ローマ人の物語(3) の商品レビュー
第一次ポエニ戦役全部と戦間期までの話。互いに知恵の出し合いのように戦争していくところは楽しく読んだものの、そこまで印象に残らず。 エピソードとしては、捕虜となった執政官レグルスが、ローマへの講和の使者として送られたものの、元老院に対して講和はするなと言って交渉決裂となり、結果「約...
第一次ポエニ戦役全部と戦間期までの話。互いに知恵の出し合いのように戦争していくところは楽しく読んだものの、そこまで印象に残らず。 エピソードとしては、捕虜となった執政官レグルスが、ローマへの講和の使者として送られたものの、元老院に対して講和はするなと言って交渉決裂となり、結果「約束通りにカルタゴにもどったレグルスを、カルタゴ人は、丸い籠の中に押し込め、それを象たちがフットボールするというやり方で殺した」(P62)と、残酷な処刑をあっさり書いているのが印象に残った。
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問題はこの本の中身がどこまで史実に沿った話をしようとしているのか、それともフィクションを語ろうとしているのか、今一つ判然としない点か。 どうやら前者のようではあるものの、学者ではないとの作家の傲慢とも見えなくもない開き直り、ある意味一番タチが悪い。内容がそこそこ面白いだけに、余計...
問題はこの本の中身がどこまで史実に沿った話をしようとしているのか、それともフィクションを語ろうとしているのか、今一つ判然としない点か。 どうやら前者のようではあるものの、学者ではないとの作家の傲慢とも見えなくもない開き直り、ある意味一番タチが悪い。内容がそこそこ面白いだけに、余計に思考が止まるんですよね、読者として。
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「ハンニバル戦記」と題しながら、ハンニバルはまだ戦いません。 この巻の終了時で18歳。 亡父の後は姉の夫が継いでしまいます。 前巻でイタリア半島を統一したローマは、内政に力を入れたいところ。 しかしその強さを頼りにされ、シチリアの小国・メッシーナから救援を求められる。 友邦国でもない国からの救援、しかも苦手な海戦を前提とした戦いをしいられるそれを、ローマは断ることができなかった。 シチリア島はギリシアからの植民を起源にしたメッシーナやシラクサのほかに、北アフリカを拠点とするカルタゴが勢力を増していた。 メッシーナがどこかの国に征服されてしまえば、幅3キロの海峡を越えて敵がローマに進行してくるのがたやすくなってしまう。 当時世界最強と言われたカルタゴの海軍と、軍船を一艘も持っていないローマは戦わなければならない。 これはもう、ローマとしても相当な覚悟で援軍を出したわけですが、意外にもローマは連戦連勝なわけです。 そんなわけで冬場はお休みのポエニ戦役、23年も闘い続けてローマの勝ちで終わります。 終戦協定を結んだ後、ローマはつかの間の平和を謳歌し、カルタゴは不満分子を掃討することに終始します。 この時終戦協定を結び、不満分子を掃討したのが、ハンニバルのお父ちゃんハミルカル。 ローマへの恨み忘れるまじ、と息子を育てます。 学校で習う歴史は、結果としての歴史だけど、大人のための歴史はそこではじかれたプロセスであるがゆえに、愉しみともなり考える材料も与えてくれる、と冒頭著者が「読者へ」で書いている通り、面白いのよ、大人になってから読む歴史って。
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第3巻はローマ最大の敵、ハンニバルの登場。ただし、あくまでゆっくり緻密に進むこのシリーズでは、まず登場するのはハンニバルの父親。著者が言う通り、大人が楽しむのはプロセスとしての歴史であり、教科書で習う歴史のような結果としての歴史とは違うのである。 ここまで海軍を持たなかったローマが、アフリカ側にある大国カルタゴと事を構えるにあたり、初めて軍船や漕ぎ手といった海軍力を手に入れる必要が生じている。その紆余曲折も楽しいが、読み進めてみるとローマはカルタゴに積極的に打って出ようとしたのではなく、近隣諸国からの救援要請に応えるうちにカルタゴから敵視されるようになってしまったというのが実際のところだったのだろうというのが分かる。 この巻の冒頭から半分ぐらいは、ハンニバルの父親、ハミルカル・バルカとローマとの戦い、第一次ポエニ戦役について語られる。中盤以降はカルタゴから出ざるを得なくなったハミルカルとハンニバルが脱出先のスペインでどのように基盤を築いていったかということと、ポエニ戦役後のローマの発展について述べられている。 面白いのがやはりローマの発展についてのくだりで、ローマは自分たちが打ち負かしたはずのギリシア文化に熱を上げ、ギリシア語や劇作の習得などに時間を費やすようになったという史実だろう。普通、戦勝国が負けた国に対して自国文化を広げたり、戦後の日本のように戦勝国アメリカのものであれば何であっても良し、となるのが当然だと思うのだが、いくら客観的に見て確かにギリシア文化のほうが優れていたとはいえ、気軽にギリシア文化を取り入れてしまうローマ人の開放性にはここでも驚かされる。 著者はローマ人を「何でも自分でやろうとはしなかった」「どの分野も自分たちがナンバーワンでなければならないとは考えなかった」と書いているが、これもローマ人の面白い特性だったのだろう。それは、前後するがこの巻の冒頭で触れられている、「どうかした民族、即ちかつての敵を、かなり早い段階で自分たちの軍の最高指揮権を握る執政官に任命してしまう」という寛容さにもつながる。 こういうところが、ローマ文明を探求する人や、それをこのような本にして紹介する著者、それを読む読者にとって堪らないローマ人の魅力なのだろう。
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今巻は第1次ポエニ戦役とその後の物語。前巻でイタリア半島を統一したローマが、目と鼻の先のシチリア島をめぐって、フェニキア人の都市国家カルタゴと対立する。海を渡る必要性に迫られて、初めて海軍を持つローマ。カルタゴ側は、ハンニバルのお父さんのハミルカルが登場。ハンニバルとローマとの因...
