寝ながら学べる構造主義 の商品レビュー
一見しただけで難しそ…
一見しただけで難しそうだと感じる「構造主義」という思想を、わかりやすく噛み砕いた入門書。気軽にご一読ください。
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寝ながら学べるという…
寝ながら学べるというのは確かにそう。ポストモダンどころかモダンの哲学、もっというと基本的な古代ギリシャ哲学の知識さえなくても読めてしまう。例え話がとても多いので分かりやすい。一世を風靡した「ソフィーの世界」が扱わなかった現代の哲学の部分に当たる。レヴィ=ストロース、フーコー、バル...
寝ながら学べるというのは確かにそう。ポストモダンどころかモダンの哲学、もっというと基本的な古代ギリシャ哲学の知識さえなくても読めてしまう。例え話がとても多いので分かりやすい。一世を風靡した「ソフィーの世界」が扱わなかった現代の哲学の部分に当たる。レヴィ=ストロース、フーコー、バルト、ラカンをひとまとめにするのは無理があるけど、ざっくり「最近の世の中の常識」について勉強できる一冊。
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敷居の低さを強調した…
敷居の低さを強調した本ではあるが、簡単なことを言っているわけではない。内容の正確さに賛否両論はあるが、この分野ではめずらしく「読者に語りかける」ことを主眼に置いた本である。内田のこうした「語りかける」手法は読者のため、というのではなく、彼の哲学思想により生じた方法で、後の著作でも...
敷居の低さを強調した本ではあるが、簡単なことを言っているわけではない。内容の正確さに賛否両論はあるが、この分野ではめずらしく「読者に語りかける」ことを主眼に置いた本である。内田のこうした「語りかける」手法は読者のため、というのではなく、彼の哲学思想により生じた方法で、後の著作でも続けられており、その試みにはこれからも注目する値があると思われる。
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『寝ながら学べる構造主義』は、その親しみやすいタイトルとは裏腹に、現代思想の重要な潮流である構造主義について、深い理解を促す野心的な著作です。内田樹は、難解とされる構造主義の本質を、日常的な経験や具体例を巧みに用いながら、読者を導いていきます。 本書の最大の特徴は、構造主義の考え...
『寝ながら学べる構造主義』は、その親しみやすいタイトルとは裏腹に、現代思想の重要な潮流である構造主義について、深い理解を促す野心的な著作です。内田樹は、難解とされる構造主義の本質を、日常的な経験や具体例を巧みに用いながら、読者を導いていきます。 本書の最大の特徴は、構造主義の考え方を「からだで理解する」というアプローチにあります。内田は武道家でもあり、その経験を活かしながら、構造主義の抽象的な概念を、身体的な経験や実感と結びつけて説明していきます。例えば、合気道の「受け」の動作を例に、「差異のシステム」という構造主義の基本概念を説明する箇所は、特に印象的です。相手の動きに「反応」するのではなく、あらかじめ用意された「型」の中から適切なものを選択するという武道の考え方が、言語システムの働きと本質的に同じだという指摘は、目から鱗が落ちる思いがします。 また、本書では構造主義の基本的な考え方を、ソシュールの言語理論から丁寧に解き明かしていきます。例えば「言葉の意味は差異の体系の中でしか存在しない」という考え方を、「猫」という言葉が「犬」でも「兎」でもないという関係の中でしか意味を持たないという具体例で説明します。さらに、これが単なる言語の問題ではなく、人間の認識や文化全般に関わる根本的な原理であることを、様々な例を通じて明らかにしていきます。 特に興味深いのは、構造主義的な思考が持つ現代的な意義についての考察です。内田は、私たちが何気なく「自然」だと思っている物事の見方や感じ方が、実は特定の文化的な枠組みの中で形作られているということを、説得力をもって示していきます。例えば、日本人が「空気を読む」という感覚は、決して普遍的なものではなく、特定の文化的な構造の中で形成されたものだという指摘は、私たちの日常的な経験を新たな視点から照らし出すものです。 本書のもう一つの魅力は、構造主義の考え方を現代社会の問題と結びつけて考察している点です。例えば、メディアや消費社会の問題、教育の問題などについて、構造主義的な視点からの独自の分析を展開しています。それは単なる理論的な考察にとどまらず、現代を生きる私たちの実践的な課題にもつながっていきます。 