バーナム博物館 の商品レビュー
自動人形、盤上ゲーム、魔術、博物館……。『不思議の国のアリス』や『千一夜物語』を下敷きにして夢と現実の境を取りはらった驚異のミルハウザー・ワールド 【シンバット第8の航海】 千夜一夜からきてるようだけど、まず千夜一夜を読んでない…持ってるけど手付かず… これを読んだらもちろん読...
自動人形、盤上ゲーム、魔術、博物館……。『不思議の国のアリス』や『千一夜物語』を下敷きにして夢と現実の境を取りはらった驚異のミルハウザー・ワールド 【シンバット第8の航海】 千夜一夜からきてるようだけど、まず千夜一夜を読んでない…持ってるけど手付かず… これを読んだらもちろん読みたくなった。 第八の航海とテキスト批評が交互に書かれていて最初よく分からなかったけど、面白い。 千夜一夜を読んだら是非再読したい。 【バーナム博物館】 面白い! これは映画になったら観たい。 こんな博物館行きたいし、通いたい。 心に残った文面↓ 博物館ではなくても、誰にもこの博物館的な存在はあるだろう。どうしてかなどという答えなどいらない、こんな存在が。 ひたすら外の生活のつらさを忘れるために私たちが博物館へ逃げ込むのだと決めつけるのは早計というものである。 むしろ安らいだ心、内なる充足とともに博物館にやってくることの方がはるかに多いのである。私たちは日常の世界を決して忘れはしない。まさに日常の世界を意識しつづけていればこそである。 本当ですよー。美術館や舞台や娯楽を現実逃避と言う人がいるけれど、それは違うでしょ。 【幻影師、アイゼンハイム】 舞台に行く予定だったけど、コロナで中止になり、行けなかったので本を。 幻想的…。 この話が元なのかは分からないけど、似たような映画とかあった気がする。 アイゼンハイムという映画はあって、原作はこの本のようだけど、別物として捉えた方が良さそう。 この本の内容はなかなか映像には出来ないだろうし、しようと思ったらそれこそフェイクだらけになってしまいそう。 本って、文章って、文字って、偉大だ。
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シンドバットの第八の航海は 物語と共にシンドバットのお話の作者別の解説みたいなのが挟まっていて 詳細や違いを知りたい性格のわたしには面白く読めたが とにかく読むのに時間がかかる。。 短編がいくつか入った一冊だったが 時間の都合上、幻影師アイゼンハイムの、 2作のみ読了。 描写...
シンドバットの第八の航海は 物語と共にシンドバットのお話の作者別の解説みたいなのが挟まっていて 詳細や違いを知りたい性格のわたしには面白く読めたが とにかく読むのに時間がかかる。。 短編がいくつか入った一冊だったが 時間の都合上、幻影師アイゼンハイムの、 2作のみ読了。 描写が細かくいろいろと想像力が刺激される 脳内で描写が進む そんな時間でした。
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原書名:The Barnum museum 著者:スティーヴン・ミルハウザー(Millhauser, Steven, 1943-、アメリカ・ニューヨーク州、小説家) 役者:柴田元幸(1954-、大田区、アメリカ文学)
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ミルハウザーを読むのは2冊目。 初めて読んだ「ナイフ投げ師」は僕にとって極上の一冊だったのだが、本作もそれに勝るとも劣らぬ一冊となった。 「探偵ゲーム」というタイトルながら、内容はまさに心理を読み合う「心理ゲーム」であったり、「セピア色の絵葉書」はちらっとフリオ・コルタサ...