今巻は第1次ポエニ戦役とその後の物語。前巻でイタリア半島を統一したローマが、目と鼻の先のシチリア島をめぐって、フェニキア人の都市国家カルタゴと対立する。海を渡る必要性に迫られて、初めて海軍を持つローマ。カルタゴ側は、ハンニバルのお父さんのハミルカルが登場。ハンニバルとローマとの因縁は親子二代にわたるのか。
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内容 : 紀元前三世紀後半、イタリア半島を統一したローマは、周辺諸国にとって無視できない存在になっていた。 そのローマに、紛争絶えないシチリアの小国が救援を依頼。 ローマは建国以来初めて、海を渡っての兵の派遣を決める。 しかしそれは、北アフリカの大国カルタゴとの対決も意味していた...
内容 : 紀元前三世紀後半、イタリア半島を統一したローマは、周辺諸国にとって無視できない存在になっていた。 そのローマに、紛争絶えないシチリアの小国が救援を依頼。 ローマは建国以来初めて、海を渡っての兵の派遣を決める。 しかしそれは、北アフリカの大国カルタゴとの対決も意味していた― 地中海の覇権を巡って争われ、戦争史上に残る大戦「ポエニ戦役」、その前半戦を描く。 著者 : 塩野 七生 1937年東京生まれ。学習院大学文学部哲学科卒業後、イタリアに遊学。 68年に執筆活動を開始し、「ルネサンスの女たち」を「中央公論」誌に発表。 初めての書下ろし長編『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』により1970年度毎日出版文化賞を受賞。 70年以降イタリア在住。 82年、『海の都の物語』によりサントリー学芸賞。83年、菊池寛賞。 92年より、ローマ帝国興亡の一千年を描く「ローマ人の物語」にとりくむ。 93年、『ローマ人の物語1』により新潮学芸賞。 99年、司馬遼太郎賞。 2002年、イタリア政府より国家功労賞を授与される (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 著書に「海の都の物語」「わが友マキアヴェッリ」など。
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「ローマ人の面白いところは、何でも自分たちでやろうとしなかったところであり、どの分野でも自分たちがナンバー・ワンでなければならないとは考えないところであった。」という文章が印象に残った。これは現代の人材の配置においても当てはまるのではないだろうか。他人(他国の人々)に任せるのは自...
「ローマ人の面白いところは、何でも自分たちでやろうとしなかったところであり、どの分野でも自分たちがナンバー・ワンでなければならないとは考えないところであった。」という文章が印象に残った。これは現代の人材の配置においても当てはまるのではないだろうか。他人(他国の人々)に任せるのは自分で全てをこなすよりも効率はよくなる。勇気がいるだろうが、そのことに2000年以上前から気づき、実践していたローマはすごい!
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再読。相変わらず面白いの一言。ハンニバル、スキピオ・アフリカヌスという古代史に残る名将の活躍が書かれており、戦術本としても一級品。まあ、「カンネの会戦」は軍隊の戦術研究として世界中で使われているそうなので、当たり前かも知れないが。いずれにしても「相手の主戦力を非戦力化する」という...
再読。相変わらず面白いの一言。ハンニバル、スキピオ・アフリカヌスという古代史に残る名将の活躍が書かれており、戦術本としても一級品。まあ、「カンネの会戦」は軍隊の戦術研究として世界中で使われているそうなので、当たり前かも知れないが。いずれにしても「相手の主戦力を非戦力化する」という戦術を徹底したハンニバルとスキピオの天才性には脱帽。さらには、ハンニバルに負け続けながらも最終的に勝利をおさめるローマの政治機構の見事さにも脱帽。
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建国から500年をかけイタリア半島を統一したローマが、初めて海を隔てた戦を経験する。 シチリア島をめぐる、 対カルタゴ戦争である第一次ポエニ戦役である。 今まで陸地の攻防で500年を費やしていたローマには海軍は存在せず、海軍設立の翌年にして地中海屈指の海軍国家であるカルタゴに...
建国から500年をかけイタリア半島を統一したローマが、初めて海を隔てた戦を経験する。 シチリア島をめぐる、 対カルタゴ戦争である第一次ポエニ戦役である。 今まで陸地の攻防で500年を費やしていたローマには海軍は存在せず、海軍設立の翌年にして地中海屈指の海軍国家であるカルタゴに戦いを挑み勝利する。 初体験であり未経験であるからこそ、 従来の造船にとらわれずに、自国の弱みである水上戦を陸上戦に切り替えるという離れ業をやったのけた。 史上最悪の海難事故にあいながらも、 シチリア島を制し、第一次ポエニ戦役はローマが勝利となり、一旦幕を閉じる。 教科書に載っている歴史は結果のみの列挙であるが、 真の歴史の面白味はプロセスこそにある。 塩野七生氏の著書を読み、歴史のプロセスを愉しませてもらっている。
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先輩に薦められ手に取った作品。 教養として古代ローマ史を学びたい方の必読書です。 ハンニバルからカエサルまで一気に通読してしまったぐらい面白かったです。
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