ローマ人の物語(3) の商品レビュー
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ローマ人によるイタリア半島制圧。 ラテン同盟による同化政策はローマ周辺を順調に蛮族化していった。敗北により牙を抜かれた彼らは、ローマ人の庇護欲を満たすためだけに生かされる存在へと変貌してしまった。かつてのローマの支配に毅然として立ち向かったエルトリア、タラント、サムニウム……。そこに昔の面影は存在せず、ローマ化により習得した彼らの愛想笑いが空しくこだました。もはやイタリア半島には、ローマに逆らえる勢力は残っていなかった。 「それなら俺の出番だな」 そう言って現れたのは北アフリカの経済大国カルタゴだ。シチリア周辺を舞台に大国カルタゴと蛮族国家ローマとの死闘が始まった。 海軍を持たないローマ人はラテン同盟参加国に技術を提供させ、海軍国家であるカルタゴに海戦を挑んできた。馬鹿め、海の藻屑にしてくれる! しかしローマ人により醜く改造された船舶を見たカルタゴの誇り高き船乗りたちは動揺してしまう。彼らは船に敬意を払っていたため、その不格好な姿を見るに堪えなかったのだ。なんて卑劣な奴らなんだ、ローマ人! 海での敗北はカルタゴ人に喪失戦力以上の心理的効果を与えた。連戦連敗。カルタゴ人は次第に地中海での影響力を失い始める。しかしカルタゴ人の名誉ある敗北は無駄ではなかった。休む間もないほど周辺諸国と戦争を繰り返してきたローマの国庫はとっくに限界を迎えていたのだ。 ここをしのげばまだ挽回の手はある、カルタゴ人の底力を見せてやる! 次回『カルタゴ敗北』――23年後をお楽しみに!
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世界史の知識を得たくて読んだ。カルタゴとローマ連合の戦いであるポエニ戦記を題材にした本書では、前半は第一次ポエニ戦記を描き、ローマの"規律"された戦いによって勝利を重ね、地中海の制海権を得る。物語後半はカルタゴの若き軍師ハンニバルの知略によってローマへの復讐劇を予感させる展開となる。個人的には共和制によるローマの政治力や、敗将を罰しないこと等紀元前200年ごろとは思えないローマ人の知恵と力が興味深かった。
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紀元前3世紀末から紀元前2世紀前半のカルタゴとの戦争、ポエニ戦役を経てローマはなし崩し的に地中海全域を手中にしてしまう。この刊の中心人物はハンニバルで、このアレクサンダー大王にも並び称されるカルタゴの名将を相手にローマがいかに戦ったにスポットがあてられている。やはり戦記物はおもし...
紀元前3世紀末から紀元前2世紀前半のカルタゴとの戦争、ポエニ戦役を経てローマはなし崩し的に地中海全域を手中にしてしまう。この刊の中心人物はハンニバルで、このアレクサンダー大王にも並び称されるカルタゴの名将を相手にローマがいかに戦ったにスポットがあてられている。やはり戦記物はおもしろい。
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2015年84冊目。 シチリア島を巡って、地中海の覇者であったカルタゴと衝突。 3巻は三度あったポエニ戦役の一度目(とその後)を描く。 陸戦続きだったローマにとって海軍力は不利だったにも関わらず、海軍国家にとっては非常識であった「カラス」の使用、即座に五段層軍船を準備する適応力...
2015年84冊目。 シチリア島を巡って、地中海の覇者であったカルタゴと衝突。 3巻は三度あったポエニ戦役の一度目(とその後)を描く。 陸戦続きだったローマにとって海軍力は不利だったにも関わらず、海軍国家にとっては非常識であった「カラス」の使用、即座に五段層軍船を準備する適応力などにより、カルタゴ軍を複数回に渡って破ることに成功。(むしろ海難に苦しめられた) 敗戦指揮官に対する寛容さなど、カルタゴとローマの制度の違いも興味深い。
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戦争の話は面白くスラスラ読めた。ローマのシステムに共感することは多い。あとは税やシステムの話が詳しく書かれていてとても良かった。
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読了。 こうして観ると、いかに優れたシステムを作る事が大切かわかる。 ローマの兵士や執政官は一年ごとに変わったのだから、誰がやってもできるようにきっちりマニュアルが決まっていた。ただし、じゅうなんせいも持ち合わせていた。 勉強になる。
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紀元前三世紀後半、イタリア半島を統一したローマは、周辺諸国によって無視できない存在になっていた。そのローマに、紛争絶えないシチリアの小国が救援を依頼。ローマは建国以来初めて、海を渡って兵の派遣を決める。しかしそれは、北アフリカの大国カルタゴとの対決も意味していたー地中海の覇権を巡...
紀元前三世紀後半、イタリア半島を統一したローマは、周辺諸国によって無視できない存在になっていた。そのローマに、紛争絶えないシチリアの小国が救援を依頼。ローマは建国以来初めて、海を渡って兵の派遣を決める。しかしそれは、北アフリカの大国カルタゴとの対決も意味していたー地中海の覇権を巡って争われ、戦争史上に残る大戦「ポエニ戦役」、その前半戦を描く。
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神としか思えない戦の天才ハンニバルを描いた物語。読んでいて、こんな人間が紀元前にいたことにただただ驚いた。面白かった。 ちなみにこれを読むと漫画「アド・アストラ」もより深く味わえる。
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ハンニバル、若いけれど英雄だ。 スキピオやシチリアの王も20〜40歳でトップ。ウィルキンゲトリクスも若かった。 今の日本では若者が上に行けないシステム。 政治家は高齢者ばかり(自分たちで選んでいるだけれど)。 寿命の長さが違うから、というだけではないと思う。どうしてだろう。
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上中下巻のまとめ。 ハンニバルとスキピオ。世界史で授業でそんなに取り上げられていなかったから、稀代の戦術家とは知らなかった。まぁ、戦史の勉強ではないからね。 正面からの歩兵戦で、相手に10倍の被害を与えるって、戦術の一大革命だったんだろう。 カルタゴの滅亡は、気の毒だった。それに...
上中下巻のまとめ。 ハンニバルとスキピオ。世界史で授業でそんなに取り上げられていなかったから、稀代の戦術家とは知らなかった。まぁ、戦史の勉強ではないからね。 正面からの歩兵戦で、相手に10倍の被害を与えるって、戦術の一大革命だったんだろう。 カルタゴの滅亡は、気の毒だった。それに引き替えギリシア人たちがどんどん劣化していくw。 ポエニ戦争のポエニはフェニキア人の意味。
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