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エリック・ホッファー自伝 の商品レビュー

4.5

31件のお客様レビュー

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2023/05/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

長い間拘束されていた神から自由になった近代人は自分自身と異なるもののwannabeな存在であるという考察があるが、表現をしていくうえでもぶち当たるこの問題がかなり根深いものだと言うことが再確認できた良書。文章もさらっと読める翻訳でとても良かった。

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2023/01/18

港湾労働者として従事しながら日々のことを記した『波止場日記』の後に、続いて読んだエリック・ホッファーの自伝。 幼少期の失明から、母と父の死、季節労働者として働きながら図書館で独学で様々な分野をマスターしていく。 彼は様々な場面でチャンスはあったのだ。 例えば橘類研究所の所長に植...

港湾労働者として従事しながら日々のことを記した『波止場日記』の後に、続いて読んだエリック・ホッファーの自伝。 幼少期の失明から、母と父の死、季節労働者として働きながら図書館で独学で様々な分野をマスターしていく。 彼は様々な場面でチャンスはあったのだ。 例えば橘類研究所の所長に植物学とドイツ語の能力を認められ、ブルーワーカーからの仕事を抜け出すことも出来ただろうに季節労働者に戻ってしまう。 以前読んだ本でエリック・ホッファーは回避型パーソナリティ障害の気質があると読んだことがある。そのせいで仕事や恋人とのチャンスを自ら避けてしまっていた、とか。 彼の文章から後悔が垣間見えることはあるが、それでも腐ることなくたくましくサバイブしていく様には勇気付けられる。 その後、49歳で初著作の『大衆運動』を上梓する。 転機は再び訪れ、政治学の研究教授になる。だが沖仲仕の仕事は辞めず65歳まで続けたというのだから驚いた。 日々、肉体労働に従事しながらも学ぶ意欲を絶やさないその姿勢は見習いたい。 小手先の知識ではなく、真の教養がある。

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2022/11/05

学問の心にあふれる 労働に励み余暇の全てを読書と思索にささげた「沖中士の哲学者」ホッファーの語り 大学のテキスト読んで独学した日雇いの爺さん 西村賢太の若い頃のエピソードだったり、高野秀行の生活ぶりだったりに似ている気がする。 ●最初に得た定職の雇い主が亡くなったとき、...

学問の心にあふれる 労働に励み余暇の全てを読書と思索にささげた「沖中士の哲学者」ホッファーの語り 大学のテキスト読んで独学した日雇いの爺さん 西村賢太の若い頃のエピソードだったり、高野秀行の生活ぶりだったりに似ている気がする。 ●最初に得た定職の雇い主が亡くなったとき、ホッファー28歳 “いくらか蓄えがあったので、金が尽きるまで1年間働かないことにした。その1年間で、残りの人生をどう過ごすか考えようと思ったのである。 24 “歩き、食べ、読み、勉強し、ノートをとるという毎日が、何週間も続いた。残りの人生をずっとこうして過ごすこともできただろう。しかし、金がつきたらまた仕事に戻らなければならないし、それが死ぬまで毎日続くかと思うと、私を幻滅させた。

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2022/06/09

今でも多くの人に影響を与え続ける作者の魅力は、力が抜けていてリラックスしたところから出る力のある言葉なんだろうと本作品を読んでわかった。多くの人が座右の書として挙げているのもわかる気がした。特に最後の数ページにはかなり力のこもった言葉があり、感銘をうけた。

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2022/03/27

独学に関する本でエリック・ホッファーを知り、彼の自伝を読んでみました 自伝にも増して、訳者の判断で付けた「七十二歳のエリック・ホッファー」という雑誌の記事が面白いです 今話題の、ワークライフバランスや働き方、セカンドライフについてホッファーにインタビューしたものです ・生活...

独学に関する本でエリック・ホッファーを知り、彼の自伝を読んでみました 自伝にも増して、訳者の判断で付けた「七十二歳のエリック・ホッファー」という雑誌の記事が面白いです 今話題の、ワークライフバランスや働き方、セカンドライフについてホッファーにインタビューしたものです ・生活のための仕事は1日6時間、週5日まで ・それをこなした後に本当の仕事をする ・有意義な人生とは学習する人生 と、とても今の自分が共感できる意見でした!