ミルハウザーを読むのは2冊目。 初めて読んだ「ナイフ投げ師」は僕にとって極上の一冊だったのだが、本作もそれに勝るとも劣らぬ一冊となった。 「探偵ゲーム」というタイトルながら、内容はまさに心理を読み合う「心理ゲーム」であったり、「セピア色の絵葉書」はちらっとフリオ・コルタサルの「悪魔の涎」を思い起こさせたり、何も無いところから人間(らしきもの)が登場してくる内容の「ロバート・ヘレンディーンの発明」「幻影師 アイゼンハイム」があったり、どこまでも落ちていく「アリスは、落ちながら」があったり……。 「雨」や「青いカーテンの向こうで」などは小品ながらも、現実の中に突然現れる非現実な世界を見事に描いていると思う。 いわゆるマジックリアリズムとも違う(もっと現実側に寄り添った感じだろうか)その不思議な世界は、はまると二度と抜けられなくなる。 情景描写がかなり多いので、その点を「読みづらい」と感じる方も多いかと思うが、一度その面白さを味わってしまったら、もっともっと読みたくなる中毒性を持っている。
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数多の修飾語に彩られた美しい本。 情景描写が多いのに、しつこさを感じさせないのが凄い。 『アリスは、落ちながら』『雨』『探偵ゲーム』『シンドバッド第八の航海』が好み。
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初めて読んだ作家でしたが、面白かった。 永く永く続く一瞬の出来事。 手を触れればたやすくぐんにゃりと融けてしまう現実。あるいは非現実。 そう。ダリの「柔かい時計」のような。 現実と非現実の不確かさを感じながら読んでいたはずなのに、最後の作品「幻影師、アイゼンハイム」でも、いつ...
初めて読んだ作家でしたが、面白かった。 永く永く続く一瞬の出来事。 手を触れればたやすくぐんにゃりと融けてしまう現実。あるいは非現実。 そう。ダリの「柔かい時計」のような。 現実と非現実の不確かさを感じながら読んでいたはずなのに、最後の作品「幻影師、アイゼンハイム」でも、いつ現実と非現実が入れ替わったのか、さっぱりわからない。 想像を現実化していく主人公たち。 だが、彼らだって作者の創造した人物なのだ。 そして、現実に生きているはずの私を、現実だと証明しうるものは今のところない。 これすらも、誰かの想像の産物なのかもしれないのだ。 バーナム博物館。 あったら行きたなあ。 世の中は不思議なことだらけのようだよ。京極堂。 ことのほか面白かったのが、「アリスは、落ちながら」と「クラシック・コミックス #1」 特に「クラシック・コミックス #1」は、詩を漫画化したものを文章で説明するという、ほぼ無意味な試み。 しかし、面白い。 真面目にやっているはずなのに、だからこそ、形式の違いによる着眼点のずれが実に愉快。 読み終わってもしばらくニヤニヤしていたのは内緒だ。
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いかにもミルハウザー的なものから、古典的名作のパロディまで秀逸な短編集。 「シンバッド第八の航海」 最初の夢のような冒険譚で、がっちりと心を掴まれる。 「アリスは、落ちながら」 アリスがゆっくりと落ちながら、終わりの見えない不安も増幅していく。 「探偵ゲーム」 ゲームを行う...
いかにもミルハウザー的なものから、古典的名作のパロディまで秀逸な短編集。 「シンバッド第八の航海」 最初の夢のような冒険譚で、がっちりと心を掴まれる。 「アリスは、落ちながら」 アリスがゆっくりと落ちながら、終わりの見えない不安も増幅していく。 「探偵ゲーム」 ゲームを行うロス家の人々の話しと、ボードゲームの登場人物の世界が同時に進行する。それぞれの思いが交錯して、面白い作品。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ミルハウザーは現代アメリカ文学を代表的する作家の一人。その幻想的な雰囲気といい、細微眼的な筆致といい、どこから見ても自分好みなのだが(しかも、大好きな白水Uブックス「海外小説の誘惑」シリーズに収められているのだが)、なぜか今まで読んだことがなく、某巨大匿名掲示板のおススメで初読。 どの作品もそれなりに気に入っているのだが、あえて一番を選べば架空の博物館「バーナム博物館」の様子を微に入り細を穿って描いた表題作の『バーナム博物館』。次いでボードゲーム「クルー」を題材に、ゲーム内の登場人物の虚構世界を想像力たっぷりに描きつつ、プレーヤーの現実世界(も、柴田元幸が指摘する通り虚構なわけだが)を並行させた『探偵ゲーム(A Game of Clue)』。これは「クルー」で遊んだことがあればもっと楽しめただろうにと思うと、少し残念。「不思議の国のアリス」を題材にした『アリスは落ちながら』も好き。 ミルハウザーは、もう何冊か読んでみる。あと、これのせいで千一夜物語を読みたくなった…。
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たとえば聖フランチェスコのように、世界に対し、限りない共感を抱くことができれば、造り主である神に感謝し、御業を誉め讃えていればすむ。しかし、現実に生きていれば、何かしら世界の在り様に不備やら不満、或は異和を覚えずにはいられない。共感にあふれてこの世界に入ってきた子どもなら、この世...
