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半七捕物帳 新装版(一) の商品レビュー

4.2

43件のお客様レビュー

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2023/02/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ラジオ日曜名作座できいた、半七が面白かったので、図書館で借りて読んだ。 岡本綺堂って、修善寺物語の印象ばかりだったので、泉鏡花みたいな作家かと思っていた。(確かに幻想ファンタジーぽい部分もあるけど。) 新聞記者だったという経歴も推理作家に向いているかんじ。 ホームズを意識して書かれた推理ものとしては本邦で最初期のものだろう。 大正時代?に書かれた、幕末を舞台とした推理もの。 実際に私が読んだのは筑摩の豪華本一巻目で、今井金吾氏による注釈が細かく添えられて、物語ごとに舞台となった場所の古地図と現代の地図が重なったものまで着いていて、とても楽しめた。 挿絵も当時の浮世絵などから採られているぽくて想像力が刺激される。 その筑摩の本がなぜかブクログでは見当たらないので、この光文社の文庫の場所を借りて、感想を書かせていただく。 (ちなみに筑摩での一巻の収蔵は、お文の魂、石灯篭、勘平の死、湯屋の二階、お化師匠、半鐘の怪、奥女中、帯取の池、春の雪解、広重と川獺、朝顔屋敷、猫騒動、弁天娘。どうやらこれは執筆順らしい。) 読んですぐに思ったのは、これ宮部みゆきの江戸モノじゃないの、という既視感。 どうも宮部さんは本当に半七のファンらしい。 トリックぽいものは特になく、江戸風俗の「へーーー」という要素と、普通にいい人に見える人間の奥にある黒い部分がじわっと出てくるテイストが似て見えた。 やっぱりあれだわ、生きてる人間ほど怖いものは無いんだわ。 作中で、幕末になってはじめて大名の妻子が国許に住んでもいいという御触れが出たことを知る。 江戸時代すごいな。参勤交代システムが始まって200年はすぎてたよね。大変だなあ。 面白かったのは、湯屋の二階、お化師匠、帯取の池、朝顔屋敷など。 逮捕されたあと、普通に、引き廻して磔になった、とさらっと書いてある。 時代的に親殺しや夫殺しは大罪なんだろうね。 封建社会こわ、身分制度やば、長屋の人間模様きつ、など語彙力の低い感想が出続けた。 またもネタバレにチェック入れて登録するのでここに重大なことを書いちゃいますけど、半鐘の怪ってポーのモルグ街の悪夢がモデルでしょそうでしょデュパンみたいなゴリラ犯人ですよね人外犯人ちょっとズルイよね、と思いました。 鳥に小さい子が拐われるのも、昔はよくあるパターンだったのかな、めちゃ怖いですね。八犬伝にもそんな話があったよねー。 あと最後に書いておきたいのは、筑摩の豪華本の注釈が面白かった。 体たらく、いけしゃあしゃあと、さしがね、もっけの幸い、とか、別に珍しくない用語を説明しているところ。 江戸ならではの由来のある言葉もあれば、別にどうってことのない言葉もあって、どういう基準で注釈を載せているんだろう?とドキドキしながら読んだ。なんでこれが注釈に?と新鮮な気持ちで読めました。注釈って個性が出るよね。愛。

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2020/10/30

捕物帳の古典。 十数年ぶりに再読。 大正から昭和初期にかけて書かれた、江戸の風物を伝える連作推理小説。 江戸時代の終わりの江戸を舞台にした、半七親分がかかわった事件を、明治期になった半七老人が若い新聞記者に語って聞かせる形式。 今となっては少し古いし、なぜか解決の緒に偶然つなが...

捕物帳の古典。 十数年ぶりに再読。 大正から昭和初期にかけて書かれた、江戸の風物を伝える連作推理小説。 江戸時代の終わりの江戸を舞台にした、半七親分がかかわった事件を、明治期になった半七老人が若い新聞記者に語って聞かせる形式。 今となっては少し古いし、なぜか解決の緒に偶然つながっていくのが自然では無いのだが、今読んで色褪せない内容である。

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2020/05/06

捕物帳の原点とも言われる半七捕物帳、とても久しぶりに読んだ。ときは明治20年代、若い新聞記者が老人となった半七に江戸自体の捕物の物語を聞くというストーリー。江戸の語り口も鮮やかに、グイグイ引き込まれていく。

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2020/04/25

木皿泉さんが何かのエッセイでお勧めしていたので読む。 なんとなく木皿さんのドラマの展開に似ている。 何か超自然的な出来事が起こる→原因を探るのが中心→最後に急展開でつじつまが合ったか?合ってないか?くらいの種明かしがあって解決。 半七が凄むとみんなペラペラ喋るのが面白い。全然推理...

木皿泉さんが何かのエッセイでお勧めしていたので読む。 なんとなく木皿さんのドラマの展開に似ている。 何か超自然的な出来事が起こる→原因を探るのが中心→最後に急展開でつじつまが合ったか?合ってないか?くらいの種明かしがあって解決。 半七が凄むとみんなペラペラ喋るのが面白い。全然推理ではない。 読み切りで延々と読みたくなる。

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2019/11/26

100年以上前に書かれたとは思えないモダンな作品で驚いた。 何も知らずに読んで「宮部みゆきの作品だよ」と言われたら信じそう(私はそこまで熱心な宮部ファンじゃないので)。 もっとも、これだけ優れた作品だと、後世の作家たちが見習っているのだろう。

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2019/06/14

ちっとも古めかしさを感じないですね。 きれいな日本語というか、正しく美しい日本語で書かれているので、とても品があり、さりとて堅苦しくはなく、江戸っ子気質でさっぱりあっさりした文面は読みやすいです。 そうなんだよな、一から十まで言葉で伝えなくても読者に委ねればいいんだよな、と(物書...

