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アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない恥辱のあまり崩れ落ちたのだ の商品レビュー

4.2

21件のお客様レビュー

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2024/02/06

米原万里の推薦本である。アフガニスタンの石像が破壊された理由というよりも、アフガニスタンについて説明したものであった。新聞では中村医師の射殺のことだけであるがその背景にある状態を説明していた。著者はイランの映画監督であるが、アフガニスタンの映画を撮影した。  トルコでのトルコの国...

米原万里の推薦本である。アフガニスタンの石像が破壊された理由というよりも、アフガニスタンについて説明したものであった。新聞では中村医師の射殺のことだけであるがその背景にある状態を説明していた。著者はイランの映画監督であるが、アフガニスタンの映画を撮影した。  トルコでのトルコの国民という考えではなく、アフガニスタンは国ということよりも部族社会で部族同士のやりとりであるということが書かれている。山岳地方のために物質輸送が困難であり、イランのように石油等の重要資源が見つからないということでの貧困であった。アヘンの栽培が海外で4000億ドルの市場を支える8億ドルの生産国を低いままで押さえているという話はいままでなかった。さらにパキスタンがインドとの関係からアフガニスタン難民を国内の神学校で教育して、そこで教育を受けた青年が、食料も安全も経済もないアフガニスタンでターリバン兵士で生活するという説明をされると、ターリバンだけを問題とするだけでは解決しないと想定される。  スペインのフランコ政権からの民主化を著者が書いているように、イランがアフガニスタンへ飢えからの救済をまずすることが必要となるという、イラン人の著者の主張であろう。  アフガニスタンについて取り上げるための必読書であろう。

Posted byブクログ

2024/01/09

イランの映画監督 #マフマルバフ 「 #アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない恥辱のあまり崩れ落ちたのだ 」 アフガニスタンの現実の悲劇を伝えたスピーチ集。アフガニスタンに対する世界の無関心、貧困と麻薬生産経済、国家アイデンティティを妨げる民族主義といった問題を切実...

イランの映画監督 #マフマルバフ 「 #アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない恥辱のあまり崩れ落ちたのだ 」 アフガニスタンの現実の悲劇を伝えたスピーチ集。アフガニスタンに対する世界の無関心、貧困と麻薬生産経済、国家アイデンティティを妨げる民族主義といった問題を切実に訴えている 問題は、キリスト教とイスラム教の対立や共産主義とイスラム主義の対立ではなく、世界の無関心が貧困の原因というのが著者の主張。 タイトルの意味は、仏像は誰かに破壊されたのでなく、仏像自らがアフガニスタンに対する世界の無関心さを恥じ、自らの偉大さなど何の足しにもならないと知って崩れ落ちたということ アフガニスタン国民の1割は 戦争か飢餓で死に、3割は 難民として国を去る。残りは麻薬密輸の生産をして生きるほかない。部族主義がアフガニスタンの近代化と国民意識を妨げている。これらのことに、世界は無関心であり、貧困を解決する手段がないという主張

Posted byブクログ

2023/12/27

再読。おそらく出版されて間もない頃に買ったのだと思うが、全く覚えていなかった。と言うよりも、地理や歴史の知識が不足しており、理解できなかったのではないかと思う。 結局、アフガニスタンのことだけではなく、少なくとも隣国のイランのこと、パキスタンのことが背景として分かっている必要があ...

再読。おそらく出版されて間もない頃に買ったのだと思うが、全く覚えていなかった。と言うよりも、地理や歴史の知識が不足しており、理解できなかったのではないかと思う。 結局、アフガニスタンのことだけではなく、少なくとも隣国のイランのこと、パキスタンのことが背景として分かっている必要がある。そして、パキスタン誕生の背景には、イギリスからのインド独立があるわけで、こうしたことが分かってきたということ。

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2022/04/16

アフガニスタンの仏像破壊についてニュースで聞いたとき、貴重な文化を易々と破壊するタリバンへの怒りが湧いた。 しかし、その怒りをなぜアフガニスタンの土地は干魃にさらされ、人々が飢餓に苦しみなくなっている事実に向けないのか。 世界の薄情さ、無関心さを糾弾したタイトルに衝撃を受けた。...

