んで来たが、これは読む必要なかった、という一冊。

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2013/03/25

とてもじゃないですが、読後感の悪いお話。 「人の命は等しく尊い」なんて誰もが知っている言葉。 それでも争いはなくならないし、理不尽に奪われる命は厳然としてある。 たいした罰も受けずに敵が生きていたとしたら 遺された者が復讐を考えるのは、無理からぬことかもしれません。 ...

とてもじゃないですが、読後感の悪いお話。 「人の命は等しく尊い」なんて誰もが知っている言葉。 それでも争いはなくならないし、理不尽に奪われる命は厳然としてある。 たいした罰も受けずに敵が生きていたとしたら 遺された者が復讐を考えるのは、無理からぬことかもしれません。 感想を文にするには憚られることが多いこの作品。 「人が生きること」と「命」について考えさせられます。 本書を読んで喚起はされますが、答えは書かれていません。 どうも、続き物なのか、登場人物には伏線が張られています。 残念ながらひきつけられる魅力的人物はいませんでした。 だからこそ内容そのものでぐいぐい引き込まれたとも言えます。 ザラつくお話を読みたい方にオススメです。

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2012/10/13

復讐に解決を求める気持ちが悪いのかという内容だが、どこにも救いのない終わりだった。途中グロテスクな描写が延々と続くところはとばしてしまった。

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2011/08/18

シリーズ完結編☆ さすがに三部作のラストだけあって完成度高かった('◇')ゞ 正義とは?司法は正しいのか?復讐は悪か? 社会派ミステリーですな。後味の苦さはきついものがあるけど、どう捉えるかは人それぞれなんだろうね。 最後は泣いちゃう(T^T) すごく心に残る...

シリーズ完結編☆ さすがに三部作のラストだけあって完成度高かった('◇')ゞ 正義とは?司法は正しいのか?復讐は悪か? 社会派ミステリーですな。後味の苦さはきついものがあるけど、どう捉えるかは人それぞれなんだろうね。 最後は泣いちゃう(T^T) すごく心に残る一冊だった。

Posted byブクログ

2010/01/16

文句なし。症候群シリーズの最後を飾るにふさわしい大作。だけど症候群シリーズ、前2作読んだのに覚えていないことが発覚したので、もう一度読み直そうっと。 しかしまあ解りやすいタイトル。「失踪症候群」「誘拐症候群」と読んだ直後、「これは絶対三作目には『殺人症候群』が来るぞ」と思っていた...

文句なし。症候群シリーズの最後を飾るにふさわしい大作。だけど症候群シリーズ、前2作読んだのに覚えていないことが発覚したので、もう一度読み直そうっと。 しかしまあ解りやすいタイトル。「失踪症候群」「誘拐症候群」と読んだ直後、「これは絶対三作目には『殺人症候群』が来るぞ」と思っていたら、ホントだった。驚愕。 感想。結局はどんな理由があっても人殺しはダメってことか。因果応報が待っているぞ、という教訓?が読み取れて仕方ないので、人殺しは止めておこうと思った(笑)。でもあの人とかあの人とか、ちょっと可哀想すぎるなあ。そこまでむごい死に方せんでも。 あと、根本的な問題。「必殺対ハングマン」な話、ってことだけど……両者の違いがわからない~。ていうか必殺しか知らないし。

Posted byブクログ