兄弟 の商品レビュー
H24.10 どうしようもない兄だけど、戦争が人を変えてしまったのかな。自分が小中学生のころ、まわりには戦争を体験した大人がたくさんいたんだな。そういう人達は死ぬまで戦争を引きずっていた人が多かったのかも。 母親がなんとか兄弟のきづなをつなぎとめていたのだろう。
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なかにし礼と、実の兄との関係と葛藤を元に描かれた小説。 映画では兄役をビートたけしが演ったけれど、私は観てないので、どうだったのかわからないけれど、原作から受けるイメージは違う感じがした。 中西一家は、満州で一家の大黒柱である頼もしき父親を亡くしているので、日本へ引き上げて実家の...
なかにし礼と、実の兄との関係と葛藤を元に描かれた小説。 映画では兄役をビートたけしが演ったけれど、私は観てないので、どうだったのかわからないけれど、原作から受けるイメージは違う感じがした。 中西一家は、満州で一家の大黒柱である頼もしき父親を亡くしているので、日本へ引き上げて実家の小樽へ戻り、そこへ長男が復員してくる。 この長男が、一家の長として家族を養っていくわけだけれども、母親似で大胆な性格の故、やる事なすこと浮き沈みが激しいと言うか、一発当ててもそれが持続しなくて、すぐに凋落する。 そんな兄に一家は翻弄され、まだ幼い弟も様々な苦難に見舞われる。 それでも、戦争へ行く前は両親に嘱望され、姉弟からも慕われていた立派な長男への想いの方が強くって、弟は何度も何度も酷い目に合わされても、兄をすぐに許してしまう。 やがて弟は作詞家として大成し、大金を稼ぐようになるが、それらも全て兄に騙し取られ、巨額な借金を背負わされ、返済に追われるようになる。 借金を返しても、すぐにまた実印などを持ち出されて保証人にされてしまう。そんな事を何度となく繰り返していて、読んでるこっちは、どうして?と理解に苦しんだ。 簡単に「兄弟の情」とは言い切れない何かがそこには存在していたのかな。 兄も弟も、満州での体験や戦争の体験が、その後の人生に大きく影響を与えていたように感じた。そこに雁字搦めにされていたような。 戦後の日本が抱えた問題の1つがそこに凝縮されているような気もした。 ある意味、被害者だったのかもしれない。 それにしても、こんな兄がいたら、普通ならやっていけないね。 って言うか、弟があまりに巨額な収入を得るようになったから、兄の性癖に拍車を掛けてしまったのか・・・? でも、普通のサラリーマンであったとしても、きっと同じだったのかも。やりきれないお話だ。
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