内田の文体は明快で、時にユーモアを交えながら、複雑な概念を分かりやすく説明することに成功しています。しかし、その「分かりやすさ」は決して内容の矮小化を意味するものではありません。むしろ、構造主義の本質的な洞察を、より多くの読者に開かれた形で提示することに成功しているのです。 本書は、構造主義やその後の思想の展開に関心を持つ読者はもちろん、現代社会における「当たり前」を疑ってみたい人、人間の認識や文化の仕組みについて考えてみたい人にとって、格好の入門書となるでしょう。また、教育や文化の問題に関わる実践者にとっても、新たな視座を提供してくれる示唆に富んだ一冊だといえます。
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自分の理解力不足からか、なんだか全体的によく分からなかった。 体育座りのことは驚き。 子どもに話を聞かせ、手遊びさせないのにはもってこいの姿勢。 このようにしなければならなかった時代があるとは恐ろしいと思ったのと同時に、今もさせている日本は怖いと思った。
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独学の技法の推薦図書として読んだ。 高校時代に課題図書として出ていたけど、その時は全く分からなかった。 10年の歳月をかけて、再び出会うとは。
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「寝ながら学べる」と題しつつ、そもそも本書で紹介される構造主義の論者たち(ソシュール、フーコー、バルト、レヴィ・ストロース、ラカン)が語った事が難解だと思ったし、本著の著者が解説て用いた比喩もややわかりにくく(わかり易さを重視して比喩を多用したのだと思うが)、200頁弱の薄さなが...
「寝ながら学べる」と題しつつ、そもそも本書で紹介される構造主義の論者たち(ソシュール、フーコー、バルト、レヴィ・ストロース、ラカン)が語った事が難解だと思ったし、本著の著者が解説て用いた比喩もややわかりにくく(わかり易さを重視して比喩を多用したのだと思うが)、200頁弱の薄さながら読了に少し労を要した。 それでも、難解な構造主義のいくつかの入り口くらいには立てた気がする。 現代的な思想に片寄ることなく、ひたすら上記の論者たちをフラットに解説されており、入門書としてオススメされるのも頷ける。
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わかりやすいというのは危険なことかもしれないが、構造主義のエッセンスを知るとき、それを実生活に活かそうとするときには最適な本なのではないか。それくらいにわかりやすくて面白い。
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「構造主義」とは何か、全く知らない状態で読み始めました。 旧Twitterのたらればさん(@tarareba722)がおすすめしていたので、手に取ってみただけでした。 それなのに、何とも引き込まれてするする読んでしまいました。 面白かったです。 構造主義とは、 属した時代、地...
「構造主義」とは何か、全く知らない状態で読み始めました。 旧Twitterのたらればさん(@tarareba722)がおすすめしていたので、手に取ってみただけでした。 それなのに、何とも引き込まれてするする読んでしまいました。 面白かったです。 構造主義とは、 属した時代、地域、社会集団によって視点を固定されており、我々が信じているほど自律的主体として判断、行動できているわけではないよ? という考え方なのだそうです。 当然でしょ、と思うと同時に、少し悲しい気持ちにもなります。 特別な何者かでありたい、そんな私が周囲に流されているなんて信じ難いと。 でも、おそらくそこまで卑下する必要もないのでしょう。 みんなそんなもんです。 そして、それを踏まえた上で、自分がかけている色眼鏡はどんなものかな、と顧みることができれば上出来なんだと思います。 そんなことをつらつら考えながら読ませていただきました。
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構造主義の入門書。扱われているのはフーコー、レヴィ=ストロース、バルト、ラカン。 レヴィ=ストロースとサルトルの論戦はいままで何度か読んだが本書の解説が一番わかりやすかった。
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