ちっとも古めかしさを感じないですね。 きれいな日本語というか、正しく美しい日本語で書かれているので、とても品があり、さりとて堅苦しくはなく、江戸っ子気質でさっぱりあっさりした文面は読みやすいです。 そうなんだよな、一から十まで言葉で伝えなくても読者に委ねればいいんだよな、と(物書きでもないくせに)思いました。 現代で言えば、令和になったこの時代に昭和時代の話を書いているのと同じで、電灯が通ったとはいえ、そこここに江戸の夜の暗さがリアルに残っている風景。そういった雰囲気が行間からにじみ出ていて、いわば地に足のついたリアリティさが良いです。 まだ3話までを読んだだけですがとても面白く感じました。続きも読みます。

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2021/05/16

2019年3月2日、読み始め。 読了したのは、 ・お文の魂 ・石燈籠 ・勘平の死 ・湯屋の二階 ・お化け師匠 171頁まで読んで、返却。 2021年5月16日、追記。 ウィキペディアで、著者、岡本綺堂を見ると、 岡本綺堂(おかもと きどう、1872年11月15日(明治5...

2019年3月2日、読み始め。 読了したのは、 ・お文の魂 ・石燈籠 ・勘平の死 ・湯屋の二階 ・お化け師匠 171頁まで読んで、返却。 2021年5月16日、追記。 ウィキペディアで、著者、岡本綺堂を見ると、 岡本綺堂(おかもと きどう、1872年11月15日(明治5年10月15日) - 1939年3月1日)は、小説家、劇作家。本名は岡本 敬二(おかもと けいじ)。別号に狂綺堂、鬼菫、甲字楼など。新歌舞伎の作者として知られ、また著名な作品として小説「半七捕物帳」などがある。 また、漱石の明暗が絶筆になったのが1916年につき、岡本綺堂と漱石は、同時代を生きたと思われるので、漱石も調べてみた。 結果は、岡本綺堂が1872年生まれ、漱石が1867年生まれ。 ウィキペディアで、漱石を見ると、 夏目漱石(なつめ そうせき、1867年2月9日〈慶応3年1月5日〉 - 1916年〈大正5年〉12月9日)は、日本の小説家、評論家、英文学者、俳人。本名は夏目金之助(なつめ きんのすけ)。俳号は愚陀仏。明治末期から大正初期にかけて活躍した近代日本文学の頂点に立つ作家の一人である。代表作は『吾輩は猫である』『坊っちゃん』『三四郎』『それから』『こゝろ』『明暗』など。明治の文豪として日本の千円紙幣の肖像にもなり、講演録「私の個人主義」も知られている。漱石の私邸に門下生が集った会は木曜会と呼ばれた。

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2018/04/01

招き猫文庫のリミックス版を読んだのをきっかけに、ついに原本を手に取った次第です。 思っていたより読みやすく、そして面白い。江戸情緒を味わいながら、半七親分の名推理を堪能しました。

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2018/02/04

幕末期の江戸の人々の生き方と思考で綴られる探偵小説で、しかも岡本綺堂本人がその時代を生きた作家であるということは、江戸人の生き方と思考が資料を研究して得たもので中肌で感じたものだというところにこの作品の凄さを感じる。

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2017/08/29

◆ お風呂でミステリ ◆ 第十二回 ・・・ 第十二回 「半七捕物帖」 ・・・ 捕物帖、という一大ジャンルを発案し築き上げた記念すべき最初のシリーズです。 作者の岡本綺堂は漢学の素養もあり、お父さんが日本大使館で働いていたせいで英語もできたそうです。 シャーロック・ホームズを原...

◆ お風呂でミステリ ◆ 第十二回 ・・・ 第十二回 「半七捕物帖」 ・・・ 捕物帖、という一大ジャンルを発案し築き上げた記念すべき最初のシリーズです。 作者の岡本綺堂は漢学の素養もあり、お父さんが日本大使館で働いていたせいで英語もできたそうです。 シャーロック・ホームズを原語で読み、これを日本に写し変えて作れないか、と作られたのが江戸の情緒を残しながら本格推理を楽しめる“半七捕物帖”でした。 なんと初版1900年ですから、117年前、ということになりますが、一般の庶民にも楽しんでもらいたい、ということから“いえね、実はこんなことがありましてね……”という口語文体が採用されたこともあって、いまだに現役で読める奇跡のようなシリーズです(岡本綺堂はその時代の人ですから漢詩漢文も当然使えました。でも彼の文語体の小説は正直手に負えません。読めないよ~)。 その、柔らかで、なおかつ端正で美しい日本語は他の追随を許さず、これまでに何百、何千人、という時代劇作家が生まれましたが、誰も半七を越えられた者はいない、という捕物帖の金字塔です。 “半七”は基礎教養の一つです。 司書なら読んでないわけにはいかないよ。 だから読んでね。 2017年08月29日

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