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2021/05/27

「ノマドランド」もこの時代の放浪者の系譜に連なっているし、放浪者たちは幌馬車で西部を目指した人たちに連なっている。やむを得ない事情があってのことであったとしても、放浪する生活への矜持がある。 学ぶことへの意欲に憧れる。希望と勇気について語られた言葉、安定が安全を保障するものではな...

「ノマドランド」もこの時代の放浪者の系譜に連なっているし、放浪者たちは幌馬車で西部を目指した人たちに連なっている。やむを得ない事情があってのことであったとしても、放浪する生活への矜持がある。 学ぶことへの意欲に憧れる。希望と勇気について語られた言葉、安定が安全を保障するものではないと話す言葉など、放浪を学びの場にしたからこそだと思う。 いつも、自伝や評伝、エッセイや日記といった、とっつき易いところから始めてしまうけど、著作もちゃんと読んでみないと。

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2021/01/25

大戦までの間を季節労働者として過ごし、以後25年間を港湾労働者として働いた遅咲きの社会哲学者、エリック・ホッファー。彼の類い稀なる観察力と分析力はどこからきているのか、思う存分自分の人生を振り返って語る。

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2021/01/17

以前、辺見庸の著作を読んだときに、その目線の低さに目を開かれたのだけれど、下には下がいた。“沖仲仕の哲学者”と言われるホッファーは目線どころか、自身の身体をそっくり社会の最底辺に置き続けた。 一時的な(と言っても、7歳〜15歳という長期の)失明、天涯孤独、自殺未遂、そして放浪。数...

以前、辺見庸の著作を読んだときに、その目線の低さに目を開かれたのだけれど、下には下がいた。“沖仲仕の哲学者”と言われるホッファーは目線どころか、自身の身体をそっくり社会の最底辺に置き続けた。 一時的な(と言っても、7歳〜15歳という長期の)失明、天涯孤独、自殺未遂、そして放浪。数奇とか波乱という言葉が霞んでしまうくらいのこの生涯だけでも驚愕もので、読み物としてもう十二分。加えて、正規の学校教育をまったく受けていない中、独学と読書で知性と教養を身につけたときているから、読書にまつわる本としても秀逸。 印象的なのは、明日にも食いぶちがなくなる状況に度々置かれながらも、仕事には一切期待などしないこと、そして、学習をし続ける人生こそが有意義なのだと結論づけること。最底辺から叫ぶでもなく、淡々と語るホッファーに喰らった張り手はかえって強烈で、その衝撃で目が眩んだ。

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2020/09/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

エリック・ホッファー自伝―構想された真実 (和書)2010年04月29日 19:41 2002 作品社 エリック ホッファー, Eric Hoffer, 中本 義彦 労働と思索の系譜が綴られていてとても興味深い。 柄谷行人のいうコミュニズム・・・アソシエーションの姿勢を彷彿とさせる。 自由・平等の交換様式における捉え方がここに見られる。 非常に正確な批判がここにあることの証明だと思った。

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2020/09/09

半生の過酷さに、読んでいて心細くなった。 人一倍知性がありながら、高等教育を受けることはなく、流れ者の日雇い労働。 きっとメンタルも身体も頑健な人ではあったのだろうと思うけど、農耕民族的な発想になじんだ自分には想像するだけでもなかなかキツイものがある。 彼にとって学問は唯一の喜び...

半生の過酷さに、読んでいて心細くなった。 人一倍知性がありながら、高等教育を受けることはなく、流れ者の日雇い労働。 きっとメンタルも身体も頑健な人ではあったのだろうと思うけど、農耕民族的な発想になじんだ自分には想像するだけでもなかなかキツイものがある。 彼にとって学問は唯一の喜びだったのかもしれない。 とはいえ、肝心の彼の思想をあまりよく知らないのでこれから著作を読んでみたい。  

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