アフガニスタンの仏像破壊についてニュースで聞いたとき、貴重な文化を易々と破壊するタリバンへの怒りが湧いた。 しかし、その怒りをなぜアフガニスタンの土地は干魃にさらされ、人々が飢餓に苦しみなくなっている事実に向けないのか。 世界の薄情さ、無関心さを糾弾したタイトルに衝撃を受けた。 「ついに私は仏像は誰かに破壊されたのでもないという結論に達した。仏像は、恥辱のために崩れ落ちたのだ。アフガニスタンの虐げられた人びとに対し世界がここまで無関心であることを恥じ、自らの偉大さなど何の足しにもならないと知って砕けたのだ。」 本書はアフガニスタンのレポ的な内容である。 映画監督であるからか、文章が非常に感情に訴えてくる。 読みながら、自分自身の無知と無関心に気づかされ、あの非道なタリバンも、貧困と飢えから逃れるためにテロ行為を行っていたのだということに気づく。 そのタリバンに武力で持って報復をした世界。 そこでは飢え苦しむ人びとが何人亡くなったのだろう。 世界に声すらあげられない人々の現状を、 映画監督の感性と、詩的表現で読ませる。 すぐに読めるが、内容はかなり濃い。

Posted byブクログ

2019/01/03

2012.2記。 村上龍の短編「空港にて」の主人公は、風俗で働いている。その彼女が仕事帰りにふらりと立ち寄り映画を見る。戦争をしているらしい遠い国の話だった。地雷で足を失った女性の元へパラシュートにつけられた義足が空から降ってくる、という幻想的なシーンがなぜだか心に残った。その...

2012.2記。 村上龍の短編「空港にて」の主人公は、風俗で働いている。その彼女が仕事帰りにふらりと立ち寄り映画を見る。戦争をしているらしい遠い国の話だった。地雷で足を失った女性の元へパラシュートにつけられた義足が空から降ってくる、という幻想的なシーンがなぜだか心に残った。そのときふと「足を失った人のために義足を作る仕事っていいな」と思う。が、その思いはすぐ消え去る、できるわけない、自分は学歴もなくシングルマザーで風俗で働いているから。 が、何気なくその思いを恋人に口にしたとき、彼はそれを現実的な目標に変える術を教えてくれる。インターネットで義足を作る学校が日本に何校あるのかを調べ、入学の資格を調べ、学費を調べ、彼女の貯金でどうすれば通いとおすことができるかを調べる。そう、足りないものは「夢に向けた情熱」ではなく、そこに至る道筋をみつける「技術」なのだ、ということをこそ村上龍は訴えようとする。 さて、本題はその小説に出てくる「義足が降ってくる」映画、さらにはその監督の著書なのであった。 まずタイトルが秀逸。仏像を破壊するタリバンよりも、アフガニスタンの悲惨な境遇を放置してきた国際社会をまず指弾するメッセージが明確。そして隣国イランから見たアフガニスタンの困難を丁寧に訴えていく。 あまりにも峻嶮な地形故外敵を寄せ付けず、そしてそれ故に貿易為が非常に難しいこと。同時に、密輸を業とする人々にとってこの上なく安心な地形を提供していること。峠を越えれば別の部族、という環境の下で「アフガニスタン人」という共通のアイデンティティを持つこと自体が非常に難しいこと。 ここで、村上龍が「空港にて」でなぜアフガンを舞台とした映画をモチーフにしたのか、ふと思う。空から降り注ぐ恩寵、という形でしか望むものを得られないほどの絶望の中に生きている人も日本の外にはまだたくさんいる、日本人はまだまだめぐまれている、ということもひょっとしたら村上龍は訴えたかったのではないだろうか。

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2018/09/03

2000万人が飢えるアフガンを歩いた一人のイラン人作家・映画監督の知性と人間性、静かな絶望が、心が持つ「理性の知らない動機」をもって綴られた本。現場を踏み、発信の手段を用い、それでも変わらぬ現場を見る苦しさは、その深さは格段に違えど、国際協力の端っこを担う自分にも、なんとなく分か...