たとえば聖フランチェスコのように、世界に対し、限りない共感を抱くことができれば、造り主である神に感謝し、御業を誉め讃えていればすむ。しかし、現実に生きていれば、何かしら世界の在り様に不備やら不満、或は異和を覚えずにはいられない。共感にあふれてこの世界に入ってきた子どもなら、この世界の現実に触れたときに感じる幻滅は、感受性の強い者ほど大きかろう。 多くの人は、その段階で世界と妥協し、それを受け容れることで大人になろうとする。大人は、何も造り出すことはない。只管、世界と慣れ、馴染み、それを享受しようとする。今ある世界に何かをつけ加えようとか、変革しようとか考える人間は、世界のすべてを共感を持って受け止めてはいないのだ。だから、その反感の徴として、作品を創造する。作家の仕事は、小さいながら神の代理人としての仕事である。 自分の想像した人物や世界をわざわざ提出しようというのだから、そこには何か、世界に対して言い分があるにちがいない。ところが、多くの作家は作品の舞台として現実の世界を選ぶ。いや、むしろ現実以上にリアルであろうとさえする。ごく稀に世界をひっくり返そうとする人物を描くことがあったにせよ、人物自体の存在は現実をなぞっている。大人の読者を想定する以上、それは当然だろう。 ミルハウザーの描き出す世界が、時を少し遡った時代であったり、ヨーロッパや東方の国であったりするのは、作家の現代世界に感じる異和の現れである。大人になることは、自分の愛するもので溢れた世界を喪失することを意味する。繰り返しその作品に登場し、ミルハウザーの強迫観念と化した自動人形や博物館は、矮小化された人間とその世界にほかならない。 ミルハウザーは現実の世界に敬意を表したりしない。傲岸なまでに自分の夢見る世界を構築して見せようとする。主題が変わらないのも題材が似てくるのも当たり前だ。彼こそが世界の創造者なのだ。作品世界は彼の夢想によって形作られている。彼こそは小さな神なのだ。作家には、自分ひとりの手で、自分の欲する世界を創造する必要があったにちがいない。 「ロバート・ヘレンディーンの発明」は完全な空想によって作られた女性が現実世界の浸出によって歪みはじめ、やがて崩壊に至る物語。ポオの『アッシャー家の崩壊』や『ウィリアム・ウィルソン』の影響が見られる。この作家にはめずらしく夢想に対する自虐的な言及が目立つアイロニーに満ちた作品である。 生きている人魚や本当に空を飛ぶ絨毯を見ることができる「バーナム博物館」。その内部は、決して終わることのない工事で、常に迷路のように変化し続ける不思議な博物館。いつ入場しても驚きに出会える、作家の愛してやまない世界の縮図である。 「シンバッド第八の航海」は、富裕な商人で、かつて船乗りシンバッドであった男の回顧譚、今現在冒険の渦中にあるシンバッドの物語、そして、千一夜物語の比較文学的考察、という三つの異なったテクストが、分断され、交互に記述されるというポスト・モダン風な構成を持つ。「探偵ゲーム」とともに、物語の登場人物と話者が入れ子状にメタ・レベルに立つボルヘスを思わせる作品。 「幻影師、アイゼンハイム」は、作家の独壇場である、孤独な芸術家の苦闘ぶりを描いた作品の系譜に属する。気になるのは、「ロバート・ヘレンディーンの発明」といい、この作品といい、主人公が精魂傾けて創り出すものが、実体の伴わない幽霊のような存在であることだ。かつては、子どもの頃に夢見たものへの確固とした信頼の上に立ち、小さくとも現実に存在する物を制作していた主人公が、1990年に出版されたこの第二短編集で現出させた物が、実体を欠いた観念のお化けのようなものであることに興味を覚えた。さしものミルハウザーも、この時期、夢想の実体化という飽くなき夢の追求に、疑問を感じはじめていたということだろうか。
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※このレビューにはネタバレを含みます
[ 内容 ] 幻想の航海、盤上ゲーム、魔術、博物館…。 最後のロマン主義者ミルハウザーが織りなす幻影と現実のモザイク模様。 ときには『不思議な国のアリス』や『千夜一夜物語』を下敷きに、ときにはポーに敬意を表しつつ、想像力のおもむくままに紡ぎだされた十の物語。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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