赤ひげ診療譚 の商品レビュー
大長編「樅ノ木は残った」しか読んでなかったので、有名な「赤ひげ」を読んでみた。 赤ひげ先生と見習い医保本登の関係がよい。
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山本周五郎の連作時代小説『赤ひげ診療譚』を読みました。 『寝ぼけ署長』、『五瓣の椿』に続き、山本周五郎の作品です。 -----story------------- 給与は最低。 昼夜のべつなくこき使われる。 けれど“赤ひげ”先生こそ本物の医者だ! 幕府の御番医という栄達の道を...
山本周五郎の連作時代小説『赤ひげ診療譚』を読みました。 『寝ぼけ署長』、『五瓣の椿』に続き、山本周五郎の作品です。 -----story------------- 給与は最低。 昼夜のべつなくこき使われる。 けれど“赤ひげ”先生こそ本物の医者だ! 幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の“赤ひげ”とよばれる医長・新出去定の元、医員の見習勤務を命ぜられる。 不本意な登は赤ひげに反抗するが、その一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。 傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く医療小説の最高傑作。 ----------------------- 文藝春秋が発行する月刊娯楽小説誌『オール讀物』に1958年(昭和33年)3月号から12月号に連載された作品… 江戸時代中期の小石川養生所を舞台に、長崎で修行した医師・保本登と、実在した江戸の町医者・小川笙船(おがわ しょうせん)をモデルとする「赤ひげ」こと新出去定(にいできょじょう)を主人公として、患者との葛藤を描いたヒューマンストーリー8篇が収録されています。 ■狂女の話 ■駈込み訴え ■むじな長屋 ■三度目の正直 ■徒労に賭ける ■鶯ばか ■おくめ殺し ■氷の下の芽 ■解説 中田耕治 小石川養生所の“赤ひげ"と呼ばれる医師と、見習い医師との魂のふれ合いを中心に、貧しさと病苦の中でも逞しい江戸庶民の姿を描く、、、 幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の“赤ひげ”とよばれる医長新出去定に呼び出され、医員見習い勤務を命ぜられる… 貧しく蒙昧な最下層の男女の中に埋もれる現実への幻滅から、登は尽く赤ひげに反抗するが、その一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。 傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く快作……。 若き医生・保本が医師として、人間として成長する姿を描いた物語なのですが、師である赤ひげも完ぺきな意思ではなく、自分の力の及ばないことに悩みながら怒りながら奮闘するんですよね… そのあたりのバランスが良くて愉しめましたね、、、 そんな中でイチバン印象に残ったのは、オープニングを飾る『狂女の話』ですね… 保本が絶体絶命の危機に陥りますが、危ういところを赤ひげに助けられるミステリ仕立ての展開、オープニングに相応しい内容でしたね。 泣きそうになったのは『鶯ばか』ですね… 貧困の辛さ、悲哀、生きていることの意味等々、考えさせられるエピソードでした、、、 一家心中で助けられた母親が語る言葉、 「子供たちは死んでくれました、うちの人とあたしの二人なら、邪魔されずにいつでもどこでも死ねますからね、子供たちが死んでくれて、しんからほっとしました――こんなことを云っては悪いかもしれませんが、どうしてみんなは放っておいてくれなかったんでしょう、放っておいてくれれば親子いっしょに死ねたのに、どうして助けようなんてしたんでしょう、なぜでしょう先生」 「生きて苦労をするのは見ていられても、死ぬことは放っておけないんでしょうか――もしあたしたちが助かったとして、そのあとはどうなるんでしょう、これまでのような苦労が、いくらかでも軽くなるんでしょうか、そういう望みが少しでもあったんでしょうか」 胸がつまされて、何て答えて良いかわからないですよね… 示唆に富んだ作品でした。 以下、主な登場人物です。 新出去定(にいで きょじょう) 主人公。通称「赤ひげ」。 小石川養生所の責任者である壮年の医師。 保本登(やすもと のぼる) もう一人の主人公。 長崎で医学を学び江戸へ戻ってきたばかりの青年医師。 森半太夫 小石川養生所の見習い医師。 生真面目で、新出を尊敬している。 お雪 小石川養生所の賄所で働く。森を慕う。 津川玄三 小石川養生所の医師。登と入れ替わりで養生所を出る。 保本良庵 町医者。登の父。 保本八重 登の母。 天野源伯 公儀の表御番医。ちぐさ、まさをの父。 天野ちぐさ 登の元許嫁。 天野まさを ちぐさの妹。 おゆみ 狂女。小石川養生所にて隔離されている。 お杉 女中。おゆみの世話役。 竹造 小石川養生所の小者。
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山本周五郎全集11 長崎遊学から戻り、御目見医になると思っていた保本登が連れてこられたのは汚らしい貧民に医療を施す小石川養生所。 戸惑いながらも医員見習いとして赤ひげと呼ばれる新出去定に仕えるうちに世の中の底辺に生きる貧民の生きる姿や本当の善と悪を知り、医は仁術ということを学んで...
山本周五郎全集11 長崎遊学から戻り、御目見医になると思っていた保本登が連れてこられたのは汚らしい貧民に医療を施す小石川養生所。 戸惑いながらも医員見習いとして赤ひげと呼ばれる新出去定に仕えるうちに世の中の底辺に生きる貧民の生きる姿や本当の善と悪を知り、医は仁術ということを学んでゆく秀逸な物語。
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「話を聞いてこい」という去定。身体ばかりではなく心の病もある。 「いま富栄えている者よりも、貧困と無知のために苦しんでいる者たちのほうにこそ、おれは却って人間のもっともらしさを感じ、本来の希望が持てるように思えるのだ」@去定。「もしあたしたちが助かったとして、そのあとはどうなるん...