2000万人が飢えるアフガンを歩いた一人のイラン人作家・映画監督の知性と人間性、静かな絶望が、心が持つ「理性の知らない動機」をもって綴られた本。現場を踏み、発信の手段を用い、それでも変わらぬ現場を見る苦しさは、その深さは格段に違えど、国際協力の端っこを担う自分にも、なんとなく分かるような気もする。印象的な言葉が多い一冊。9.11前後に出版されたその時期も興味深い(しかし改めて脱力してしまう)。

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2017/02/18

カンダハールで観て感じた事を数字や歴史できちんと補足され、よく知らないけどメディアにより何となく不気味に感じていたこの国のはっきりとした論理が見えた。

Posted byブクログ

2016/06/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 10年以上前に書かれた本だが、未だにほとんど状況は変わっていない。  筆者は100万人ものアフガン人が飢えと内戦で苦しむ中、世界は無視をし続けてきたのに、バーミヤンの大仏が破壊されると知るや、急激に注目をあつめるようになったことを揶揄している。  ロシア、アメリカ、そして近隣諸国の思惑に振り回され、石油やその他の権益がないため、誰からも救いの手を差し伸べてもらうことができないという悲惨な状態となっている。  アフガニスタンは石油の豊富なイランから250年前に分離し、農業、工業も発展しないまま、干魃によりさらなる貧困に陥っている。また麻薬による収入もわずかに5億ドルで、これは人々に1日パン一切れしか行き渡らない。ゆえに「仕事」としての戦闘に人々は参加する。  アメリカは、あちこちで近代主義の押し売りをしているのにもかかわらず、アフガンを救おうとしないのは、アフガンには石油がないからだ。そしてタリバンが東洋、イスラムに対する醜悪なイメージを作り出すことで、イスラムの拡大に対し、世界が反発を抱くようになるからだ。

Posted byブクログ

2014/04/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

著者はイラン人の映画監督。 ページ数としてはそれほど多くありません。集中して読めば、恐らく2時間ぐらいで読み終えられるぐらいの分量です。が、読了後に残る印象は強烈です。 刊行されたのは2001年11月。アメリカの戦争大好きバカ大統領がアフガニスタンに余計なちょっかい出し始めた直後の時点の話です。 アフガンにある程度かかわっている人であれば、ここで触れられている内容はそれほど目新しいものではありません。が、ブッシュがアフガンにちょっかい出すまで「アフガニスタン」という国について知らなかったという人にとっては、これほど衝撃的で、読んでいて辛くなる内容もないでしょう。 読み進める中で、メディアが極悪非道な存在として報道する「タリバン」(本書中では「ターリバーン」と記載)が政治的にどのような存在なのか、またそれを構成する個人個人はどういった人々なのかが分かります。一概にタリバンのすべてを「悪」と言い切れないという点が、ここからは読み取れます。そこだけでも一読の価値はあります。 著者が指摘するアフガニスタンの根本的な問題、そしてアフガニスタンが救われるために求められることは、刊行から10年以上経った今もたいして変わっていないと思います。彼らに関心を持つこと、そして「アフガニスタン」という国全体の問題を見ようとする前に、その国に住む人々の姿を直視することが何より重要です。

Posted byブクログ

2011/11/29

今までアフガニスタンの実情についてまるで知らなかったのに気付かされた。 アフガニスタンに住む人々が未だに一つとなって結束できない理由が分かった。

Posted byブクログ