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兄弟 の商品レビュー

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12件のお客様レビュー

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兄弟の宿命か

実兄を軸に展開する著者の自伝的小説。一攫千金を夢見て性懲りもなく野放図な行動を繰り返す兄に、何度となく裏切られ人生のどん底にまで突き落とされる。それでも兄となかなか決別できない著者の姿に、もどかしさが募る。この兄弟の関係には血のつながりだけではなく、戦争も暗い影を落としている。や...

実兄を軸に展開する著者の自伝的小説。一攫千金を夢見て性懲りもなく野放図な行動を繰り返す兄に、何度となく裏切られ人生のどん底にまで突き落とされる。それでも兄となかなか決別できない著者の姿に、もどかしさが募る。この兄弟の関係には血のつながりだけではなく、戦争も暗い影を落としている。やはりこの兄がいてこの著者がい、この著者がいてこの兄がいたというべきであろうか。それにしても、なかにし礼の小説は読ませる。

fugyogyo

 「兄さん 死んでく…

 「兄さん 死んでくれてありがとう」なかにしさんの兄弟というタイトルを見るを思い出す一節。忘れられない言葉です。血のつながりってものを考えさせられた一冊ですね。

文庫OFF

破天荒な兄に翻弄され…

破天荒な兄に翻弄される弟。「死んでくれてありがとう」は忘れられない。

文庫OFF

2022/12/16

母に勧められて。 昭和の有名作詞家なかにし礼が破天荒な兄について書く自伝的小説。あまり期待せず読みはじめたが、とても面白かった。

Posted byブクログ

2022/02/11

手練れの技といいたくなるような文章力。怪物である兄をそれでも捨てきれず根っこにあるものを理解しようとする作者の、一方で自分に関わってきた女性たちへの酷薄な無神経ぶりには所々鼻白んだが、それでもやはり引き込まれて読んでしまう。戦前からの昭和の一家族の歴史としても面白い。

Posted byブクログ

2021/05/12

なかにし礼さんのドキュメンタリーを偶然TVで見た。自分の人生の中で兄の存在がいかに重くのしかかっていたかを、作詞家として大成功をおさめ、高所得者にもなっているにもかかわらず、自分たちの生活は困窮していたこと、兄からの度重なるお金の要求、事業を興す度に失敗し、莫大な借金を肩代わりし...

なかにし礼さんのドキュメンタリーを偶然TVで見た。自分の人生の中で兄の存在がいかに重くのしかかっていたかを、作詞家として大成功をおさめ、高所得者にもなっているにもかかわらず、自分たちの生活は困窮していたこと、兄からの度重なるお金の要求、事業を興す度に失敗し、莫大な借金を肩代わりし、印税がすべてそれらに消えていってしまった事。実の母が亡くなり、ようやく兄からの呪縛もとけ、義絶。そして、その兄が死んだという一報を受けた時に思わず「万歳」と思ったと語った。兄の事を包み隠さず本に書いたと語っていたので読んでみたくなった。さすがだなぁーと思ったのは、言葉だった。数々の作詞を手がけ、大ヒットした作品も沢山あるから当たり前と言ったらそうなのだが、流れるような文、ニシン漁の時の描写は躍動感が溢れている。まさしく昭和の時代を駆け抜けた人だった。牡丹江市からの引き揚げ、小樽、青森、大井町、浅草、中野、鎌倉、戦中、戦後を生き抜いた全ての経験が作詞家の根っこに息づいている。義絶したはずの兄に対して「もう一人の自分を失ったようで、自分の影を失くしたようで、むしょうに淋しい」と最後の最後に書いている。兄との経験から生まれた「石狩挽歌」。作者の体験を知ってから改めて歌詞を読むと大漁で浜がにわかに活気づき、男も女も総出で行き交う姿が浮かんでくる。ヤン衆のざわめき、不漁の時のよどんだ空気、あの時、肌で感じた事がこの歌詞に刻まれているんだなぁーと思った。憧れていた兄、その兄を捨てきれずどんどん苦境に追い込まれていく自分、義絶し、兄が死んでようやく解放されたと思っていたのに何故か淋しい、人からみたら理解不可能であってもやはり家族って当の本人たちにしかわからない繋がりがあるんだなぁーと思った。作詞家から作家へと転身した作者の他の作品も読んでみたいと思った。

Posted byブクログ

2019/10/29

内容(「BOOK」データベースより) 作詞家として活躍する著者のもとへ、十六年間絶縁状態だった兄の死の報せが届いた―。胸中によみがえる兄の姿。敗戦後に故郷小樽で再会した復員帰りの兄は、どこか人が変っていた。以来、破滅的に生きる兄に翻弄され、苦渋を強いられた弟が、兄の実像と兄弟のど...

内容(「BOOK」データベースより) 作詞家として活躍する著者のもとへ、十六年間絶縁状態だった兄の死の報せが届いた―。胸中によみがえる兄の姿。敗戦後に故郷小樽で再会した復員帰りの兄は、どこか人が変っていた。以来、破滅的に生きる兄に翻弄され、苦渋を強いられた弟が、兄の実像と兄弟のどうしようもない絆を、哀切の念をこめて描いた記念碑的傑作。

Posted byブクログ

2019/05/24

 このような古く珍しい本を手に取る機会に恵まれたことを、改めて幸運に思う。  稀代の作曲家なかにし礼が小説なんか書いて、豊川悦司とビートたけしの主演でドラマ化されていたことも知らなかった。  満州生まれの弟であるなかにし礼その人の、特攻隊の生き残りと自称し虚無的で刹那的な生き方を...

 このような古く珍しい本を手に取る機会に恵まれたことを、改めて幸運に思う。  稀代の作曲家なかにし礼が小説なんか書いて、豊川悦司とビートたけしの主演でドラマ化されていたことも知らなかった。  満州生まれの弟であるなかにし礼その人の、特攻隊の生き残りと自称し虚無的で刹那的な生き方をする兄との葛藤をほぼ自伝として描いているのはともかく、この一冊の本の持つ素晴らしい文学性には驚愕させられた。  「兄さん、死んでくれて有難う」と兄の死によって始まる回想、そしてラストに衝撃の終章が待つ。  敗戦で満州から小樽に引き揚げてきた一家の元に兄が復員した時点から一家の運命の歴史が始まる。  鰊漁に投資し増毛の海で群来を待つ荒々しいシーンに始まり、なかにし礼の作曲家としての栄華、兄の借金による一家の衰退。究極から究極へ移り変わる運命の渦に揉まれる兄弟、親子、夫婦の描写が素晴らしく、一気に読まされた。  小樽の旧青山亭入口に建つ、なかにし礼の『石狩挽歌』の歌碑の前にぼくは何度も立ったことがあるが、この歌碑が実はこの物語の重要なエピローグを象ることになろうとは流石に読み切れなかった。  この歌碑は、作詞家であり作家でもあるなかにし礼という自己確立にも重く関わったものだったのである。  各地流転の人生の海の上を風とゴメたちが今日も飛び続けている。そんな風景が忘れ難い一冊である。

Posted byブクログ

2013/05/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

中西礼さん 初の小説。 個々は別の人格・・・だが、人は血のつながりを意識しないではいられないのかも知れない。

Posted byブクログ

2013/03/10

許せないものはいつまでも許せないのである。。。 ロクでもない家族はどこにでもいるのだなぁ。。。 ここまで壮絶な経験する人も少ないだろうなと思う。 誇張されている部分はあるだろうがまるでフィクションの小説を読んでいる気分。 事実は小説より奇なり。。。

Posted byブクログ