「話を聞いてこい」という去定。身体ばかりではなく心の病もある。 「いま富栄えている者よりも、貧困と無知のために苦しんでいる者たちのほうにこそ、おれは却って人間のもっともらしさを感じ、本来の希望が持てるように思えるのだ」@去定。「もしあたしたちが助かったとして、そのあとはどうなるんでしょうか、これまでのような苦労が、いくらかでも軽くなるんでしょうか」@おふみ。 江戸時代の設定ですが、程度は違えど今の時代でも変わらないような気がします。
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徳川幕府の施療院 「小石川養生所」の〝赤ひげ〟こと新出去定(ニイデキョジョウ)に反抗心を抱く、長崎遊学から江戸に戻った見習医員・保本登(ヤスモト ノボル)が、身分格差と貧困に喘ぐ最下層の男女に触れ合う〝赤ひげ〟の強靭な精神力で説得する姿を見て学び、成長していく8篇の連作小説...
徳川幕府の施療院 「小石川養生所」の〝赤ひげ〟こと新出去定(ニイデキョジョウ)に反抗心を抱く、長崎遊学から江戸に戻った見習医員・保本登(ヤスモト ノボル)が、身分格差と貧困に喘ぐ最下層の男女に触れ合う〝赤ひげ〟の強靭な精神力で説得する姿を見て学び、成長していく8篇の連作小説です。 やがて〝赤ひげ〟を師と仰ぎ「小石川養生所」に骨を埋める決心をするまでの、魂のふれあいにこころ揺さぶられる山本周五郎の代表作です。
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「さぶ」に続いて、青空文庫での山本周五郎作品。 「さぶ」と同じように、人情味あふれる話で、時代を超えて、正しく生きることを教えてもらいました。 しかも主人公は作品名の「赤ひげ」ではないところも「さぶ」と同様でした。 またいつか著者の作品を読みたいと思います。
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素晴らしい本だと思います。 始めは、文章の流れを掴むのに苦労しましたが、本筋を理解できた後は物語の勢いに圧倒されながらも、大変感動しました。
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2018年の春くらいから、気分的には1年半くらい続いていた仕事上の繁忙期が終わりました。 虚脱。そして、けっこう嬉しいです。 読んだ本のメモも長らく途絶えていました。そもそも本を読むこともかなり減っていました。 # 「赤ひげ診療譚」山本周五郎 1958年 新潮文庫。 2018...
2018年の春くらいから、気分的には1年半くらい続いていた仕事上の繁忙期が終わりました。 虚脱。そして、けっこう嬉しいです。 読んだ本のメモも長らく途絶えていました。そもそも本を読むこともかなり減っていました。 # 「赤ひげ診療譚」山本周五郎 1958年 新潮文庫。 2018年の12月頃に仕事の都合で再読。 大昔から思っていたのですが、山本周五郎というと人情べたべたな小説家だと思われているかもしれませんが、 きちんと読んでみると時折実に胃液が逆流するほど残酷で素晴らしかったりします。 でも、いまどきそもそも山本周五郎を知らない人も増えていることと思いますが。ちょっともったいない。 ただ、好みもありますが、横山秀夫さんではないけれど、やはり大まかは短編の方が鋭い。 長編になると、甘さというか、センチメントが隠しきれなくなる傾向もあります。 ちなみに「赤ひげ診療譚」は1965年に黒澤明&三船敏郎で映画化されていて、国際的な賞も取っています。 何より山本周五郎が映画を見て「原作より面白い」と言ったという言い伝え?があるそうです。 まあ、マスコミ向けの気持ちもあったのかも知れませんが、僕は正直、映画「赤ひげ」はあんまり良いとは思えないんですよね。 我慢して見れば、さすがだな、すごいな、という箇所はいくつもあるのですが、ちょっとこのあたりから黒澤明さんの監督作品は、急速に「名作っぽい感じだけど、面白くない」という芸風に高まって?行きます。映画史的には、黒澤が三船を撮った最後の作品、というだけでも何かしらかの大きな意義があると思いますが。
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考えてみたら、山本周五郎の著作を読むのは初めてだった。何十作も発表されているし、文学賞の名前にすらなっているのに。 もともと時代小説は好きだが、本書はとにかく面白かった。何がいいって、難しい当時の言葉も少なく、読みやすい。舞台は江戸時代の江戸。ストーリーは、見習いを終えたばかりの...
考えてみたら、山本周五郎の著作を読むのは初めてだった。何十作も発表されているし、文学賞の名前にすらなっているのに。 もともと時代小説は好きだが、本書はとにかく面白かった。何がいいって、難しい当時の言葉も少なく、読みやすい。舞台は江戸時代の江戸。ストーリーは、見習いを終えたばかりのプライドの高い医者の卵が、養生所という貧しい人にほぼ無料で医療を施すところで働くことになり、最初は渋々であったが、先輩医師や患者とのやり取りを通じて成長していく、というもの。 人間の本質に迫る。養生所の所長の医者は、生まれながらに悪人などいない、貧しさや境遇や無知がそうさせるのだ、という考え方。主人公登は、様々な患者を診ながら、どう思うか。 さすがに、うまいな~とうならされた。これから、山本周五郎の小説をもっと読みたいと思う。
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江戸時代の無料診療所で、性的児童虐待により精神不安になった患者、親に売られて売春婦として働く少女の性病治療、赤ひげ先生に感化されて上昇志向の若手医師が幕府の医師を断り、働き続けるこたなど。 悪い人でもその中から良い部分を引き出さなければなど庶民の社会生活や人間感情を描いている。
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